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遺伝子(ゲノム薬理)に基づいたワルファリンの上手な調節法:TH誌

今更かもですが,ワルファリンの話題。連休で時間を持て余している方,マニアックな内容にお付き合いください。

ワルファリンの効き目を左右するものとして1)食品 2)薬剤 3)遺伝的素因があります。食品はビタミンKを含むもので代表選手は納豆(厳密にはビタミンKを腸内で産生)。薬品はいろいろあります。

遺伝子としてはビタミンKエポキシド還元酵素(VKORC1:ビタミンkの代謝を促進して凝固因子を作る手助け)とCYP2C9(ワルファリンの代謝を促す)は有名ですが,その他にCYP4F2を加えた詳細な遺伝子情報マップ(表)が,ワルファリンの用量を決めるのに有効との報告を見つけました。

An expanded pharmacogenomics warfarin dosing table with utility in generalised dosing guidance
Thrombosis and Haemostasis; Epub ahead of print: April 28, 2016


これまでFDAからひとつの遺伝子型からワルファリンの用量を設定する表が提供されていましたそうです(知りませんでた),
今回9つのタイプから作成されたCPMC-WD表というものが,それまでのFDAからのものより,よりワルファリンのコントロールがよく出来たという報告です。以下のサイトから見られるようです(検索した時はアクセスできませんでしたが。。)
http://www.thrombosis-online/

ネット上で紹介されているもう以下のサイトが元になってるように書いてありますが,こちらは見られました。
http://www.warfarindosing.org/Source/InitialDose.aspx

サマリーの表はこんなかんじです。
a0119856_9354032.png

ここまでやって,至適量が得られるのは50%程度のようです。
ときに10mgとか,大量のワルファリンを使用しなければならない場合や1mgだけでかなりINRが上昇する場合があります。こうした症例では遺伝子多型を調べて管理すればより良いかもしれません。

この表を使えばNOACを上回る効果安全性が得られればいいですが,,
これだけ多くの遺伝子を調べるのでマーケッティングには乗らないでしょうかね。

$$$ またも遠景ネコ
a0119856_941240.jpg

by dobashinaika | 2016-05-05 09:37 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワルファリンによる高出血リスク例の遺伝子型による同定:Lancet誌

Genetics and the clinical response to warfarin and edoxaban: findings from the randomised, double-blind ENGAGE AF-TIMI 48 trial
Jessica L Mega et al
Lancet Published Online: 10 March 2015


背景:ワルファリンで出血リスクの高い患者の遺伝子による同定を評価。続いてワルファリンよりNOACがより少ない出血率を得られるのかを評価

方法:
・ENGAGE-AF-TIMI48登録患者
・サブグループにおいてCYP2C9とVKORC1の遺伝子変異を解析
・遺伝子型をnormal, sensitive, highly sensitive の3カテゴリーに分類

結果:
1)遺伝子解析施行:14,383例:ワルファリン4833例

2)ワルファリンの遺伝子カテゴリー:normal=61.7%、sensitive=35.4%、highly sensitive=2.9%

3)開始90日以内の抗凝固過剰時間(INR4.0超):normal=1.7%, sensitive=2.5%, highly sensitive=6.6%

4)出血リスク(ハザード比、対normal): sensitive=1.31, 95% CI 1·05–1·64, p=0·0179; highly sensitive=2.66, 95% CI 1·05–1·64, p=0·0179

5)遺伝子型は臨床的スコアを超えた独立した情報

6)エドキサバン群はワルファリン群に比べてsensitive, highly sensitive両群でnormal群よりも出血が少ない

7)90日後のワルファリンに比べたエドキサバンの出血リスク減少は、遺伝子型によらず同じ

解釈:CYP2C9 と VKORC1遺伝子型はワルファリンにより早期出血の同定する。このベネフィットはワルファリンよりもエドキサバンでより大きい

### おさらいですが、CYP2CPはワルファリンが肝臓でS-7- ヒドロキシワルファリンへと代謝されるときに登場する遺伝子型、VKORC1はビタミンKエポキシドがビタミンKに変わるところを主に促進し、ワルファリンで阻害されます。CYP2C9が少ないとワルファリンが増え出血が多くなります。またVKORC1が少ないとビタミン依存性凝固因子が少なくなり出血が多くなります。
a0119856_0115419.png

(拙著[プライマリ・ケア医のための心房細動入門]より)

ワルファリン感受性が高いVKORC1のサブタイプはアジア人に多いとされています。一方CYP2C9の遺伝子多型は日本人では少ないので投与量が欧米人より少なくてすむとも言われていますね。これらの遺伝子多型が前もってわかれば、ある症例ではワルファリンを避け迷わずNOACが使えることにつながるかもしれません。このことをRCT上の多数の臨床例で示した論文ということです。

一方、この論文のfundは開発した製薬会社ではありますが、たとえばワルファリンがより適した患者もわかるようになれば、やみくもにNOACということでなく、薬剤選択が大変適切になるように思います。

$$$ 本日、一瞬仙台も吹雪に見舞われたようになりました。まさに寒の戻り。
a0119856_0123877.jpg

by dobashinaika | 2015-03-24 00:17 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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