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”誰が医師の効果を決めるのか”:JAMA誌

JAMA. Published online October 13, 2014. doi:10.1001/jama.2014.13304
Who Determines Physician Effectiveness?
Paul J. Hershberger et al


JAMAから。動機づけ面接に関する見解

・医師は患者の行動を管理しないが、医師の有効性は患者の行動によってより規定される、という逆説がある。
It is a paradox. Although physicians do not control patient behavior, physician effectiveness is increasingly determined by patient behavior.

・医師の効果を各種生物学的マーカーで表す傾向があるが、実際のアウトカムへの医師の寄与は限定的

・医学的ケアはアウトカムの変化の10%に寄与しているのみ
・50%は行動社会的因子に関連

・いろいろな健康因子はあるが、つまるところ患者のアドヒアランスに規定される
ノンアドヒアランスは30〜50%とみられる

・教育、ポジティブ志向(ネガティブ志向より4〜10%寿命が上昇)が大切

・たくさんの変数があるのであり、医師の効果をアウトカムだけによるとするのは不正確で不公平
・学生のアウトカムは、先生に起因するばかりではないのと同じ。

・より良い指標が見つかるまで、環境因子を見据えながら自らののベストを尽くすべき

・このようなジレンマへの対策は治すことと教えることーすなわち医学教育で伝統的に強調される患者中心介入モデルである
・しかし命令や推奨、教育が必ずしも患者行動を変容させるとは限らない
・多くは患者の責任に帰結される
患者教育だけを強調すると患者医師共にフラストレーションが溜まる
・患者は医師を無責任だと思うし、医師は患者を言うこと聞かないと思う

・代替案としては、より患者中心の立場に立ち、患者の症状だけでなく環境や状況、視点、障壁、ストレス、ゴールを尋ね、傾聴し、理解することがある。
・患者の行動は、病院や診察質で習ったことよりも生活する上で行き渡っている状況や環境によるところが大きい。
・患者の記憶には、与えられた約束の中でかわされる言葉はわかりにくい。

・医師は患者の自立性と責任を支持するように気をつける。
・例として動機付け面接がある。これは患者の中の葛藤に焦点を当てる
・動機づけ面接は、患者の教育や患者の知識、関心などはひとまず置く
・共感的傾聴、開かれた質問がなされる
・たとえば、HbA1c9.2% のような医療と減量、糖尿病教育が必要と思われるアドヒアランスの低い患者と、そのことで討論するのではなく、糖尿病管理以外でその人の最も関心のあることを尋ねる
・医師は患者の葛藤について習得する:たとえば透析は怖いが、目の前のストレスのある仕事や家族の事のほうが、薬剤のアドヒアランスを良くすることより優先だということ。
・患者は健康についてどうよくしたいのかと聞かれる
・このことは、医師にかかわらず患者が決断の担い手であると、現実的に理解することである
・そうしたコラボ的なアプローチは、患者の意思決定を左右する因子を考えることを必要とする
・システマティックレビューやまた解析で動機づけ面接の有用性が示されている
・HbA1cが良くなかった場合、健康行動の何が患者を変えるのかを探ることが重要

・医師は患者の満足度も評価し、患者はよりポジティブな経験を医師に報告するようになる

・そうしたアプローチは患者のノンアドヒアランスに不満な医師にも良い効果がある
・患者と一緒にゴールを決めればフラストレーションは軽減される

・障害としては時間制限、不十分なスキル、医師の役割に対する認識

・医師としてのダイレクトな効果は少なくなるが、患者の健康アウトカムがその医師を評価することになる。
・医師は患者の行動をコントロール出来ない、しかし患者の行動への影響を軽視することは患者のアウトカム、及び医師の効果を何が規定するかということををおろそかにすることである。

###米国の家庭医学の先生による「医師の効果」と「動機付け面接」に関する言説です。

冒頭から医療がアウトカム変化の10%にしか関係しないとの引用があり、面食らいます(元論文を読むと発症急性期と感染症は、医療の関与が大きいとは書いてあります)。

たしかに毎回毎回血圧がちょっと高くなってきたから薬を増やそうと躍起になったり、塩分摂り過ぎに注意してね、などと一言言うだけの外来の意味を、誰しも感じるので、そこをついてくるデータです。

血圧やHbA1cのような生物学的アウトカムを一旦カッコにくくって、どうでもよいことにして(?)、その外枠にある患者内部の矛盾をまず明らかにしようということですね。この思想はいいですね。医者が一旦は楽になります。数字にこだわわなくなれれば、たしかに患者さんと楽しい会話ができそうです。ただし患者さんの自己効力感を引き出すとなると大変です。

ただこれ読んで思うのですが、こうした動機づけ面接の目的そのものもカッコに入れて、つまり患者さんの矛盾を明らかにしたり自己効力感を高めるなどのアウトカムそれ自体も気にせずに、本当に世間話だけの外来をして医学的アウトカムがどうなのかなと。案外、一生懸命患者中心の面接をするより、世間話だけのほうが良かったりして^^。

改めて、医者は診察室の中で何をしているのか、と考えてしまいます。

あ、でも最近とても生きていてよかったと思うのは、大病して、入院して、外来に一定期間でなかったあとに、患者さんに会うと、復帰したことをものすごく喜んでくださる方がこんなにいらしたのかということです。握手されたり、涙を流される方もおられて、医師が患者を不安にさせるなんて、ある意味医師失格ですが。でも医師とは、その背景が科学的世界偏重であれ、ナラティブ重視であれ、存在そのものが「患者が安心するというアウトカム」向上にかなり寄与している(もちろん信頼関係が前提)、また寄与したい存在であるということは最近の実感です。

動機づけ面接のwiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/動機づけ面接

江戸末期から続く、ご近所のお醤油屋さん。建物は昭和初期の商家建築です。ここのピリ辛味噌病みつきです。(減塩中につき少しだけ^^)
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by dobashinaika | 2014-10-21 23:56 | 医療の問題 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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