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脳塞栓にならないためにはいくらまで支払えるか:患者と医師との価値観の違い:V/H誌

Physician and Patient Preferences for Nonvalvular Atrial Fibrillation Therapies
Value Health. 2016 Jun; 19(4):451-9.


目的:非弁膜症性心房細動の抗凝固両方に関する患者と医師との価値観の違いを明らかにする

方法:
・非弁膜症性心房細動と診断された患者及びその主治医に12の質問
・脳塞栓リスク,大出血リスク,便利さ(採血/食事),服薬回数,コストの5カテゴリーを比較
・willingness-to-pay (WTP):支払い意志額=そのアウトカムを得るのに支払っても良いと考える金額を各カテゴリーにつき評価

結果:

1)1%脳塞栓症を減らすためのWTP(医師200人):$38(95%CI:$22〜$54)

2)1%大出血を減らすためのWTP(医師200人):$14(95%CI:$8〜$21)

3)より便利になることに関するWTP(医師):$30($18〜$42)

4)1%脳塞栓症を減らすためのWTP(患者201人):$30(95%CI:$18〜$42)

5)1%大出血を減らすためのWTP(患者201人):$16 (95%CI:$9〜$24)

6)より便利になることに関するWTP(患者):-$52(-$96〜-$6)

7)より便利になることに関するWTP:ワルファリン服用者は$9に対し非服用者は-$90

8)1日の服薬回数に関するWTP:患者,医師ともにほぼゼロ

9)85%の医師はワルファリンよりNOACを好む

10)ワルファリン服用中の患者の73&%はNOACを好む

11)ワルファリン非服用者の78.2%はワルファリンを好む

12)NOACの中では,患者,医師ともにアピキサバンを好む

COI:Bristol-Myers Squibb (BMS) and Pfizer

結論:医師,患者ともワルファリンを使用している場合でも,NOACの方をワルファリンより好んだ。ワルファリンを使用していない患者では,定期的な検査や食事制限ゆえにNOACよりワルファリンを好んだ。

###最後のワルファリンをより好む理由がわかりません。検査があったほうが信頼できるのはわかりましが,食事制限されたほうが良いような書き方でした(本文を読んでみないとわからないかも)。

それにしても興味本位で読んではみましたが,こうした解析はどれだけ意味があるか。確かに医師のほうが,患者さんよりも脳塞栓に関しては高いお金を払っても良く,大出血は安くても良いような傾向かもしれませんが,あまり大差無いように見えます。

そもそも脳塞栓にならないため,にどれだけのコストが支払えるかという発想自体違和感を感じます。お金に変えられない!と思いますよね。

最後にCOIを見たのがいけませんでした。こんな論文もあると思って読んでください。

$$$ 古い神社にネコ一匹
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by dobashinaika | 2016-06-22 18:43 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

ワルファリンよりも新規抗凝固薬が選ばれる最大の理由は?:AJC誌

Factors Driving Anticoagulant Selection in Patients with Atrial Fibrillation in the United States
Julie C. Lauffenburger et al
Am J Cardol 2月2日


疑問:医師が抗凝固薬を選ぶときの選択基準は何か?

背景:NOAC導入の際、リアルワールドでの抗凝固薬の選択基準は明確ではない。この研究の目標は、脳梗塞リスク(治療ベネフィット)、出血リスク(治療の害)、処方上の手当の範囲(の3つ)のうちどれをどの程度考慮するのかを解析することである。

方法:
・対象:USデータベースまたはメディケアにおいて2010年10月〜2012年12月に抗凝固薬が開始された、非弁膜症性心房細動症例
・ワルファリンとNOAC選択、およびダビガトランとリバーロキサバンの間の選択の際に、塞栓症リスク(CHA2DS2-VAScスコア)、出血のリスク(ATRIAスコア)、手当における余裕(全生活費に対する手当の有り合い)の間の関係を評価

結果:
1)70498症例:ダビガトラン29.9%、リバーロキサバン7.9%

2)ワルファリン処方例に比べてNOAC処方例は
CHA2DS2-VAScスコアが低い:修正RR0.75 (0.72-0.77)
低出血リスク(ATRスコア)低い:修正RR0.66 (0.64-0.69)
経済的余裕あり(手当割合20%以下):修正RR2.03 (1.92-2.16)

3)処方上の余裕のある人は、ワルファリン処方例に比べNOAC処方例はほぼ2倍

4)ダビガトランに比べ、リバーロキサバン選択患者は: 高出血リスク;修正RR1.16 (1.09-1.24)

結論:高出血リスク、高塞栓リスク患者ではワルファリンがより好まれるが、経済的余裕がNOAC選択の最強因子である。

### "benefits’ generosity"はメディケアなどの保険制度で、何割給付を受けるかという経済上の「寛容さ」を指すものと考え、「経済的余裕」と一部訳しました。

この論文の結果は大納得です。何回も書いていますが、「高い」という理由でNOACを避けワルファリンを選ぶ方は、かなり多いということをいつも実感します。特に3割負担の方、年金暮らしのかたですね。大きな病院より開業医では確実にこうした方が多いように思われます。

ワルファリンを選ぶひとにとっては、(ベネフィット) - (リスク)<(コスト)ということになります。

抗凝固薬の選択要件をこのように「ベネフィット」「リスク」「コスト」で考えて、コスト重視の向きにはワルファリン、という推奨がされることがあり、私も時にそういう書き方をするのですが、よく考えるとですね、いい薬なのに、高いから飲めないという薬が、日本の、しかもコモンディジーズにおける、外来の診療において、あってよいものなのか?エビデンス的に優れた薬が、経済的格差という理由から使われないということがあって良いものなのか?ということをですね、十分考えなければならないように思います。
by dobashinaika | 2015-02-04 23:42 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

心房細動による入院率、コストとも過去11年間で明らかに増加(米国):Circulation誌

Circulation. published online May 19, 2014http://circ.ahajournals.org/content/early/2014/04/23/CIRCULATIONAHA.114.008201

Trends of Hospitalization for Atrial Fibrillation in the United States, 2000 Through 2010: Implications for Healthcare Planning
Nileshkumar J. Patel et al.


【疑問】米国における心房細動のための入院はどのような傾向にあるのか?

【方法】
・米国最大の入院患者データベースであるAgency for Healthcare Research and Quality (AHRQ)作成のThe Nationwide Inpatient Sample (NIS)を使用:45州、1200以上の病院をカバー

・2000年〜2010年に登録された患者のうち、退院時ICD-9CMに基づき心房細動を第一の診断名とされた患者

【結果】
1)2000−2010年で心房細動入院患者は23%増加:特に65歳以上

2)合併症;高血圧60%(最多)、糖尿病21.5%、COPD20.0%

3)入院中死亡率:1% :80歳以上1.6%、心不全合併8.2%

4)入院中死亡率は2000年時1.2%→2010年時0.9%:29.2% 減少, p<0.001

5)平均在院日数は変わらず(中央値3日)

6)入院コストは明らかに増加; $6,410 in 2001 から $8,439 in 2010 (24.0% 増加, p <0.001)

【結論】米国における心房細動の入院率はここ11年で明らかに増加。慢性合併症も明らかに増加。最近の10年で死亡率は明らかに低下したがコストは明らかに増加したことが証明された。

### 注意したいのは、救急外来患者が含まれていないことと、"Primary"の診断が心房細動の例を集計しているので、それより重症の心房細動由来の心不全や脳塞栓症は含まれていないという点です。

おそらく頻脈のため、あるいは除細動目的入院が多いものと思われます。もし上記のような心不全、脳塞栓例も入れると、よりかなり入院率もコストも上昇するものと思われます。

第一の原因は高齢化だと思われますので、日本ももしかするとアメリカ以上に心房細動の医療コストに占める"burden"が上昇しているかもしれません。

NOAC時代となり、心房細動に目が向けれられるようになると、それだけで診断率も向上し、入院率も上昇するかもしれません。そうしたバイアスを上回るベネフィットを抗凝固療法が持つのかは興味深いです。ですので、このデータベースののNOAC以後のアウトカムが今後知りたいところです。
by dobashinaika | 2014-05-26 20:04 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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