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心房細動発症48時間以内の除細動時,抗凝固薬は必要か:JACCEP誌

Incidence of Thromboembolic Complications Within 30 Days of Electrical Cardioversion Performed Within 48 Hours of Atrial Fibrillation Onset
JACCCEP. 2016;():. doi:10.1016/j.jacep.2016.01.018

疑問:ガイドラインでは心房細動発症48時間以内の除細動時に抗凝固療法は推奨されていないが,実際血栓塞栓症リスクはどうなのか?

方法:
・発症48時間以内に除細動を施行した患者
・アウトカム:抗凝固薬使用の有無と除細動30日以内の血栓塞栓症イベントの関係

結果:
1)567除細動件数中抗凝固薬なし(アスピリンのみ)484例(CHA2DS2-VAScスコア平均2.3点):神経学的イベント6例1.06%

2)898例中抗凝固薬あり709例(CHA2DS2-VAScスコア2.6点):神経学的イベント2例0.22%,p=0.03。2例とも抗凝固薬をオフにした際に発症

3)CHA2DS2-VAScスコア2点未満または術後心房細動にはイベント無し

結論:急性発症心房細動における血栓塞栓症合併症は抗凝固療法なしの例では,ある例の5倍。ただし術後心房細動,CHA2DS2-VAScスコア2点未満ではイベント無し。どういう例が抗凝固薬が必要かを示唆する所見。

Perspectives:ガイドラインでは発症48時間以内の場合,抗凝固は推奨されていないが,CHA2DS2-VAScスコア2点以上例での注意を促すデータである。左房血栓は除細動後すぐに形成される。経食道エコーにより除細動直後の左心耳血流の停滞が明らかにされている。血中濃度上昇の速い抗凝固薬の時代では除細動前48時間以内の服薬は良いかもしれない。さらなる検討必要。

### これは知りたかったことです。経食道エコーでは発症数時間で左心耳血栓ができうるといった論文もあり,本当に48時間でいいのかとは誰しも思うところかと思います。やはりCHA2DS2-VAScスコアが目安になるみたいですね。もともと血栓リスクの少ない人だと抗凝固しなくて良いとのこと。48時間を超えた症例はこれまでワルファリン3週間ローディングなどが推奨されていますが,NOAC半日投与などもオプションとして考えられるかもしれません。

$$$ 仙台和菓子の老舗「熊谷屋」さんの恒例和菓子。今回は「こいのぼり」「ふじ」「あやめ」です。
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by dobashinaika | 2016-05-04 17:38 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

臨床上の各場面でどの抗凝固薬を選べばよいか:EHJ誌

Choosing a particular oral anticoagulant and dose for stroke prevention in individual patients with non-valvular atrial fibrillation: part 1
Eur Heart J http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv643 ehv643 First published online: 4 February 2016

EHJ(Lip先生グループ)から非弁膜症性心房細動における抗凝固薬の選択と用量についての実践的ガイダンスがでています。
そのパート1

<安定冠動脈疾患+心房細動>

第1選択:NOAC単独,どのNOACでもよい
第2選択:アスピリン長期追加:ただし個々のリスクと冠動脈の形態による
コメント:NOAC間の直接比較研究はない

<安定末梢動脈疾患+心房細動>

第1選択:安定狭心症に同じ:エビデンスが集まるまで

<PCI施行患者+心房細動>

第1選択:トリプルテラピーの患者ではビタミンK阻害薬(VKA,TTR70%超,INR2.0-2.5)またはNOAC(低用量)
コメント:NOAC間の差はない。トリプルテラピーの公表されたエビデンスはダビガトラン(RELY)のみ

<除細動時>
第1選択:VKA:ただしいくつかのデータはNOACで代替できることを示唆,実際除細動までの時間短縮になる
コメント:Post hoc解析ではアピキサバン,ダビガトラン,リバーロキサバン間で差異はない

<カテーテルアブレーション時>
第1選択:ワルファリン(中断なし)
第2選択:ダビガトラン,アピキサバン,リバーロキサバン(中断なし)
歳3選択:ブリッジング下のワルファリン中断
コメント:エドキサバンのエビデンス利用できない

<機械弁,中等〜重症(リウマチ性)僧帽弁狭窄症>
第1選択:VKA
コメント:NOACのデータなし。使用すべきでない

<その他の弁膜症:僧帽弁,大動脈弁,三尖弁閉鎖不全。大動脈弁狭窄>
第1選択:アピキサバン,リバーロキサバン
第2選択:ダビガトラン,エドキサバン
第3選択:VKA

<VKAでTTR70%を超える患者>
第1選択:VKA継続
第2選択:以下の場合NOAC:VKA投与下で大出血,虚血性脳卒中の合併既往あり。SAMe-TT2R2スコア2未満。その他患者の選好と価値を考慮
コメント:NOACの選択と用量は患者の特性による。NOAC間の差はない

<低リスク(CHA2DS2-VAScスコア1点(女性で2点))>
第1選択:OACを考慮:ダビガトラン150x2たまはアピキサバンを考慮

<心房細動1回のみ記録されている場合>
コメント:抗凝固薬の選択は心房細動のタイプ,頻度による
(本文では,原則投与だが,若年でCHA2DS2-VAScスコア1点には使用しないとの記載)

<リズムコントロール,レートコントロール患者>
・べラパミル内服者はダビガトランとエドキサバンは低用量で
・リバーロキサバンは減量しない
・アピキサバンはアミオダロン,ベラパミルに影響しない
・ダビガトランはドロネダロん併用は禁忌
・エドキサバン30mgはドロネダロン併用時に使用すべき

### 大変実践的ですが,全般にNOACイチオシがやや目立ちます。「コスト」の項目がないのが遺憾といえば遺憾(笑)
膨大なCOIの記載を見ればそれも頷けますか。

パート2も後日ご期待を

$$$ 冬の散歩の風物詩,ガードレールで自己主張する片っぽ手袋。今日も全世界の何処かで大量片っぽ手袋が路上や塀やガードレールにひとりさびしく,引き取りてもなく置着ざりにされているかと思うと不憫でなりません(笑)
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by dobashinaika | 2016-02-09 00:13 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(1)

心房細動除細動時のリバーロキサバン投与の有効性安全性:EHJ誌

Rivaroxaban vs. vitamin K antagonists for cardioversion in atrial fibrillation
Riccardo Cappato et al
Eur Heart J (2014) doi: 10.1093/eurheartj/ehu367

疑問:心房細動除細動時、リバーロキサバンは使えるのか?

P:48時間を超えて続く非弁膜症性心房細動で、除細動予定の患者

E:リバーロキサバン20mg(CrCl30-49では15mg)1002例
早期例:登録後1〜5日後除細動
待機例:21日以内(最高〜56日)

C:ビタミンK阻害薬(VKA)502例:PT-INR2〜3
早期、待機は同じ

O:主要有効評価項目=脳卒中/TIA、末梢塞栓症、心筋梗塞、心血管死(坐忘内血栓例などをのぞいたmodified ITT解析)
主要安全評価項目=大出血 (On Treatment解析)

T;無作為化比較試験

結果;
1)有効評価項目:リバーロ群5/978 (0.51% ) vs. VKA群 5/492 (1.02%):(リスク比 0.50; 95% CI 0.15–1.73).:
早期例:リバーロ群0.71%、VKA群1.08%
   待機例:リバーロ群0.24%、VKA群0.93%

2)リバーロ群は除細動までの時間がVKAより有意に短い (p<0.001)

3)大出血:リバーロ群 0.6% vs. VKA群 0.8%:(リスク比 0.76; 95% CI 0.21–2.67).

結論:リバーロキサバンは有効性、安全性から見てVKAの代替となり得る。また除細動までの時間を短くする可能性あり。

### これまで、ダビガトランではRE-LY試験のサブ解析で除細動時のVKAに比べての評価が出ており、同等とのことでした。
しかしこの時はダビガトラン例でも30日後の除細動でした。
http://circ.ahajournals.org/content/123/2/131.long

我々が知りたいのはNOACだとすぐに効くので、ガイドラインどおり3週間のローディングがいらないのではないかということです。
今回は、各種大規模試験後で除細動対象としては初の前向き無作為化試験であり、この点も検討されてます。

ちなみに全体の58%が早期施行例です。

興味深いのは、待機例において、リバーロの方は平均25日投与したのに対し、VKAは34日かかっており、またリバーロでは21日内に77.0%がVKAでは除細動したのに対し、VKAではINRが不適切のため36.3%の人しか除細動できていなかったということです。まあリバーロのほうはマーカーがないからと言ってしまえばそれまでですが、アウトカムに差はなかったことから見ても、従来の方法に取って代わる可能性はあると思われます。

早期例でも、VKAで脳塞栓はNOACと同等程度だったようですが、イベント発生数自体非常に少ないので、なんとも言えません。
少なくとも3週を念頭に入れれば、ワルファリンより短期にできることは利点と言えそうです。1〜5日でOKかどうかはこの試験だけではどうでしょうか。可能性は見えるかと思われます。
by dobashinaika | 2014-09-03 21:12 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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