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2019年心房細動関連論文ベスト:「ガイドライン&レビュー編」「私的おもしろ論文編」

2019年ネタをだいぶ引っ張りますが笑,今回は「ガイドライン&レビュー編」「私的おもしろ論文編」をお送りします。順不同です。

【ガイドライン&レビュー編】

<不整脈非薬物療法ガイドライン(2018年改訂版)>
日本循環器学会 /日本不整脈心電学会合同のガイドラインです。
カテーテルアブレーション,ICDなどの適応,施設基準や,ブルガダ症候群の対処法など詳述されていて,参考になります。

<2019 AHA/ACC/HRS心房細動ガイドラインアップデート>
クレアチニンクリアランス15未満でアピキサバンを推奨するなど,一部踏み込んだ内容もあります。

<不整脈マネジメントに関するknowledge gaps:欧州不整脈学会から>
今何がわかっていないかを明確にする企画で,個人的に一番すきなテキストです。ただし,デバイスなどの話題が多く,「超高齢者の抗凝固療法」などがないのが不満。

<無症候性不整脈の管理に関するコンセンサスステートメント:欧州不整脈学会から>
こういうところにもコンセンサス文書を出すEHRAの底力を感じます。しかも「すべき」「してもよい」「してはいけない」の3カテゴリーに分けるのも実践的

<フレイル高齢者の心房細動管理レビュー>
フレイル患者のアウトカムに関するエビデンスは乏しい,というのが結論で拍子抜けの感はあります。

<低リスク心房細動に対する抗凝固療法;欧州心臓病学会からのオピニオンステートメント>
この問題も大切ですね。65歳以上,糖尿病,AFバーデン(持続時間)などが評価項目としてあげられています。

【私的おもしろ論文編】

<アブレーション後のループレコーダーでは75%の人が再発:CAPTAF試験>
再発の定義にもよりますが,ここでは「2分以上」となっています。それにしてもそんなものなのでしょうか。

<製薬企業による講演会その他に使われる莫大な資金は販売促進目的である:BMJ openより>
個人的にベストの論文。どこの国も同じかという感じ。こういう論文が発表されないようにするためになんとかしないと。

<服薬アドヒアランスが良好ならばワルファリンとDOACで有意差なし;AJCD誌より>
まだワルファリンですか?と言われそうですが,DOACのアドヒアランスそんなに素晴らしくはないという実感があるのであえて。

$$$ 目の前をゆうゆう闊歩する牛柄猫
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by dobashinaika | 2020-01-20 08:18 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

2019年心房細動関連論文ベスト5:臨床研究編

遅くなりましたが2019年に読んだ心房細動関連論文&ガイドライン/レビューベスト5をお送りします。
例によって私の個人的見解であり,あくまで自分の臨床に役立つという視点から選びました。
臨床研究,ガイドライン/レビュー,個人的好みに分けてリストアップします。

本日は臨床研究です,順位はつけていません。順不同です。

<Apple Watch study>:心房細動のスクリーニングにおけるアップルウォッチの有用性を示した研究
日本では認可されていませんが,テクノロジーの進歩はとどまらない。アップルウォッチなどまだまだ序の口でもっと簡便で安価なデバイスが今後10年のうちに続々出てきそうな気がします。

<RE-SPECT ESUS>:原因不明の脳卒中に対しダビガトランはアスピリンよりも再発予防効果があるとは言えず,出血は多かった
スクリーング技術が発達する一方で,原因不明の脳卒中にいきなりNOACを処方するのには疑問が投げかけられています。2018年のNAVIGATE-ESUSにつづき,この試験でもNOACの優位性は示されず出血のみ増やしたようです。脳卒中の原因は多様なので,やはり診断をつけてからなのでしょうか。


<伏見AFレジストリサブ解析>:日本においても心房細動の死因の多くは非心臓死
心房細動の死因の多くは非心臓死,といいうのはこれまで言われてきましたが伏見AFでそう言われると俄然説得力があります。感染症,貧血,心不全など包括的視点が改めて求められます。

<AFIRE>:心房細動合併安定狭心症1年後の抗血栓療法はNOAC単独が抗血小板薬併用よりも良い
日本発の快挙。今年のトピックとして挙げないわけには行きません。これまで1年以上過ぎた安定狭心症+心房細動例では抗血小板薬を抜くのは勇気がいりましたが,この研究以後自信を持って止めることができるようになっています。その意味でプライマリ・ケア医への影響も絶大な研究と思われます。
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<CAVANA>:カテーテルアブレーションは薬物療法に比べ心房細動の予後(その他の複合エンドポイント)を改善せず
これも挙げないわけには行かないですね。残念ながらアブレーションの複合エンドポイントにおける優位性は示されませんでしたが,ツッコミどころの多い試験です。アブレーションと薬物療法の二項対立自体,概念的にも試験のデザインや運用の面からも不可能のような気がしてきます。

こうしてみると有名どころのRCTや登録研究ばかりになってしまいました。個人的趣味の論文およびガイドラインやデビューについてはすみません,後日あげます。

by dobashinaika | 2020-01-11 18:52 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

2018年の心房細動関連論文&総説・ガイドラインベスト5

大変遅れてしまいましたが,2018年の心房細動関連論文&総説・ガイドラインベスト5をお届けします。
例によって一診療所医師の選んだ私的なお気に入りではありますが,日々の診療に直結するものだけを選んだつもりです。
ご参考になれば幸いです。

【2018年心房細動関連論文ベスト5

第5位

NAVIGATE ESUS試験
「リバーロキサバンは塞栓源不明脳塞栓(ESUS)の再発予防においてアスピリンと同等。出血は増やす」
これはネガティブ試験です。
ESUSが一筋縄ではいかないことを教えてくれます

第4位

CASTLE-AF試験
「心不全合併心房細動に対するカテーテルアブレーションは死亡+入院リスク軽減に関連あり」
アブレーション業界ではトピックな論文です。アブレーションの大きな論理的裏付けですが,CAVANA試験(未論文化)が微妙だったし,あくまで追加療法として薬物療法よりは予後が良くなる,と理解しています。

第3位

SAKURA AF Registry
「東京のコホート研究では脳卒中/全身性塞栓症と全死亡はDOACーワルファリン間で有意差なし。大出血はDOACで有意に少ない」
伏見AFレジストリーに続く日本の登録研究に敬意を払って第3位としました。

第2位

「抗凝固薬内服例は非内服例に比べ29%認知症発症が減少」
スウェーデンの44万例に及ぶ大規模登録研究。大味ですが,認知症予としての抗凝固療法をちょっと気にするようになった論文です。

第1位

RACE3試験
「包括的なアップストリーム治療は,心房細動の洞調律維持に貢献する」
心房細動予防には複合的,包括的なアプローチが必要。アタリマエのことですが,大事です。
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【2018年心房細動関連総説・ガイドラインベスト5

第5位

心房細動と認知症の関係に関するエキスパートコンセンサス

第4位

スマートフォンやアップルウォッチなどのニューディバイスによる心房細動検出に関するレビュー

第3位

抗凝固療法に対する患者と医療者の認知/行動についての質的研究システマティックレビュー
2017年の発表ですが,昨年入れておらずどうしてもご紹介しておきたいので入れました。

第2位

欧州ハートリズム学会のNOAC使用実践ガイド改訂版
超実戦向き。和訳したいところです。膨大ですが。

第1位

米国家庭医療学会の心房細動ガイドライン
非常にシンプルかつ実践的です。プライマリーケア位はまず以下の5つのポイントを押さえる。それで必要十分とは言えませんが
推奨1:大多数の患者でリズムコントロールよりレートコントロールを優先
推奨2:緩やかなレートコントロール(安静時110<)を厳格なコントロール(<80)よりも推奨
推奨3:医療者は脳梗塞と出血についてすべての心房細動患者と話し合う。脳卒中に関してCHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコア,出血に関してHAS-BLEDスコアの使用を継続的に考える。
推奨4:CHADS2スコア1点以下または禁忌患者以外は,継続的な抗凝固療法を強く推奨する。
推奨5:抗凝固療法と抗血小板療法の併用は勧められない

### 心房細動の早期発見,アブレーションの予後改善効果,抗凝固薬の認知症予防,ESUSの治療,心房細動の包括的な予防,(抗凝固薬抗血小板薬併用)。
こうしたことが昨年の話題であり今後の課題かと思います。

$$$ 最近玄米,無添加食に凝っています。
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by dobashinaika | 2019-01-20 22:19 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

2017年 心房細動関連ガイドライン/総説まとめ

昨日に引き続き,2017年年間ベストです。

今回は,論文ではなく,ガイドラインまたは総説です。

今回は順位付けなく順不同です。

ついでに,心房細動以外の循環器領域で,大変参考になる,あるいは目についた論文/ガイドラインを3つほど挙げました。ご参考になれば幸いです。


#ガイドライン/総説


・心房細動管理の統合的アプローチ法=ABCパスウェイ


The ABC pathway: an integrated approach to improve AF managementNature Reviews Cardiology(2017)doi:10.1038/nrcardio.2017.153

よくいわれるように「Avoid stroke:脳卒中予防」「Better symptom management:症状の管理」「Cardiovascular and comorbidity:リスク因子の管理」の3本立てです。

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・心房細動スクリーニングに関する6つのキーポイント


Screening for Atrial Fibrillation:A Report of the AF-SCREEN International Collaboration Circulation. 2017;135:1851-1867

だれに,どこで,どのように,の観点から上手にまとめられています。

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・抗凝固薬の適応と使い分けのシンプルなアルゴリズム:


Stroke prevention in Atrial Fibrillation Gregory Y. H. LipEur Heart J (2017) 38 (1): 4-5. DOI:https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehw584

当ブログでも何回か取り上げた,CHA2DS2-VAScスコアとSAMe-TT2R2スコアを組み合わせたシンプルなモデルです。

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・抗凝固薬の出血管理に関するACCのコンセンサス文書


2017 ACC Expert Consensus Decision Pathway on Management of Bleeding in Patients on Oral AnticoagulantsA Report of the American College of Cardiology Task Force on Expert Consensus Decision PathwaysJACC DOI: 10.1016/j.jacc.2017.09.1085

1)出血の評価と重症度判定,2)出血の管理・コントロール,3)抗凝固薬の再開とその時期の決定 の3ステップでまとまっています。

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・ACCによる周術期の抗凝固療法に関する意思決定パスウェイ:ヘパリンブリッジの適応は超限定的


2017 ACC Expert Consensus Decision Pathway for Periprocedural Management of Anticoagulation in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation A Report of the American College of Cardiology Clinical Expert Consensus Document Task Force Journal of the American College of Cardiology DOI: 10.1016/j.jacc.2016.11.024

ヘパリンブリッジングは,今後限られた症例でおこなわれることになるのでしょうか?

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・抗凝固薬+抗血小板薬併用療法の新しいガESCイドライン


2017 ESC focused update on dual antiplatelet therapy in coronary artery disease developed in collaboration with EACTS: The Task Force for dual antiplatelet therapy in coronary artery disease of the European Society of Cardiology (ESC) and of the European Association for Cardio-Thoracic Surgery (EACTS) European Heart Journal, ehx419, https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehx419


基本としては

1)トリプル1ヶ月→デュアル12ヶ月まで→OACのみ,が中心にあり

2)梗塞高リスクならトリプル6ヶ月→デュアル12ヶ月まで→OACのみ

3)出血高リスクならトリプルなしにデュアル12ヶ月→OACのみ

となっています。

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# 循環器(不整脈以外)で参考になったもの,話題になったもの


・2017年版失神患者の評価と管理に関するガイドライン(米国):JACC誌

2017 ACC/AHA/HRS Guideline for the Evaluation and Management of Patients With Syncope: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines, and the Heart Rhythm Society. J Am Coll Cardiol 2017;Mar 9:[Epub ahead of print]


・COMPASS試験

Rivaroxaban With or Without Aspirin in Stable Cardiovascular DiseaseN Engl J Med. 2017 Aug 27. doi: 10.1056/NEJMoa1709118


・2017米国高血圧ガイドライン

2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in AdultsA Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines





by dobashinaika | 2018-01-09 21:53 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

2017年 心房細動関連論文ベスト10

今年は年を越してしまいまいsたが,恒例の年間ベスト5です。
選んでみると結構良い論文が多くて,べスト7+3にしてしまいました。治療編,診断その他編に分けてあります。
なお,ガイドライン/総説編,循環器他領域編は明日お送りします。

# 治療編

第7位:やはり心房細動では血圧が高い(収縮期150mmHg以上)と血栓塞栓症と出血リスクが高かった;伏見AFレジストリーから

心房細動では,最低でも収縮期150mmHgにしてはいけないという教えです。

第6位:NOACとの併用で特に注意すべき薬剤は?

NOACでも注意すべき併用薬剤はありますが,とくにアミオダロン,フルコナゾール,リファンピシン,フェニトイン併用はには十分な注意が必要という教えです。

第5位:85歳以上の超高齢者でも,抗凝固薬の脳卒中予防ベネフィットは出血リスクを上回る

各種の周辺条件が整えばという前提が当然あります。


第4位:低用量NOACとワルファリンとで有効性,安全性はあまり変わらない:デンマーク登録研究

低用量処方はよくよく考えなければならないかもしれませんね。

第3位:ワルファリンの管理状況が良ければ脳卒中/全身性塞栓症はNOACとほぼ同じ:RCTのメタ解析より

ワルファリン,使えてこそのNOACです。

第2位:NOAC vs ワルファリン。リアルワールドデータのメタ解析結果

RWDは玉石混交ですが,現時点でのメタ解析で一応の参考になります。


第1位:日本のリアルワールドでは,DOACとワルファリンで脳卒中/全身性塞栓症,大出血とも発症率に有意差なし:Fushimi AF Registryより
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解釈は様々ですが,抗凝固療法もまだまだ懸案事項が沢山あるわけです。

番外:RE-DUAL PCI試験

これも解釈が難しいかもしれません。

# 診断/その他編

第3位:日本人の今後10年間の心房細動発症リスクがわかる予測スコア

吹田スコアです。動脈硬化リスクと一緒にお話します。

第2位:無症候性心房細動の24時間以上持続は脳卒中リスク増加と関連有り

いわゆるSubclinical AFの定義に影響を与える論文

第1位:医師,患者に対する質の高い多面的な教育介入により,抗凝固薬の処方は増加する:

やはり情報伝達,情報共有が何より大切です。

### 2017年は,後半あまりブログ更新がなく,申し訳ありませんでした。2018年もよろしく願い致します。

$$$ 食べました(笑)
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by dobashinaika | 2018-01-08 18:29 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

2016年心房細動関連論文ベスト5


今年も恒例の心房細動論文ベスト5です。
年々抗凝固薬関連の論文もエポックメイキングなものが減りつつあり,また個人的にブログ更新が少なかったこともあって,例年に比べ,カバーしている論文は少ないかもしれません,その点ご容赦ください。

視点はあくまで,私個人の現場に行動変容を起こさせるかどうかで決めております。

第5位:CHA2DS2-VAScスコア2点以上ではアブレーション後も抗凝固はやめないほうが良い
2点以上かどうかには論議の余地がありますが,かなり参考にすべき論点と思います。
JAMA Cardiol. Published online November 23, 2016. doi:10.1001/jamacardio.2016.4179


第4位:心房細動の死因は突然死や心不全が多く,脳卒中は少数
その他にも同様の報告が数多く出てきており,すでにポスト抗凝固時代と言ってよいかと思います。
JACC Volume 68, Issue 23, December 2016 DOI: 10.1016/j.jacc.2016.09.944

第3位:抗凝固薬を中止すると血栓塞栓症リスクは20倍に増加
とくにNOACをやめてしまう場合,非常にリスキーになるということを明示してくれた教訓的な論文
PLOS ONE | DOI:10.1371/journal.pone.0156943 June 9, 2016

第2位:抗凝固療法家の血圧は136mmHg未満にすべき
これまでのBAT研究では130/85でちょっと厳しいかと思っていました。ちょっと安心できるデータ。
J Am Heart Assoc.2016; 5: e004075originally published September 12, 2016

第1位:欧州心臓病学会のガイドライン改定
より多職種で,包括的にマネージメントするというコンセプトが明確に打ち出されました。
こうした斜め45度からの視点を提示できるESCには大リスペクトです。
また,PCI後の抗凝固,脳梗塞後の抗凝固など臨床上欲しかった指針も明確してくれていて,大助かりです。
2016 ESC Guidelines for the management of atrial fibrillation developed in collaboration with EACTS

番外編(次点)
・ポリファーマシーほど抗凝固薬による出血が増える
これも臨床でよくよく考えないといけないポイント
Polypharmacy and effects of apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation: post hoc analysis of the ARISTOTLE trial
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i2868 (Published 15 June 2016)


・90歳以上の人への抗凝固療法のリスクと効果
意外と出血より塞栓症が多いということを知っておく必要がある
Risk of Bleeding and Thrombosis in Patients 70 Years Or Older Using Vitamin K Antagonists
JAMA Intern Med. Published online July 05, 2016.


・NOACの大規模リアルワールドデータ
多くのRWD(リアルワールドデータ)が続々でてきました。概ねRCTに準じるような内容です。
Comparative effectiveness and safety of non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and warfarin in patients with atrial fibrillation: propensity weighted nationwide cohort study
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i3189 (Published 16 June 2016)


もっと番外編(開業医にはそれほどピンとこないが,世の中的にはインパクトがあるだろう等と思われるもの)
・PCI後のNOACとワルファリンの比較(PIONEER−AF試験)
話題の論文ではありますが,読めば読むほど日本の日常臨床への適応に難しさと疑問が湧いてくる気も致します
http://dobashin.exblog.jp/23369564/

・クライオアブレーションの効果と安全性
http://dobashin.exblog.jp/23369564/

・Xa阻害薬の中和薬
http://dobashin.exblog.jp/23251422/

・アブレーションが心房細動の予後も改善する
http://dobashin.exblog.jp/22772859/

### ということでこう振り返ってみると今年はリアルワールドのデータ,それも臨床に役立つお役立ちな論文が意外と多かったように思います。
来年からも現場役立ち度の高い論文をセレクトして読んでいこうと思います。

$$$ 様々な名言を残した真田丸も来週最終回ですね。黙れ小童とずんだ餅にしびれました。
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by dobashinaika | 2016-12-11 22:28 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

2015年,心房細動関連論文ベスト5

こちらはケアネットにも公開したオフィシャルな?ベスト5です。

例年通り,世の中へのインパクトではなく,私およびプライマリ・ケア医の「現場に直接影響がある」という視点で選んでいます。

第5位;薬剤師の介入によるダビガトランのアドヒアランスの改善
Supriya Shore et al: Site-Level Variation in and Practices Associated With Dabigatran Adherence. JAMA. 2015;313(14):1443-1450
http://dobashin.exblog.jp/21124661/
その後の当院での抗凝固薬管理に大きな影響を与えた論文です。診療所の外来においても,医師だけでなく多職種で構造的,包括的に疾病を管理する視点を再確認しました。

第4位:日本の医療施設における新規経口抗凝固薬服用中の頭蓋内出血の特徴
Naoki Saji et al: Intracranial Hemorrhage Caused by Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants (NOACs) – Multicenter Retrospective Cohort Study in Japan –. Curculation Journal 2月20日
http://dobashin.exblog.jp/20931826/
日本の脳血管疾患専門施設のリアル・ワールドデータで大変貴重です。日本のNOAC内服下での頭蓋内出血は従来の報告や諸外国の登録研究と比べても軽症であることが示されています。

第3位:多発する心房期外収縮は脳梗塞と関連あり
Bjørn Strøier Larsen et al: Excessive Atrial Ectopy and Short Atrial Runs Increase the Risk of Stroke Beyond Incident Atrial FibrillationJ Am Coll Cardiol. 2015;66(3):232-241
http://dobashin.exblog.jp/21672961/
時々出会う心房期外収縮多発例。やはり注意が必要。

第2位:NOACのリアル・ワールドにおける消化管出血リスク
Comparative risk of gastrointestinal bleeding with dabigatran, rivaroxaban, and warfarin: population based cohort study
BMJ 2015; 350 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h1857
http://dobashin.exblog.jp/21195302/
とくに高齢者では先行発売されているNOACの消化管出血に要注意ということをしっかりと押さえておくべきということだと思われます。

第1位:心房細動患者の手術時ヘパリンブリッジの血栓塞栓率は非施行群と同じ。出血は多い
James D. Douketis et al:Perioperative Bridging Anticoagulation in Patients with Atrial Fibrillation. NEJM June 22, 2015
http://dobashin.exblog.jp/21378213/
この論文のインパクトは大きかったと思われます。これまで当たり前のように,疑いもせずに行ってきた治療の中,いかにエビデンスに乏しく検証されていないものが混じっているか,改めて考えさせられます。

次点(順不同)
心房細動脳卒中の生存期間は1.8年(中央値):Neurology誌
http://dobashin.exblog.jp/21346427/

日本の85歳以上心房細動患者の脳卒中発症率は85歳未満より高いが大出血率は同じ:chest誌
http://dobashin.exblog.jp/21477250/

ワルファリンを適正に管理すれば85歳以上でも安全かつ有効:J-RHYTHMレジストリーサブ解析:CJ誌
http://dobashin.exblog.jp/21610935/

心房細動関連脳卒中の5年生存率は39%:Stroke誌
http://dobashin.exblog.jp/21764539/

日本の大規模コホートでは心房細動のイベント予測因子はCHADS2スコアとやや違う:PLOS one誌
http://dobashin.exblog.jp/21820445/

NOAC導入時の出血、血栓塞栓イベントはワルファリンと有意差なし:Circ誌
http://dobashin.exblog.jp/21480675/

心房細動患者の脳卒中リスク予測はATRIAスコアが最適:JACC誌
http://dobashin.exblog.jp/21893263/


次点が多くてすみません^^

NOAC(DOAC)のリアルワールドデータが出てきて,どのようなときに注意したら良いかの全貌が明らかになってきた感があります。

そんな中で,今後はますます認知症,フレイル,多職種共同,multimobidityと言ったキーワードが軸になっていくように思います。

日々論文を追っていくと,それまで日常的に行ってきた医療行為への信頼性が大きく揺らぐ瞬間出会ったりします。こうした出会いがエビデンスを読み解く楽しみでもあります。

今年1年ご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。
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by dobashinaika | 2015-12-28 21:22 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

2015年,心房細動関連私的お気に入り論文ベスト7

引き続き2015年心房細動関連論ベストです。
今回は「私的ベスト7」です。
医学全体への寄与度というよりも,個人的な好みで選んでいます。番号は便宜上のもので順位ではありません。

1.薬(心血管系薬剤)を飲みたくない理由:NEJM誌
http://dobashin.exblog.jp/20693106/
薬を拒否する患者心理についての考察です。だいたい薬が嫌な理由として以下のような点が挙げられています。どれもなるほどと思いますね。
・リスク(可能性)は大きく、ベネフット(確率)は小さく見積もられやすい
・「薬=化学物質はとりたくない。自然のものは良い」という感情
・手術やカテーテルでもう治ってしまったという錯覚
・薬を飲んで一時症状(や検査結果)が良くなったのでやめられる
・医者に行きたくないのでやめる
・「病人」というレッテルをはられたくない
・飲むと依存症になってしまう
・薬はコントロール出来ないものである→薬でなくてダイエットや運動のみで治したいという願望

2.不適切なポリファーマシーを減らす:Deprescribing=減処方のプロトコール:JAMAIM誌
http://dobashin.exblog.jp/21082119/
すっかりトピックになったポリファーマシー。わかりやすく5ステップで論じています。
1.全薬剤のリストアップと処方理由の確認
2.各薬剤の有害事象がどのくらい起きやすいかを考える
3.中断が妥当かどうかを考える
4.中断の優先順位付けをする:利益と害、中断しやすさ(リバウンドのなさ)、患者の希望
5.実際のプラン作成とモニタリング

3.コーヒーは少なくとも心房細動リスクを上げることはない:BMC Medicine 誌
http://dobashin.exblog.jp/21721111/
これもすっかりトピックになたカフェインですが,最近は心房細動予防に良いとの報告もあります。「○○が体に良い」かどうかの判断は必ず,用量がどのくらいかを抑えるのがポイントと思われます。

4.日本の患者は、抗凝固薬による出血を米国の患者ほど怖がらず,医師が考えるよりも寛容
http://dobashin.exblog.jp/21322421/
そうかなという気もしますが,医師の指示に従順であるということかもしれません。

5.心房粗動でも心房内血栓は少なくない:Europace誌
http://dobashin.exblog.jp/21302208/
これは実臨床にもかなり役立ちます。粗動はどうするか,は勉強会などで常に出る質問ですね。

6.心房細動に対する代替療法ーヨーガ、鍼、バイオフィードバックなどの総説:JTD誌
http://dobashin.exblog.jp/20897810/
代替療法も様々ですが,自律神経活動への関与度がキーかと思われます。

7.老人ホーム入居中の超高齢者への抗凝固療法:J Am Geriatr Soc誌
http://dobashin.exblog.jp/20790498/
老人ホーム入居中の超高齢者コホートでの心房細動有病率は高く,抗凝固薬処方率は高リスクにもかかわらず50%未満とのこと。ADL/IADLの低い人の脳塞栓予防をどう考えるか,これ医療というより倫理の問題です。

$$$一足早く年越しぞば。ここは有名なお店ですね。
 2015年,心房細動関連私的お気に入り論文ベスト7_a0119856_20573779.jpg

by dobashinaika | 2015-12-28 21:05 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

2015年,読んでおきたい心房細動関連総説ベスト10

今年も残り少なになりました。
恒例の心房細動論文年間ベストをお送りいたします。
今年は「総説」「個人的興味」「論文」の3分野に分けました。

まずは「総説」です。総説は順不同,順位はつけませんでした。

低リスク患者への抗凝固療法:TH誌
http://dobashin.exblog.jp/21069926/

ヨーロッパ心血管プライマリケア学会の心房細動脳卒中予防ガイドライン:EJPC誌
http://dobashin.exblog.jp/20937030/

抗不整脈療法に関するコクランレビュー
http://dobashin.exblog.jp/21072872/

Lip先生による心房細動における脳卒中予防に関する総説:JAMA誌
http://dobashin.exblog.jp/21251595/

抗凝固薬でこれだけはチェックしておきたい6項目:AIM誌
http://dobashin.exblog.jp/21431298/

認知症と心房細動に関する総説:JAHA誌
http://dobashin.exblog.jp/21526867/

高齢者の抗血栓療法総説;EHJ誌
http://dobashin.exblog.jp/21447635/

NOAC使用の実践的ガイド:特に抗血小板薬との併用について:Europace誌
http://dobashin.exblog.jp/21607875/

心房細動管理の質向上に関するロードマップ;Europace誌
http://dobashin.exblog.jp/21780051/

NOAC中和薬に関する批判的吟味と推奨:ESCポジションペーパー:EHJ誌
http://dobashin.exblog.jp/21993712/

蛇足(ながら実は最重要)
ジギタリスが生命予後に及ぼす影響に関するシステマティックレビュー&メタ解析2題
http://dobashin.exblog.jp/21600728/
http://dobashin.exblog.jp/21197269/

このブログを読めば,一応心房細動の今がわかる?そうでもないかw

$$$こうしたいものですね
2015年,読んでおきたい心房細動関連総説ベスト10_a0119856_21562861.jpg

by dobashinaika | 2015-12-27 21:59 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

ケアネット「2015心房細動関連論文ベスト5」更新いたしました。

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は年末恒例の「2015心房細動関連論文ベスト5」です。
今回のものはいつもどおり,「実臨床に生かせた」ことを基準に選んでいます。
総説,次点,おもしろ論文などを加えたベスト版は当ブログで,年末ギリギリに発表する予定です。
ケアネット「2015心房細動関連論文ベスト5」更新いたしました。_a0119856_2153338.png


http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0047.html?keiro=index
(要無料登録)
by dobashinaika | 2015-12-22 21:56 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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健康格差社会への処方箋


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