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ワルファリンから新規抗凝固薬への切替時のイベント:Br J CP誌

Br J Clin Pharmacol 4月2日オンライン版より

Safety of switching from Vitamin-K antagonists to dabigatran or rivaroxaban in daily care - results from the Dresden NOAC registry.

【疑問】ワルファリンからNOACへの切り替えは安全か?

【方法】
・2011年10月から2013年6月までに登録した心房細動患者2231人中、ワルファリンからNAOC(ダビ、リバーロ)への切り替えを行った716人対象
・評価可能な546人中410人(75.1%)で、ワルファリン中牛前10日以内あるいは、その後にINR記録あり:平均INR2.4
・気鋭変え後30日間のイベント追跡

【結果】
1)切り替え後30日間の大出血はまれ:0.3%(0.0〜1.0)。全体の出血率は12.2%

2)心血管イベント:0.8%

3)INR測定ー非測定間で有意差なし

4)毎日ケアした患者においては、NAOC導入前に75%でINR測定あり。

5)ワルファリン最終服用後、平均2〜5日でNOACが開始された

【結論】切り替え30日以内の心血管イベントと大出血はINRの記録の有無にかかわらずまれ。さらなるコホート研究必要

### 切り替えのプロトコール不明ですが、おそらく第III相試験通りでなく、INR記録群は日本の添付文書にあるようなINR低下を待ってからの切り替えと思われます。

INR記録なしでもイベントが少なかったというのは鵜呑みにできない気がします。偶然?私にはこわくて出きません。
by dobashinaika | 2014-04-10 00:08 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

超高齢者におけるワルファリンのネットクリニカルベネフィット:Circ A/E誌

Circulation A/Eより

Net Clinical Benefit of Warfarin Therapy in Very Elderly Chinese Patients with Atrial Fibrillation
doi: 10.1161/CIRCEP.113.000858


【疑問】超高齢者のワルファリン治療におけるネットクリニカルベネフィットは?

P:80歳以上の非弁膜症性心房細動2,339人(中国人)

E:ワルファリン

C:抗凝固療法なし

O:複合エンドポイント:虚血性脳卒中による入院あるいは死亡:平均追跡2.2年

【結果】
1)主要エンドポイント発症:1861人、79.6% ワルファリン群66.9%、非抗凝固療法群80.8%;HR: 0.53, 95% CI:0.48-0.58, p<0.001

2)死亡率:ワルファリン群:HR: 0.40, 95%CI: 0.37-0.45,p<0.0001

3)虚血性脳卒中:ワルファリン群:HR: 0.64, 95%CI: 0.54-0.77,p<0.0001

4)ネットクリニカルベネフィット:虚血性脳卒中510に対し頭蓋内出血42

5)非抗凝固療法群年間虚血性脳卒中発症率:11.3%、頭蓋内出血発症率:0.6%
ワルファリン群年間虚血性脳卒中発症率:7.1%、頭蓋内出血発症率:1,1%

6)ネットクリニカルベネフィットはすべての高齢者においてワルファリンがより良好

7)脳卒中と頭蓋内出血の高リスク例においてネットクリニカルベネフィットが最も良い

8)高リスク例においてはワルファリンは、非抗凝固療法群にくらべ7.2〜8.0イベント/人年少ない

【結論】超高齢者では、ワルファリン治療は低い死亡率よ虚血性脳卒中率、ネットクリニカルベネフィットに関連していた。

### 高齢者でもワルファリンのネットクリニカルベネフィットは良好ということで、これまでの各種報告に沿った内容ですね。TTRは気になるところです。あとアドヒアランスや転倒リスクなども。全文に当たれれば調べてみます。

ただ、エンドポイント発症が79.6%って、いくら80歳以上でも多すぎないでしょうか?これも本文にあたってみたくなる点のひとつです。
by dobashinaika | 2014-03-11 00:12 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

心房細動合併心筋梗塞例に対するワルファリン投与:JAMA

JAMA 3月5日号より

Warfarin, Kidney Dysfunction, and Outcomes Following Acute Myocardial Infarction in Patients With Atrial Fibrillation
Juan Jesús Carrero et al
JAMA. 2014;311(9):919-928. doi:10.1001/jama.2014.1334.


【疑問】腎機能低下例は、心筋梗塞のワルファリンによるアウトカムに影響するのか?

P;心房細動合併急性心筋梗塞生存者連続登録24,317人:スウェーデン。eGFR別に層別化

E:ワルファリン使用

C:ワルファリン非使用

O:1)複合エンドポイント:死亡、心筋梗塞、虚血性脳卒中による再入院 2)出血:出血性脳卒中、消化管出血による再入院。貧血につながる出血 3)退院1年以内の上記2結果のいずれか

T:コホート研究:SWEDEHEART登録:2003〜2010年

【結果】
1)退院時ワルファリン使用者は21.8%。CKD(eGFR60未満)は51.7%

2)一次エンドポイント:eGFRにかかわらずワルファリン使用者は非使用者よりリスク低い:eGFR60以上でハザード比0.73(0.65−0.81)

3)出血イベント:eGFRにかかわらすワルファリン使用者と非使用者でリスク同等:eGFR60以上でハザード比1.10(0.86−1.41)

4)一次と出血の集合アウトカム:eGFRによらずワルファリン使用者で低い:eGFR60以上でハザード比0.76(0.69-0,84)

【結論】ワルファリン治療は、心房細動合併心筋梗塞例において退院1年後の複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、脳梗塞)を減らし、出血は増やさず。この結果は腎機能に影響されない。

### RELYでもROCKET AFでも、ワルファリン群においてさえ腎機能低下に伴い出血リスクは増えたというデータが有るのですが、この登録研究ではあまり影響しないようです。iNRの管理状況がよかったからでしょうか?それとも非使用者でも出血イベントが多かったためか。全文にあたってみます。

同じスウェーデンからの報告では、特に高齢者で腎機能低下例では出血が多いようです
http://dobashin.exblog.jp/17265498/

抗血小板薬の併用状況も知りたいところです。

この結果からは、急性心筋梗塞患者が退院時に心房細動を合併していたら、腎機能低下をあまり気にすることなくワルファリンは必ず処方を考慮するという方向性が導かれますね。
あくまで観察研究ですが。
by dobashinaika | 2014-03-06 19:35 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

抗凝固療法を一時的に中断した場合の転帰は新規抗凝固薬とワルファリンとで違いがあるのか?

Circulation 2月10日付オンライン版より

Outcomes of Temporary Interruption of Rivaroxaban Compared with Warfarin in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation: Results from ROCKET AF
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.005754


【疑問】抗凝固療法を一時的にやめた場合の転帰はワルファリンとNOACとで違いがあるのか?

【方法】
・ROCKET-AF試験において、何らかの理由で一時的に服薬を中止(3〜30日間)した経験のある人対象


【結果】
1)一時的中止経験者:14236人中4692人(33%)

2)中止経験者のプロフィールは参加者全体と同様傾向

3)6%483人はワルファリンとのブリッジテラピー例

4)中止期間中(中止開始から30日間)の脳卒中/全身性塞栓症:有意差なし;リバーロキサバン群0.30% vs. ワルファリン群0.41%5)大出血リスク:有意差なし:リバーロキサバン群0.99% vs. ワルファリン群0.79%

【結論】経口抗凝固薬における一時的中断はよくあることだが、潜在的に脳卒中や出血のリスクに関連しておリ、それらリスクはリバーロキサバンとワルファリンとで同等。さらなる研究必要

### おそらく手術、ポリペクトミー、飲み忘れ等による中断だと思われます。大規模試験でさえ3分の1の方が一時的中止の経験ありというのも、なかなかに多い感じがします。

中止期間が不明ですが、抜歯時1周間休止すると1%の脳塞栓症があるという報告が、よく言われますので、それよりは少ない感じです。またワルファリンは中止した時のリバウンド現象が指摘されていますが、この研究ではNOACのほうが塞栓リスクが少ないというわけではなかったようです。

ワルファリンをずっとやめてしまったらどうなるかという論文はこちらhttp://dobashin.exblog.jp/18763480/
by dobashinaika | 2014-02-20 23:47 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

ビッグデータでみるとワルファリン管理状況はあまり良くない(米国):Circulation誌

Circulation 2月11日付けオンライン版より

A National Assessment of Warfarin Anticoagulation Therapy for Stroke Prevention in Atrial Fibrillationd
oi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.00260


【疑問】アメリカにおけるワーファリン管理状況はどうなっているのか?

【方法】
・INRデータが2ヶ月以上ある人で、INR1.2超、心房細動患者
・INR試験の頻度とTTRを年齢、性別、試験期間、プロバイダーごとの患者数、収入ごとより解析

【結果】
1)患者138,319人、医師37,939人、INRデータ2,683,674件

2)平均74歳65歳以上81%、75歳以上55%

3)平均TTR53.7%。治療開始からの時間に伴い改善:6ヶ月未満は47.6%→6ヶ月以上は57.5%(p<0.0001)

4)医師一人あたりの症例数とTTRは正の相関あり

5)若年者、女性、低収入はコントロール不良と独立に関連あり

【結論】
この研究は抗凝固管理が(最適とはいえず)次善の段階であり、米国において早急に改善が必要であることを示唆する。

### 米国のQuest Diagnostics Nichols Instituteという検査会社からのいわゆるビッグデータです。
13万人の患者データを元にTTRを割り出しており、恐ろしく大規模です。

こうして多くのデータで見ると全米のINR管理状況は必ずしも良いとが言えないようです。

多くのGPのデータも含まれると思われます。日本でTTRをしっかり計算してアウトカムを見たデータはこれまであまりなく、以下の専門施設を対象とした研究ではTTRは64%でした。しかしGPを含む広い範囲を対象とした研究はまだ論文ではでていないと思います。
http://dobashin.exblog.jp/13093882/

日本の医療機関はもっとこまめに管理していると思われますが、一般プライマリケア医レベルでしかも70歳未満を2〜3で計算すると、この研究と同じように、意外と高くない可能性もありかもしれません。
by dobashinaika | 2014-02-11 22:55 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

経食道エコーで血栓がないことを確認したら心房細動にはアスピリンでも良いのでは?;Heart誌

Heart 1月31日オンライン版より

Aspirin versus vitamin K antagonist treatment guided by transoesophageal echocardiography in patients with atrial fibrillation: a pilot study
Heart doi:10.1136/heartjnl-2013-305017


【疑問】経食道エコーで血栓がないことを確認したらアスピリンでも良いのでは?

P:中等度リスクの非弁膜症性心房細動238例:経食道心エコーで心房内、大動脈内に血栓がないことを確認

E:アスピリン

C:ビタミンK阻害薬

O:主要アウトカム:脳卒中+大出血+末梢塞栓+全死亡

【結果】
1)平均CHA2DS2-VAScスコア2.1点、平均1.6年追跡

2)主要アウトカム:アスピリン3.2% vs. VKA6.1% :p<0.0001(非劣性)

【結論】
この予備調査で、経食道心エコーが発作性心房細動の脳卒中リスク最評価に有用である可能性が示唆された。大規模試験が必要

### 大変興味深いですね。中リスク例では経食道心エコーで血栓なしならアスピリンでOKという結論です。
主要アウトカムのうち、何が効いていたのか、知りたいところです。

日本でアスピリンがだめとなったJAST試験は、CHADS2スコア1点くらいの低リスク対象でした。CHA2DS2-VAScスコア2点なので、同等のリスクくらいかと思われます。

ただしこの集団で経食道心エコーで血栓が認められた例がどのくらいいるのかも勘案する必要がありますし、やはりメカニズムから言って抗血小板薬が左心耳血栓予防に効く可能性は薄いと思いますので、もう少しデータがないと今の日本のガイドラインは覆せないと思われます。
by dobashinaika | 2014-02-10 00:09 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

透析患者へのワルファリン使用は脳卒中リスクを低下させず出血は増やす:Circulation

Circulation 1月22日 オンライン版より

Warfarin Use and the Risk for Stroke and Bleeding in Patients with Atrial Fibrillation Undergoing Dialysisdoi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.004777

【疑問】透析施行中の心房細動患者におけるワルファリンと脳卒中及び出血リスクの関係は?

P:カナダ、ケベック州とオンタリオ州で心房細動のために入院した65歳以上の患者(204,210人)のうち透析施行例1,626人(1998年〜2007年);後ろ向きコホート

E:ワルファリン使用例

C:ワルファリン非使用例

O:ワルファリン使用(退院30日以内)による脳卒中と出血の有無

【結果】
1)ワルファリン処方率46%:ワルファリン処方例で非処方例に比べ心不全、糖尿病が多く、先行出血は少ない

2)ワルファリン使用と脳卒中リスクは関連なし(ハザード比1.14;0.78〜1.67)

3)ワルファリン使用例で出血多い(ハザード比1.44:1.13〜1.85)

4)Propensityスコアで補正しても同様結果

【結論】
今回の結果からは、透析施行中の心房細動患者におけるワルファリン使用は脳卒中リスクを減らさず、出血リスクを高めた。

### 透析患者における抗凝固療法のリスク/ベネフィットについては、いいエビデンスがありません。
重症患者さんですので無作為割付は難しい面があるからでしょう。

その辺のことは以前ブログでも取り上げたレビューに詳しいです。
http://dobashin.exblog.jp/12326439/

この研究も後ろ向きコホートですので、バイアスはいっぱいです。
そもそもCHADS2スコア、HAS-BLEDスコアが不明です。非使用例でCHADS2スコアが低く、いきおいHAS-BLEDスコアが低いので出血がより少なかったのかもしれません。

INR管理状況も不明です。

ただし、後ろ向きながらこれまでこのくらいの規模のコホート研究はなかったように思います。
各種ガイドラインな土にも記載はないようです。YpToDateではCHADS2スコア2点以上で一応ワルファリンが推奨となっていたかと思いますが、その推奨にある示唆を与える研究かもしれません。
by dobashinaika | 2014-01-29 23:56 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

抗菌薬に関わらず上気道感染はワーファリンの作用を増強させる;米保険会社データベースより:JAMAIM

JAMA Intern Med 1月20日付オンライン版より

Warfarin Interactions With Antibiotics in the Ambulatory Care Setting doi:10.1001/jamainternmed.2013.13957


【疑問】抗菌薬はワーファリン管理にどのように影響するのか?

P:コロラド州のカイザー保険加入者で2005年1月〜2011年3月までにワルファリンを投与された患者

E:抗菌薬投与:5857例48.8%

C:健常でワルファリンのみ(stable control):5579例46.5%、上気道感染ありで抗菌薬なし(sick control):570例4.7%

O:INR5.0以上の患者の割合。登録日前の最後のINR測定とフォローアップINR間の変化

T;後ろ向きコホート

【結果】
1)平均68.3歳。心房細動44.4%

2)INR5.0以上の割合:抗菌薬群3.2%、sick control 2.6%、stable control 1.2%
抗菌薬vs stable;P<0.001, sick vs stable;P<0.017, 抗菌薬vs sick; P=0.44

3)がんの診断、ベースラインINRの上昇、女性はINR5.0以上の予測因子

4)抗菌薬群の中で、ワーファリン代謝に干渉するものはINR5.0以上の大きなリスク

【結論】
急性上気道感染は、抗菌薬使用の有無にかかわらず抗凝固作用過多のリスクを増加させる。抗菌薬もリスクではあるが、それまでワーファリン管理が安定している患者においては、抗菌薬投与あるいは上気道感染がINRを増させることにはならない。

### 抗菌薬使用の有無にかかわらずワーファリン管理には感染症それ自体が影響するとのことです。

一般にマクロライド系やアゾール系抗菌薬はINRを増加させることが知られています。
しかし私自身は、外来で単なる上気道感染に抗菌薬を使うことはほとんどありませんので、抗菌薬で1INRが変動したという経験は殆ど無いというのが実感です。

今回の論文では抗菌薬に関係なく感染そのものが良くないといいう結論ですが、本当なのかなという気がします。
感染症→脱水→腎機能低下→INR増強などの機序が思い浮かびますが。

一番の限界として保険会社のデータベースである点です。上気道感染と言ってもどの程度のものなのか、脱水をきたすような重症なものから単なるかぜまで様々と思われます。また後ろ向きコホートですから、交絡因子多数です。

また抗菌薬で何を使ったかも気になるところです。
ワーファリンと抗菌薬の併用については以下のブログに大変詳しい考察があります。
http://syuichiao.blogspot.jp/2012/12/blog-post.html

まあ上気道感染時はINR管理に注意、特に抗菌薬使用時には更に注意という警告として受け止めておきたいですね。
NOACでさえ、抗菌薬の併用注意はありますので私としては、上気道感染症であれば安易にクラリスなど処方しないことをまず肝に銘じたいです。

上記ブログではアゾール系、セフェム、ST合剤のオッズ比が高いとの報告が紹介されていますが、プライマリケアセッティングでセフェムは殆ど使わないし、アゾール系も無理して使う場面も少ないです。膀胱炎でバクタは重宝しますが、まあ3日間処方ですし。

どうしても使用せざるをえない時はINRをややこまめにモニターしつつペニシリン系などで切り抜けるというスタンスでやっています。
by dobashinaika | 2014-01-24 23:54 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

消化管出血後の抗凝固薬はいつから再開すべきか?;AJC誌より

Am J Cardiol 11月25日号オンライン版より

Restarting Anticoagulation and Outcomes After Major Gastrointestinal Bleeding in Atrial Fibrillation.

【疑問】消化管出血後,いつから抗凝固療法を再開すべきか

【方法】
・抗凝固療法施行下にもかかわらず消化管出血をきたした症例の後ろ向きコホート(2005〜2010年)
・1329例;平均76歳,女性45%

【結果】
1)ワルファリンが再開されたのは663例49.1%

2)ワルファリン再開は血栓塞栓症減少と関連あり:ハザード比0.71,95CI0.54-0.93.p=0.01

3)ワルファリン再開は死亡率減少と関連あり:ハザード比0.67,0.56-0.81,p<0.0001

4)ワルファリン再開は消化管出血再発とは無関係

5)出血7日後のワルファリン再開は,30日後の再開に比べ消化管出血リスク上昇とは無関係かつ,死亡率,血栓塞栓症減少とは関連あり

【結論】消化管出血7日後の再開は,消化管出血を再発することなく死亡率と血栓塞栓症減少に関連した

###このような報告は非常に貴重です。なぜなら,ワーファリン飲んでて消化管出血が起きたら,その後ワーファリンをどうするか本当に困るからです。再開して良いのか,再開するとしたらいつからが良いのか?全く先人のデータがなかったら,雲をつかむような話だからです。

EBMというのは,このように薬は続けたい,で副作用も怖いというようなジレンマ的状況に一つの光明を与えるようなものでなければなりません。出血しました→さて,その後ワーファリンを再開するべきかどうか。迷いに迷いますが,いずれは決めなければればならない難題です。臨床の現場はこのように二律背反的な一見判断不可能な問題にも関わらず,どちらかに決めなければならないという不可避的な問題の連続です。そこにわずかながらでも道筋をつけてくれるのがエビデンスなのだろうと思います。

同様の研究は以下を参照ください。
http://dobashin.exblog.jp/16227361/

こうした問いを発すると,より細かい問い,例えばINRをいくつにすべきか,低めにしたほうが良いか,輸血を必要とするような場合でも早期再開が良いのか,上部と下部では違うのか,といった問いが次々と出てきます。そうした問題設定の増殖がEBMのもう一つの特徴であり醍醐味であるように思います。

ただし後ろ向きコホートの限界には注意が必要。再開しなかった例が半数ですが,より出血が重篤かもしれず,両群間での背景因子に差がある可能性もあるので。
by dobashinaika | 2013-12-25 23:40 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワルファリン投与早期は非投与例より脳卒中リスクが高い可能性:EHJの症例対照研究より

European Heart Journal 12月18日付オンライン版より

Initiation of warfarin in patients with atrial fibrillation: early effects on ischaemic strokesEur Heart J (2013)
doi: 10.1093/eurheartj/eht499

【疑問】リアルワールドでワーファリン導入早期の脳梗塞リスク増加はどのくらい?

O:脳卒中発症率(ワルファリン開始からの期間別:30日未満,31−90日,90日超)

Case:脳卒中発症者
Control:脳卒中非発症者:年齢,性別,診断日,診断日からの時間をケース1例につき10の対照例でマッチング
(P:the UK Clinical Practice Research Datalink における心房細動コホート70,766人(1993〜2008年))

E/C:ワルファリン服薬/非服薬

【結果】
1)投与30日以内の脳卒中発症率:ワルファリン投与群のRR1.71 (95%CI 1.39~2.12)

2)投与31〜90日:RR0.50(0.34~0.75)

3)投与90日超:RR0.55(0.50〜0.61)

【結論】ワルファリン服薬群患者では30日以内の脳梗塞発症リスクは、非服薬群に比べ有意に多かった。このことは治療初期の一過性過凝固状態を示唆する。さらなる研究必要

### ほんの2〜3年前までワルファリンの添付文書には「成人初回20〜40mgを経口投与し、、、、」と堂々と書いてあったのです。今にして思うと信じられない気がします。でも私が医者になりたての頃は、発症時期不明の持続性心房細動は、入院の上、初日に10mg、2日目に5mg、3日に3mg、、、というように急速飽和を必ず行っていました。あの当時、入院して数日目に脳塞栓を発症した患者さんがおられたことを今でも思い出します。

機序としてよく知られているように、内因性の凝固阻止因子であるプロテインC、プロテインSはビタミンK依存性であり、ビタミンK依存性凝固因子より半減期が短いので、ワルファリン投与初期にはこちらのほうが先に抑制され、脳塞栓が増える可能性があると説明されています。

ROCET AFもARISTOTLEも試験終了後NOACからワルファリンに切り替える際にオーバーラップ期間が短かったため切替時にstrokeが増加したことは有名ですね。

コホート内症例対照研究ですので、交絡因子を全て補正することはできず、またワルファリンの管理状況も様々だと思われますので因果関係を軽々に論じることは慎むべきですが、従来の仮説を大規模コホートで検証する試みとし捉えたいと思います。
by dobashinaika | 2013-12-20 22:47 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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