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ワルファリンはダビガトランよりも腎機能低下をもたらす:JACC誌

Changes in Renal Function in Patients With Atrial Fibrillation
An Analysis From the RE-LY Trial
Michael Böhm et al
J Am Coll Cardiol. 2015;65(23):2481-2493


目的:RE-LY試験で、ワルファリンあるいはダビガトランを投与した患者の長期の腎機能への影響を検討

方法:RE=LY試験参加者18113例中、ベースラインと少なくとも1回の追跡期間(30ヶ月まで)でGERを測定し得た16490例対象

結果:
1)GERは全群で低下

2)GFR低下度(平均追跡30ヶ月):ワーファリン群(–3.68 ± 0.24 ml/min)>ダビガトラン110群(–2.57 ± 0.24 ml/min; p = 0.0009 vs. warfarin) 、150群 (–2.46 ± 0.23 ml/min; p = 0.0002 vs. warfarin)

3)25%を超えるGFRの低下:ダビガトラン110群: ハザード比 0.81 95%CI0.69 to 0.96; p = 0.017、ダビガトラン150群: ハザード比 0.79 95%CI0.68 to 0.93; p = 0.0056

4)TTR低値(65%未満)、以前のワルファリン使用、糖尿病はGFR低下に寄与

結論;抗凝固薬服用者はGFR低下を認めるが、ワルファリンのほうがダビガトランより低下度は大きい。この度合いはワルファリンの既服用、糖尿病者でより顕著

### なるほど、これはあまりよく知りませんでした。機序としてはワルファリンによってVitamin K-Dependent Protein Matrix Gammacarboxyglutamic Acid (Gla/MGP)というタンパクが抑制され、これが動脈硬化、引いては腎機能低下の引き金になるようです。

30ヶ月で平均1ml/min程度の違いが臨床的にどれほど意味があるかはわかりません

$$$今日のかたつむり(笑)。これからこういう写真が増えそうです。
ワルファリンはダビガトランよりも腎機能低下をもたらす:JACC誌_a0119856_23194115.jpg

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by dobashinaika | 2015-06-09 23:20 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

心房細動治療における「健康格差」を考える:Circulation誌

Circulation.2014; 129: 1568-1576
Variations in Cause and Management of Atrial Fibrillation in a Prospective Registry of 15 400 Emergency Department Patients in 46 CountriesThe RE-LY Atrial Fibrillation RegistryJonas Oldgren et al


【疑問】プライマリ・ケアセッティングでの心房細動患者にはどのようなバリエーションがあるか?

【方法】
・46カ国164施設の救急部門における心房細動患者。2008〜2011年まで登録

【結果】
1)年齢:全体平均65.9±14.8歳、アフリカ57.2±18.8、北米70.1±13.4 (P<0.001)

2)高血圧:最も多い合併症。インド41.6% vs. 東欧80.7% (P<0.001)

3)リウマチ性心疾患:北米2.2% vs. アフリカ21.5% vs. インド31.5% (P<0.001)

4)CHADS2スコア2点以上への抗凝固薬使用:北米65.7% vs. 中国11.2% (P<0.001)
心房細動治療における「健康格差」を考える:Circulation誌_a0119856_2246337.gif


5)平均TTR:西欧62.4%、北米50.9%、インド、中国、東南アジア、アフリカ:32〜40%の間

【結論】年齢、リスク因子、合併症、治療において大きな地球規模での多様性がある。アウトカム改善にはこの多様性への理解がグローバルに必要だし、異なる環境や異なる社会経済状況と心房細動との関連に焦点を当てたリサーチが要求される

### あのRELY試験ではなくRELY登録研究です。Fundはベーリンガーインゲルハイム社です。

標題はVariationと穏当な表現ですが、実質的には治療あるいはTTRにおけるgapsまたはdifferentials=つまり格差の問題を扱っているように思います。
CHADS2スコア2点以上への処方率はアフリカでも20%弱、インドが25%程度、中国は上記の11.2%!。またTTRは欧米以外は40%未満であり、抗凝固療法をしないほうが安全なレベルです。

結局、降圧薬を始めとし抗凝固療法までも含む予防的薬剤に関しては、いまだに「欧米など一部の国の医療」であり、全然グローバリゼーションされていないということが顕になっていますね。

経済的格差による医療上の不公平は、当院でも感じることができます。言うまでもなくNOAC。年金暮らしの3割負担の方は、やはりワーファリンでないと困るとおっしゃられることが多いのです。介護施設入所の方は、はじめからNOACが採用されずワーファリンです。そうでなくてもちょと高いからという理由で躊躇される方は、少なくありません。

効果の差があるにも関わらず、コストの面で拒否されてしまう、それゆえにより処方したい患者さんに出せないコモンディジーズ薬というのもそう滅多にはないように思います。

このような事例に接するにつけても、NOACのあまりの高さから健康格差が生じていることに少なからず疑問、疑義を感じますね。

NOAC、NOACとうるさいわけですが、単なる欧米と日本のしかも経済的に困っていないひとにしか処方されていない状況で、世界の圧倒的多数はその恩恵に預かれないでいるということを知っておきたいです。

ちょっと論文の本題とはズレましたか・・
by dobashinaika | 2014-05-19 22:46 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

ダビガトランのヨーロッパ保険適用基準で大規模試験のデータをシミュレートした結果:T/H誌より

Thrombosis and Haemostasis 12月日付オンライン版より

Patient outcomes using the European label for dabigatran
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-09-0734


【疑問】保険適用通りに使用した場合のダビガトランの有効性と安全性はどの程度か?

【方法】
・EU圏では、ダビガトランの保険適用は150mgが80歳未満で出血リスクが少なく(HAS-BLEDスコア3点未満)ベラパミル非併用。110mgはそれ以下となっている

・RELY試験のデータベースを上記保険適応に当てはめた場合のアウトカムをシミュレーションする(post hoc解析):ダビガトラン群6004例、ワルファリン群6022例

【結果】カッコ内はRELY試験の結果(150mg,110mg)
1)脳卒中/全身性塞栓症:ハザード比0.74;95% CI0.60-0.91(0.66,0.91)

2)出血性脳卒中:0.22;0.11-0.44 (0.26, 0.31)

3)死亡:0.86:0.75-0.98 (0.88, 0.91)

4)血管死: 0.80:0.68-0.95 (0.85, 0.90)

5)大出血: 0.85;0.73-0.98 (0.93, 0.80)

6)致死性出血:0.72; 0. 58-0.91

7)頭蓋内出血:0.28; 0.17-0.45 (0.40, 0.31)

8)あらゆる出血;0.86;0.81-0.92

9)消化管出血;1.23; 0.96-1.59 (1.48, 1.08)

【結論】RELY試験のデータベースを用いたpost-hoc解析では、「EU圏の保険適用シミュレーション下のダビガトラン使用」は、ワルファリンに比べて有効性および安全性に優れていた。このことは、EU保険適用やガイドラインをサポートする。ヨーロッパの保険適用の遵守がダビガトランの適切な安全性と有効性につながる。


### RELYの本試験は年齢、出血リスクなど関係なく150mgと110mgを無作為割付でしたので、年齢や出血リスク、併用薬の縛りを設けた保険適応のシミュレーションでは、結果はRELYの両群間の中間ぐらいになることが予想されるわけです。実際だいたいそうなっているようですが、一部は両群より良くなっている項目もあります。参考までに括弧内に本試験の150mgと110mgのハザード比を示します。

それにしてもヨーロッパでは80歳以上でダビガトラン110mgなんですね。日本は「腎機能CCr30-50、P糖蛋白阻害薬併用、消化管出血の既往、70歳以上」 の4項目のうち1つでもあれば110mgを「考慮」となっています。
これはそれ以外は「禁忌」ではなくあくまで「考慮」です。しかし実際は、この「考慮」は全例に適応する開業医がほとんどではないかと推察します。私も含め個人開業医は査定を、勤務医よりも極度に嫌い、添付文書にはひれ伏すことが多いですので、70歳以上はほとんど110mgだと思われます。

しかし日本の基準ですと、圧倒的に110mgが多くなりますので、RELYの150mgに比べて脳塞栓は多くなり、出血は少なくなることが予想されます。それがどの程度であるのか知りたいところです。

RELYは日本人対象者が少ないですが、一応日本の用法用量基準(「考慮」の基準)でRELYをシミュレーションした結果が知りたいところです。脳塞栓がどの程度実際より多くなってしまうのかですね。数字あそびかもしれませんが。
by dobashinaika | 2013-12-18 23:24 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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