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日本人の心房細動例では脳梗塞/TIAの既往例でもINRは1.6~2.6が良い :JSCD誌

Secondary Prevention of Stroke with Warfarin in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation: Subanalysis of the J-RHYTHM Registry
Eitaro Kodani et al
Journal of Stroke and Cerebrovascular
Published Online:December 22, 2015

P:Jリズムレジストリー登録患者7406人(平均69.8歳),2年またはイベント発生時まで追跡

I:脳卒中/TIA既往あり

C:既往なし

O:血栓塞栓症

T:後ろ向きコホート(観察研究)

結果:
1)男性,糖尿病は二次予防群で多い。年齢,CHADS2スコア(3.5 ± 1.0 versus 1.4 ± 1.0, P < .001)は二次予防群で高い

2)二次予防群はワルファリン処方率93.4%,TTR62.8%

3)血栓塞栓症:二次予防群2.8% vs. 一次予防群1.5%,P=0.004。特にワルファリンなしの例でその
差が大きい

4)大出血:二次予防群3.0% vs. 一次予防群1.7%,P=0.006。

5)血栓塞栓症+大出血の複合イベント発症率は,二次予防群でINR1.6~2.59に管理された例と一次予防群とは同等で,ワルファリン被覆用例よりは良好

結論:血栓塞栓症,大出血とも,脳卒中/TIA既往例でより効率に生じた。日本の非弁膜症性心房細動例では,INR1.6−2.59を目標とした二次予防症例は,一次予防例と同等の血栓塞栓症発症率であった。

### 二次予防であってもINRは1.6〜2.6で良いということが観察研究の上から実証された形です。しかも一次予防群とアウトカムは同じです。JリズムにはCHADS2スコア0〜1点の人も多数含まれていますので(平均1.4点),そうした人たちとCHADS2スコア2点以上(平均3.5点)の高リスク群とを比べてもINR低めでも同等ということですね。

ただやはりINRが1.6に近いよりは2.2前後のほうが良いように推察されますが,その辺の細かいデータがあれば見てみたいと思います。実際には二次予防群といってもTIAから大梗塞まで,CHADS2スコア2点から6−7点まで幅広いスペクトラムを含んでいますので,その辺を考えながらINRの強度を調節するのが実臨床かと思います。

$$$ きょうのニャンコ。庭に迷い込みました。
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by dobashinaika | 2016-01-04 18:23 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

日本では脳梗塞後の抗凝固薬に何が使われているのか?:Int J Stroke誌

Trends in oral anticoagulant choice for acute stroke patients with nonvalvular atrial fibrillation in Japan: The SAMURAI-NVAF Study
Kazunori Toyoda et al
International Journal of Stroke 1月12日


疑問:日本では脳梗塞急性期後の抗凝固薬に何が使われているか?

方法:
・NNAF患者の急性脳卒中登録1192例;女性527例、平均77.7歳
・2011年9月〜2014年3月
・多施設の登録研究(Stroke Acute Management with Urgent Risk-factor Assessment and Improvement-NVAF)
・退院時(入院中央値23日)の抗凝固薬選択を分析

結果:
1)抗凝固薬の内訳:
ワルファリン650例、ダビガトラン203例、リバーロキサバン238例、アピキサバン25例

2)使用の推移:10ヶ月頃3段階に分けるとワルファリンは46.5%に減少。NOACは48.0%に増加

3)ワルファリン服用例に比べたNAOC服用例の特徴:
男が多い、若い、より小梗塞例が多い、脳卒中前のCHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア、HAS-BLEDスコアが低い
退院時のNIH脳卒中スケールが低い、mRankinスコアが低い

4)NOACは、早期頭蓋内出血がない限り脳卒中後平均4日めに投与

5)NOACをより早く投与した例のほうが、遅い例に比べ脳梗塞巣は小さく、NIHスコアやmRankinスコアは低い

6)NOACの選択は20日以下の入院期間と関連あり:オッズ比2.46

結論:NOAC承認後当初であっても、脳梗塞急性期の抗凝固薬にはワルファリン選択が未だに多い。しかし、NOACの使用は徐々に増加している。ワルファリン服用者に比べNOAC服用者は脳梗塞は軽くそのリスクがより低い。早期のNOAC使用は安全と思われる。

### ダビガトラン発売半年後から昨年3月まで急性脳梗塞後の抗凝固薬投与の現状が示されています。この時点でまだワーファリンが半数以上、リバーロキサバンがダビガトランをやや上回っています。やはり1日1回でいいことや、胃管からも入れられることなども関与しているかもしれません。

もし今から3年間行ったら、ワルファリンはかなり少なくなっているような気もします。NOACは何が多くなっているのでしょうか?

$$$ 最近やみつきの牛たんカレーキューブです。
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by dobashinaika | 2015-01-13 22:05 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

米国の脳卒中/TIA二次予防での抗凝固療法に関する新ガイドライン:Stroke誌

AHA(米国心臓病学会)/ASA(米国脳卒中協会)による脳卒中/TIA(既往)患者の脳卒中予防ガイドラインがStroke誌5月1日付けオンライン版で発表されています。

心房細動患者の推奨のみまとめます。

Guidelines for the Prevention of Stroke in Patients With Stroke and Transient Ischemic Attack:
A Guideline for Healthcare Professionals From the American Heart Association/American Stroke Association
Walter N. Kernan et al
doi: 10.1161/STR.0000000000000024


【心房細動】
1)特に他の理由のない急性虚血性脳卒中/TIAにおける30日までの長期心臓モニタリングは、発症6ヶ月以内は合理的(推奨レベルIIa,エビデンスレベルC)(New)

2)ビタミンK阻害薬(I,A)、アピキサバン(I,A)、ダビガトラン(I,B):発作性持続性にかかわらずこれらはすべて非弁膜症性心房細動患者の脳卒中再発予防に適応される。
薬剤選択は、リスク因子、コスト、忍容性、患者の選好、薬剤相互作用、その他の臨床的特徴(腎機能、ワルファリン服用者ではTTR)により個別化されるべき

3)リバーロキサバンはreasonable (IIa, B)

4)VKA開始時はINR2.5 (2.0-3,0の範囲)目標を勧める(I, A)

5)抗凝固薬と抗血小板薬の併用はすべての患者に適応すべきではなく、明らかな冠動脈疾患、とくに急性冠症候群やステンと植えこみ患者ではreasonable (I, A) (New)

6)抗凝固薬服用不可能患者では、アスピリンが推奨される (I, A)。アスピリン単独よりアスピリン+クロピドグレルがreasonable (IIb, B)

7)神経学的症状発症から14日以内の経口抗凝固薬の開始はreasonable (IIa, B)

8)出血高リスク群(大梗塞、初期画像で出血形成、管理不良高血圧、出血傾向)では、発症14日を超えての抗凝固療法開始がよい (IIa, B) (New)

9)抗凝固療法中断時は低分子ヘパリンによるブリッジ療法(ヘパリンに忍容性がなければ同等の抗凝固薬)が良いが、塞栓症と出血のリスクによる

10)Watchmanデバイスによる左心耳閉鎖の有効性は不明 (IIb, B) (New)

### リバーロキサバンだけ推奨度IIbとなっているのが一番目につきます。本文を読むと、消化管出血が多い、ワルファリン群のTTRが低いなどが、述べられていますが、なぜたと差別化されているのかの強い記載はないように思いました。

ROCKET AFはCHADS2スコア2点以上対象で脳卒中/TIA既往例が54%程度含まれていますが、RELYとARISTOTOLEは19〜20%でした。それだけ二次予防患者が多い対象であるがゆえに、そこで消化管出血などが多く、有効性、安全性ともワルファリンとの間に優位性は示されなかった(他の2薬は有効性、安全性のどちらかでは優位性が示されている)からですかね。
by dobashinaika | 2014-05-03 23:55 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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