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新規経口抗凝固薬は臓器によって出血パターンに違いがある;T/H誌

Thromb Haemost 2014; 112
Organ-specific bleeding patterns of anticoagulant therapy: lessons from clinical trials
Thomas Vanassche et al


Thromb Haemostのオンライン版に、NOACの臓器別の出血についての差異に関するレビューが掲載されてます。
マクマスター大学のグループからです。

勉強になるので、簡単にまとめます。

【臓器特異的な出血パターン】
・4NOAC全体で大出血は23%減らした:相対危険0.77
・詳細に見ると2つの対照的な臓器特異的出血パターンが明らかになる
・第一に、頭蓋内出血について、NOACは一様に減少させる
相対危険減少60%、平均相対危険0.42
・第二に、消化管出血について、NOACごとに違いあり
リバーロキサバンとダビガトラン150、エドキサバン60は増加
アピキサバンとダビガトラン110は同等
エドキサバン30は減少

【その考えられる理由】
<頭蓋内出血 (ICH)>
・多くの大出血はINRが治療治範囲内の時に起こる
最近の研究ではワルファリン服用者260名中、INR2.5~3.0が78%、3.0以上は13.5%
・NOACのワルファリンに対する優位は、INR管理が良好な施設でも、管理不良な施設でも同等
・2つのメカニズムを想定
1)NOACとVKAの異なる作用 2)脳のユニークな生理

1)薬剤関連因子
・血管壁が破綻すると組織因子 (TF)が参集し、凝固系が活性化され血栓が形成される
・VKAは、ビタミンK代謝を阻害することで、4つのビタミンK依存性凝固因子の集積を弱める
・NOACは、その分子量に当量の阻害作用を有し、Xaあるいはトロンビンという個々の凝固タンパクを選択的に阻害する
・臨床的な血中濃度では、NOACは、TFが関与するような凝固活性の上昇に関連したXaやトロンビンの生成の局所集中を抑制する作用は、VKAより弱いかもしれない
・TFは、脳血管床の破綻部位の流血に暴露される
・中和を免れたXaとトロンビン分子は、局所的により多くのトロンビンを生成し出血の進展を抑制し、結果として臨床的出血を防ぐ

2)脳特異的な止血制御
・脳の毛細血管の内皮細胞はpericyteやastrocyteで囲まれていて、それらはTF豊富で特殊な内皮細胞下の基底膜を形成する
・この膜は自発的は頭蓋内血腫形成を阻止する方向に働く
・出血リスク低減のさらなるメカニズムとして、この組織因子径路の抑制が低いことがある

・剖検や画像により、非対称性の脳毛細血管出血は60歳以上の5〜10%に見られる
・この微小出血の年令による有病率は、高血圧やアミロイドアンギオパチー同様ICHのリスクである
・生理的な止血が妨げられると、抗凝固療法がこの臨床的には問題にならない微小出血を引き起こし、臨床的に明らかな大出血へと変化する
・VKA服用者ではこの微小出血の存在が明らかにICHのリスクを高めることが報告されている

・NOACがワルファリンよりICHが少ないのは、この2つのメカニズムによると考えられる
・NOACの効果は標的となる高濃度の血栓酵素の圧倒的増加と、その高濃度血栓酵素が脳血管微小出血においてTFが高濃度になることにより局所的に増加することによる
・こうした仮説は動物実験で指示されている
・ネズミの実験で、ダビガトランとリバーロキサバンが脳の血腫を縮小することが報告されている
・NOACの静脈血栓塞栓症のトライアルでも、ICHが70%減ることが知られている

### まとめ
1)NOACのワルファリンに比べた出血パターンは臓器別に2つある。①頭蓋内出血は全NOACで減少 ②消化管出血はまちまち
2)NOACがICHを減らす作用は2つある。①TFが非常に多い時には、ワルファリンより局所でのトロンビン抑制作用が弱い ②脳毛細血管の破綻部位ではTFが豊富で、微小出血の際ワルファリンが止血を抑制する

これまで言われていたことのまとめですね。消化管出血についての記事もまとまっていますが、それは後日に。
by dobashinaika | 2014-09-09 22:37 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

FDAの観察研究ではダビガトランの消化管出血はワルファリンよリ少ない:JAMAIMより

JAMA Internal Medicine 1月号 Research Letterより

A Comparison of Results of the US Food and Drug Administration’s Mini-Sentinel Program With Randomized Clinical TrialsThe Case of Gastrointestinal Tract Bleeding With Dabigatran
JAMA Intern Med. 2014;174(1):150-151.


【疑問】FDAのモニタリングシステム"Mini-Sentinel"を用いると、リアルワールドでのダビガトランの消化管出血はどうなるのか?

【方法】
・2013年7月までのRCTをサーチして、ダビガトランvs.ワルファリンの消化管出血についてのメタ解析施行(fixed-effect model)
・FDAの登録観察データベース"Mini-Sentinel"の結果と比較

【結果】
1)計4RCTを解析:26076例

2)メタ解析:ダビガトラン群は有意にワルファリンう群より消化管出血が多い(I2 = 0; RR = 1.41 [95% CI, 1.28-1.55]; P < .001)。

3)2)はランダム効果モデルでも同じ。RELY試験を除いても同じ

4)Mini-Sentinel:ダビガトラン群1.6人vs. ワルファリン群3.5人(/10万日)

5)代理店はこの解析に基づき、ダビガトランの出血リスクについて“stimulated reporting”とreassuring statementを出した

【考察】
・メタ解析とMini-Sentinelは正反対の結果
・メタ解析では信頼区間の幅が狭く、異質性がなく、明確にダビガトランの出血増加(対ワルファリン)を示した。
・一方Mini-Sentinelではダビの出血は50%減であった
・RCTのほうがバイアスは少ないが、市販後の安全性評価のため、観察研究にも意味がある

###大変興味深いですね!

FDAのMIni-Sentinelという新しい登録システムについてはいかに紹介されていました。
電子登録のようです。
http://www.forbes.com/sites/larryhusten/2014/01/03/fda-plans-new-safety-assessment-of-dabigatran-pradaxa/

リバーロキサバンのデータもエントリーされるようです。
http://mini-sentinel.org/assessments/medical_events/details.aspx?ID=230

RCTでは。脱落例、アドヒアランスの悪い例、超高齢者を拾い上げられない。
一方観察研究では、「正しい」薬の評価ができない。
一長一短が当然あります。
両者をうまく解釈していくのは、難しいし骨が折れます。。

一つ知りたいのはこの観察研究での出血例がどのようなものっだのかと全体のプロフィールですね。
わかったら、またアップいたします。
by dobashinaika | 2014-01-16 20:24 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

消化管出血後の抗凝固薬はいつから再開すべきか?;AJC誌より

Am J Cardiol 11月25日号オンライン版より

Restarting Anticoagulation and Outcomes After Major Gastrointestinal Bleeding in Atrial Fibrillation.

【疑問】消化管出血後,いつから抗凝固療法を再開すべきか

【方法】
・抗凝固療法施行下にもかかわらず消化管出血をきたした症例の後ろ向きコホート(2005〜2010年)
・1329例;平均76歳,女性45%

【結果】
1)ワルファリンが再開されたのは663例49.1%

2)ワルファリン再開は血栓塞栓症減少と関連あり:ハザード比0.71,95CI0.54-0.93.p=0.01

3)ワルファリン再開は死亡率減少と関連あり:ハザード比0.67,0.56-0.81,p<0.0001

4)ワルファリン再開は消化管出血再発とは無関係

5)出血7日後のワルファリン再開は,30日後の再開に比べ消化管出血リスク上昇とは無関係かつ,死亡率,血栓塞栓症減少とは関連あり

【結論】消化管出血7日後の再開は,消化管出血を再発することなく死亡率と血栓塞栓症減少に関連した

###このような報告は非常に貴重です。なぜなら,ワーファリン飲んでて消化管出血が起きたら,その後ワーファリンをどうするか本当に困るからです。再開して良いのか,再開するとしたらいつからが良いのか?全く先人のデータがなかったら,雲をつかむような話だからです。

EBMというのは,このように薬は続けたい,で副作用も怖いというようなジレンマ的状況に一つの光明を与えるようなものでなければなりません。出血しました→さて,その後ワーファリンを再開するべきかどうか。迷いに迷いますが,いずれは決めなければればならない難題です。臨床の現場はこのように二律背反的な一見判断不可能な問題にも関わらず,どちらかに決めなければならないという不可避的な問題の連続です。そこにわずかながらでも道筋をつけてくれるのがエビデンスなのだろうと思います。

同様の研究は以下を参照ください。
http://dobashin.exblog.jp/16227361/

こうした問いを発すると,より細かい問い,例えばINRをいくつにすべきか,低めにしたほうが良いか,輸血を必要とするような場合でも早期再開が良いのか,上部と下部では違うのか,といった問いが次々と出てきます。そうした問題設定の増殖がEBMのもう一つの特徴であり醍醐味であるように思います。

ただし後ろ向きコホートの限界には注意が必要。再開しなかった例が半数ですが,より出血が重篤かもしれず,両群間での背景因子に差がある可能性もあるので。
by dobashinaika | 2013-12-25 23:40 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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