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冠動脈インターベンション施行心房細動例に関するレビュー。図が大変見やすいです:JACC誌


JACCのレビューにPCI施行心房細動患者の抗血栓薬マネジメントに関するレビューが掲載されています。ひと目で分かる図が魅力的ですので,ご覧いただければ幸いです。

<Central Illustration>
a0119856_06434538.jpg


<ステント塞栓高リスク基準:ESCガイドラインより>
・適切な抗血小板薬投与下でのステント塞栓症の既往
・開存する最後の冠動脈へのステント
・特に糖尿病患者のびまん性複数血管病変
・CKD (CCr<60)
・3つ以上のステント留置
・分岐部に2つのステント留置
・ステント全長>60mm

<OAC+抗血小板薬が不適切な出血リスク基準>
・短い生命予後
・高出血リスクの進行癌
・予想されるアドヒアランス不良
・精神状態不安定
・末期腎不全
・超高齢
・大出血,出血性脳卒中の既往
・アルコール中毒
・貧血
・DATでの臨床上明らかな出血

ハイライトの部分と結論部分を訳します。

<ハイライト>
・心房細動患者では血栓塞栓症を予防が必要。一方PCI施行患者ではステント血栓症予防が必要
・いくつかのRCTでは,DAT with DOAC (抗血小板薬1剤+DOAC)がTAT with VKA(抗血小板薬2剤+ビタミンK阻害薬)に比べてより安全であることが示されている
・現状ではTATの期間をできるだけ短くする,または個々の血栓と出血リスクに基づいて予防すべきである
・AUGUSTUS試験の結果が今度のガイドラインにインパクトと整合性を与えるであろう

<結論>
・TATはできる限り短くすべきだが,いつどの患者でSAPT(抗血小板薬1剤+
OAC) を始めるかについて大西洋の両側で異なるパースペクティブが示されている。
・北米:TAT(院内のみ)→DAT(クロピドグレル6−12ヶ月:出血リスクに応じて) with OAC→OAC単独
・欧州:TAT(院内のみ or 1ヶ月 or 3-6ヶ月:血栓と出血リスクのバランスに応じて)
・AUGUSTUEとENTRUST-AF PCI試験の結果が,今後のガイドラインに影響を与え,TAT期間について北米と欧州の整合性を取ることに寄与するだろう
・多くの出血回避戦略が提案されている
・ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバンに関する3つのRCTにおいて,安全性の点で DAT with DOAC > TAT with VKAは明らか。エドキサバンの試験も間もなくで期待される。
・DATは有効性とのトレードオフなしに出血リスクを明らかに減らすが,虚血イベントに対する優越性を示す試験はない
・患者レベルでのメタ解析が有用であろう

### 北米,欧州共通のコンセプトは,抗血小板薬はクロピドグレル,抗凝固薬はDOAC,TATはできるだけ短く,1年後以降はOAC単独,です。

異なるのはTATからDATへの移行時期で,出血と虚血リスクにより微妙に違っています。

プライマリ・ケアとしては,現在日本で試験が進行中ですが,1年後ずっとOAC単独にしてよいのかが気になります。

この図は何回も見返したいですね。

$$$ 今日のニャンコ
a0119856_06445233.jpg


by dobashinaika | 2019-07-10 06:48 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

臨床上の各場面でどの抗凝固薬を選べばよいか:EHJ誌

Choosing a particular oral anticoagulant and dose for stroke prevention in individual patients with non-valvular atrial fibrillation: part 1
Eur Heart J http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv643 ehv643 First published online: 4 February 2016

EHJ(Lip先生グループ)から非弁膜症性心房細動における抗凝固薬の選択と用量についての実践的ガイダンスがでています。
そのパート1

<安定冠動脈疾患+心房細動>

第1選択:NOAC単独,どのNOACでもよい
第2選択:アスピリン長期追加:ただし個々のリスクと冠動脈の形態による
コメント:NOAC間の直接比較研究はない

<安定末梢動脈疾患+心房細動>

第1選択:安定狭心症に同じ:エビデンスが集まるまで

<PCI施行患者+心房細動>

第1選択:トリプルテラピーの患者ではビタミンK阻害薬(VKA,TTR70%超,INR2.0-2.5)またはNOAC(低用量)
コメント:NOAC間の差はない。トリプルテラピーの公表されたエビデンスはダビガトラン(RELY)のみ

<除細動時>
第1選択:VKA:ただしいくつかのデータはNOACで代替できることを示唆,実際除細動までの時間短縮になる
コメント:Post hoc解析ではアピキサバン,ダビガトラン,リバーロキサバン間で差異はない

<カテーテルアブレーション時>
第1選択:ワルファリン(中断なし)
第2選択:ダビガトラン,アピキサバン,リバーロキサバン(中断なし)
歳3選択:ブリッジング下のワルファリン中断
コメント:エドキサバンのエビデンス利用できない

<機械弁,中等〜重症(リウマチ性)僧帽弁狭窄症>
第1選択:VKA
コメント:NOACのデータなし。使用すべきでない

<その他の弁膜症:僧帽弁,大動脈弁,三尖弁閉鎖不全。大動脈弁狭窄>
第1選択:アピキサバン,リバーロキサバン
第2選択:ダビガトラン,エドキサバン
第3選択:VKA

<VKAでTTR70%を超える患者>
第1選択:VKA継続
第2選択:以下の場合NOAC:VKA投与下で大出血,虚血性脳卒中の合併既往あり。SAMe-TT2R2スコア2未満。その他患者の選好と価値を考慮
コメント:NOACの選択と用量は患者の特性による。NOAC間の差はない

<低リスク(CHA2DS2-VAScスコア1点(女性で2点))>
第1選択:OACを考慮:ダビガトラン150x2たまはアピキサバンを考慮

<心房細動1回のみ記録されている場合>
コメント:抗凝固薬の選択は心房細動のタイプ,頻度による
(本文では,原則投与だが,若年でCHA2DS2-VAScスコア1点には使用しないとの記載)

<リズムコントロール,レートコントロール患者>
・べラパミル内服者はダビガトランとエドキサバンは低用量で
・リバーロキサバンは減量しない
・アピキサバンはアミオダロン,ベラパミルに影響しない
・ダビガトランはドロネダロん併用は禁忌
・エドキサバン30mgはドロネダロン併用時に使用すべき

### 大変実践的ですが,全般にNOACイチオシがやや目立ちます。「コスト」の項目がないのが遺憾といえば遺憾(笑)
膨大なCOIの記載を見ればそれも頷けますか。

パート2も後日ご期待を

$$$ 冬の散歩の風物詩,ガードレールで自己主張する片っぽ手袋。今日も全世界の何処かで大量片っぽ手袋が路上や塀やガードレールにひとりさびしく,引き取りてもなく置着ざりにされているかと思うと不憫でなりません(笑)
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by dobashinaika | 2016-02-09 00:13 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(1)

PCI前の出血リスク評価が出血回避策施行と出血率低下につながる:BMJのある意味画期的な論文

Precision medicine to improve use of bleeding avoidance strategies and reduce bleeding in patients undergoing percutaneous coronary intervention: prospective cohort study before and after implementation of personalized bleeding risks.
John A Spertus et al
BMJ (Clinical research ed.). 2015;350;h1302. doi: 10.1136/bmj.h1302.


目的:経皮的冠動脈形成術(PCI)施行患者において事前の出血リスク評価が、出血回避策実施の改善及び出血減少につながるかどうかを検証

デザイン:リスク層別化前後で、出血回避策施行の有無と出血率を比較する前向きコホート研究

セッティング:米国の9病院

参加者:ST上昇型心筋梗塞(STEMI)でPCI予定の患者

主要評価項目:出血リスク層別化ごとに出血回避策としてbivalirudin投与、撓骨動脈アプローチ、血管閉鎖デバイスの使用。周術期の出血率。対照群はリスク層別化を思考していない1135病院のプールデータ。出血回避策についても病院レベル、医師のレベルの多様性も評価

結果:
1)術前評価非施行例7408例、施行例3529例

2)手術部位出血回避策実施率:評価施行例の日施行例に対するオッズ比:1.81 (1.44-2.27)

3)高リスク患者の実施率増加(オッズ比2.03)は低リスク患者(オッズ比1.41)より有意に大

4)手術部位の出血:評価施行例1.0% vs. 非施行令1,7%:オッズ比0.56(0.40〜0.78)
a0119856_2291350.gif

5)出血率低下は高リスク例ほど顕著

6)出血回避策は病院間、医師間でばらつきが大きい。

結論:事前の前向きで個別の出血リスク評価は出血回避策施行率上昇及び出血率低下に関連した。病院間、医師間の格差はそれの是正、安全性、ケアの室改善の重要性を示唆している。

### あえてPCI関連の論文を取り上げましたが、この論文、ある意味画期的でおそらく最近では最もインパクトのある論文と言っても過言ではないと個人的に考えましたので、取り上げました(日本循環器学会で香坂先生も"記念碑的"とおっしゃっておられました)。

さらっと読むと、出血リスクの評価をしたほうが、しない場合に比べて、出血への対策をきちんとするので出血率も下がるというもので、当然かと思われます。しかしよく考えますと、実際に、事前のリスク評価を行う群と行わなかった群とを比較して、その評価が医師の行動変容を促し、なおかつアウトカムを良くしたというような検証研究はこれまでそうそうないと思われます。

たとえば心房細動。CHADS2スコアあるいは出血リスクですとHAS-BLEDスコアですが、こうしたスコアは各種ガイドラインでも全面的に推奨されていますが、実際は点数別の塞栓率とか出血率しか明らかではありません。しかも対象は元論文のコホートのみです。実際にCHADS2スコアを使った群と使わずに経験的に行った群とを比較して、抗凝固療法の施行実施率及び塞栓、出血率などのアウトカムを比較した研究は皆無と思われます。

CHADS2スコアを無視して抗凝固をしたら、絶対塞栓症も出血率も増えると思われるかもしれませんが、しかしながら、最近のの日本の大規模コホートでは、必ずしも低リスク例の血栓塞栓率が高くないことが示されています。昔のデータで算出されたCHADS2スコアが、今の日本でどの程度アウトカムに寄与しているのか、実はわかっていないとも思われます。

高血圧ガイドラインにしても、血清脂質のガイドラインにしても同じで、血圧やLDLコレステロール値がこのくらいの集団の予後はどの程度というのは算出されていますし、また降圧薬やスタチンでここまで下げるとアウトカムはこのくらいというのもエビデンスとして出されることはあります。しかしながら、治療前のリスク評価が医師の処方内容に影響し、しかもアウトカムを良くしたという、リスク評価の有効性の検証が行われたことは稀有のように思われます。

それにしてもこのグラフは非常に印象的です。リスクをきちんと評価した場合は、低リスクで抗凝固薬を使用せず高リスクで使用する医師が増えている一方、最初から最後まで全く使わない、あるいはかならず使う医師が一定数いることも示しています。
a0119856_2210185.gif

実際問題として、この病院間、医師間のばらつきが最大の問題かと思われます。

最近特にCHADS2スコアの特に低リスクでの(日本での)妥当性に問題意識を持っているところなので、こうしたリスク層別化の検証は大切であるなあと再認識しました。

$$$ こちら今日昭和の日のあおば通。いよいよ新緑。杜の都が一番輝く季節がやって来ました。
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by dobashinaika | 2015-04-29 22:12 | 虚血性心疾患 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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