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脳卒中予防(抗凝固薬)この1年:EHJ誌

European Heart JournalからThe year in cardiology 2015をご紹介いたします,各分野の昨年1年間の概観です。

まず arrhythmias and device therapyの部,
"Stroke prevention"

・大規模臨床試験により,NOACはNVAFの脳卒中予防において好ましい治療とされる
・2015年,4番目のNOAC,エドキサバンは多くの国で,ENGAGE AF-TIMI48試験結果から承認された。
・NOACの大規模試験のサブグループ解析が出来:アピキサバンの出血管理,アブレーション周術期のリバーロキサバンの管理(VENTURE-AF),エドキサバン服用者のアミオダロン併用時のアウトカムなど
・いずれもワルファリンに比べたNOACの効果と安全性,ひいては全体では優越性を示している
・これらは重要なリアル・ワールドデータ(リバーロキサバンのXANTUS研究を含む)でも裏付けられいてる

NOAC領域の最もエキサイティングな新機軸は紛れも無く特異的中和薬の開発である。
・モノクローナル抗体イダルシズマブ(ダビガトラン特異的)は第1相試験で,迅速かつ完全,継続的な効果をしめす
・イダルシズマブは第3相試験でも,重篤な出血において迅速な中和効果を示した
・FDAはイダルシズマブを2015年10月に承認。European Medicines Agencyは肯定的意見を出し,2015年終わりか2016年早々に認可予定
・イダルシズマブはXa阻害薬の中和には効果がなく,直接中和薬(andexanet alfaとPER977)が開発中
・第一報の結果は良好。2016年には大規模試験は組まれる
・これらは私達の臨床に重要な影響を与えるが,多くの問題は残る:患者のタイプ,中和の適応,抗凝固薬の再開など
・これらのことはEHRAのプラクティカルガイドによく書かれている。

・大規模デンマーク登録研究の新データはアブレーション後の患者の脳卒中が非常に低リスクであることを示している
・しかしながら,RCTが必要である。

### このまとめからは医学的な意義という点では,1)NOACの有効性安全性の確立 2)NOACの中和薬の有望性 の2点がトピックと言えます。
それにしても,まだESCはNOACでいいのですね。これを見るとDOACと胸を張って使うのもまだなんとなく気がひける気がします。

$$$ 久々のうちの家族登場
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by dobashinaika | 2016-01-13 23:10 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

薬を飲むことの意思決定は。常に理性と感情のせめぎあい

最近あまり取り上げなかったNOAC関連の話題を2題
ひとつはダビガトランの中和薬;idarucizumabがヨーロッパで迅速審査が進み承認されそうだというニュースです。
http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2015/09/news_detail_002399.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1

もう一つはイグザレルトが深部静脈血栓症(DVT)・肺血栓塞栓症(PE)の治療と再発抑制に対する適応追加承認を取得したとのことです。
http://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/index.php

NOACもだいぶ市場に出回り落ち着きを見せ,今後は中和薬,新しい適応取得などへと話題が移ってくるようですね。
いっぽうで,やはり当初思っていたほどには一般医家に普及していないようにも思われます。

抗凝固薬の本質は「(塞栓症予防という)ベネフィットが見えず,(出血)リスクがよく見える」です。
一方降圧薬,スタチンなどは「ベネフィットが見えて(数値が下がる),リスクは見えにくい(少ない)」薬です。

抗凝固薬はそもそも「一般に普及しにくい」という特性を生来背負っている,ある意味因果な薬剤といえると思われます。

患者さんにとっても医師にとっても,抗凝固薬の出血という有害事象は,目に見え,ある意味感情に左右される短期的なリスクです。これと比べて,抗凝固薬の本来の目的である塞栓症予防というのは,目に見えない長期的なリスクの回避であり,一時の感情というより論理的な思考が要求されます。この両者をどう考えるか。薬剤,特に抗凝固薬は後者のリスクに対する理性的判断が培えない限り,なかなか処方されることも服薬されることも広く普及しないように思われます。

ある意味感情と理性(システム1とシステム2)のせめぎあいですね,抗凝固薬にかぎらずすべての薬剤を服用すること,いや引いては全ての人間がなす意思決定は,つまりは本能的な反応や感情と理性的な論理思考のバランスでなされます。そういう意味では抗凝固薬の普及は人類の永遠のテーマを象徴しているとも言えるように思われます。

それでも少しずつ今回のような情報が共有され,各種の知恵と工夫により少しでも恩恵をこうむる人が増えるてくればいいですね。

$$$今日のにゃんこ。探してください。
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by dobashinaika | 2015-09-29 22:41 | 抗凝固療法:凝固系基礎知識 | Comments(0)

プラザキサの中和薬(イダルシズマブ)の臨床試験開始予定

プラザキサの中和薬の実質的な第III相試験が始まるようですね。

プラザキサによる大出血、またはアブレーション時のタンポナーデなどに塞栓症リスクを増やすことな口利用できるのか、興味あるところです。

http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=44790

このブログの薬と同じでしょうか
http://dobashin.exblog.jp/16751720/
by dobashinaika | 2014-06-03 23:55 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

新規抗凝固薬の答えのない問い(2)中和薬:T/H誌

T/H誌の「答えのない問」2問目です

Unanswered questions and research priorities to optimise stroke
prevention in atrial fibrillation with the new oral anticoagulants
Graeme J. Hankey
Thromb Haemost 2014 111 5: 808-816


【疑問 2】NOAC服用者が頭蓋内出血をきたした場合、緊急で中和できるか?もし出来るなら、出血や合併症を最小限にして、アウトカムを改善できるか?

・出血時の一般的処置として特異的、一般的中和薬、および抗凝固薬中止、圧迫、輸液、輸血薬剤吸収(活性炭)、抗凝固薬の排泄まで待機などがある

・NOACの特異的中和薬は現在使えない
・ダビガトランに関しては中和薬(Dbi-Fab)が臨床試験で評価されている:トロンビンよりもダビガトランにより結合するヒト抗体フラグメントで迅速な中和が確認されている
・Xa阻害薬に関してはr-Antidote (PRT06445)が開発中:FXa阻害薬に結合するリコンビナント蛋白

・非特異的止血剤としてのepsilon-aminocaproic acidやrFVIIa(リコンビナント活性化因子)をICH発症4時間以内に1,398例に投与した試験では、予後改善やイベント増加なし

・臨床データはないが、動物レベルではプロトロンビン複合体製剤(PCC)がダビガトラン関連のICHの増大を防いだ。また新鮮凍結血漿がリバーロキサバン関連ICHの拡大を防止した

・PCCはリバーロ投与前のボランティアの延長したPTを是正したが、ダビガトラン投与中の延長したaPTT, ECT, TTは是正しなかった
・別な試験ではPCCの追加はPTやリバーロによるトロンビン生成までのラグタイムを正常化させない。ただし全体のトロンビン潜在能は正常化させる
・PCCやFEIBA,活性化PCCはダビガトラン150mg、リバーロキサバン20mgの抗凝固効果を中和させる(健常ボランティア)
・同様にリコンビナントVIIa因子はダビ150により延長したラグタイムを是正し、リバーロによるラグタイムとピーク値までの時間を是正する

・近年、ダビガトラン関連のICH治療に関するコンセンサスは、少なくとも米国の脳血管にの間ではない。
ダビによるICH時の使用薬剤は:PCC61%,新鮮凍結血漿53%、VIIa因子24%、透析24%、血小板輸血7%

・適切なアッセイとパラメーターに関する前向き試験が必要

・ICHに対する、非活性化PCCとFEIBAの出血率や出血量への効果、出血合併症、塞栓症リスク、生存率、後遺症、凝固マーカーに関するRCTが必要
・それらは科学的に迅速な中和や生存率改善が未だ示されていないので、偽薬を対照群にするのは問題ない
・実際、中和薬がなく、全身投与されなかったからといって、NOACによる大出血がワルファリンより致死的結果に至ったという証拠なし

### なかなか悩ましいですね。ワーファリンよりは頻度が少なく、起きても出血量が少ないわけではありますが、脳血管専門の先生にとっては、早く出てきて欲しい薬剤だと思います。現在盛んに開発されているわけですが。もうすぐなのかな。
by dobashinaika | 2014-05-12 22:50 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)

リバーロキサバン服用者の大出血後のアウトカムはワルファリン出血と同等;EHJ誌

EHJ 3月21日オンライン板により

Management of major bleeding events in patients treated with rivaroxaban vs. warfarin: results from the ROCKET AF trialdoi:10.1093/eurheartj/ehu083

【疑問】Xa阻害薬による大出血時の管理はどうすればよいのか?

【方法】
・ROCKET-AF登録患者対象
・大出血時の対処法につき解析

【結果】
1)平均追跡期間1.9年。大出血例779例5.5%・113.2イベント/100人年:リバーロ群ワル群とも同等

2)イベント毎の濃厚赤血球輸血数:中間位両群とも2単位:25th2単位、75th4単位

3)輸血患者は少ない:全血14例、血小板輸血10例、クレオプレシピテート2例

4)新鮮凍結血漿:リバーロ群で有意に少なかった:45単位vs. 81単位:オッズ比0.43 (0.29-0.66); P<0.0001

5)プロトロンビン複合体製剤;リバーロ群で少なかった:4例vs. 9例

6)大出血後のアウトカム(脳卒中、全身性塞栓含む):リバーロ群4.7%vs. ワル群5.4%;HR0.89(0.42-1.88)

7)全死亡:リバーロ群20.4%vs. ワル群25.6%・HR0.69 (0.46-1.04) :交互作用はリバーロ群P=0.51,ワル群P=0.11

【結論】ROCKET AFにおける大出血既往のハイリスク患者においては、FFPとPCCの使用はワルファリン群に比べて、リバーロキサバン群で少なかった。
しかし、濃厚赤血球の使用と出血後のアウトカムには差はなかった。

### Xa阻害薬使用時の大出血に対しては、FFPやPCCはあまり使われなかったにも関わらず、出血後のアウトカムはワルファリンと同等であったというのが主要メッセージです。

リバーロキサバンの中和薬は以下のブログで紹介したように開発中だと思われますが、ワルファリンのようにPCCが効果的とのデータは限定的でした。
http://dobashin.exblog.jp/17716782/

また抗凝固因子自体の投与例は大変少なかったとのことです。

特殊な中和薬がなくても、その後の輸血や一般的な出血管理でワルファリンの出血とアウトカムが変わらないとなれば、一生懸命中和薬を開発しなくても良いような気もします。おそらくすみやかに体内から排泄されるからか、または消化管出血などが多く、中和薬無しでも輸血だけで対処できたからかもしれません。あるいは頭蓋内出血でもNOACにおいては出血量が少ないというレポートを最近良く聞きます。そうしたことが影響しているかもしれません。

あくまであとづけ解析であり、また救急医にはINRがわかっており、治療時にはバイアスがかかっていると思われます。
by dobashinaika | 2014-03-26 22:58 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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