人気ブログランキング |

タグ:メタ解析 ( 9 ) タグの人気記事

心房細動は,男性よりも女性において心血管イベント/死亡リスクとしてより強い:BMJ誌

Atrial fibrillation as risk factor for cardiovascular disease and death in women compared with men: systematic review and meta-analysis of cohort studies
BMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h7013 (Published 19 January 2016)


疑問:心房細動は,男性より女性でより強い心血管イベント/死亡リスクなのか?

デザイン:メタ解析(コホート研究)

結果:
1)30研究,43711714人

2)心房細動の各アウトカムに対する相対危険の男女比;女性/男性
全死亡:1.12(1.07〜1.17)
脳卒中:1.99(1.46〜2.71)
心血管死:1.93(1.44〜2.60)
心イベント:1.55(1.15〜2.08)
心不全:1.16(1.07〜1.27)
a0119856_22272486.jpg

3)感度分析でも同様結果

結論:心房細動は,男性よりも女性において心血管イベントや死亡リスクに対しより強いリスク因子。因果関係の同定にはさらなる研究が必要

### 以前から女性(特に高齢者)では心房細動の血栓塞栓症が男性より多い(以前のブログ)とか,予後そのものが男性より良くないという報告はありました。また2型糖尿病は男性より女性のほうが心血管イベントのリスクとして大きいという報告もありました。

女性ではなぜ男性より心房細動が心血管疾患のリスクになるのでしょうか?

著者らは,女性のほうが男性より治療が遅れる,抗凝固薬による出血が多い等が挙げられていますが,そうでないとする研究もあり判然としません。

心血管イベントの高リスクを有する心房細動で特に女性の場合は,より積極的な治療を考えても良いというメッセージとして捉えておきます。

$$$ 我家のネコ(ゆたんぽ)のフラッシュ撮影。ホラー映像ですみません^^
a0119856_22194548.jpg

by dobashinaika | 2016-01-21 22:29 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

DOACの大出血に関するメタ解析:EBMとは臨床家のパフォーマンスを豊かにさせる装置:ACP Journal Club

Review: In AF or VTE, direct oral anticoagulants reduce fatal bleeding compared with vitamin K antagonists
Alejandro Lazo-Langner et al
Ann Intern Med. 2015;163(8):JC2. doi:10.7326/ACPJC-2015-163-8-002


疑問:心房細動および静脈血栓症患者において,DOACはビタミンK阻害薬(VKA)に比べ大出血の死亡率に違いがあるのか

方法:
・組入基準:DOACとワルファリンの比較試験,低分子ヘパリン使用にかかわらず,心房細動と静脈血栓症。出血イベント1回以上
・除外基準:最近の股関節,膝関節置換術。抗血小板薬併用。
・アウトカム:致死的出血
・RCT11:AF5(平均年齢71),VTE6(平均年齢56)
・リバーロキサバンRCT4, ダビガトラン3,エドキサバン2,アピキサバン2

主要結果:
・DOACは致死的出血をVKAに比べて減らした
a0119856_2213790.png

結論:心房細動またはVTE患者では,DOACはVKAに比べて致死的出血を減少させる

コメント:
・筆者らは,現段階で中和薬がないにもかかわらず,VKAよりもDOACのほうが安全であることを示した
・DOACはヘパリンの有無にかかわらず,ワルファリンよりも50%致死的出血を減らした
・基本コンセプトは中和薬があることではなく,合併症が少ないこと
・この試験や他のメタ解析は,臨床家にDOAC使用について安心感を与える
・ただしAFとVTEでは対象患者に違いがあり,本メタ解析でその違いまでは明らかでない
・直接トロンビン阻害薬とXa阻害薬の違いも明らかではない
・臨床家は上記の違いを意識すべきであり,モニタリングが必要な場合があることも除外すべきではない
・アドヒアランス安定化と合併症同定のためのモニターが必要である
・臨床家は腎機能,特にクレアチニンクリアランスの低下に注意し,CCR30以下なら変更を考える

### ACP ジャーナルクラブからのDOACに関するメタ解析レビューです。
この論文読んでいませんでした。すみません。元論文はこちらです。
Caldeira D, Rodrigues FB, Barra M, et al.
Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and major bleeding-related fatality in patients with atrial fibrillation and venous thromboembolism: a systematic review and meta-analysis.
Heart. 2015;101:1204-11.


またここで引用されている同様のメタ解析も読んでいませんが,以下です。後日読みます。
Sardar P, Chatterjee S, Lavie CJ, et al.
Risk of major bleeding in different indications for new oral anticoagulants: Insights from a meta-analysis of approved dosages from 50 randomized trials.
Int J Cardiol. 2015;179:279-87.


もはやRCTからはDOACの安全性がワルファリンよりも優れていることに異論はないと思われます(一部消化管出血などの懸念はありますが)。
本メタ解析でもそのことが明確に示されていますが,そのことと,我々の実臨床における眼の前の患者さんの治療がどう結びつくかはまた別問題です。

エビデンスは「DOAC安全」だけれども,じゃあ全例DOACでいいのか。ACPジャーナルクラブが有益なのは単なるエビデンスの紹介ではなく,エビではこうなっているけれども,その先の実臨床にどう反映させるかまで考えさせてくれるところです。

コメントにあるように,エビデンスは全てを保証しません。実際にはエビ通りにいかないケースにたくさん遭遇します。筆者らは個々の患者さんごとに腎機能などをモニタリングし,DOAC同士の違いに気を使い,アドヒアランスと合併症に注意しながら管理せよとコメントしています。至言ですね。

エビデンスは,治療の大筋を示します。特にメタ解析の結果などは疾患マネジメントの理想形を示すものと言えます。しかし現実はカオスです。理想型からはみ出るケースに我々は思い悩みます。CCr30前後のケースはどうするか,DOACで皮下出血が派手に出る人はどうするか。字義通りのEBMが保証してくれない個別なケースには,我々のそれまで培った経験知や臨床知を駆使せざるを得ません。

こう考えてくるとEBMの役割とはなにかという大上段にまで思いが至ります。EBMとは一義的にはスタンダードの提示であるかもしれませんが,スタンダードが示されることによってそこから逸脱する例や小幅ながら重要なバリエーションみえてくる。そのバリエーションこそがわれわれの臨床の叡智を発揮させる場でもあるのです。エビデンスとは規範である。しかし規範が提示されることで,そこからのバリアンスがまた白日のもとに晒され,臨床的パフォーマンスを発揮できる場がさらに明確になる。

EBMとは,逆説的な意味で臨床家のパフォーマンスを豊かにさせる装置でもある。今更ではありますがこのジャーナルクラブはそんな気にさせてくれます。

追記:ACPはNNTを算出してくれるのもありがたい。DOACのワルファリンに対する大出血でのNNTは419です。419人にDOACを処方するとワルファリンに投与するよりも1人,致死的出血が少なくなるということですね。この数字をどう感じるか。。。

$$$ 今日は暖かでした。ご近所ではまだ朝顔や柿が元気です。
a0119856_227590.jpg

a0119856_2273322.jpg

by dobashinaika | 2015-10-28 22:13 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

ジゴキシンの安全性と効果に関する400万人年対象のシステマティックレビュー&メタ解析:BMJ誌

Safety and efficacy of digoxin: systematic review and meta-analysis of observational and controlled trial data
BMJ 2015;351:h4451


目的:すべての観察研究とRCTを通じてジゴキシンの死亡と臨床アウトカムに関するインパクトを明らかにする

方法;1960年から2014年までの出版されたジゴキシンvsコントロール比較のすべての論文を包括的にサーチ

データ合成:研究デザイン,解析方法,出版バイアスなどを補正していないまたは補正されたデータ

アウトカム:一次アウトカム=全死亡,二次アウトカム=入院:ランダム効果モデル

結果:
1)システマティックレビュー:52研究,621,845人

2)ジゴキシン群は対照群より2.4歳高齢,左室EFは低め(33%vs42%),糖尿病,利尿薬,抗不整脈薬使用が多い

3)メタ解析:75件研究,40,062,10人年

4)全死亡(ジゴキシンの対照群に対するpooled risk比):非補正1.75(1.57−1.97),補正1.61(1.31−1.97),プロペンシティースコア補正1.18(1.09−1.26),RCT0.99 (0.93-1.05)

5)メタ回帰分析は,ベースラインの差異がジゴキシン群の死亡率に明らかに関係していることを示している

6)特に利尿薬を使うような心不全の重症度が影響していた:p=0.0004

7)よりよい方法とバイアスの少ない研究ではジゴキシン群の死亡率はよりニュートラルに近くなった;P<0.001

8)すべての研究タイプを越えてジゴキシンはわずかだが統計上明らかな入院の減少をもたらした:リスク比0.92(0.89−0.95),p=0.001

結論:ジゴキシンはRCTにおいては,死亡率において対照群と同等の効果であり,すべての研究タイプで入院リスクは減少させた。統計解析にかかわらず,処方バイアスが観察研究の価値を制限する。

### うわ。そういうことだったんですか。Lip先生のグループからですが,最近のジゴキシン劣勢を覆すかのようなメタ解析結果が出てしまっています。例えば最近のEHJのメタ解析はハザード比1.21でジゴキシン群で明らかに死亡率が多いって言っています。
http://dobashin.exblog.jp/21197269/
でもこれ観察研究も含んでのデータなんですね。あと最近出ているジゴキシン不利のデータも実は大きな研究のサブ解析が多いのです。

一方本メタ解析は75研究400万人年対象です(EHJは19研究)。
そして上記のバイアスが少なくなるほど,ジゴシンと対照群との差は縮まることが示されています。これは選択バイアス,つまりジゴキシンを処方されるような人は心不全(利尿薬使用)が特に多く,それだけ重症だから処方していることに起因しているとしています。
a0119856_18385439.gif


こういう研究を見せられると,メタ解析においても十分な批判的吟味をしないと確かなことは言えないということを実感させられます。

最後のシェーマが非常に教訓的ですね。心房細動単独例だとやはりなんとも言えない,しかし心不全がからんでいる場合や心不全単独の場合はやはり使用を考えて良いということが示唆されています。心不全合併心房細動ではβ遮断薬も使いにくいのですがかと言って最近の趨勢でジゴキシンもどうかなと思っていましたが,少し自信が持てます。
a0119856_18391643.gif


$$$ 当院の掲示板の月替りポスターメニュー。先週まで貼っていましたが,誰も見向きもしていませんでした,こう寒くては。ストーブをつけたと仰る患者さんも多数です。早々に撤去です。
a0119856_18394122.jpg

by dobashinaika | 2015-08-31 18:45 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

アジア人におけるNOACの有効性安全性メタ解析:Stroke誌

Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants for Stroke Prevention in Asian Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation: Meta-Analysis.
Wang KL, Lip et al
Stroke. 2015 Sep; 46(9):2555-61


目的:NOACのRCTにおけるアジア人と非アジア人の比較メタ解析

方法:ランダム効果モデル

結果:NOACのVKAに比べてのオッズ比:アジア人vs. 非アジア人
1)脳卒中/全身性塞栓症:0.65 vs. 0.85. P交互作用=0.045

2)大出血:0.57 vs. 0.89, P交互作用=0.004

3)出血性脳卒中:0.32 vs. 0.56 . P交互作用=0.046

4)消化管出血:0.79 vs. 1.44. P交互作用=0.041

5)低用量NOAC:全般に低用量NOACとVKAの有効性,安全性はアジア人と非アジア人で同等:ただし虚血性脳卒中,大出血,消化管出血は除く

結論:標準量NOACは非アジア人よりアジア人でVKAよりも有効かつ安全。しかるに低用量NOACではアジア人,非アジア人共に同じ

### 一般にワルファリンはアジア人で出血が多いとされている一方,NOACでは出血が少なかったというのは「RCT界では」規定事実かと思います。特に消化管出血はダビガトランもリバーロキサバンも標準量においてグローバルではワルファリンに負けていたのに対し,アジア人では勝っているようです(ただし本メタ解析の非アジア人にはRELYとENGAGE AFのデータしかエントリーされていない)。

また脳卒中/全身性塞栓症もアジアじんほうが予防効果が大きいことが示されています。

ただ低用量になると,有効性は同等となり,消化管出血も非アジア人も少なくなるせいかNOACとVKAは同等となっています。
このデータを見ただけですと,なるべく標準量を使ったほうがアジア人でのNOACの利点を活かせるようにも解釈されるかもしれません。

まあサブ解析のメタ解析ですし,試験同士は異質性が大きいですのでそういう傾向があるくらいで抑えておけばいいのではと思います。

$$$ 今朝は気温19度。半袖では寒くて手が震えました。なので,今日のにゃんこは顔を写しそびれました。つい3週間前の朝と10度も違うんですね。皆様体調にはくれぐれもご注意を
a0119856_21343678.jpg

by dobashinaika | 2015-08-26 21:35 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

心房細動の第一選択治療はカテーテルアブレーションか抗不整脈薬か:Europace

Radiofrequency ablation vs. antiarrhythmic drug therapy as first line treatment of symptomatic atrial fibrillation: systematic review and meta-analysis
Antti Hakalahti et al
Europace 2月2日

疑問;心房細動治療の第一選択としては、カテーテルアブレーションがよいのか、抗不整脈薬がよいのか

方法:
・5つのデータベースにおいて第一選択治療としてカテーテルアブレーションと抗不整脈薬を比較したRCTを抽出
・メタ解析&システマティックレビュー

結果:
1)491患者

2)比較的若年者、ほぼ発作性(98.7%)、大きな合併症なし

3)心房細動再発なし:カテーテルアブレーション>抗不整脈薬:RR0.63 (0.42-0.92.P=0.02)

4)症候性心房細動の再発:有意差なし:RR0.57 (0.30-1.08, P=0.09)

5)副作用:
カテーテルアブレーション:死亡なし、心タンポナーデ7
抗不整脈薬:症候性徐脈多い

結論:若年者で他にリスクのない発作性心房細動では、カテーテルアブレーションは薬物療法に比べて第一選択としてより有効な治療である。ただしより重篤な合併症は起こす可能性はある。この所見はベネフィットと手技上のリスクを考えて患者選択を行えば、カテーテルアブレーションを第一選択することを支持する。

### 最近は先端圧をモニタリングできるコンタクトフォースカテーテルの普及などで、カテーテルアブレーションの合併症はかなり少なくなったと聞きます。40代位でも、サンリズム、シベノール、タンボコール、プロノンと使ってでもやっぱり再発する、という人はいらっしゃいます。この論文は、どのような人なら第一選択にして良いのかを明確に示してくれる点で貴重な報告かと思います。

メタ解析ですので、論文セレクトが問題ですね。そこまでの検討はできていません。すみません。

$$$ 迷い込んできた近くのにゃんこです。村上春樹さんが人生の3つの秘訣=「ムラカミクス」はみんなネコから学んだと答えて話題になっていますね。
一の矢)知らん振り、二の矢)照れ隠し、三の矢)開き直りだそうです。わたしはこれに「甘え上手」「自分一人」「なんでも見てやろう」の3つを加えましたがどうでしょうか。
a0119856_2382553.jpg

by dobashinaika | 2015-02-09 23:11 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

オセルタミビル(タミフル)に関するランダム化比較試験のメタ解析:Lancet誌

Oseltamivir treatment for influenza in adults: a meta-analysis of randomised controlled trials
Joanna Dobson et al
The Lancet Published online: January 29, 2015


疑問:オセルタミビル(タミフル)のインフルエンザにおける効果と安全性は?

方法:
・Roche社が提供するRCT、二重盲検(75mgオセルタミビル1日2回vs. プラセボ)、成人対象
・Medline, PubMed, Embase, the Cochrane Central Register of Controlled Trials, and the ClinicalTrials.gov trials register
・2014年1月までの文献
・ITT infected, ITT, On treatment解析
・一次アウトカム;全症状緩和までの期間
・他のアウトカム:合併症、入院、安全性:リスク比とMantel-Haenszel使用

結果:
1)9試験、4328患者

2)オセルタミビルによる症状緩和までの時間 (ITT infected):プラセボにくらべ21%短縮:time ratio 0·79, 95% CI 0·74–0·85; p<0·0001

3)症状緩和までの時間(中間値):オセルタミビル 97.5時間 vs. プラセボ 122.7時間:差25.2時間 (95% CI -36.2~-16.0)

4)ITT解析対象患者での治療効果:time ratio 0.85:差17.8時間

5)48時間以上抗菌薬を必要とした下気道合併症(ITT infected):オセルタミビル4.9% vs. プラセボ 8.7%:RR 0·56, 95% CI 0·42–0·75; p=0·0001

6)入院:オセルタミビル0.6% vs. プラセボ 1.7%:RR 0.37, 95% CI 0·17–0·81; p=0·013

7)嘔気:オセルタミビル9.9% vs. プラセボ 6.2%:RR 1.60, 95% CI 1·29–1·99; p<0·0001

8)嘔吐;オセルタミビル8.0% vs. プラセボ 3.0%:RR 2.43, 95% CI 1·83–3·23; p<0·0001

解釈;今回の結果では成人のインフルエンザにおいてオセルタミビルは症状緩和までの期間を短縮させ、下気道合併症と入院を減少させた。しかし嘔気、嘔吐は増加した。

### Lancetのタミフルに関するメタ解析です。日々の診療に直結する文献なのでまとめました。

Limitationとして1)下気道感染症が、前もって定義されたアウトカムではないこと(過大評価の原因となる) 2)評価時間が短い 3)対象患者が多様であり全患者への一般化に難点あり 等が挙げられています。
by dobashinaika | 2015-01-30 17:57 | 開業医の勉強 | Comments(0)

日本人の心房細動新規経口抗凝固薬に関するメタ解析:CJ誌

Efficacy and Safety of Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants vs. Warfarin in Japanese Patients With Atrial Fibrillation.
Senoo K et al
Circ J. 2014 Dec 11


疑問:日本人におけるNOACの有効性と安全性はどうか?

方法:
・NOAC vs. ワルファリンの3つのRCTにおける、日本人に関する有効性安全性のシステマティックレビュー/メタ解析
・ランダム効果モデル
・3RCT,1940人

結果:
1)脳卒中/全身性塞栓症(NOAC対ワルファリンハザード比):0.45 (0.24-0.85)

2)大出血:0.66 (0.29-1.47)

3)頭蓋内出血:0.46 (0.18-1.16)

4)消化管出血:0.52 (0.25-1.08)

結論:日本人の非弁膜症性心房細動におけるNOACの脳卒中/全身性塞栓症予防効果は、ワルファリンに勝る。今回の所見は日本人非弁膜症性心房細動心房細動の脳卒中現象治療の治療オプションとして、NOACのより包括的な姿を臨床家に示すものである。

### 3つのRCTの内訳はRE-LY326名、J-ROCKET AF639名(リバーロ群)+639名(ワルファリン群)、ARISTOTLE161名(アピ群)+175名(ワルファリン群)です。CHADS2スコアはRELY、ARISTOTLEが2.0〜2.2、J-ROCKETが3,2点です。

追跡期間は1.3〜2.0年、INR2〜3の症例は全体の60%とのことです。
グローバルの試験に比べると、頭蓋内出血がNOACで(統計学上)少なくなっていませんが、これは全体のイベント数自体が少ないためと思われます。全文中のグラフを見ると、NOAC群の頭蓋内出血は7/1017に対しワルファリン群は17/922で、NOACのほうがが少ないですが95%信頼区間は幅広くなってしまっています。

また消化管出血は、グローバルではNOACのほうがワルファリンより増加しましたが、日本人データではそのような傾向は見られないようです。

昨日のデータともども感じたのは、日本人は血栓塞栓症も出血も、グローバルデータに比べて低いということです。塞栓血栓症がどの NOACも軒並みグローバルより低率です。頭蓋内出血も統計上こそ95% CIをまたいでいますが、各試験ともイベントはひと桁台と極めて少なく、こうした点はおそらく、日本の心房細動診療のでベルの高さの反映かもしれないと思えてきます。

抗凝固療法を活かすも殺すも、血圧、糖尿病その他の全身管理やアドヒアランスなど、包括的な治療であることを改めて感じます。

今まで言われてきたことを統計学的にまとめたデータとして、見ておきたいと思います。

$$$ 雪の日でも散歩するとご来光が拝めます。
a0119856_21504049.jpg

なぜか手袋のおとしものによく遭遇します。
a0119856_2151419.jpg

by dobashinaika | 2014-12-18 21:52 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

結局、ダビガトランはワルファリンより心筋梗塞を増やすのか?:JAHAメタ解析

J Am Heart Assoc.2014; 3: e000515

Dabigatran Etexilate and Risk of Myocardial Infarction, Other Cardiovascular Events, Major Bleeding, and All‐Cause Mortality: A Systematic Review and Meta‐analysis of Randomized Controlled Trials
Jonathan Douxfils et al


【疑問】結局、ダビガトランはワルファリンより心筋梗塞を増やすのか?

【方法】
・結果に心筋梗塞、心血管イベント、大出血、全死亡を含んだRCTをメタ解析
・501の文献から14RCTを抽出
・対照群による層別化解析とダビガトランの用量別解析を設定
・fixedモデルでPetoオッズ比を算出

【結果】
1)ダビガトランのオッズ比(対対照群)
心筋梗塞:1.34 (95% CI 1.08 to 1.65, P=0.007)
他の心血管イベント:0.93 (95%CI 0.83 to 1.06, P=0.270)
大出血:0.85 (95% CI 0.76 to 0.96, P=0.007)
全死亡:0.89 (95% CI 0.80 to 1.00, P=0.041)

2)ダビガトランのオッズ比(対ワルファリン)
心筋梗塞:1.41 (95% CI 1.11 to 1.80, P=0.005)
他の心血管イベント:0.94 (95%CI 0.83 to 1.06, P=0.293)
大出血:0.88 (95% CI 0.79 to 0.99, P=0.029)
全死亡:0.90 (95% CI 0.81 to 1.01, P=0.061)

3)ダビガトラン150mg BIDのみで比べた場合(対対照群)
心筋梗塞:1.45 (95% CI 1.11 to 1.91, P=0.007)
他の心血管イベント:0.95 (95% CI 0.82 to 1.09, P=0.423)
大出血:0.92 (95% CI 0.81 to 1.05, P=0.228)
全死亡:0.88 (95% CI 0.78 to 1.00, P=0.045)

【結論】このメタ解析では、ダビガトランが心筋梗塞リスクを明らかに増加させるというエビデンスが示された。このリスク増加は、大出血や全死亡との総括的なベネフィットも考慮に入れて論じるべき

### この問題は長い論争、と言うかモヤモヤ状態が続いています。

経緯は以下のブログでまとめました。
http://dobashin.exblog.jp/18709455/
http://dobashin.exblog.jp/14384703/

簡単に言うと、もともとのRE-LY論文でワルファリンよりダビガトラン150が心筋梗塞を有意に増やした。しかしのちに FDAが勧告して、もう一度心電図を調べ直したら、心筋虚血を示した心電図が当初より少ない事がわかり、訂正論文が出た。ということです。

それで以下のメタ解析は、その訂正データを入れていないのですが、ダビは心筋梗塞を増やしたとなっています。
http://dobashin.exblog.jp/14384703/

また修正論文を入れての別なメタ解析でも、やはり心筋梗塞を増やすという結果が出ています。
http://bmjopen.bmj.com/content/2/5/e001592.full

一方、リアルワールドの登録研究では心筋梗塞は減るというデータがでています。
http://dobashin.exblog.jp/17599884/

更に最近の登録研究では、ワルファリン経験者がダビガトランに切り替えた症例で心筋梗塞が増加する(統計的には有意でない)という報告もあります。
http://dobashin.exblog.jp/19628093/

これらをふまえ本メタ解析は、上記の修正データや更に最近出たダビガトラン関連RCTを組み入れての最新版メタ解析です。

結果は心筋梗塞40%増加、大出血は12%減少、全死亡は10%くらい減る傾向、ということでした。

その説明として筆者らは、ワルファリンに心筋梗塞減少効果あること、トロンビン阻害薬が血小板活性を活性化させること、プラーク破綻は爆発的トロンビン生成の引き金になってしまい、ダビガトランの抗血栓作用を上回ってしまう、などをあげています。

このメタ解析の限界は、直接的なオッズ比が使えずPeto ORを採用している点、心筋梗塞の定義が試験ごとで曖昧な点、などがあります。

実臨床では、上記の登録研究のようにまた違うデータがでており、また日本人のデータももっとほしいところです。
いまのところ、やはり心筋梗塞既往例などには、やや慎重に使いたいという姿勢で行きたいと思います。

追記(2014・6・12):リアルワールドでの大切なコホート研究に言及するのを忘れておりました。
http://dobashin.exblog.jp/19798706/
FDAの13万例対象のビッグデータでは、心筋梗塞はリスク同等との結果が出ています。
RCTの世界と、なぜ違ってくるのか、考えてみます。
by dobashinaika | 2014-06-10 23:52 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

エドキサバンを含む4つの新規抗凝固薬のメタ解析:Lancet誌より

Lancet 12月4日付オンライン版より

Comparison of the efficacy and safety of new oral anticoagulants with warfarin in patients with atrial fibrillation: a meta-analysis of randomized trials
doi:10.1016/S0140-6736(13)62343-0


【疑問】エドキサバンを含む4つの新規抗凝固薬全体としてワルファリンと比較した場合、有効性と安全性はどうか?

【方法】
・RE-LY, ROCKET AF, ARISTOTLE, and ENGAGE AF—TIMI 48の4つのNOAC vs.ワルファリンに関するメタ解析。
・71,683人対象
・主要アウトカム;脳卒中/全身性塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、全死亡、心筋梗塞、大出血、頭蓋内出血、消化管出血
・ランダム効果モデル

【結果】
1)NOAC42411人、ワルファリン29722人

2)脳卒中/全身性塞栓症:NOACの方が19%減少(RR 0·81, 95% CI 0·73—0·91; p<0·0001)

3)出血性脳卒中;上記1)の結果に最も影響あり (0·49, 0·38—0·64; p<0·0001)

4)全死亡;NOACで有意に減少(0·90, 0·85—0·95; p=0·0003)

5)頭蓋内出血;NOACで有意に減少(0·48, 0·39—0·59; p<0·0001)

6)消化管出血:NOACで有意に増加(1·25, 1·01—1·55; p=0·04)

7)脳卒中/全身性塞栓症については重要なサブグループにおいて、異質性はなかった

8)NOACは、TTR(施設の)66%未満のワーファリン管理群対照の時では66%以上の群対照時に比べで大出血が有意に減少(0·69, 0·59—0·81 vs 0·93, 0·76—1·13; p for interaction 0·022)

9)NOAC低用量群:脳卒中/全身性塞栓症はどれも同様に減少(1·03, 0·84—1·27; p=0·74)

10)NOAC低用量群:出血は減少傾向(0·65, 0·43—1·00; p=0·05)だが、虚血性脳卒中は増加させた(1·28, 1·02—1·60; p=0·045)

【結論】4つのNOACを含むメタ解析としては初。NOACはワルファリンに比べ、脳卒中、頭蓋内出血、全死亡、大出血において好ましいリスクベネフィットを有した。しかし消化管出血は増加させた。NOACの相対的な有効性と安全性は広い患者層で同様であった。今回の知見は、脳卒中減少対策におけるNAOCの包括的な特徴を臨床家に提供する。

### もうエドキサバンを含む4つのNOACのメタ解析がでています。全体に予想された結果と言えます。消化管出血の増加はダビガトラン150、リバーロキサバン、エドキサバン60で有意に増加したことが効いています。低用量で虚血性脳卒中が増加したのはダビガトラン110とエドキサバン60でそのようなサブ解析結果がでています。

また施設のTTRではありますが、66%未満だとよりNOACが安全という数字も、参考になるかもしれません。

あまりざっくりとしたくくりは誤解を招きますが一応今回知見をまとめると、NOACは概ねワルファリンより安全かつ有効。INR管理の良くない場合は特に。消化管出血高リスク例、虚血性脳卒中高リスク例では種類や用量に注意、という感じですね。ただ、こうしたメタ解析でも答えが出ないのは腎機能低下者、高齢者といった外的妥当性が適応しにくい場合の使い方ですね。
by dobashinaika | 2013-12-09 19:42 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(34)
(34)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(19)
(18)
(17)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36
冠動脈疾患合併心房細動におけ..
at 2019-09-03 07:29
製薬企業をスポンサーとするD..
at 2019-08-30 08:29
心房細動に対する経皮的頸動脈..
at 2019-08-22 06:42
フレイルと心房細動,抗凝固療..
at 2019-08-21 07:00
オープンダイアローグと診療所診療
at 2019-08-13 07:00
周術期ヘパリンブリッジなしで..
at 2019-08-09 06:28
日経メディカルオンライン更新..
at 2019-08-06 07:30

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン