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CHA2DS-VAScスコアで抗凝固薬の適応を自動的に決めた場合とそうでない場合とでアウトカムは変わらず:IJC誌


背景:ガイドラインはCHA2DS2-VAScスコアをもとにした意思決定を推奨しているが,アンダーユーズも存在する。ジェネラルプラクティスにおけるRCTにより,自動的な意思決定のインパクトを検証。

方法:
・CHA2DS2-VAScスコアに基づいて自動的に抗凝固療法を行う介入群と対照群の比較
・一次アウトカム;脳卒中/全身性塞栓症/TIA
・二次アウトカム:大出血

結果:
1)対照群1192例(19施設),介入群1226例(19施設)

2)平均77歳,CHA2DS2-VAScスコア平均3.0,平均追跡期間:2.7年

3)CHA2DS2-VAScスコア2点以上でのアンダーユース:6.6%

4)一次アウトカム;介入群1.96%/年 vs. 対照群1.42%/年 ,HR 1.3, 95% C.I. 0.8–2.1)。有意差なし

5)二次アウトカム:介入群0.79%/年 vs. 対照群0.82%/年 。有意差なし

6)アンダーユース:介入群7.2%/年 vs. 対照群8.2%/年

7)オーバーユース:介入群8.0%/年 vs. 対照群7.9%/年

結論:この研究では抗凝固療法のアンダーユースは比較的少ない。CHA2DS2-VAScスコアに基づく意思決定サポートは脳卒中を減らさず,出血やアンダー/オーバーユースに影響しない。

### CHA2DS2-VAScスコア自体が否定されそう,と思いきや対照群といえどもかなりCHA2DS2-VAScスコアを重視していオーバーもアンダーユースも自動的に決めた場合と同じ割合だったようです。

きわめて質の良いGPの集団を選んだ,またはそういう医師だからこそ参加したのかもしれません。しかしCHA2DS-VAScスコア5−6点で超高齢者,フレイルなどでもきちんと出していたのでしょうか。

アウトカムの頻度も非常に低めです。普段の血圧その他の管理も良好なのかもしれません。全文読んだらまた報告します。

by dobashinaika | 2018-09-20 08:24 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

米国家庭医療学会の心房細動ガイドラインは非常にシンプルで患者中心:AFP誌より

昨年9月の論文ではありますが,アメリカの家庭医療学会( the American Academy of Family Physicians (AAFP)から心房細動の薬物療法に関するガイドラインが出ています。家庭医からの視点でのガイドラインは,日本ではあまり紹介されませんが,心房細動薬物療法のメインストリームはあくまで診療所だと思われますので,このガイドラインは重要です。

推奨1:
・大多数の患者でリズムコントロールよりレートコントロールを優先(推奨度;強,エビデンスレベル:中)
・レートコントロールはカルシウム拮抗薬,β遮断薬を推奨
・リズムコントロールは,症状,運動耐容能低下,患者の好みに基づいて考える(推奨度:弱,レベル;低)

推奨2:
・緩やかなレートコントロール(安静時110<)を厳格なコントロール(<80)よりも推奨(推奨度;弱,レベル:低)

推奨3:
・医療者は脳梗塞と出血についてすべての心房細動患者と話し合う(ベストプラクティスポイント)
・脳卒中に関してCHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコア,出血に関してHAS-BLEDスコアの使用を継続的に考えるべき(推奨度:弱。レベル:弱)

推奨4:
・以下の患者以外は,継続的な抗凝固療法を強く推奨する(推奨度;強,レベル:高)
    低リスク(CHADS2スコア<2)
    抗凝固薬禁忌
・抗凝固薬の選択は患者の好みと病歴に基づくべきである。

推奨5:
・抗凝固療法と抗血小板療法の併用は勧められない(推奨度:強,レベル:中)

利益相反:なし

AAFPは2014年に出たAHA/ACC/HRS(アメリカ心臓病協会他)ガイドラインとの違いもに言及しています。

1)レートコントロール:緩徐か厳格か
・AHA/ACC/HRSでは緩徐なコントロールのほかに,厳格なコントロールも合理的としているが,多くの家庭医は,無症状のひとにまで高用量の薬を処方することには抵抗がある。厳格なコントロールがアウトカムを改善するというエビデンスはない。
・どちらのガイドラインもジゴキシンよりカルシウム拮抗薬やβ遮断薬を推奨しているが,どのCCB,β遮断薬がよいかまでは推奨していない。

2)脳卒中リスクスコア
・AHA/ACC/HRSはCHADS2スコアよりCHA2DS2-VAScスコアを採用しているが,AFFPは優劣をつけていない
・高リスク患者を同定し,意思決定の共有を行うことに価値を置く

### 大変シンプルで,ありがたいガイドラインです。
AFFPのいいところはGRADEシステムを用いている点,あくまで患者の価値観を重視した内容である点です。
薬はゆるく,患者さんの意向に沿ってという視点が好ましいです。
チャズの0,1点は抗凝固療法を強く勧めない,抗凝固薬ー抗血小板薬併用も勧めない,としっかり言い切っているところも迷いがないです。
COIなしもね。

ところで日本のガイドラインは4年以上たちますが,改定はいつなのでしょうか。

$$$ 患者さんが作られたバルーンアートです。人気です。
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by dobashinaika | 2018-03-04 17:30 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)

CHA2DS2-VAScスコアが経年的に増加する人は脳梗塞リスクも増加し,元々の点数より増加分のほうが予測能が高い。


疑問:経年的にCHA2DS2-VAScスコアが増加したとき脳塞栓リスクも上昇するのか?

方法:
・台湾の国民健康保険における心房細動患者31,309例
・抗血栓療法なし。年齢,性別以CHA2DS2-VAScスコアの点数なし
・高血圧,糖尿病などの新規因子が増加したかどうか。増加とその後の脳梗塞リスクの関係を評価

結果:
1)ベースラインCHA2DS2-VAScスコア:1.20点

2)2.31点に増加(171,956人年),平均増加1.02点

3)1点以上増加の頻度:脳梗塞既往歴症例89.4%,脳梗塞なし例54.6% (p<0.001)

4)最も多い新規併存リスクは高血圧

5)ベースライン時やフォローアップ時のCHA2DS2-VAScスコアより変化のほうが脳梗塞の予測能が良い
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結論:CHA2DS2-VAScスコアは変わらぬものではなく,ほとんどの患者は1点以上増加する。 CHA2DS2-VAScスコアの増加は脳梗塞リスクの増加と関連があり,CHA2DS2-VAScスコアそれ自身よりも予測能に優れている。

これ大事なポイントで,以前から疑問に思っていたところでした。CHA2DS2-VAScスコア0点でも,年が経つに連れてリスクは黙っていても増加するわけで,そうした症例の脳梗塞リスクはどう考えたら良いのか知りたいところでした。
予想通りというか,やはりもともとの点数による評価よりも,点数が「増加した」ことのほうが,脳梗塞リスクをより反映するとのことでした。
新たに高血圧などを合併した例ほど,より注意すべきということかと思います。納得です。

流石に,今回の雪,応えましたね。でもスタッフ総出で30分で雪かき終えましたー。
雪は,人を小踊りもさせるし,沈黙もさせます。

ベースライン
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30分後
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by dobashinaika | 2018-01-24 22:33 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

心房細動は血栓塞栓症の原因ではなくCHA2DS2-VAScスコアで2点相当のリスク因子のひとつにすぎない:JACC誌


疑問:心房細動自体は本当に脳卒中の主要なリスク因子なのか?

背景:
・CHA2DS2-VAScスコアは心房細動患者におけるリスク評価ツールとして確立されている。
・心房細動それ自体が脳卒中の原因となる因子なのかはわかっていない
・大多数(80〜90%)の脳卒中患者では心房細動は記録されていない。

方法:
the U.K. Biobank cohort登録患者502353例
・40〜69歳の患者,英国のGPによる登録。2006〜2010年

結果:
1)平均57+/-8歳:81%が65歳未満,19%が65〜74歳,46%が女性,平均追跡期間2.2年

2)高血圧29%,脳卒中/TIAの既往2%,血栓塞栓症の既往3%,心不全1%,血管疾患3%,糖尿病5%

3)心房細動例における血栓塞栓症発症率:0.86(95%CI;0.74-1.01)/100人年

4)非心房細動例における血栓塞栓症発症率:0.14(95%CI;0.13-0.15)/100人年

5)CHA2DS2-VAScスコアは心房細動例の脳卒中を予測した:N = 9,947; p < 0.001; C-statistic: 0.64

6)同様に非心房細動例の脳卒中も予測可能だった:N = 492,406; p < 0.001; C-statistic: 0.64

7)CHA2DS2-VAScスコア2点未満の心房細動例の血栓塞栓症発症率:0.48 (0.35-0.67)

8)CHA2DS2-VAScスコア4点未満の非心房細動例の血栓塞栓症発症率:0.12(0.11−0.13)

9)CHA2DS2-VAScスコア2点の心房細動例における血栓塞栓症発症率:0.80 (0.59-1.08)

10)CHA2DS2-VAScスコア4点の非心房細動例における血栓塞栓症発症率:0.76 (0.64-0.91)

11)CHA2DS2-VASc-A2スコア(CHA2DS2-VAScスコア+心房細動あり2点/心房細動なし0点)は一般住民における血栓塞栓症を十分便予測しえた:N = 502,353; C-statistic: 0.67
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結論:CHA2DS2-VAScスコアは心房細動のない例でも血栓塞栓症の予測に役立つ。このスコアに心房細動2点として別に追加したスコアを一般住民に当てはめる新しくてより深いスコアを考案した。CHA2DS2-VASc-A2スコア4点以上に抗凝固薬を詳報すべきかどうかは,このデータだけからは結論できない。さらなる研究を提案したい。

### なるほどねー。心房細動クラスタ(そんなのあるのか?)にとってはまさに発想の転換ですね。
心房細動を特別視せず,他の因子と並列に捉えた場合,心房細動はCHA2DS2-VAScスコアで2点程度の寄与危険なんですね。まあCHA2DS2-VAScスコア0点では心房細動があっても投与しなくてよかったので,ある意味2点相当というのはうなづけますが,改めてこういたデータを突きつけられると,心房細動がまずあってそっからリスク評価を考えるという従来の発想法をリセットし,心房細動も一つの危険因子としてとらえたくなるわけです。

ただ,では心房細動なしでもCHA2DS2-VAScスコアが4点以上なら抗凝固薬かというとことは単純ではないですね。たとえば,75歳以上,糖尿病,高血圧の人は4点ですが,全員抗凝固薬かという話になります。こういう患者さんはものすごくいますので,高血圧や糖尿病の重症度その他をよく考える必要があります。出血リスクも考える必要があるし,また85歳以上でもそうかというと,当然まだ何も言えないと思われます。

ただ従来からも脳卒中のリスクスコアはいくつかありますが,その中では簡便なものと考えられます。追加試験を待ちましょう。

$$$ 今日の収穫
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by dobashinaika | 2017-08-01 23:29 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

抗凝固薬の適応と使い分けのシンプルなアルゴリズム:ESC誌より

Stroke prevention in Atrial Fibrillation
Gregory Y. H. LipEur Heart J (2017) 38 (1): 4-5. DOI:https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehw584

ESCでLip先生の抗凝固薬に関するわかりやすいアルゴリズムが提唱されました。
3ステップとしていますが,どう考えてもCHA2DS2-VAScスコアとSAMe-TT2R2スコアの2ステップと思われますので,私なりにもっとシンプル化して図にしてみました。

解説は以下の通り

・心房細動があると脳卒中リスク5倍
・リスクファクターはホモジーニアス(各項目均一)ではない
・年間1%以上の脳卒中発症率が抗凝固薬投与の閾値
・アスピリンのNCB(ネットクリニカルベネフィト)は負の値
・CHADS2,CHA2DS2-VAScスコアの予測能は中有等:Cインデックス0.6くらい)
・CHA2DS2-VAScスコアは低リスク抽出に有効
・各種バイオマーカーを追加すれば予測能は上がるが,臨床での迅速性も考慮
・ステップ1:低リスクの同定
・ステップ2:CHA2DS2-VAScスコアの評価
・ステップ3:SAMe-TT2R2スコアの評価
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※ 男性1点以上,女性2点以上の場合,HAS-BLEDスコア3点以上であれば,出血の原因となる因子に注意し頻回のフォローアップを要す。

CHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコア,HAS-BLEDスコアは以下を参照

SAMe-TT2R2スコアは:女性,60歳未満,2つ以上の合併症,ワルファリンに影響ある薬剤(各1点),喫煙(2点),エスニックマイナリティー(2点)です。

### 私からコメントすると,
1.CHA2DS2-VAScスコアは日本人の低リスク患者同定には間口が広すぎる。(私見では65−69歳くらいの血圧,血糖安定時患者は保留?)
2.NOACオンリーでなく,ワルファリンを重視している点は非常に親近感を持つ
3.SAMe-TT2R2スコアが2てん以下の人は少ない(60歳以上の男性は既に2点以上)ということを踏まえて考えたいと思います。

ただ,かなりこのアルゴリズムでイケルと思います。このあとステップ4としてNOACの使い分けとなるととたんに面倒になりますが。。。

by dobashinaika | 2017-01-24 19:10 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

アジア人心房細動大規模データべースでは50歳以上から抗凝固薬の適応:Stroke誌


Validation of a Modified CHA2DS2-VASc Score for Stroke Risk Stratification in Asian Patients With Atrial Fibrillation
A Nationwide Cohort Study
Stroke. 2016;STROKEAHA.116.013880, published online before print September 13, 2016


台湾の国内データベースに基づく興味深い検討がでています。

目的:CHA2DS2-VAScスコアの年齢部分を現行の65〜74歳から50〜74歳に広げた場合,予測能はどうなるか?

方法:
・新規の心房細動と診断された224866人対象
・抗凝固療法をしていない124,271人において,CHA2DS2-VAScスコアとmCHA2DS2-VAScスコア(50〜74歳)の予測能を比較

結果;
1)mCHA2DS2-VAScスコア1点(男性)または2点(女性)にすると,ワルファリンの使用で虚血性脳卒中が30%減少

2)頭蓋内出血は不変

3)ネットクリニカルベネフィットもmCHA2DS2-VAScスコアのほうが良好

結論:アジア人心房細動コホートでは,mCHA2DS2-VAScスコアは,もともとのCHA2DS2-VAScスコアよりパフォーマンス良好。より多くのネットクリニカルベネフィット陽性患者を抽出できる。

### 台湾のコホートではこうなるのですね。同様の研究は以下でも垣間見えます。
http://dobashin.exblog.jp/20904993/
http://dobashin.exblog.jp/20288437/

一方日本は3大コホートでの脳塞栓発症率自体かなり低く,65歳〜74歳でさえ危険因子とはなりえませんでした。
http://dobashin.exblog.jp/20541922/
伏見でも,75歳以上としています。
http://dobashin.exblog.jp/21820445/

この差は何でしょうか。血圧その他の周辺管理の違いか。選択バイアスか。
流石に50歳からNOACを出す気にはなれません。
日本もビッグデータはよ,って言いたいところです。

$$$ 月は見えなかったけどお月見
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by dobashinaika | 2016-09-15 22:12 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

脳卒中低リスクの人への抗凝固薬はこう考える:Stroke誌

Should Atrial Fibrillation Patients With Only 1 Nongender-Related CHA2DS2-VASc Risk Factor Be Anticoagulated?
Stroike;Mya 26;Epub ahead of print


疑問:性差に関係しない脳塞栓危険因子1つ(CHA2DS2-VAScスコア男性1点,女性2点)の人に抗凝固薬は必要か?

方法:
・一般住民対象
・2つの方法(Singer,Connolly)でネットクリニカルベネフィットを算出
・対象8962人:性差に関係しない危険因子0または1つ=25%。うち45%は抗凝固薬なし

結果:
1)平均追跡期間:1,028 ± 1,189日

2)脳卒中/全身性塞栓症年間発症率:危険因子なし0.68%vs.危険因子1つ2.09%(補正後2.82%)

3)危険因子1つの人のネットクリニカルベネフィット:ビタミンK阻害薬>無治療。抗血小板薬は無治療と差なし

結論:性差に関係しない危険因子を1つのみを持つひとにおいて,抗凝固薬の血栓塞栓症におけるネットクリニカルベネフィットは良好。

### 周知のように日本の代表的データベースでは,CHADS2スコア0〜1の人の年間脳卒中発症率は1%に満たないことが示されているわけです。
http://dobashin.exblog.jp/20541922/

1%以下の塞栓症に比べ大出血は1%以上といわれていますので,であれば抗凝固薬は適応にならないはずです。しかし現実にはJ-RHTYMレジストリーでも多くの低リスク患者さんに処方されています。また実際脳血管専門施設に搬送される脳塞栓症例の30%はCHADS2スコア0〜1の低リスク例であり,やはり救うべき対象として考えねばなりません。

どう考えたら良いか。
まあこれまでもさんざん言ってきてはいますが,CHADS2にしてもCHA2DS2-VAScにしても,低スコア層の患者プロフィールには相当の幅があるのです。例えばCHADS2スコア4点となると,糖尿病,高血圧,75歳以上,心不全の4つを合併する例というのは,相当絞られた患者集団です。一方,1点で高血圧だけなどとなると,相当に色々なレベルの人が含まれてしまう。「低リスク層ほど「リスク評価がアバウトになってしまう」。これこそがこうしたスコア化の宿命とも言える原理だと思われます。

ですので,低リスク層には,特に日本人のように欧米よりさらに低リスクの集団を扱う場合は,もう少し別の「サブスコア」みたいなものを考えないと,何でもかんでも適応になってしまうのではないでしょうか。

例えば年齢を70歳でさらに分けるとか,腎機能,左房径,血圧,糖尿病の重症度など,あまり煩雑でないしかし塞栓症に係る指標を新たに見出すことが必要とも思われます。指当り当院では,血圧,糖尿病は少ない薬剤で管理良好な例には1点では処方しないですね。一方,70歳以上でCCrが50前後,あるいは高血圧,糖尿病に複数の薬剤を使用してもやや管理不良などの例には積極的に処方します。左房径はエビデンス待ちです。

ただ指標を多くしてしまうと漏れも出てくるし,評価も煩雑になるというジレンマがある。これまだまだ難題です。

$$$ なぜに郵便局で冷やし中華?ゆうパックのサービスみたいです。
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by dobashinaika | 2016-06-17 21:35 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

新しいABCスコアはCHA2DS2-VAScスコアよりも心房細動脳卒中の予測能が高い:EHJ誌

The ABC (age, biomarkers, clinical history) stroke risk score: a biomarker-based risk score for predicting stroke in atrial fibrillation
Eur Heart J. First published online: 25 February 2016


疑問:バイオマーカーを指標としたリスクスコアは,従来に比べて心原性脳塞栓症の予測能を向上させるか?

方法
・ARISTOTOLE試験及びSTABILITY試験に参加した14701例
・平均追跡期間1.9年
・Cox回帰モデル
・心房細動1400例で外的妥当性を検討。平均追跡期間3.4年

結果:
1)最も重要な指標は脳卒中/TIAの既往,NT-proBNP,高感度トロポニンI,年齢

2)ABC脳卒中スコア(Age, Biomarkers, Clinical history)と命名

3)CHA2DS2-VAScスコアよりもC統計量は良好:0.68 vs. 0.62, P < 0.001

4)外的妥当性検討コホートでは0.66 vs. 0.58, P < 0.001

5)いくつかのサブグループでもC統計量は高値

結論:新しいバイオマーカーを基にした心原性脳塞栓症予測のためのリスクスコアは,心房細動の大きなコホートにおいて良好な内的妥当性を示したと同時に,さらに別のコホートでも予測能は良好だった。ABCスコアは現在使われているリスクスコアよりも良好で,心房細動における意思決定をより良くサポートする。

### 新しいリスクスコアの登場です。
具体的には以下のノモグラムを使い,脳卒中/TIAの既往,年齢,高感度トロポニンI,NT-proBNPの4項目から,今後1年間及び3年間の脳卒中/TIAリスクを割り出すという作業です。
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このリスクが1%未満をLow,1-2%をMiddle,2%超をHigh riskとしています。出血リスクまでは算出されていませんが,頭蓋内出血のリスクを1%弱としますと,だいたいこのノモグラムでMiddle riskの例では投与を考えると良いかもしれません。

採血をしなければならない(それも高感度トロポニンなど)ので,一般臨床医への普及はどうかなと思いますが,高血圧,糖尿病,心不全といったやや曖昧な指標よりも,数値化されノモグラムを使うというところに正確さがあるのかもしれません。

このノモグラムが日本人当てはまるかですが。。

$$$ 患者さんがバルーンアートでおひなさまを作ってきてくれました。すごい傑作。さっそく飾っています。
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by dobashinaika | 2016-02-29 21:17 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

弁膜症(僧帽弁狭窄、人工弁除く)は脳卒中リスク増悪に関連するが高CHA2DS2-VAScスコアが原因:EHJ誌

Prognostic value of CHA2DS2-VASc score in patients with ‘non-valvular atrial fibrillation’ and valvular heart disease: the Loire Valley Atrial Fibrillation Project
Raphael Philippart et al
European Haet Journal DOI: http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv163 First published online: 20 May 2015

目的:非弁膜症性及び弁膜症性心房細動におけるCHA2DS-VAScスコアによるリスク評価の有効性を検討

方法:
・欧州心臓病学会ガイドラインの定義での非弁膜症性心房細動8053例
・グループ1:非弁膜症性85%、グループ2:弁膜症性(リウマチ性僧帽弁狭窄+人工弁除く)15%

結果:
1)平均追跡期間868日

2)血栓塞栓症:627例

3)グループ2のほうがグループ1より高齢、CHA2DS2-VAScスコア高値、血栓塞栓症リスク高い:ハザード比1.39

4)重症弁膜症は脳卒中/TIAの予後に影響しない

5)高CHA2DS2-VAScスコアは脳卒中/TIAの予後に関連

6)脳卒中/TIAを増加させる独立した因子は高齢(HR1.25),高CHA2DS2-VAScスコア(HR1.33)

7)CHA2DS2-VAScスコアのC統計量は両群間で同じ

結論:非弁膜症性心房細動では、左側弁膜症(僧帽弁狭窄、人工弁除く)は脳卒中/TIAリスク増悪に関連した。これは高CHA2DS2-VAScスコアで説明可能。

### 大動脈弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症などは、それだけで脳卒中のリスク因子にはならず、CHA2DS2-VAScスコア高値であることが真のリスクだと理解しました。

日本のガイドラインでも「非弁膜症性」にはリウマチ性僧帽弁狭窄と人工弁以外という意味であることが明記されています。保険審査上は未だに例えば「僧帽弁閉鎖不全症」があってNOAC(DOAC)を出すと(主に保険者からだと思われますが)問題にされる自治体もあると聞いています。

$$$ 朝5時30分の土橋通り。誰も歩いていない、車も1台もない。空はあくまで青く、風はカラッと清々しい。時々にゃんこが道を横切るだけ。自分が今この街の主人公になった気分です。
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by dobashinaika | 2015-06-05 22:13 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

日本の心房細動患者おいて「女性」は血栓塞栓リスクとしては低い:CJ誌

Validation of Risk Scoring System Excluding Female Sex From CHA2DS2-VASc in Japanese Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation – Subanalysis of the J-RHYTHM Registry –
Hirofumi Tomitaet al
Circulation Journal May 13, 2015


背景:J-RHYTHM レジストリーにおいて、CHA2DS2-VAScスコアスコアとCHA2DS-VAスコアの妥当性を比較する

方法;
・ワルファリン非投与の 997例を2年間追跡;平均68歳、女性294例
・CHA2DS2-VAScスコア、CHA2DS-VA(CHA2DS2-VAScスコアから「女性」を除外)スコアのC統計量を算出

結果:
1)血栓塞栓症:女性7/294(年1.2%)、男性23/703(年1.6%)で男性の方が多い:オッズ比0.72、P=0.44

2)CHA2DS2-VAScスコア、CHA2DS2-VAスコアとも層別化されたグループにおける性差なし

3)C統計量:CHA2DS2-VAスコア>CHA2DS2-VAScスコア (0.029, Z=2.3, P=0.02)

4) net reclas- sification improvement (NRI):CHA2DS2-VAスコア>CHA2DS2-VAScスコア (0.11, 95% CI 0.01–0.20, P=0.02)

5)CHA2DS2-VAScスコア0〜1点の患者では、C統計量、NRIともCHA2DS2-VAスコアのほうがより顕著に大

結論:日本の非弁膜症性心房細動患者においては、CHA2DS2-VAScスコアから女性をのぞいたスコアリングは、血栓塞栓症のリスク層別化の点で、CHA2DS2-VAScスコアよりも有用。特に低リスク患者で有用。

### 確認ですが、J-RHYTHMレジストリーのばあい、血管疾患=冠動脈疾患と定義されています。

これまでおもにヨーロッパのコホート研究では「女性」は特に75歳以上で有意に男性より血栓塞栓症が多く、一方アジアの諸報告では年齢にかかわらず性差なし、または男性のほうがリスク高いという結果が報告されているとのことです。

JーRHYTHMでは、今回の結果のように女性のほうがイベント発生率が低いため、かえって女性を入れてしまうと予測能が落ちるのだろうと推測されます。
更に興味深いことに、このペーパーのTable3をみますとCHADS2スコアとくらべると、なんと一番c統計用が高いのはCHA2DS2-VAスコアでなく、CHADS2スコアとなっています。つまり、日本人では65歳以上や血管疾患もあまりリスク因子として効いていないということを意味すると推測されます。

個人的には、最近特に年齢75歳以上、脳梗塞の既往、高血圧(特に管理不良)は重視で、それ以外でCHA2DS2-VA(Sc)スコア1点の場合はとりあえず様子見という雰囲気になっています。脳血管専門の先生からは甘いと言われそうですが。

J-RHYTHMでのCHA2DS2-VAScスコアの妥当性について検討したブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/19951989/

$$$ 今週末は青葉まつり
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by dobashinaika | 2015-05-13 22:01 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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