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エドキサバンの大出血時のデータ:T/H誌

Clinical impact and course of major bleeding with edoxaban versus vitamin K antagonists
Thromb Haemost 2016 : http://dx.doi.org/10.1160/TH15-11-0892

疑問:エドキサバンの実臨床における効果と安全性は?

方法:
・Hokusai-VTE研究登録患者
・急性の深部静脈血栓症または肺塞栓症
・5日間のエノキサパリンまたは低分子ヘパリン投与後エドキサバン60mg vs.VKA(INR目標2〜3)
・エドキサバンは30mgへの減量基準あり

結果:
1)大出血:エドキサバン群56人/4118人vs.VKA群65人/4112人

2)重症度スコア(3~4):エドキサバン群46%vs.VKA群58%(オッズ比0.62, 95 % CI0.30–1.27, p = 0.19)

3)重症な臨床経過:エドキサバン群23%vs.VKA群29%(オッズ比0.73, 95 % CI0.32–1.66, p = 0.46)

結論:エドキサバンによる大出血の重症度や経過は,VKAと同様。この結果は臨床家にこの薬剤の安全性を保証する。エドキサバンによる大出血はVKAに比べて悪いということはない。

### 心房細動の時はエドキサバンにかぎらずDOACは大出血が少なかったわけですが,この研究は深部静脈血栓症急性期で,追跡期間が3~12ヶ月ですので,結果は同等とのことでした。臨床でエドキサバンの出血データを示したのは初めてのことでご紹介しました。

エドキサバンは当院でも使用経験(主に心房細動)がありますが,出血は30mgでは大変少ない印象はあります。ただし高リスク例では小出血や大出血もやはり経験しており,やはり注意は当然必要と思われます。

$$$ ご近所の桜。今日は仙台も暖かく,何輪かほころび始めました!
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by dobashinaika | 2016-04-03 22:38 | 抗凝固療法:エドキサバン | Comments(0)

DOACの大出血に関するメタ解析:EBMとは臨床家のパフォーマンスを豊かにさせる装置:ACP Journal Club

Review: In AF or VTE, direct oral anticoagulants reduce fatal bleeding compared with vitamin K antagonists
Alejandro Lazo-Langner et al
Ann Intern Med. 2015;163(8):JC2. doi:10.7326/ACPJC-2015-163-8-002


疑問:心房細動および静脈血栓症患者において,DOACはビタミンK阻害薬(VKA)に比べ大出血の死亡率に違いがあるのか

方法:
・組入基準:DOACとワルファリンの比較試験,低分子ヘパリン使用にかかわらず,心房細動と静脈血栓症。出血イベント1回以上
・除外基準:最近の股関節,膝関節置換術。抗血小板薬併用。
・アウトカム:致死的出血
・RCT11:AF5(平均年齢71),VTE6(平均年齢56)
・リバーロキサバンRCT4, ダビガトラン3,エドキサバン2,アピキサバン2

主要結果:
・DOACは致死的出血をVKAに比べて減らした
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結論:心房細動またはVTE患者では,DOACはVKAに比べて致死的出血を減少させる

コメント:
・筆者らは,現段階で中和薬がないにもかかわらず,VKAよりもDOACのほうが安全であることを示した
・DOACはヘパリンの有無にかかわらず,ワルファリンよりも50%致死的出血を減らした
・基本コンセプトは中和薬があることではなく,合併症が少ないこと
・この試験や他のメタ解析は,臨床家にDOAC使用について安心感を与える
・ただしAFとVTEでは対象患者に違いがあり,本メタ解析でその違いまでは明らかでない
・直接トロンビン阻害薬とXa阻害薬の違いも明らかではない
・臨床家は上記の違いを意識すべきであり,モニタリングが必要な場合があることも除外すべきではない
・アドヒアランス安定化と合併症同定のためのモニターが必要である
・臨床家は腎機能,特にクレアチニンクリアランスの低下に注意し,CCR30以下なら変更を考える

### ACP ジャーナルクラブからのDOACに関するメタ解析レビューです。
この論文読んでいませんでした。すみません。元論文はこちらです。
Caldeira D, Rodrigues FB, Barra M, et al.
Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and major bleeding-related fatality in patients with atrial fibrillation and venous thromboembolism: a systematic review and meta-analysis.
Heart. 2015;101:1204-11.


またここで引用されている同様のメタ解析も読んでいませんが,以下です。後日読みます。
Sardar P, Chatterjee S, Lavie CJ, et al.
Risk of major bleeding in different indications for new oral anticoagulants: Insights from a meta-analysis of approved dosages from 50 randomized trials.
Int J Cardiol. 2015;179:279-87.


もはやRCTからはDOACの安全性がワルファリンよりも優れていることに異論はないと思われます(一部消化管出血などの懸念はありますが)。
本メタ解析でもそのことが明確に示されていますが,そのことと,我々の実臨床における眼の前の患者さんの治療がどう結びつくかはまた別問題です。

エビデンスは「DOAC安全」だけれども,じゃあ全例DOACでいいのか。ACPジャーナルクラブが有益なのは単なるエビデンスの紹介ではなく,エビではこうなっているけれども,その先の実臨床にどう反映させるかまで考えさせてくれるところです。

コメントにあるように,エビデンスは全てを保証しません。実際にはエビ通りにいかないケースにたくさん遭遇します。筆者らは個々の患者さんごとに腎機能などをモニタリングし,DOAC同士の違いに気を使い,アドヒアランスと合併症に注意しながら管理せよとコメントしています。至言ですね。

エビデンスは,治療の大筋を示します。特にメタ解析の結果などは疾患マネジメントの理想形を示すものと言えます。しかし現実はカオスです。理想型からはみ出るケースに我々は思い悩みます。CCr30前後のケースはどうするか,DOACで皮下出血が派手に出る人はどうするか。字義通りのEBMが保証してくれない個別なケースには,我々のそれまで培った経験知や臨床知を駆使せざるを得ません。

こう考えてくるとEBMの役割とはなにかという大上段にまで思いが至ります。EBMとは一義的にはスタンダードの提示であるかもしれませんが,スタンダードが示されることによってそこから逸脱する例や小幅ながら重要なバリエーションみえてくる。そのバリエーションこそがわれわれの臨床の叡智を発揮させる場でもあるのです。エビデンスとは規範である。しかし規範が提示されることで,そこからのバリアンスがまた白日のもとに晒され,臨床的パフォーマンスを発揮できる場がさらに明確になる。

EBMとは,逆説的な意味で臨床家のパフォーマンスを豊かにさせる装置でもある。今更ではありますがこのジャーナルクラブはそんな気にさせてくれます。

追記:ACPはNNTを算出してくれるのもありがたい。DOACのワルファリンに対する大出血でのNNTは419です。419人にDOACを処方するとワルファリンに投与するよりも1人,致死的出血が少なくなるということですね。この数字をどう感じるか。。。

$$$ 今日は暖かでした。ご近所ではまだ朝顔や柿が元気です。
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by dobashinaika | 2015-10-28 22:13 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

アピキサバン投与中の大出血の特徴

JACC オンライン版

Major Bleeding in Patients With Atrial Fibrillation Receiving Apixaban or Warfarin in the ARISTOTLE Trial: Predictors, Characteristics, and Clinical OutcomesHylek EH, Held C, Alexander JH, et al.
J Am Coll Cardiol 2014;Mar 19:[Epub ahead of print]


【疑問】アピキサバン投与中に大出血を生じた患者の特徴は何か?

【方法】
・ARISTOTLE試験で大出血を生じた患者の特徴が何の因子と関連あるかをポストホック解析

【結果】
1)大出血789人4.3%:アピ群2.13%vs. ワル群3.09%:ハザード比0.69,p<0.001

2)出血後30日以内死亡例はアピ群でワル群より少ない:ハザード比0.5.p<0.001

3)大出血患者:非大出血患者に比べて高齢、心筋梗塞の既往、出血の既往、腎障害、転倒が多い

4)大出血:1位消化管出血31%、2位頭蓋内22%、3位軟部組織10%

5)アピキサバンはワル群に比べ:頭蓋内出血、外傷関連出血、軟部組織出血が少ない

【結論】アピキサバンはワルファリンに比べて、大出血、致死的出血を明らかに減らした

### 出血後に死亡する例がアピキサバンはワルファリンの半分だったという所見にます目が行きます。おそらく致死的出血のほとんどは頭蓋内出血でしょう。頭蓋内出血はARISTOTLEですでにワルファリン群年間0.8%に対し、アピキサバン群0.33%と半分以下であるという結果が出ていますので。

ワルファリンと比べると、中和薬もモニターもないところで、ワルファリンより致死的出血が少なかったことは知っておいていいかもしれません。

post hoc解析であることには注意。

なお、今回は配信サイトCardiosourceから読みました。
by dobashinaika | 2014-05-20 15:41 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

抗凝固療法下において出血と関連ある因子はなにか?ROCKET AF試験より:JACC誌より

JACC 12月4日付オンライン版より

Factors Associated with Major Bleeding Events: Insights from the Rivaroxaban Once-daily oral Direct Factor Xa Inhibition Compared with Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation (ROCKET AF)
doi:10.1016/j.jacc.2013.11.013


【疑問】抗凝固薬の出血リスクに関連ある因子はなにか

【方法】
・ROCKET AF試験登録患者対象
・リバーロキサバン群、ワルファリン群両群において、大出血に関連ある因子を比較

【結果】
1)主要安全評価項目(大出血+小出血):両群間有意差なし(14.9 vs. 14.5 イベント/ 100人年;ハザード比 1.03 [0.96, 1.11])

2)大出血:年齢とともに増加。年齢層別(65歳未満、65〜74歳、75歳以上)で治療による差はなし

3)大出血あり群(n=13455) は、なし群(n=781)に比べて:高齢、喫煙あり(現在/経験)、消化管出血の既往あり、軽度貧血、クレアチニンクリアランス低値。女性は少なく、脳梗塞/TIAの既往ありで少ない傾向

4)大出血の独立危険因子年齢、拡張期血圧90以上、COPDまたは消化管出血の既往、抗血小板薬使用、貧血

5)大出血減少の要因;女性、拡張期血圧90未満

【結論】
リバーロキサバンとワルファリン間で主要安全性評価項目(大出血及び臨床上問題となる小出血)に差はなし。年齢、性別、拡張期血圧、消化管出血の既往、抗血小板薬使用、貧血は大出血リスクと関連あり。

### ROCKET AF試験は他の試験と安全性の主要評価項目はやや異なっており、ISTH基準の大出血に加えて大出血基準に該当しないが治療を必要とする小出血も含まれています。

消化管出血、抗血小板薬使用は当然として、拡張期血圧90以上、COPD、軽度貧血がリバーロキサバン群のみならずワルファリンも含む抗凝固薬に当てはまる出血リスクとして注意しなければならないということで参考になります。
by dobashinaika | 2013-12-11 23:39 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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