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抗凝固薬服用経験のない人ではNOACとワルファリンはどちらが有効で安全か:BMJ誌

Comparative effectiveness and safety of non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and warfarin in patients with atrial fibrillation: propensity weighted nationwide cohort study
BMJ 2016;353:i3189

疑問:ワルファリン未使用の非弁膜症性心房細動においては,NOACとワルファリンはどちらが有効で安全か?

方法:
・デンマークの国内コホート研究。2011年〜2015年
・登録前1年間抗凝固なしのNVAF61,678例
・有効性アウトカム:虚血性脳卒中または全身性塞栓症,複合アウトカムとして虚血性脳卒中+全身性塞栓症+死亡
・安全性アウトカム:あらゆる出血,頭蓋内出血,大出血
・プロペンシティースコアマッチ
・2.5年追跡

結果:
1)投与薬剤:ワルファリン57%,ダビガトラン(150)21%,リバーロキサバン(20)12%,アピキサバン(5)10%

2)虚血性脳卒中(年間発症率):ワルファリン2.33%,ダビガトラン2.32%,リバーロキサバン2.21%,アピキサバン3.32%

3)リバーロキサバンだけがワルファリンに比べ有意に虚血性脳卒中が少ない:ハザード比0.83(0.69〜0.99)

4)複合アウトカムは3つのNOACともワルファリンより良い:ダビガトラン0.78,リバーロキサバン0.87,アピキサバン0.79

5)大出血:ワルファリン2.98%,ダビガトラン2.02%,リバーロキサバン3.27%,アピキサバン2.15%

6)大出血はダビガトランとアピキサバンがワルファリンより良い:ダビガトラン0.58,アピキサバン0.61
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結論:NOACはワルファリンの代替薬として有効かつ安全。虚血性脳卒中は,NOACとワルファリンで差はない。死亡,何らかの出血,大出血はアピキサバンとダビガトランで有意に少ない。

### NOACのRCTはどれもワルファリン投与歴のある人が50〜60%の集団です。抗凝固薬服用経験のある人はどうしても出血に対して慎重になりがちで,ライフスタイルや食事,アドヒアランスその他もいわゆるナイーブのひととは違うはずです。この研究は,全く抗凝固使用のない人によーいどんでNOACとワルファリンを選んで処方したときアウトカムがどうなのかという,きわめて実臨床に即した研究と思います。

これまでのメタ解析とは違い,NOACはワルファリンに比べ,死亡率は同等で脳卒中を加えると有益であるとの結果です。大出血はリバーロでやや多めでしたが,ほか2者はワルファリンに勝っていました。

あくまでデンマークの各NOAC高用量のみの結果です。日本だとNOACの低用量も使えるので,NOAC群の出血はより減りますが,ワルファリン群も目標INRが低いので出血率も少ないと思われます。なのでなかなか日本にこのデータを外挿するのは難しいかもしれません。

日本では,各メーカー主導でNOACごと別々のコホート研究が走っていますが,ぜひこのような全NOACとワルファリンを比べたリアルワールドのメガデータがほしいように思います。

この論文の”Funding"すなわち資金を見ると”The study was entirely free from industry sponsorships.”とあります。日本でもこんなふうに全くメーカーからしがらみがなく,COIがなく,メガデータを扱えるシステムができないものでしょうか?毎週のように押し寄せるメーカー主導の研究会,Web講演会の案内を見るにつけ。この資金をそっちの方に持っていけないものかと思ってしまいます。

$$$ 今朝のうちの庭での収穫!採ったばかりのナスを焼いて生姜醤油に浸し間髪入れず頬張る朝のなんと幸せなことよ(笑)!
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by dobashinaika | 2016-08-02 22:18 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

ワルファリン先行内服の有無はエドキサバンとの比較に影響するか:EHJ

Edoxaban vs. warfarin in vitamin K antagonist experienced and naive patients with atrial fibrillation
Michelle L. O'Donoghue et al
EHJ 2月16日


目的:ENGAGE AF-TIMI48試験患者の、ワルファリンナイーブと服薬経験者におけるエドキサバンvs.ワルファリンの有効性安全性の比較成績
を検討

方法:
・ENGEGE AF登録21105人
・追跡期間中央値2.8年
・主要エンドポイント:脳卒中/全身性塞栓症
・ビタミンK阻害薬(VKA)ナイーブ or VKA経験者(60日以上連続処方)

結果:
1)高用量エドキサバンの脳卒中/全身性塞栓症ハザード比(対VKA):
VKAナイーブ:0.71 (0.56-0.90)
VKA経験者:1.01 (0.82-1.24, P interaction=0.028)

2)低用量エドキサバンの脳卒中/全身性塞栓症ハザード比 (対VKA):
VKAナイーブ:0,92 (0.73-1.15)
VKA経験者:1.31 (1.08-1.60; P interaction=0.019)

3)高用量、低用量ともVKA先行の有無にかかわらず大出血は有意に減少:
P Interaction=0.90, 0.71

結論:心房細動患者において、エドキサバンはVKA経験者に比べてよりもVKAナイーブと比べるとでより大きな効果を示した。エドキサバンはVKAの先行にかかわらず、ワルファリンよりも大出血を有意に減らした。

### VKAナイーブのTTRは64.6%、VKA経験者のTTRは70.8%で、特に最初の90日のTTRはナイーブ43%、経験者59%です。またナイーブ患者よりも経験者のほうが高齢者が多く、脳卒中既往例やDM、高CHADS2スコアなど心血管系リスクが比較的高い患者だったようです。

内服開始60日以上からの症例ですので、導入当初の不安定な時期は考慮されないとしてもやはりVAK経験者のほうが、ハイリスクとはいえアドヒアランスに優れ、何かと「経験済み」ですのでアウトカムが良くなってしまうとも考えられます。

一方で、同様の検討が論文化されているのは、ダビガトランだけのように思いましたが、Editorialでのべられているように他のNOACの大規模試験の結果を一覧するとVKA経験者の定義、患者プロフィールの違いなどにより、必ずしも対VKAナイーブの人との比較のほうがより効果が大きいということもできないようです。

ワーファリン内服者でTTR良好な人ではNOACに変えることは少なく、新患の人は最初からNOACというパターンが多いと思われますが、上記のような様々な要素を考慮に入れる必要があり、Editorialでは必ずしもVKAの先行のみを意思決定の指標としないよう指摘していますね。

ダビガトランでの同様の検討です。
http://dobashin.exblog.jp/11752724/

$$$ 写真ネタが尽きたので、お気に入りの音楽から。
昔からクラシック音楽大好きですが、これは昨年の私的ベスト版。クラウディオ・アバドは2013年3月スイスでこの演奏をし、この年の秋には松島の地でコンサートを行うことになっていましたが来ること能わず、2014年1月にお亡くなりになっています。その意味でもこの演奏は特別の感慨を持って聞いてしまいます。私たちはたとえば明日まであれをして、そのためにはこれをして、といったように日々の生活上のこまごました「目的連鎖」の中で生きているわけですが、いっぽう良い音楽とか、良い映画、良い演劇とかに出会ったときは、ああ、私はこの感動を味わうために生きているんだ、と思う瞬間があるわけです。現代を生きるという事は、そうした輝く瞬間は二次的なことととらえられやすく、大半の人は日々の目的連鎖をあくせくしながら歩いているのかもしれません。そして年をとるとますます、その瞬間が輝くような経験から遠ざかるわけです。アルゲリッチとアバドは、そうじゃなくてやっぱり瞬間のはっとするような感動や経験にこそ「生」があるのだということを再認識させてくれます。とにかく音楽っていいなあとしみじみ思わせてくれる一枚。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番&第25番:マルタ・アルゲリッチ/クラウディオ・アバド
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by dobashinaika | 2015-02-24 23:37 | 抗凝固療法:エドキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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