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新しいORBIT出血スコアはHAS-BLEDスコアよりも心房細動抗凝固薬の出血リスク予測に有用

The ORBIT bleeding score: a simple bedside score to assess bleeding risk in atrial fibrillation Emily C. O'Brien et al
Eur Heart J First published online: 30 September 2015


目的:大規模コミュニティーベーストコホートにおける大出血リスクを予測するための新しい出血リスクスコアを,日常臨床で利用可能な情報から創出し,その妥当性を検証する

方法:
・対象:ORBIT-AF研究のコホート:米国176の期間における心房細動の登録
・平均追跡期間2年
・大出血に関連する5つの主要な因子を含む多くのリスクスコアを創出
・今回のスコア及びHAS-BLEDスコア,ATRIAスコアを今回のコホート及び他のコホート,ROCKET-AFに適用

結果:
1)大出血:抗凝固薬を服用している7411例中,4%/年

2)新スコアC統計量は2つとも良好
・フルORBITスコア(12項目):0.69
・5因子ORBITスコア(74歳以上,Hb,Ht減少/貧血,出血の既往,腎機能低下,抗血小板薬併用):0.67

3)R0CKET-AF試験の結果にあてはめたとき,これら2つのスコアは,HAS-BLEDやATRIAにくらべてdiscrimination(C-統計量:このスコアによって予測された結果が実際のアウトカムにどのくらい正確に分類できるかという能力)は同等だったが,calibration(このスコアで予測された確率と実際に観察された確率がどれだけ一致しているかという能力)は新スコアのほうが良好だった。

結論:5因子ORBIT-AF出血スコアは,HAS-BLEDスコアやATRIAスコアに比べて心房細動の大出血リスクを予測するのにより良い能力を有した。ORBITリスクスコアは臨床上の意思決定をサポートする簡単で覚えやすいツールである。

### よく使われるHAS-BLEDスコアは以下のとおりで3点以上で高リスクと言われています。
新しいORBIT出血スコアはHAS-BLEDスコアよりも心房細動抗凝固薬の出血リスク予測に有用_a0119856_18482825.gif

今回の5因子ORBITスコアは
1)74歳以上(1点)
2)貧血(Hg低下:男13未満,女12未満,Ht低下:男40%未満,女36%未満,  (2点)
3)出血の既往(2点) 
4)腎機能低下(eGFR60未満)(1点)
5)抗血小板薬(1点)

で,0〜1点が低スコア,3点が中等度,4点以上を高度としています。

そしてスコアごとの大出血率ですが,0〜4点ごとに,1.7%,2.3%,2.9%,4.7%,6.8%です。飲んでいる抗凝固薬はほとんどがワルファリンというコホートでした

HAS-BLEDには,肝機能,高血圧,NSAID,アルコールのほか,INR不安定というのがあり,NOACには不向きでしたが,このスコアはNOACへの外的妥当性も検証されていて(統計的手法が示されていますが,詳しい解析方法は成書を参照のこと)応用できそうです。

ワーファリンの脳卒中絶対リスク減少が3.5〜4%と考えるとORBITスコア3点以上くらいからが要注意域か。

$$$ ご近所の町内会の掲示板にもどばし健康カフェの案内が貼られました。 今月の31日です。
新しいORBIT出血スコアはHAS-BLEDスコアよりも心房細動抗凝固薬の出血リスク予測に有用_a0119856_18505468.jpg

by dobashinaika | 2015-10-01 18:54 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

心房細動における脳卒中予防の総説:JAMA

Stroke Prevention in Atrial Fibrillation A Systematic Review
Gregory Y. H. Lip, MD; Deirdre A. Lane, PhD
AMA. 2015;313(19):1950-19
62

JAMAにLip先生の心房細動における脳卒中予防の総説が掲載されています。
ごくかいつまんで紹介します。

<一覧>
・心房細動脳卒中リスクと死亡率は抗凝固療法(VKA:ワルファリンまたはNOAC)により減少した。
・まず始めに、臨床家は抗凝固が必要ない低リスク心房細動患者を同定すべき。少なくとも1つのリスク因子(「女性のみ」を除く)を持つ患者は抗凝固療法が勧められるべき
・臨床家は個々の患者の抗凝固療法下での出血リスクを評価し、出血リスク因子(血圧管理、抗血小板薬、NSAIDsなどの併用薬中止、INRの適正管理、アルコール過飲防止)を是正すべき。つまるところ、最も大切なのは脳卒中予防。

<抗凝固薬の選択>
心房細動における脳卒中予防の総説:JAMA_a0119856_22294875.png

a:脳梗塞、出血両者とも効果あり
b:CCr<15mL/min (USA)
c:出血リスクの増加も含む
d:HAS-BLEDスコア3点以上。消化管出血のような出血を最小限に保つように
e:未承認(米国)

<リスク層別化と抗凝固療法選択のアルゴリズム>(Freeでないので文書で)
・CHA2DS2-VAScスコア1点以上(女性は2点以上)→No:抗凝固なし
・→Yes:SAMeTT2R2スコア3点以上→Yes:NOAC
・→No:TTR>70%→VKA、TTR<65%または過去6ヶ月間にINR>5が2回or>8が1回or<2が2回
・→VKA

### この文章はわかりにくいですね。要するに
・SAMeTT2R2スコア3点以上または2点以下でもTTR<65%またはINR逸脱多い→NOAC
・SAMeTT2R2スコア0〜2点でTTR>70%→VKA

です。

薬剤選択の際SAMeTT2R2スコアを用いるのが新しい点です。
SAMeTT2R2スコアは以前のブログで、あまり気が進まないと書いた覚えがあります。
でもLip先生はTTR管理の予測スコアとして評価しているようです。

SAMeTT2R2スコアは
・女性、年齢(60歳未満)、既往歴(高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、末梢血管疾患、心不全、脳卒中の既往、肺疾患、肝疾患、腎疾患のうち2つ)(以上1点)、薬剤(ワルファリンと相互作用あり)、人種(非白人)(以上2点)
で最高8点です。

一見クリアカットですが、またまたいろいろなスコアが出てきて、返って混乱するような気もします。
私自身は最近は、
・75歳上:第一選択はワルファリン→半年くらい見て変動が多い患者はNOAC
・75歳未満:5つのうちからコスト、服薬回数、腎機能、消化器症状/疾患を考慮して適宜決定

という感じにしています。異論は受け付けます(笑)。

$$$ 杜の都の定番の場所。
心房細動における脳卒中予防の総説:JAMA_a0119856_22341252.jpg

by dobashinaika | 2015-05-21 22:36 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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