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発作性心房細動は1年で8.6%,10年で35%が持続性に移行する:Heart Rhythm誌


疑問:発作性心房細動のうちどのくらいのひとが持続性に移行するのか

方法:
・カナダの登録研究
・平均61.2歳
・平均追跡期間6.4年

結果:
1)発作性から持続性への移行率:1年=8.6%,5年24.3%,10年=36.3%

2)持続性への移行に関する危険因子
年齢:ハザード比(HR);10年経過で1.4倍
中〜上昇の僧帽弁逆流:HR1.87
大動脈弁狭窄症:HR2.4
左房径拡大(>45mm):HR3.0
左室壁肥厚(エコーまたは心電図):HR!.4

3)全死亡率:10年で30.3%

結論:発作性心房細動は10年間で約35%が持続性に移行する。もっとも大きな予測因子は左房計>45mmである。

### 日本では心臓血管研究所のデータで,年間移行率は5.5%とのデータがあります。J-RHYTHM IIではカンデサルタンで8,2%,アムロジピンで15.0%でした。本研究ではそれらのデータよりはやや低めのようです。

しかし,移行率がわかり,予測因子が左房径と分かったとしても,それを防ぐ手段までは検討されていません。慢性化阻止とは心房のリモデリング防止であり,結局は動脈硬化の予測因子,血圧,糖尿,心不全などをしっかり管理としか現時点では言えないのが,未だに残念です。

$$$ 今日のニャンコ。ぐったり。
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by dobashinaika | 2017-07-20 21:28 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

やはり発作性心房細動のほうが持続性,永続性よりも脳卒中が少ない:ENGAGE AFサブ解析

Stroke and Mortality Risk in Patients With Various Patterns of Atrial Fibrillation
Results From the ENGAGE AF-TIMI 48 Trial (Effective Anticoagulation With Factor Xa Next Generation in Atrial Fibrillation–Thrombolysis in Myocardial Infarction 48)
Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology. 2017;https://doi.org/10.1161/CIRCEP.116.004267


疑問:発作性と持続性で心房細動の脳卒中や予後は変わるのか

方法:
・ENGAGE AF-TIMI 48試験における発作性心房細動(7日未満),持続性心房細動(7日以上1年未満)。永続性心房細動(1年以上)間でのアウトカム比較
・21105例,平均2.8年追跡

結果:
1)脳卒中/全身性塞栓症:発作性1.49%/年,持続性1.83%/年(P-adj =0.015),永続性1.95%/年(P-adj =0.004)

2)全死亡率:発作性3.0%/年,持続性(4.4%/年; P-adj <0.001) ,永続性(4.4%/年; P-adj <0.001)

3)年間大出血率;発作性2.86%,持続性2.65%,永続性2.73%
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結論:この試験では,発作性心房細動の血栓塞栓症発症率よび死亡率は持続性,永続性にくらべて少ない。ワルファリンに比較したエドキサバンの有効性安全性は心房細動の3パターンで同様であった。

### これまでは,おもにActive-Wの結果を引き合いに出して,「発作性も持続性もイベント発生率に差がないので発作性でも油断してはいけない」といったドグマが定説化してきたと思われます。

しかし最近になリ,RELYを除くNOACの2試験(ROCKET AF, ARISRTOTOLE)やSPORTIF,AVERROEAなどは発作性のほうが少ない
との結果を出しています。

最近のEHJのレビューでも同様のことが言われています。
http://dobashin.exblog.jp/22493317/

発作性,持続性同様というのは,実は前述のActive-WとSPAF試験くらいなんですね。

もちろん「発作性」と言ってもバリエーションが有り,「持続性」といっても持続化したburdenによって違いはありますが,こうした趨勢を見るとやはり適応の重み付けとして,たとえばCHADS2スコア1点でも持続性であればより積極的に抗凝固を考える気持ちにもなります。CHADS2やCHA2DS-VAScスコアに「持続性0.5点」くらいは追加できそうな最近の流れですね。

$$$ 認知症カフェで講話をしてきました。会場がお寺の講堂なので,自然と背筋が伸びました。
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by dobashinaika | 2017-01-23 22:48 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

日本の大規模コホート研究では発作性心房細動のほうが持続性よりも脳卒中リスクは低い:Stroke誌

Incidence of Stroke or Systemic Embolism in Paroxysmal Versus Sustained Atrial Fibrillation
The Fushimi Atrial Fibrillation Registry
Kensuke Takabayashi et al
Stroke.2015;STROKEAHA.115.010947published online before print October 29 2015


臨床上の疑問:アジア人(日本人)の心原性脳塞栓症の頻度は,発作性心房細動と持続性とで違いはないのか?

方法:
・Fushimi AF Registry
・発作性1588例,持続性 (persistent & permanent)1716例

結果:
1)発作性のほうが若く,合併症が少なく,抗凝固薬使用が少ない

2)脳卒中/全身性塞栓症:発作性の対持続性ハザード比:
抗凝固薬非使用者0.45,0.27−0.75,p<0.01
抗凝固薬使用者0.59.0.35−0.93,p=0.03

3)脳卒中/全身性塞栓症+全死亡:発作性のほうが低い
抗凝固薬非使用者0.77,0.59−0.99,p=0.046
抗凝固薬使用者0.59.0.46−0.75,p<0.01

4)「発作性」のみが脳卒中/全身性塞栓症の予測因子(多変量解析)

結論:日本の大規模コホート研究では,持続性に比べて発作性であることが脳卒中/全身性塞栓症リスク低下に関係していた。このことは上記のような患者でリスク因子の少ない場合の抗凝固薬投与の意思決定に助けとなる

### 発作性と持続性で心原性脳塞栓に差があるかについては,ことし1月にまとめましたので,参考にしてください。
http://dobashin.exblog.jp/20674608/

これまで発作性も持続性も同じリスクとされていますが,実はエントリーされている症例の”AF burden"つまり心房細動の累積持続時間により,かなり違った結果が出るというのが真実ではないかと思われます。

筆者が指摘しているように,Fushimiレジストリーの場合は12誘導心電図かホルターでAFが記録された症例を対象にしていますが,たとえばJ-RYTHMレジストリーは,リスク補正後の塞栓症頻度は両者で同等でしたが,こちらは1年い所湯洞調律が維持されていた症例は省かれています。Fushimiのほうがよリ”burden”の少ない発作性心房細動を見ているというわけです。

というわけでCHADS2スコア0−1点,CHA2DS-VAScスコアで1−2点などの症例でも,慢性でやや罹患期間が長い心房細動ではやや積極的に抗凝固を考えるという姿勢は勧められると思われます。

$$$ 昨日は,近所の大学で行っている総合診療セミナーに散歩がてらと言ってはなんですが顔を出しました。総診に興味を持つ学生が東北でも増え,非常に熱いものを感じました。それにしても昔では到底考えられないような新しく教育施設が出来ていてびっくり。最近の学生さんは恵まれてるな−。
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by dobashinaika | 2015-11-02 18:31 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

発作性心房細動への抗凝固薬処方は持続性心房細動より少ない:AIM誌

Differences in Anticoagulant Therapy Prescription in Patients with Paroxysmal Versus Persistent Atrial Fibrillation: Insights from the NCDR® PINNACLE Registry
Jonathan C. Hsu etal
Am J Med. 2014 Dec 29


疑問:発作性心房細動と持続性心房細動都では抗凝固療法の実態に違いがあるか

方法:
・the American College of Cardiology PINNACLE Registryに登録されたCHADS2スコア2点以上の心房細動71316例
・hierarchical modified Poisson regression modelsで発作性と持続性による抗凝固療法の違いを検討
・2008〜2012年

結果:
1)外来患者の78.4%が発作性

2)抗凝固療法施行率:発作性50.3%vs. 持続性64.2%:相対危険0.74(0.72−0.76)

3)抗血小板薬のみ処方例:発作性35.1%vs. 持続性25.0% :相対危険1.77 (1.69-1.86)

4)抗凝固、抗血小板両者ともなし:発作性14.6%vs. 持続性10.8%:相対危険1.35 (1.26-1.44)

結論:大規模なリアルワールドの外来患者コホートでは中〜高リスく心房細動への的殺な抗凝固薬処方は少ない。より効果の少ないあるいは無い治療が行われている

###日本の伏見レジストリーでは発作性に比べ持続性の抗凝固薬処方率は1.977倍、永続性は3.178倍で、やはり発作性に対する投与率は低いのです(こちらは低リスク例も含まれる)。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-14-0344/_html

発作性の中にはたとえば年に1〜2回しか発作を自覚しないまたは記録されない症例が多く含まれるものと思われます。こうした例はCHADS2スコア2点以上であっても処方を躊躇するかもしれません。これが処方率が低い主な理由と思われますが、他にやはり、こころのどこかで、発作性は持続性に比べて心原性脳塞栓が少ないのではと思っている医師が多いことも大いに有り得ると思われます。

この問題、ACTIVE-W試験で確かにアウトカムが同等だったのですが、あの論文の発作性群はやや持続性に近い集団だと思いました。
最近のROCKET-AF試験のサブ解析ではやはり持続性のほうが高リスクであるとのデータも有ります。一方、日本のJリズムではやはり同等となっています。
http://dobashin.exblog.jp/20202148/
http://dobashin.exblog.jp/20218807/

これらの違いの由来ですが、私は「持続性」患者のプロファイルに比べ、「発作性」患者のプロファイルが発作回数、持続時間などいわゆるAF Burdenにおいてまちまちなために生じるのだと思っています。「発作性心房細動」と一口に言っても年1〜2回の症例もあれば、1日数回起こす例もあるのですね。

個人的には「発作性」の中身をもう少し層別化して「持続性」のアウトカムと比較した論文を読みたくなります。

###今日の仙台市内、かぜが非常に強かったです。そんな過酷な状況も関係なく散歩。
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by dobashinaika | 2015-01-07 22:41 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

日本の登録研究では心房細動塞栓血栓症率は発作性と持続性で変わらず:CJ誌

Circulation Journalオンライン
Thromboembolic Events in Paroxysmal vs. Permanent Non-Valvular Atrial Fibrillation
– Subanalysis of the J-RHYTHM Registry –
Inoue H et al


疑問;日本のデータで発作性心房細動と持続性/永続性心房細動とで、塞栓血栓リスクに差があるのか

方法:
・J-Rhythm試験対象患者7406人;2年間追跡
・ワルファリン使用者;発作性78.6、持続性90.0%、永続性91.8%
・後付解析

結果:
1)血栓塞栓症イベント126件

2)永続性心房細動の粗イベント率(2.29%)は、発作性(1.16%)、持続性の2倍(1.20%)

3)ワルファリン仕様とCHA2DS2-VAScスコアで補正すると永続性と発作性の差はなくなる:ハザード比1.007

結論:永続性心房細動の粗塞栓血栓率は発作性のそれより高かったが、ワルファリン使用とCHA2DS2-VAScスコアで補正するとリスクは同じだった。

### 先日読んだRocket AF試験の後付解析とは異なる結果です。Jリズムでは補正後むしろ永続性のほうがリスクが低くなっているように見えます。どこが違うのか。

Jリズムでは発作性、持続性、永続性に分けていて、発作性が7日以内に自然停止するもの、持続性が7日を超えて続き自然に止まらないもの。永続性が停止不可能な心房細動としています。
Rocket AFでは発作性が7日以内持続、持続性が7日を超えて持続とだけの単純な分類です。

またアウトカム設定もJリズムは虚血性イベントに絞っていますが、ROCKET AFのほうは脳卒中/全身性塞栓症全体を扱っています。

統計的処理も、本論文はワルファリン使用とCHA2DS2-VAScスコアで補正していますが、ROCKET AFでは出血のアウトカムの時のみワルファリン使用で補正されているようです。もともとPOCKET AFは持続性80%と多くワルファリン群のワルファリン使用率はRCTなのでほぼフルなわけです。

Discussionにあるように、他のSPORTIF試験やARISTOTLE試験サブ解析も同様に持続性のほうがリスクが高く、CHA2DS2-VAScスコアがJリズより高かったようですが、たしかにJリズムはCHADS2スコアにして永続性でも1.90点とかなり低リスクを扱っています。もともと低リスクだからあまり差がつかなかったのかもしれません。

ROCKET AFのpost hoc解析はこちら
http://dobashin.exblog.jp/20202148/
by dobashinaika | 2014-09-22 11:18 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

本当に心房細動は発作性と持続性で塞栓リスクは同じなのか:ROCKET AF後付解析:EHJ誌

Eur Heart J 9月10日オンライン
Higher risk of death and stroke in patients with persistent vs. paroxysmal atrial fibrillation: results from the ROCKET-AF TrialBenjamin
A. Steinberg et al

疑問:抗凝固療法を受けている心房細動はのアウトカムは発作性と持続性で差があるのか?

方法:
・ROCET AF試験登録患者を発作性と持続性で比較
・高リスク群において多変量解析施行
・血栓塞栓症、出血、死亡を比較

結果;
1)全14062例:持続性82%、発作性18%

2)持続性のほうが若干、高齢、女性少ない、以前のビタミンK阻害薬の服薬歴あり多し

3)ワーファリン群のTTR;同様=58vs59%

4)脳卒中/全身性塞栓症:持続性2.18/人年 vs. 発作性1.73:P=0.048

5)全死亡:持続性4.78/人年 vs. 発作性3.52:P=0.006
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6)大出血:持続性3.55/人年 vs. 発作性3.31:P=0.77

7)脳卒中/全身性塞栓症の結果はリバーロ群、ワルファリン軍で変わらず

結果:中〜高リスク心房細動の抗凝固療法施行例では、持続性のほうが発作性より血栓塞栓症イベントおよび予後は高リスク。

### 発作性は7日以内の持続、持続性は7日を超えた持続と定義されています。登録時新規発症は入っていません。

Discussionにあるように、これまで発作性と持続性で予後は同じとの報告が多いのですが、例えばGISSI AFでは発作性の抗凝固療法率が76%で、持続性の96%より少なくCHADS2スコアも1.4点で低かったのです。よく引用されるACTIVE WでもCHADS2スコアは1.8〜2.0で発作性の抗凝固療法率は65%でやはり低いものでした。Euro Heart Surveyでの抗凝固療法率は発作性45%に対し持続性79%と明らかな差がありました。

過去のこうした試験と比べると、抗凝固療法に関しては平等で、CHADS2スコアは高めであることがこの論文の対象の特徴です。
この点はしっかりしているのが、既存の試験と違う点とされています。

一番の限界は、やはり後付け解析であること。それとこういう試験につきものの、特に発作性の定義が難しいことです。

以前から、私自身はやはり発作性でも発作回数が少なく、持続時間も短い集団が多ければ、それは持続性より予後はいいだろうとじつは密かに思っていました。今までの試験はそうした例も、割と発作が頻繁な例も発作性群に入れているのがちょっとひっかります。

これまでの説明は発作性でも無症候性が結構多いとか、発作のあとの心房リカバーの時に塞栓がとぶとかでしたが、では実際AFがどのくらい持続して身体に負担となっているのかという、"AF burden"を測定することは、本来困難なんですね。

それと今まで、発作性、持続性のアームに分けたRCTがないのも、言われてみればそうなんですね。

まだまだ本当はわからないことが多いのです。
by dobashinaika | 2014-09-16 21:38 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

医師による心房細動の分類は正確ではない?:JACC誌

Clinical Classifications of Atrial Fibrillation Poorly Reflect its Temporal Persistence: Insights From 1195 Patients Continuously Monitored with Implantable Devices
Efstratios I. Charitos et al
J Am Coll Cardiol. 2014;():. doi:10.1016/j.jacc.2014.04.019


【疑問】医師の下す心房細動の分類は本当なのだろうか?

【方法】
・植えこみ型デバイス装着中の1195例(永続性除く):平均73歳、追跡349日
・アブレ−ション患者、除細動患者は除く
・心房細動累積時間、臨床家とデバイスの間の心房細動の分類の一致度を検討

【結果】
1)臨床的心房細動分類とデバイスよる心房細動の一時的な持続性心房細動との合致は見られず。
(Cohen's kappa:0.12[0.05-0.18]).

2) 高EF(オッズ比0.97)、冠動脈疾患(OR0.53)、は心房細動累積時間同様、持続性心房細動として分類される可能性が低いこととそれぞれ関連している。

【結論】現在の心房細動臨床分類と一時的持続性心房細動とは関連が少ない。患者の特性が分類に直接的な影響を与えた。同一カテゴリーに分類された患者は、もともと心房細動の一時的持続化という点で異質性を持っていた。さらなる研究必要

###今回の論文ですがアブストラクトの直訳だけでは何を言っているのかわかりませんね。

この論文は、医師が臨床的に「発作性」「持続性」「永続性」を分類したのと、ペースメーカー等のデバイスを使って心内心電図に基づいて分類したのとでは、相違があるということを言いたいのです。

医師は事前に、AHA分類に基づいて「発作性=7日以下持続」「持続性=7日以上を超える」「永続性=除細動不能」と診断し、デバイスでは「心房細動なし=AFが5分以上の日がない」「発作性=AFが5分以上の日が少なくとも1日はあり、持続は7日未満」「持続性=23時間以上の心房細動が7日を超える」「永続性=終日23時間超えまたは心房細動が95%超え)と分類します。

このようなクライテリアに基づき分析したところ、
医師の診断による「発作性」1092例→デバイス診断ではAFなし377例、発作性509例、持続性183例、永続性22例
医師の診断による「持続性」104例→デバイス診断ではAFなし22例、発作性34例、持続性34例、永続性14例
だったとのことです。

これは久々にめちゃ面白い論文ですねー。

まず事前に心房細動と診断されたのに1年近く心房細動がでないひとが1195人のうち399人もいる。また永続性はいなかったのに実際には36人もいた。そして、一時的な持続性、つまり7日以上続いていたのに発作性とされてしまうケースがなかなり多い。そういう「軽めに」診断されてしまう人ではEFが良くて冠動脈疾患のひとが多い、というわけです。

たとえば、ある日発作性心房細動と診断している患者さんに、今月何回発作があったかとは聴きますが、その具体的持続時間ははっきりしないことが多いし、また症状は必ずしも正確な持続時間を表さないため、「発作は7日以内で治まっている」と思っていた方が、実は7日以上続く心房細動を持っていることもあるということかと思います。

しかもそのバイアスに心機能や冠動脈疾患が影響しているというところまで分析していて、オモロイの一言です。

この論文はこれまでリズムコントロールやアブレーションの適応、データのまとめ方に一石を投じるかもしれません。
たとえば、日本循環器学会のガイドラインなどでも、薬理学的除細動や再発予防は「発作性」「持続性」で分けて書いてありますが、その分類自体、医者の臨床的な分け方では不正確かもしれないということになります。

また持続性心房細動のカテーテルアブレーションの成績が、最近発表されますが、この中には、実は発作性が混じっていたりするかもしれません。

ともあれ、全心房細動に1年間もループレコーダーを植えこむわけには行かず、まあ、問診と心電図から今後も分けていくほかはないし、分類とはそもそもこのような社会構成的な(?)ものだと割り切るしかないのかもしれません。
その最たるものがCHADS2スコアですね。

なお、FDAからダビガトランのリアル・ワールドデータがでていて、注目ではありますが、これは明日に。
by dobashinaika | 2014-05-14 23:12 | 心房細動:診断 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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