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DOAC(直接経口抗凝固薬)の使い方,シンプルな使い分け10のポイント:Heart誌より

例によってACCのメルマガからです。
Heart誌の「DOACに関する実戦的マネジメントアプローチ」を10のポイントにまとめてくれています。
非常に簡潔ですので,プライマリ・ケアの場ですぐ使えると思います。

(原文)
Direct oral anticoagulants: unique properties and practical approaches to managementHeart doi:10.1136/heartjnl-2015-309075

(まとめ)
Direct Oral Anticoagulants: Practical Management Approaches
Debabrata Mukherjee, MD, FACC


1)2009年以来DOACは静脈血栓塞栓症と非弁膜症性心房細動の治療薬として紹介されてきた

2)Xa阻害薬(アピキサバン,エドキサバン,リバーロキサバン),直接トロンビン阻害薬(ダビガトラン)はワルファリン
の代替薬として登場し,いまや静脈血栓塞栓症と心房細動の第一選択薬

3)ある状況下での抗凝固薬の選択は,薬物動態とRCT及びリアルワールドデータを元になされる

4)ワルファリンが良い場合:機械弁(DOACは禁忌),高度腎機能低下(CrCL15未満)
5)あるDOACが良い場合;
中等度腎機能低下:Xa阻害薬(アピキサバン,エドキサバン,リバーロキサバン)
脳塞栓症リスクが高い場合(CHA2DS2-VAScスコア5,6点):ダビガトラン150(RCTで唯一虚血性脳卒中を減らした)

6)高出血リスク:アピキサバン,エドキサバン,ダビガトラン110(いずれもRCTでワルファリンより出血が少ない)

7)1日1回を好む患者;エドキサバン,リバーロキサバン

8)静脈血栓塞栓症(外来,単一薬剤):アピキサバン。リバーロキサバン(ダビガトラン,リバーロキサバンのように低分子ヘパリンによる5〜10日の前投薬いらない)

9)多くの患者では,定期的,継続的な腎機能モニターが必要。各DOACは多かれ少なかれ腎排泄あり。用量設定にも腎機能測定は必須

10)最適な抗凝固薬選択及び安全な長期的管理を目指すためには,患者と医師とで共有された意思決定が不可欠であり,それこそが高品質で患者中心の抗凝固ケアに繋がる

### EHJなどヨーロッパ系の雑誌のまとめよりはだいぶシンプルでわかりやすいです。

・ワルファリンは機械弁か高度腎機能低下例
・ある程度の腎機能低下例はXa阻害薬
・脳塞栓症高リスク例はダビガトラン150
・高出血リスク例はアピキサバン,エドキサバン,ダビガトラン110
・1日1回がいい場合はエドキサバン,リバーロキサバン
・外来での静脈血栓塞栓症にはアピキサバン,リバーロキサバン


で,異論はあるかもしれませんが,シンプルで現実的な選択基準に感じられます。

私は最近はもっと単純で1日1回がいいか2回でもいいかを聞いて,1回を強く希望するときはエド,かリバーロ。そうでなければ腎機能良好ならダビ110,低下または消化器症状,消化器疾患ありならアピにしています。そんなに薬品を置けないという場合は,1日1回のもの,2回のもので好きなものをそれぞれ1個ずつ。1つくらいしか在庫できない場合はもうお好みで良い,という感じで良いと思っています。

腎機能だけには必ず注意していればです。

$$$
遅ればせながら,ことしの仙台七夕。ジョジョ七夕が個人的なお気にでした。七夕すぎればこちらはもう朝晩涼しげです。
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by dobashinaika | 2016-08-11 22:52 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(2)

DOACの大出血に関するメタ解析:EBMとは臨床家のパフォーマンスを豊かにさせる装置:ACP Journal Club

Review: In AF or VTE, direct oral anticoagulants reduce fatal bleeding compared with vitamin K antagonists
Alejandro Lazo-Langner et al
Ann Intern Med. 2015;163(8):JC2. doi:10.7326/ACPJC-2015-163-8-002


疑問:心房細動および静脈血栓症患者において,DOACはビタミンK阻害薬(VKA)に比べ大出血の死亡率に違いがあるのか

方法:
・組入基準:DOACとワルファリンの比較試験,低分子ヘパリン使用にかかわらず,心房細動と静脈血栓症。出血イベント1回以上
・除外基準:最近の股関節,膝関節置換術。抗血小板薬併用。
・アウトカム:致死的出血
・RCT11:AF5(平均年齢71),VTE6(平均年齢56)
・リバーロキサバンRCT4, ダビガトラン3,エドキサバン2,アピキサバン2

主要結果:
・DOACは致死的出血をVKAに比べて減らした
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結論:心房細動またはVTE患者では,DOACはVKAに比べて致死的出血を減少させる

コメント:
・筆者らは,現段階で中和薬がないにもかかわらず,VKAよりもDOACのほうが安全であることを示した
・DOACはヘパリンの有無にかかわらず,ワルファリンよりも50%致死的出血を減らした
・基本コンセプトは中和薬があることではなく,合併症が少ないこと
・この試験や他のメタ解析は,臨床家にDOAC使用について安心感を与える
・ただしAFとVTEでは対象患者に違いがあり,本メタ解析でその違いまでは明らかでない
・直接トロンビン阻害薬とXa阻害薬の違いも明らかではない
・臨床家は上記の違いを意識すべきであり,モニタリングが必要な場合があることも除外すべきではない
・アドヒアランス安定化と合併症同定のためのモニターが必要である
・臨床家は腎機能,特にクレアチニンクリアランスの低下に注意し,CCR30以下なら変更を考える

### ACP ジャーナルクラブからのDOACに関するメタ解析レビューです。
この論文読んでいませんでした。すみません。元論文はこちらです。
Caldeira D, Rodrigues FB, Barra M, et al.
Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and major bleeding-related fatality in patients with atrial fibrillation and venous thromboembolism: a systematic review and meta-analysis.
Heart. 2015;101:1204-11.


またここで引用されている同様のメタ解析も読んでいませんが,以下です。後日読みます。
Sardar P, Chatterjee S, Lavie CJ, et al.
Risk of major bleeding in different indications for new oral anticoagulants: Insights from a meta-analysis of approved dosages from 50 randomized trials.
Int J Cardiol. 2015;179:279-87.


もはやRCTからはDOACの安全性がワルファリンよりも優れていることに異論はないと思われます(一部消化管出血などの懸念はありますが)。
本メタ解析でもそのことが明確に示されていますが,そのことと,我々の実臨床における眼の前の患者さんの治療がどう結びつくかはまた別問題です。

エビデンスは「DOAC安全」だけれども,じゃあ全例DOACでいいのか。ACPジャーナルクラブが有益なのは単なるエビデンスの紹介ではなく,エビではこうなっているけれども,その先の実臨床にどう反映させるかまで考えさせてくれるところです。

コメントにあるように,エビデンスは全てを保証しません。実際にはエビ通りにいかないケースにたくさん遭遇します。筆者らは個々の患者さんごとに腎機能などをモニタリングし,DOAC同士の違いに気を使い,アドヒアランスと合併症に注意しながら管理せよとコメントしています。至言ですね。

エビデンスは,治療の大筋を示します。特にメタ解析の結果などは疾患マネジメントの理想形を示すものと言えます。しかし現実はカオスです。理想型からはみ出るケースに我々は思い悩みます。CCr30前後のケースはどうするか,DOACで皮下出血が派手に出る人はどうするか。字義通りのEBMが保証してくれない個別なケースには,我々のそれまで培った経験知や臨床知を駆使せざるを得ません。

こう考えてくるとEBMの役割とはなにかという大上段にまで思いが至ります。EBMとは一義的にはスタンダードの提示であるかもしれませんが,スタンダードが示されることによってそこから逸脱する例や小幅ながら重要なバリエーションみえてくる。そのバリエーションこそがわれわれの臨床の叡智を発揮させる場でもあるのです。エビデンスとは規範である。しかし規範が提示されることで,そこからのバリアンスがまた白日のもとに晒され,臨床的パフォーマンスを発揮できる場がさらに明確になる。

EBMとは,逆説的な意味で臨床家のパフォーマンスを豊かにさせる装置でもある。今更ではありますがこのジャーナルクラブはそんな気にさせてくれます。

追記:ACPはNNTを算出してくれるのもありがたい。DOACのワルファリンに対する大出血でのNNTは419です。419人にDOACを処方するとワルファリンに投与するよりも1人,致死的出血が少なくなるということですね。この数字をどう感じるか。。。

$$$ 今日は暖かでした。ご近所ではまだ朝顔や柿が元気です。
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by dobashinaika | 2015-10-28 22:13 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

国際血栓止血学会から「NOACではなくDOACと呼ぼう」との推奨が出ています:JTH誌

Recommendation on the nomenclature for oral anticoagulants: communication from the SSC of the ISTH
G. D. Barnes et al
Journal of Thrombosis and HaemostasisVolume 13, Issue 6, pages 1154–1156, June 2015


・これまでnovel/new oral anticoagulants (NOACs), direct oral anticoagulants (DOACs), and target-specific oral anticoagulants (TSOACs)などの用語が使用されてきた
・NOACは ‘non-VKA oral antagonists’ と略語を変換された
・このままではややこしい
・‘non-VKA oral antagonists’ というのは薬剤特性の表現という意味でその特徴を表していない
・カルテに‘non-VKA oral antagonists’とかくと‘No AntiCoagulation,’=「抗凝固薬でない」という意味に取られ、患者が治療を受けないことも考えられる

・2014年9月、北米と欧州の血栓、止血、抗凝固、血管医学の16団体のリーダー150人にウェブ上でサーベイを行い、51%の参加が得られた。
・89.6%と多数の人が用語の統一の必要性を感じていた
・NOACという用語の安全性に関する賛同は低かった:54.7%の人がこの用語の使用は限定的であるべきと考えた
・DOAC [direct oral anticoagulant], NOAC [non-VKA oral anticoagulant], NOAC [novel oral anticoagulant], ODI [oral direct inhibitor], SODA [specific oral direct anticoagulant], TSOAC [target specific oral anticoagulant], and Otherのうち上位3つを上げてもらった結果:
1位:DOAC 29.9%
2位:NOAC 28.6%
3位:TSOAC 23.4%
・1つのみの投票の結果
1位:DOAC 58.4%
2位:TSOAC 49.4%
3位:NOAC 39.0%

<経口抗凝固薬の用語とNOAC(という語)に関する害についてのコンセンサスに基づく推奨>
1.直接IIa及びXa阻害薬の記述に関し単一の用語を用いる
2.VKAとは違う生来のメカニズムと臨床的特性を有する単一の言葉を用いる
3.NAOCという語は使わない

<DOAC使用の推奨>
1.DOACという語を単一の標的を直接と抑制し同じような臨床特性を有する経口抗凝固薬の一種に対して用いる
2.多様なDOAC間の区別が重要な際に薬剤の特異的な作用機序(直接Xa阻害あるいは直接トロンビン阻害)が使用されるべきである

### 国際血栓止血学会(ISTH:International Society on Thrombosis and Haemostasis)の抗凝固管理症委員会からの推奨です。
正式に"NOAC”はやめて”DOAC"を使おうという宣言です。

NOACの’N’がネガティブなイメージを引き起こし患者が引いてしまうという感覚は、日本人にはうっすらしか理解できない感じですが。略語に薬剤のメカニズムを盛り込もうという意図も、欧米式という印象です。

日本でこれからは”ドアック”でしょうか。私、一瞬DOALA(中日ドラゴンズのマスコット)を連想してしまいました(笑)

$$$ 今日のにゃんこ。ちょっと遠かった。
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by dobashinaika | 2015-06-03 21:44 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

75歳以上の心房細動、静脈血栓にNOACとワルファリンはどちらが良いのか:メタ解析:Circ誌

Efficacy and Harms of Direct Oral Anticoagulants in the Elderly for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation and Secondary Prevention of Venous Thromboembolism: Systematic Review and Meta-Analysis
Manuj Sharma et al
Circulation Published online before print May 20, 2015


疑問:一般に合併症、ポリファーマシー、薬物動態変動が多いとされる高齢者におけるNOAC(DOAC)のエビデンス、特に出血に関してリスクはどうか?

方法:
・DOACのRCT(心房細動及び深部静脈血栓症)のうち75歳以上の人の効果と出血アウトカムにつきメタ解析

結果:
1)19試験あり。高齢者データありは11試験

2)血栓症管理効果:DOACはVKA(ワルファリン)と同等もしくは有効

3)大出血:
ダビガトラン150x2は高リスクの傾向(オッズ比1.18、95%CI0/97-1.44)。110x2にはその傾向なし
アピキサバン(0.63, 0.51-0.77)、エドキサバン60 (0.81, 0.67-0.98)、エドキサバン30 (0.46, 0.38-0.57)は有意に低リスク
リバーロキサバンは同等

4)消化管出血:ダビガトランで高リスク:150mg (1.78, 1.35-2.35)、110mg(1.40,1.04−1.90)

5)頭蓋内出血:ダビガトランで低リスク:150mg (0.43, 0.26-0.72)、110mg(0.36,0.22−0.61)

結論:高齢者においてはDOACの血栓管理リスクはVKAと同等。しかしながら出血については明らかに差異有り。特にダビガトランは消化管出血リスクがVKAより大きい。その他のNOACはデータ不十分でさらなる試験必要

### ついにまとまった高齢者のNOAC vs. ワルファリンのメタ解析がでましたね。ただ結果はこれまで発表された結果から、自明となっていたものかと思われます。ダビガトランの75歳で分けた消化管出血の数値はRELY試験でのサブグループ解析とほぼ同じものです。

先日のBMJでのリアル・ワールドデータと合わせると、75歳以上で消化管出血の既往がある例などでのダビガトラン使用は出しにくいと思われます。リバーロキサバンもこのメタ解析からは微妙かもしれません。アピキサバンは有望のような印象ですが、リアル・ワールドデータがほとんど出ていません。

ということで、以前にも書きましたように高齢者については第一選択ワルファリンで、もう出きる限り丁寧にPT-INR管理をしてTTR高値を目指す→それでPT−INRが暴れるようであればNOACということにしています。たとえば1.6〜2.6の上限または下限ギリギリの際はワルファリン0.25mg単位で使う。野菜の摂取量を一定に保つなどの指導などで、こまめに管理します。今更またこれ言って恐縮ですが、細かいワルファリン管理は循環器内科医の醍醐味ではあるんですねー。未だに

$$$ ご近所で新発見!。このネーミングといえば。。。ここはM県S市杜王町か?
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by dobashinaika | 2015-05-24 23:25 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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