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ワルファリン管理良好のためNOACに変更しなかった場合でも大出血は多い?:TH誌

Selection, management, and outcome of vitamin K antagonist-treated patients with atrial fibrillation not switched to novel oral anticoagulant
F. Michalsk et al
Thrombosis and Haemostasis Ahead of Print: 2015-05-21


背景:良質にコントロールされたVKA(ワルファリンなど)はNOACに変更する利益は少ないとされるが、そうした患者の選択、管理、アウトカムの知見は乏しい

方法:
P:ドレスデンNOACレジストリー登録患者:2013年1月時点
E:VKA継続患者
C:NOAC処方患者
O;脳卒中/全身性塞栓症率、大出血率

結果:
1)VKA群(427例)はNOAC群(706例)より明らかに低出血リスクのプロフィール

2)VKA群のTTRは期間中(平均値追跡期間15ヶ月)71%から75%に上昇

3)VKA群の脳卒中/全身性塞栓症率:1.3%/人年(ITT解析)、0.94%/人年(as treated)

4)VKA群の大出血;4.15/人年(95%CI;2.60-6.29)

5)大出血例の死亡率(90日以内):16.3%

結論:日常臨床では、VKA継続例はNOAC選択例より健康。高い管理水準と低塞栓率を認めた。しかし患者選択とINR管理は高水準にもかかわらず大出血リスクは受け入れがたいほど良くなかった。

### ドレスデンAFレジストリーは、ドイツ、ドレスデン地区の診療所、病院医師230人が参加し、ダビガトランとリバーロキサバンを処方した症例の登録研究です。この研究に参加した施設で、NOACを投与あるいは変更せず、VKAを依然として継続していた症例を対象としてそのアウトカムを見た研究です。

VKA継続の理由が詳細に記載されてはいませんが、VKA群は塞栓症の既往、出血の既往、腎機能低下率、HAS-BLEDスコアなどがいずれもNOAC例より低いため、VKAを使っていてもイベントが起きた例はNOACに変更し、変更せずVKAのままでいるのはずっと落ち着いていて出血リスクの低い例だからのことが多いと考えてよいかと思います。

脳卒中/全身性塞栓症率は、たとえばRELY試験のワルファリン群は1.69%、ダビガトランは1.11%(150mgx2)〜1.53%(110mgx2)くらいですからダビガトラン150に近い成績と言えます。アリストテレスでのアピキサバンとほぼ同じ率(1.27%)です。

大出血率はRELYのワルファリン群が3.36%、ダビガトラン150mgで3.11%、110mgで2.71%ですので、それらよりも多いことになっています。

大出血の内訳を見ると、15ヶ月中に427例中22例5.2%にみられ、頭蓋内出血7例(1.6%)、消化管出血5例(1.1%)、その他(眼窩内、関節、後腹膜など)10例でした。Nが少ないのでなんとも言えませんが、頭蓋内出血がやはり目立ちます。ちなみにNOAC群の大出血率は約700例中6例、頭蓋内出血は4例でかなり低めです。

出血症例が詳細に記載されていますので、大変参考になります。頭蓋内出血の例は殆どが74歳以上で最高94歳。外傷性が多く、出血時のINRは2.5以上が多いようでした。

これは考えさせられる結果ですね。TTR75%と非常に良好な集団でも、大出血率はNOACに劣るかもしれない。もちろん観察研究でバイアスはありますが、リアル・ワールドの結果ですので、またより出血リスクが低いと思われる例でこの結果ですので、もしかするとTTR良好でも一概にワルファリンで安住すべきではないのかもしれません。

TTRという概念も、実は一口では語れなくて、逸脱している時間と逸脱の度合い(INRの高低)の区別はされていません。またNが少ないですし、日本のデータではありません。

もう少し読み込んでみます。

$$$ 知る人ぞ知る地元ローカル番組のご当地おみやげ1位。かなり美味しいそうです。一口だけ頂きました^^
ワルファリン管理良好のためNOACに変更しなかった場合でも大出血は多い?:TH誌_a0119856_23344015.jpg

by dobashinaika | 2015-05-26 23:35 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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