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抗凝固薬内服下で消化管出血を起こしたあとに抗凝固薬を再開すべきか:BMJ

Stroke and recurrent haemorrhage associated with antithrombotic treatment after gastrointestinal bleeding in patients with atrial fibrillation: nationwide cohort study
Laila Staerk, Gregory Y H Lip et al
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h5876 (Published 16 November 2015)

疑問:心房細動の抗凝固療法継続中に消化管出血を起こした人の抗凝固薬再開時における血栓塞栓症,大出血,再出血リスクはどのくらいか?

方法:
・デンマークコホート研究(1996〜2012年)
・心房細動の抗凝固療法施行時に消化管出血をきたし,抗凝固薬あるいは抗血小板薬を再開した症例
・退院90日後から追跡
・アウトカム:全死亡,血栓塞栓症,大出血,再出血

結果:
1)4602人(平均78歳),2年追跡

2)死亡:39.9%,血栓塞栓症12.0%。大出血;17.7%,再出血12.1%

3)抗凝固薬再開せず:27.1%

4)抗血栓薬再開例全死亡ハザード比(非再開例に比べ):抗凝固薬0.39,抗血小板薬0.76,両者0.41

5)抗血栓薬再開例血栓塞栓症ハザード比(非再開例に比べ):抗凝固薬0.41,抗血小板薬0.76,両者0.54

6)抗凝固薬再開のみが,大出血リスクを増加;ハザード比1.37

7)消化管出血再発は再開例,非再開例で同等
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意義:消化管出血後の抗凝固薬再開は再開しない例に比べて,死亡,血栓塞栓症を明らかに減らす。出血は増加するが。

資金;ベーリンガー・インゲルハイム社

### 抗凝固薬にNOACは含まれていない模様です。

またもデンマークでLip先生からの情報発信。
以前にもこの問題に関するメタ解析を取り上げました。この時は再開例の血栓塞栓症に関するハザード比は0.68でしたので,それよりも良い結果でした。
平均78歳と高齢集団にもかかわらず,やはり出血した場合でも再開したほうが良いということかと思います。
http://dobashin.exblog.jp/21285265/

もちろん,INRの厳格管理,血圧,PPI追加,出血源の同定などの施行は大切かと思われます。

あと,当然観察研究なので、非再開例の中には再開できないような重症例も含まれる可能性は押さえていくべき。

ただ,NOACだとどうするか。ほかのNOACに変えるべきか,低用量に変えるべきか。選択肢が増えただけに悩ましさも増えたように思います。
私はなるべくなら,RCTで消化管出血がワーファリンよりも増えないNOACに変えていますが,そうしたNOACでも消化管出血を経験していますので,あくまで暫定的です。
高齢者なら低用量にするという選択もあると思われます。

$$$きょうのにゃんこ。どこでしょうか
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by dobashinaika | 2015-12-01 22:15 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワルファリン内服下で消化管出血を起こした後のワルファリンの再開は?:TH誌

hromboembolic events, recurrent bleeding and mortality after resuming anticoagulant following gastrointestinal bleedingA meta-analysis
C. Chai-Adisaksopha et al
Thrombosis and Haemostasis Ahead of Print:2015-05-28


目的:消化管出血既往者の再開後の血栓塞栓症、再出血、死亡率を検討

方法:
・上記該当患者対象の第III相試験のシステマティックレビュー

結果:
1)3試験該当

2)ワルファリン再開後血栓塞栓症(再開しない時に比べ):(ハザード比0.68,95%CI 0.52 to 0.88, p < 0.004, I²=82 %)

3)再消化管出血率(再開しない時に比べて):(ハザード比 1.20,95%CI0.97 to 1.48, p = 0.10, I² = 0 %)

4)死亡率:(ハザード比0.76,95%CI0.66 to 0.88, p < 0.001, I² = 87 %)

結論:このメタ解析からは、消化管出血後のワルファリンの再開は、明らかな消化管出血を増やすことなく、血栓塞栓症の減少、死亡率の減少に寄与する。

### 該当した3試験のうちのひとつは以前のブログで取り上げています。
http://dobashin.exblog.jp/16227361/

この論文でもそうですが、再開は大体1週間以内に行われているようです。
論文に記載はありませんが、消化管出血と一口に言っても、出血性潰瘍なら止血後PPIを開始(処方していない例の場合0、大腸ポリープなら切除術を行うというふうに、再出血防止策が概ね講じられると思われますので、再出血は少なくなるのだろうと思われます。

となると再開しない場合当然ながら塞栓症にノーガードとなるので、非常に危険ということになります。NOACで起こした場合は、例えば消化管出血が少ないとされる他のNOACまたはワルファリンへの変更後再開ということもあり得るかもしれません。

「ワルファリン内服下で消化管出血を起こし中断した後も、そのままやめてしまってはいけない」というのが原則ということですね。

$$$ 冬の間はまんじりともしない池の鯉もこの時期のびのびしています。
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by dobashinaika | 2015-05-28 23:09 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

抗凝固薬内服中の頭蓋内出血の予後に出血後の中和と降圧が関連:JAMA

Anticoagulant Reversal, Blood Pressure Levels, and Anticoagulant Resumption in Patients With Anticoagulation-Related Intracerebral Hemorrhage
Joji B. Kuramatsu et al
JAMA. 2015;313(8):824-836

重要性:抗凝固薬使用が増えてきているが、抗凝固薬関連の頭蓋内出血に関するデータは大幅に不足している

目的:中和、血圧が頭蓋内出血の拡大や抗凝固療法再開に与える影響について評価する

デザインその他:
・後ろ向きコホート研究
・ドイツの19の三次医療施設。1176例=長期身体機能評価。853例=血腫増大評価。719例=抗凝固薬再開評価

介入:
・急性期中和。4時間後の収縮期血圧、抗凝固薬の再開

アウトカム:血腫増大頻度とINR、血圧との関係。虚血あるいは出血イベント頻度(抗凝固薬有り無しで)。身体機能に影響する因子(mRankinスケールスコア別)

結果:
1)血腫増大:307/853:36.0%

2)血腫減少率:
発症4時間後INR<1.3 vs. ≥1.3:19.8% vs. 41.5% ; P<0.001
血圧<160vs. ≥160:33.1% vs. 52.4% ;P<0.001
発症4時間での中和 (INR<1.3)+降圧(<160):18.1% vs. 44.2%: OR0.28; P<0.001

3)入院率:
発症4時間での中和 (INR<1.3)+降圧(<160):13.5% vs. 20.7%: OR0.60; P<0.03

4)抗凝固薬再開例:(全体の)23.9%
再開後血栓症イベント:5.2% vs. 15.0%:P<0.001(非再開例比)
出血合併症:有意差なし
死亡率(Propensity scoreマッチ後ハザード比):0.258 (0.125-0.534;P<0.001)

結論:抗凝固療法下の頭蓋内出血患者では、4時間以内のINR<1.3と収縮期血圧<160が血腫増大リスクの低下に関連していた。抗凝固療法再開は塞栓症イベント減少に関連していた。検証と前向き試験が必要。

### 全例ワルファリンで、中和はPCC, FFP, アンチトロンビン、ビタミンKなどの組み合わせ、となっています。

大変興味深い内容ですね。血圧管理の大切さもさることながら、出血後の抗凝固薬再開の妥当性が伺われます。

ただ最近出た日本の脳卒中センターにおける頭蓋内出血時の血腫増大率はNOACで17%、ワルファリンでも26%で今回の研究よりも良いですね。日本の医療施設の急性期治療が適切さなのか。興味深いです。
http://dobashin.exblog.jp/20931826/

$$$ 散歩中みつけた石碑。「疱瘡神」とあります。Wikipediaによれば「疱瘡(天然痘)を擬神化した神」と書いてありました。奥の深いものがありそうです。
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by dobashinaika | 2015-03-03 17:57 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

NOAC服用中に脳卒中を発症したらいつから再開すべきか:IJS誌のレビュー

International Journal of StrokeVolume 9, Issue 5, pages 627–632, July 2014
Management of acute stroke in patients taking novel oral anticoagulants
Graeme J. Hankey et al


NOAC服用者の急性虚血性脳卒中 (AIS)における管理の仕方に関しての総説がありました。
脳血管専門医に聞かないとなかなかわからないようなことなので、参考になります。

どの程度の信頼性があるか不明で恐縮ですが、一応推奨部分だけ紹介しておきます。
妥当性、信頼性については本文を参照の上ご判断ください。

<急性虚血性脳卒中後>
1.病歴や検査から抗凝固効果がない、またはNOACの最終服用(腎機能正常)から半減期の2倍の時間が経過したら、NOAC内服下の患者の血栓溶解は開始されるべき

2.ダビガトラン内服者では、臨床的に確かな抗凝固効果がなければ血栓溶解は考慮されるべき。抗凝固効果は以下の検査で評価(最終服用の4時間後)
・正常トロンボ時間
・正常ECT(エカリン凝固時間)
・正常ヘモクロット

正常なaPTTそれ自体は抗凝固能欠所の十分な証拠とは考えられないことに注意

3.リバーロキサバン、アピキサバン内服中のひとの虚血性脳卒中後は、最近内服が少なくとも24時間前か、色素生成Xa因子測定で残存する抗凝固効果がないことが確認されなければの血栓溶解はすべきでない。

<AIS後、いつからNOACによる抗凝固を再開すべきか>
1.いつ再開するかは、梗塞サイズなどの、AIS時の出血形成のリスク因子を患者ごとに考慮にいれることが勧められる。再開のタイミングに関する妥当な臨床データは欠如しているが、大雑把に1ー3ー6ー12デイルールが支持されている。TIAの1日後、後遺症の残さない小梗塞の3日後、中等度の梗塞の6日後から開始する。大きな灌流域を占める大梗塞では2~3週経過するまで再開しない

2.ガイドラインより早期の再開は再発リスクの高い小梗塞において考えられるべき。ただし以下の様な出血形成のリスクが低い場合
・血圧管理良好(140未満)
・正常血小板数

MRI(または数日後のCT)での目に見える虚血性変化なしの患者はもっと遅らせることなく、抗凝固療法を安全に再開することができる

<脳内出血後>
1.脳出血後の再開の判断はその患者の相対的なリスクベネフィットのプロファイルによる。言い換えると、抗凝固薬の有無でCHの再発リスクの評価と脳梗塞祭がつリスクがどう変わるかによる

・抗凝固療法他の患者の脳出血再発を正確に予測する信頼できるデータはない
(a)脳出血再発リスクは脳葉型出血、虚血性脳卒中の既往、糖尿病、抗血小板薬使用例でより増加するだろう
(b)脳卒中/全身性塞栓症の再発リスクは、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア高値例や、経食道エコーで左心機能低下例、左房拡大例、左房内血栓例で高い
(c)脳出血再発リスクはコントロール良好な血圧の時は低いだろう

・いくつかの試験では脳出血後10~30週後に再開するのが妥当と言っているが、他の試験では血栓塞栓リスクが高く出血リスクが低い例では1~3週の早い再開勧めている
by dobashinaika | 2014-07-14 23:54 | 脳卒中後 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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