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不適切なポリファーマシーを減らす:Deprescribing=減処方のプロトコール表:JAMAIM

Reducing Inappropriate Polypharmacy The Process of Deprescribing
Ian A. Scott et al
JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2015.0324
Published online March 23, 2015.


JAMAIMから、不適切なポリファーマシーを減らすプロセスについての論説がでています。
最も主要な「Deprescribing=減処方のプロトコール表」をご紹介します。

<減処方プロトコール>

Key Step
1.患者が服薬しているすべての薬剤とその服薬理由を確認:
・患者(と介護者)に全薬剤(処方、代替補完医療、処方箋なし)、受診や宅配時の薬剤配送用具を持参するよう頼む
・患者に(個人的な方法で)、処方されているが服薬していない薬剤(高額、副作用などで)について尋ねる

2.減処方の要求程度を決めるために、各患者の薬剤誘発性有害事象のリスクの考慮
・薬剤因子:薬剤の数(最重要予測因子)、高リスク薬剤の使用、過去または現在の毒性
・患者因子:80歳以上、認知機能低下、複数合併症、薬物乱用、複数処方者、過去または現在のノンアドヒアランス

3.各薬剤を中断する妥当性を評価:以下のポイントチェック
ー不的確な適応
ー処方カスケードの一部かどうか
ー潜在的な利益を明らかに上回る薬剤の実際的あるいは潜在的な害
ー疾患および/または症状管理が無効、または症状が完全に改善
ー予防薬が患者の余生の人生設計に全般に関わる重要な利益を産まない
ー薬剤に明らかに受け入れがたい治療負担がある

4.中断の優先順位付け
・以下の3クライテリアによる
(1)最大の害と最小の利益
(2)中断しやすさ:例)中断時の副反応やリバウンドの低さ
(3)患者が最も中断したがっている薬剤
・高リスク低利益から低リスク高利益への順位付け

5.薬剤中断の実装とモニター
・管理プランの説明と患者同意
・害(中断の副反応や疾患再発)と利益(副作用消失)が特定の薬剤に起因することを確認のために一時に1つの薬剤を中断
・中断による害のないようにする。患者と介護者に害の発見と報告、起きた時の対処につき教育
・すべての医療者と患者関係者(介護者、家族)との計画や費用に関するコミュニケーション
・中断の理由、アウトカムの全記録

3については、もっと各論が書いてありますが、膨大なので、後日時間があったらアップします。

まとめますと
1.全薬剤のリストアップと処方理由の確認
2.各薬剤の有害事象がどのくらい起きやすいかを考える
3.中断が妥当かどうかを考える
4.中断の優先順位付けをする:利益と害、中断しやすさ(リバウンドのなさ)、患者の希望
5.実際のプラン作成とモニタリング

の5プロセスです。

### 31日に開花宣言した当院の桜(盆栽)。本日満開を迎えました!!
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by dobashinaika | 2015-04-04 00:48 | 医療の問題 | Comments(0)

GRADEシステムを用いると欧米の心房細動ガイドラインでの抗不整脈薬推奨と利益相反に疑問:JAMAIM誌

JAMA Intern Med 2月17日付オンライン版より

Dronedarone for Atrial FibrillationThe Limited Reliability of Clinical Practice Guidelines
Primiano Iannone, et. al.
JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2013.14485


【疑問】心房細動ガイドラインにおけるドロネダロンの推奨度は妥当か?

【方法】
・抗不整脈薬ドロネダロンに関し、医療系学会からの3つのガイドラインを検証した
・3ガイドラインはAHA(アメリカ)、CCS(カナダ)、ESC(ヨーロッパ)
・GRADEシステムを用いて評価

【結果】
1)レートコントロール薬として:サロゲートマーカー(心拍数)に関してはプラセボよりドロネダロンが優る

2)リズムコントロール薬として:ドロネダロンはプラセボに比べて1000患者あたり13(95%CI;−15〜61)の超過死亡に関連した

3)アミオダロンに比べ、ドロネダロンは効果が低い:1000患者あたり214(130〜294)回多く心房細動が再発

4)アミオダロンに比べ忍容性は同等:薬剤中止となった重度副作用イベント1000患者あたり−28 (−69〜 33)

【結論】
エビデンスの限界にかかわらず、3つのガイドライン全てで心房細動の再発予防にドロネダロンが推奨されていた。今回の知見はこうした臨床ガイドラインの信頼性だけでなく、多くの作成委員とドロネダロンの製薬会社との金銭的関係に疑問を投げかけるものである。

### 限りなく興味深い論文です。イタリア・ボローニャのEmilia Romagna Health and Social Care Agencyというおそらく民間の疫学調査会社のようなところ(?)のEBM部門からの発信と思われます。まったくガイドラインメッタ斬り、という感じです。
全文入手しましたのでかいつまんで紹介します。

ドロネダロンは日本では発売されていませんが、アミオダロンからヨードを排した構造で「副作用の少ないアミオダロン」として注目された薬でした。

AHAガイドラインでは推奨度IIaで「発作性あるいは持続性心房細動の停止後の患者で心血管イベントを減らすために妥当」とされ、「NYHAIV、過去4週以内の非代償性心不全、LVEF35% 以下」は推奨度IIIで禁忌となっています。
ESCでは、再発性心房細動に対して推奨度I、エビデンスレベルAであり、持続性心房細動には推奨度IIIとなっています。(カナダは調べていません、すみません)

今回のガイドラインの評価法にはGRADEシステムが用いられていますが、GRADEはすでに多くのガイドラインに採用されたシステムで、上記のCCSのガイドラインもこの方法を採用していたと思います。詳細は以下のサイトなどを参照ください。
http://www.grade-jpn.com/

ドロネダロンは以下のブログで取り上げましたが、ATTENA試験では入院を減らしましたが、心不全患者対象のANDROMEDA試験では死亡例が増加し試験中止となりました。そして永続性心房細動対象のPALLAS試験でも全てのアウトカムを悪化させたため中止となっています。
http://dobashin.exblog.jp/14029569/

GRADEシステムは推奨の強さをエビデンスレベルだけではなく、価値観や好み、医療資源などを考慮して判定するもので、観察研究のエビデンスに基づく強い推奨や、質の高いエビデンスに基づく弱い推奨もあり得るシステムです。その推奨度はあくまで望ましい効果と望ましくない効果のバランスで決まります。

ですからたとえATTENA試験で入院をへらしても、真のアウトカムである死亡に関してはプラセボとかわらないため臨床上のアウトカムとしては「示されていない」と判定されます。

こうしたアウトカム判定もさることながら、「ガイドラインの質の評価」が興味深いです。Institute of Medicine(米国医学研究所)のチェックリストに基づいて透明性、利益相反の管理、作成グループの構成、ガイドラインとシステマティックレビューの連携などの8基準のチェックリストで3ガイドラインを評価しています。利益相反のパートでは、AHAガイドラインでは12メンバー中4人、CCSは34人中19人、ESCでは25人中10人が製薬会社と何らかの金銭的関係があったと指摘され、それぞれ利益相反管理の評価点は"partial"(一部)となっています。

アウトカム評価については意見の別れるところもあると思われますが、ガイドライン自体の評価を論文に掲載してしまうあたり、JAMAの懐の深さを思います。

この論文を読んでしまったら、当然日本のガイドラインはどうなのか、に興味が移りますね。
by dobashinaika | 2014-02-25 00:11 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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