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臨床上の各場面でどの抗凝固薬を選べばよいかpart2:EHJ誌

昨日の続き,パート2です。
Choosing a particular oral anticoagulant and dose for stroke prevention in individual patients with non-valvular atrial fibrillation: part 2
Eur Heart J http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv643 ehv643 First published online: 4 February 2016

<脳卒中二次予防>
第1選択:NOACがワルファリンに優る
コメント:アスピリンは使用すべきでない。抗凝固薬と抗血小板薬の併用は抗凝固薬単独に比べ脳梗塞を予防できない,特にリスクの高い時期に限るべき

<脳卒中急性期:血栓溶解,血栓除去術を要する場合>

治療選択:
・血管内血栓溶解のリスクとベネフィットを慎重に考慮後,特異的な凝固能測定によりNOACの抗凝固作用が低いとされればrtPAが投与される
・機械的血栓除去は,NOACの抗凝固作用が十分効いている近位頭蓋内動脈閉塞患者の,血栓溶解に変わる代替治療になる

<一過性脳虚血発作あるいは虚血性脳卒中後の抗凝固薬の開始または再開>
治療タイミング:
・頭蓋内出血除外後第一日からNOACを含む抗凝固薬開始する。1−3−6−12日ルールにはエビデンスがない
・軽度の虚血性脳卒中では,3日後から抗凝固薬開始
・中等度の場合5−7日後
・高度の場合12−14日後
・コメント:出血への転化を否定するために中〜高度の患者は抗凝固薬前に画像で評価

<消化管出血高リスク患者>
第1選択:アピキサバン5mgx2またはダビガトラン110mgx2
第2選択:ダビガトラン150mgx2またはエドキサバン60mgまたはリバーロキサバン20mg(日本では認可されいない用量)
コメント:
・抗凝固薬下の消化管出血は死亡や重大な後遺症の原因とはならないので,抗凝固薬の選択は脳卒中予防を第一に考える
・消化管出血の「高リスク」の定義は難しい。ピロリ菌関連潰瘍も除菌後は高リスクではない
・アスピリン併用で出血リスクは増加
・出血コントロール後はワルファリンにくらべNOACはすぐに安全に使用できると思われる
・ダビガトラン,リバーロキサバンは75歳以上での消化管出血が増加するエビデンスあり
・がんのスクリーニング(例:大腸ファイバー)は隠れた腫瘍の早期発見を増やし,腫瘍関連出血を減らす可能性あり
・年齢的に妥当な大腸がんスクリーニングは抗凝固薬開始に先立ち施行されるべき

<腎機能低下または透析患者>

・慢性腎臓病ステージIII(ClCr30-49):
第1選択:アピキサバン5mgx2(クライテリアによっては2.5x2),リバーロキサバン15mg,エドキサバン30mg
第2選択:ダビガトラン110mgx2
推奨されない:ダビガトラン150mg2,リバーロキサバン20mg,エドキサバン60mg

・透析患者
第1選択;抗凝固薬なし,またはVKA
推奨されない:ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン

・ClCr>95
第1選択:ダビガトラン150mgx2,リバーロキサバン20mg,アピキサバン5mgx2。VKA以上のNAOCの優位性はない
第2選択:エドキサバン60mg(米国ではFDAの認可なし)

<NNOACと年齢>
第1選択:75歳以上ではアピキサバン5mgx2(クライテリアによっては2.5x2)
第2選択:ダビガトラン110mgx2,リバーロキサバン20mg。エドキサバン60mg

<高血圧患者>

安全性,有効性においてどのNOACが優位ということはない

<アドヒアランス>
・服薬アドヒアランスが良くない患者には使用すべきでない
・アドヒアランスは不可抗力(認知症など)の場合は,ピルボックスや家人,介護者への教育が必須
・この点NOACは固定量で使用簡便
・服薬回数はNOAC選択の優先順位一位ではない。しかしポリファーマシーのひとなどでは考慮の余地あり
・どのNOACが良いかはエビデンスなし

<まとめの表>
a0119856_22162075.jpg


### Lip先生,いつもながら様々な情報を網羅して分類分析するのがお得意です。ただこれ,全部覚えられるでしょうか?

個人的には,TTR70%以上ならワルファリン。管理が良くない患者はコストがゆるせばNOAC.NOAC間の差は余り考慮しなくて良い(プライマリ・ケア医なら),位で良いのではと思われます。

$$$ 早朝の広瀬川河畔
a0119856_22154358.jpg

by dobashinaika | 2016-02-09 22:20 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

リバーロキサバン内服下とワルファリン内服下での脳出血アウトカム比較:Stroke誌

Stroke 7月31日 doi: 10.1161/STROKEAHA.114.006661

Characteristics of Intracerebral Hemorrhage During Rivaroxaban Treatment Comparison With Those During Warfarin
Joji Hagii et al


疑問:リバーロキサバン内服中の脳出血は、ワルファリン内服者に比べてどうなのか?

P:2011年4月から2013年10月まで弘前大学に脳内出血で入院した585人中、リバーロキサバンまたはワルファリン服用者

E:リバーロキサバン内服例:5例1%

C:ワルファリン内服者56例10%

O:患者背景、神経学的所見、機能評価

結果:
1)リバーロ群は全例HAS-BLEDスコア3点で、脳出血の既往あり

2)多発性微小出血(4箇所以上);リバーロ群>ワルファリン群(80%vs.29%;P=0.04)

3)血腫用量:リバーロ群<ワルファリン群(4ml vs. 11 ml:P=0..03)

4)リバーロ群で血腫の拡大や外科手術に至ったものなし

5)リバーロ群は退院時のmRankinスケールがワルファリン群より低い。

6)リバーロ群は入院時と退院時のmRankinスケールの差がワルファリン群より小さい(中央値3vs.1:P=0.047)

7)入院中死亡:リバーロ群なし。ワルファリン群10例18%

結論:
リバーロキサバン関連脳出血例は大出血の高リスク例であった。しかしワルファリン関連脳出血よりも血腫が小さく、血腫拡大もなく、機能的かつ生命予後的アウトカムも良い傾向にあった。

### 弘前大学の奥村先生の教室からの論文です。
Nは少ないながら、従来から言われていたことがきちんと実証されている感があります。

ダビガトランでも同様報告が、日本の矢坂先生のグループからあります。
http://dobashin.exblog.jp/19645660/

やはり第VII因子を抑えないところの強みだろうと思うのですが、ダビガトランでは出血を起こしてしまった人の予後は同じともデータも有り、これに関する理解が難しいところではあります。
http://dobashin.exblog.jp/19965528/

この論文はダビガトランでも出血した人の20%が死亡しており、とても今回のように死亡ゼロという世界とは違っています。
海外では、NOAC内服でも、その後のケアが手薄なのかと思ってしまいたくなるような差かと思います。

より症例数が増せば、もっとわかってくるかと思います。
by dobashinaika | 2014-08-01 22:55 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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