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ヨーロッパの心房細動診療大規模登録研究 (EORP-AF Pilot registry);EHJ誌

Prognosis and treatment of atrial fibrillation patients by European cardiologists: One Year Follow-up of the EURObservational Research Programme-Atrial Fibrillation General Registry Pilot Phase (EORP-AF Pilot registry)
Gregory Y.H. Lip et al
Eur Heart J (2014)doi: 10.1093/eurheartj/ehu374


疑問;ヨーロッパでの心房細動診療の現況はどうなっているのか?

方法:
・欧州心臓病学会所属9カ国の循環器医から、心電図上心房細動を呈した連続患者を登録
・3119例
・1年間追跡(2012年はじめ〜)
・評価項目:症状の進行、抗凝固薬、リズムコントロールとレートコントロール、死亡率および脳卒中/TIA/全身性塞栓症の規定因子

結果:
1)多くは無症候性:76.8%

2)発作性または持続性では症候性が普通

3)主症状は動悸、易疲労感、息切れ、

4)抗凝固薬使用率:〜78%:ビタミンK阻害薬(VKA)68.1%、NOAC 10.5%、抗血小板薬29.0%

5)登録時VKA例の84%はVKAのまま

6)登録時NOACの86%はNOACのまま。11.8%はVKAに変更。1.1%は抗血小板薬に変更

7)ジギタリスはレートコントロールに多数使用されている
ジギタリス49.0%、β遮断薬67.4%

8)リズムコントロール症例中;電気的除細動9.7%、薬理学的除細動5.1%、カテーテルアブレーション4.4%

9)死亡率:5.7% (心血管死70%)

10) 再入院411人 :理由=心房性不整脈、心不全

11)予後規定因子:
死亡+脳卒中/TIA/全身性塞栓症=年齢、CKD、心不全、悪性腫瘍、小出血
死亡のみ=年齢、CKD、TIA、COPD、悪性腫瘍、小出血、利尿薬
スタチン使用は低死亡率に寄与
a0119856_21264173.gif


結論:このデータは、ヨーロッパの循環器医におけるESCの新しいガイドライン発表後初の心房細動診療に関するデータである。
全体としては抗凝固薬使用率は高いが、継続性においては問題があり、多くの例でそれまでの抗凝固薬を踏襲している。抗凝固薬の使用率が高いにもかかわらず、1年間の死亡率、合併症率は依然として高く、特に心不全と再入院が問題。

### 以前同試験の性差に関するアウトカムだけ紹介しましたが、今回は1年後のごろーアップの全データで、今開催中のESCで発表されたものです。

日本のJ-RHYTHM-Registryと比較したくなります。J-RHYTHM-Registryの方は2009年時点の結果でワルファリンのみですが、抗凝固薬投与率は87.3%でした。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/75/6/75_CJ-10-1119/_pdf

またJ-RHYTHM-Registryの死亡率はPT-INR別に見て、2年間で非warfarin群3.4%,PT-INR≦1.59群3.0%,1.6~1.99群2.7%,2.0~2.59群1.8%,2.6~2.99群1.7%,≧3.0群5.3%ですので、ESCより相当低いことがわかります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/77/9/77_CJ-13-0

対象年齢も68〜69歳でほぼ同じですが、やや違うのはリスクで、J-RHYTHM-RegistryのCHADS2スコアは0〜2点だけで77%くらいになりますが、EORP-AFではCHA2DS2-VAScスコア2点以上が80%でした。(スコアの基準が違いますが)

また、興味深いのは、2012年時点のデータではありますが、NOACは10%くらいで抗血小板薬がなんとまた30%弱に使われていることでしょうか。
いろいろ検討すべき内容が豊富な研究と思われます。
by dobashinaika | 2014-09-02 21:28 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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