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心房細動診療の新時代:疾病管理、Structured Follow-up、最適解をめざす時代

昨日から大阪の日本循環器学会に参加しています。
日本最大級のマンモス学会ですが、今回は会場が分散しているせいか、あまり「人が多いなあ」感はありませんでした。

心房細動関連では、2−3年前のNOAC旋風は落ち着きを見せ、PCI後、アブレーション前後の抗凝固薬使用の演題が多かったように思います。

私、今回は、本日7:35からのモーニングレクチャー「実地医家から見た心房細動診療」を担当させていただきました。
土曜早朝にもかかわらず、予測に反して多数の方にお集まりいただき、準備の甲斐がありました。

心房細動の話は、もはやNOACの使い分けの話は耳たこだと思われますので、プライマリ・ケア視線から、そろそろ心房細動診療も転換期であると言うようなお話しになりました。以下簡単な骨子です。

1)診療所で診られる心房細動症例は、複数合併症を抱え、されに認知症、社会的問題を抱える。従来からの臓器別疾患別フレームワークによる診療では太刀打ちできない。ナレッジマネジメント領域で喧伝されているクネビンフレームワークのような「複雑性」を指標とした診療を考える。

2)ガイドラインのようなアルゴリズムがそのまま適応できるケースは実は少ない。そのような患者では「問題解決」志向でよいが、多くの問題が錯綜する患者においては、一つの決まった「解」を求めることは不可能。その都度その都度で患者ー医療者(当事者)両者に最適な「解」を探るしかない。

3)心房細動診療は、PDCAサイクルならぬ、(S)ADCAサイクル=Screening, Assessment, Decision making, Check, Actで考える
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4)Assessmentで今後大事になるのは、心不全対策。抗凝固療法の時代から抗心不全の時代になるかもしれない。

5)Decision Makingでは、逆説的にCHADS2スコアの見直しが今後課題かもしれない。日本の近年の脳塞栓発症率は非常にすくない

6)Check, Actにおいては、複雑な患者では、心不全領域で行われているような多職種が関与する「疾病管理」「StructuredFollow-up」のコンセプトが大切。

おおむね上記のようなないようです。

高齢者診療においては、とにかく「個別に」「患者さんごとに」対処しましょう.とよく言われるわけですが、この文言だけでは何を言っているのかわかりません。
どう「個別に対処するのか」。それは、多職種で、リスクのアセスメント、意思決定、チェック、修正を包括的に行う。と言うことだと思われます。

そのあたりの各論をもう少し煮詰めていきたいと思っています。

と言うわけで、今回があまり不整脈領域のセッションには出なくて、いろいろなところを見て回っております.
個人的には昨日の香坂俊先生(慶応大学)の循環器薬物療法の話は最高でした。安定狭心症にはメディカルでよい。スタチンは目標値を設定しない。いかに薬をやめるかが大事。心臓はフラクタル。。。。

なかなかすごい高みに達してるなと思わせるレクチャーでしたね。

$$$各セッションのオープニングビデオ。この映像に「ツァラストラはかく語りき」が鳴り響いていました^^
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by dobashinaika | 2015-04-25 16:54 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

ケアネットにLancet論文「心房細動においても多職種が介入する疾病管理の概念が重要」についての解説

ケアネットの「ジャーナル四天王」(提供元:J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構))にLancet論文「ケアネットの「ジャーナル四天王」(提供元:J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構))にLancet論文「βブロッカーは心房細動合併心不全の予後を改善しない」の解説を書かせてただきました。
http://www.carenet.com/news/clear/journal/39738
(要無料登録)

昨年11月21日に本ブログでも取り上げておりますが、内容は少し推敲しております。
http://dobashin.exblog.jp/20410023/

元論文はこちら
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61992-9/abstract
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by dobashinaika | 2015-04-17 22:13 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

薬剤師の介入によるダビガトランのアドヒアランスの改善:心房細動多職種包括管理の時代

Site-Level Variation in and Practices Associated With Dabigatran Adherence
Supriya Shore eta l
JAMA. 2015;313(14):1443-1450


デザイン、セッティング、参加者:
・後ろ向き量的データ、横断的質的研究
・20人以上のダビガトランの処方経験を持つ67の退役軍人医療施設
・2010〜2012年、4863人、1施設平均51人
・41の薬局から47人の薬剤師が参加

介入:医療施設ごとの適切な患者選択(の有無)、薬剤師主導の患者教育、有害事象やアドヒアランスのモニタリング

評価項目:ダビガトランのアドヒアランス:proportion of days covered

結果:
1)アドヒアランスの平均:74%(中間四分位66〜80%)

2)施設ごとのアドヒアランスの変化の平均オッズ比:1.57

3)適切な患者選択を行っている医療施設31、薬剤師主導の患者教育30施設、薬剤師主導のモニタリング28施設

4)アドヒアランスの良い患者の割合:患者選択(75% vs 69%),患者教育(76% vs 66%)、モニタリング(77% vs 65%)を施行している施設が多い

5)薬剤師主導の患者教育とアドヒアランスの関連は統計的に優位でない:相対危険0.94; 95% CI, 0.83-1.06

6)適切な患者選択(相対危険1.14)、患者モニタリング(相対危険1.25)はアドヒアランスに関連

7)臨床家が共同してのアドヒアランの良くない患者の長期のモニター及び集中的ケアはアドヒアランスを高めた

結論:ダビガトラン服用中の非弁膜症性心房細動においては、ダビガトランのアドヒアランスは退役軍人の医療施設ごとに格差あり。薬剤師ベースの特異的な活動はアドヒアランス向上に大きく寄与した。

### 薬剤師の介入は、ダビガトランの適応の検討、薬剤適応、有害事象、アドヒアランスの重要性、誤服薬、転倒リスク、薬物相互作用、適切な量についての教育、有害事象道の迅速なモニタリングと出血への対処などからなっています。

アドヒアランスの計算方法は、proportion of days coveredすなわち服薬がカバーされる日の割合=きちんと処方箋通りに飲んだ日の全処方日数に対する割合で表しています。平均74%というのはNOACとしてはいいのかどうか。

この論文も多職種共同による心房細動治療管理の重要性を示唆しています。私、最近、もう抗凝固療法の適応決定、薬の使い分け、リスクヘッジなどを医師だけで行う時代は終わったとづくづく思うわけです。というより一つの疾患を医師が主導してやっていけると思い込んだ時代はもう終わりで、すべからく医療は,もちろん外来診療においても疾患管理しかも多職種による包括的な疾患管理でやっていく時代だと思います。

特に様々な問題を抱えるアドヒアランスの良くない患者さんに対し、医師が適応をあれこれ考え、抗凝固薬の使い分けをあーでもないと考えるだけでは、せいぜい65%程度のアドヒアランスしか得られないのですね。ワーファリンとNOACの年間脳卒中発症率や頭蓋内出血率の僅差を競ってみても、アドヒアランス30%以上低下という数を目にすると、あれ?と思ってしまいます。

心房細動に限らず、あらゆる疾患に、薬剤適応からモニタリング、患者教育に至るまで薬剤師、看護師、栄養士など多職種が関わっていく、そういう体制を作りたいものです。

$$$ 亘理町に行った時にゲット。はらっこめしプリン。はらこはタピオカでした。私は食べませんでしたが美味しいらしいです。
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by dobashinaika | 2015-04-15 23:46 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

慢性心不全を再入院させないための多職種包括的疾病管理は有効か?

今回辺りから、ブログのスタイルを症例に基づいたエビデンス検索とその適応について書くという感じにしようと思います。

心房細動に関する論文のブラウジング(ネットサーフィン)は、やはり楽しいので、今までどおり趣味としてやりますが、NOACフィーバーが落ち着きを見せ、最近心房細動関連の論文自体やや少なくなっています。

私が毎朝やっています、前の日の診療中に疑問に感じてメモしたことを、ネット媒体で調べてEvernoteに放り込むという作業をブログ上で行うことにします。

今日は、70台男性、陳旧性心筋梗塞に慢性心不全を合併し、すでに3回、急性増悪のため総合病院に入退院を繰り返している患者さんです(プラバシー保護のため、実際とは改変しています)

β遮断薬、ACE阻害薬など型通りの薬物療法を行っても入退院を繰り返す心不全にたいし、最近クローズアップされている多職種による包括的な心不全疾病管理なら良いのか、具体的にプライマリ・ケア医としてどんな管理をすればよいのかという疑問がわき、調べました。

疑問:入退院を繰り返す慢性心不全患者に対し、多職種による包括的疾病管理は有効か、有効だとしたら何が特に有効か

リソース:
1)DynaMed:"Heart failure structured management and education(心不全の構造的管理と教育)"

オーバービュー
・心不全退院後の疾病特異的な教育とフォローアップは再入院率を減らすが死亡率は減らさない(レベル1)
・包括的退院プランは再入院率を減らし、QOLを改善する(レベル2)
・自己管理:再入院率を減らす(2)。軽症〜中等症心不全は教育単独より自己管理+再入院のほうが再入院を減らす(2)
・ナースべーストの患者管理はエビデンスが一定しない
・多角的(多職種)疾病管理プログラムは死亡率、入院率を減らすかもしれない(2)
・NT-pro BNPガイドの管理+多職種ケアは死亡率、入院率を減らすかもしれない(2)
・薬剤師を交えての多職種ケア(薬剤師の直接ケアなし)は全死亡と入院を減らすかもしれない(2)
・電話による管理は死亡率、入院率を減らすかもしれない(2)
・ナースの訪問看護は再入院を減らすかもしれない(2)

患者教育
・以下の教育は有効(クラスI,エビレベルA:ACCF/AHAガイドライン)
・症状と体重のモニター
・塩分制限
・服薬アドヒアランス
・身体活動の維持
Circulation 2013 Oct 15;128(16):e240 PDF

自己管理
・システマティックレビューでは3〜12ヶ月のフォローで死亡オッズ比0.59(0.44〜0.8)、再入院オッズ比0.44(0.27〜0.710:NNT5-15
BMC Cardiovasc Disord 2006 Nov 2;6:43 full-text


多職種疾病管理プログラム
・再入院高リスク患者に対して勸められる(クラスI,エビレベルB:ACCF/AHAガイドライン)
・ガイドラインに基づく治療の推進
・行動変容を妨げる因子への気遣い
・再入院リスクの除去
Circulation 2013 Oct 15;128(16):e240 PDF

2)循環器病の診断と治療に関するガイドライン:慢性心不全治療ガイドライン(2010 年改訂版)(2015年4月閲覧)

<多職種による包括的疾病管理プログ ラム>

クラスI:多職種による自己管理能力を高めるための教育,相談支援:患者および家族,介護者に対して
・体重測定と増悪症状のモニタリング
・薬物治療の継続および副作用のモニタリング
・禁煙
・症状安定時の適度な運動

クラスII
・ 1 日 7 g 程度のナトリウム制限食
・節酒
・ 感染症予防のためのワクチン接種
・精神症状のモニタリングと専門的治療:抑うつ,不安等に対して
・ 心不全増悪のハイリスク患者への支援と社会資源の活用:独居者,高齢者,認知症合併者等に対して

クラスIII
・大量の飲酒
・ED治療としてのPDE5阻害薬と亜硝酸薬の併用: 重症心不全患者に対して

3)Primary Results of the Patient-Centered Disease Management (PCDM) for Heart Failure Study:A Randomized Clinical Trial
David B. Bekelman et al
JAMA Intern Med. Published online March 30, 2015.


・米国の退役軍人関連4医療施設の392人を対象としたRCT
・患者中心の疾病管理(=ナースコーディネーター、循環器医、薬剤師、プライマリ・ケア医の多職種介入、家庭での遠隔モニタリング、患者自己管理、うつ病のスクリーニングと治療)と通常治療との比較
・アウトカム:患者アンケートスコア、死亡率、入院率、うつ症状スコア
・結果:
・アンケートスコア=有意差なし。
・死亡率、入院率は介入群で少ない4.3%vs.9.6%。
・うつ病患者の改善は介入群で有意に大きい
・1年間の再入院率に差はない
・結論:多面的な心不全疾病管理は、通常管理に比べて患者の健康状態を改善しなかった

### 多職種が介入する患者管理は、心不全では概ね効果があるが、ないとする報告もあります。この違いは介入内容によるものおよびアウトカムの設定にあると思われます。

当院としては、まず今までやっている、毎日の体重、血圧測定とその記録、減塩、禁煙、運動の推奨(パンフ作成)に加え、もう少し多職種で関われないか、例えば、ナースによる待ち時間での教育、薬剤師のアドヒアランスへの介入などを、今後スタッフと検討してみようと思います。

さらに、やはり今後は基幹病院の主治医や看護チームとの連携、退院時カンファ、在宅診療が必要な場合の引き継ぎなどを進めていければと思います。まさに病診巻き込んでの包括的ケアが必要だと、改めて思います。

今回のEBM、行動変容への寄与度としては5段階のうち3くらいです。具体的にどんな介入をしたら良いかが、今ひとつわからなかったから。そういうのは、先進的な施設などの経験知のほうが良いのかも。

$$$ 医院向かいの桜。ほぼ満開となりました。
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by dobashinaika | 2015-04-07 22:41 | 循環器疾患その他 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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