人気ブログランキング |

タグ:コクラン ( 2 ) タグの人気記事

抗不整脈薬のアウトカム(死亡、脳卒中など)に関するコクラン・システマティックレビュー

Antiarrhythmics for maintaining sinus rhythm after cardioversion of atrial fibrillation.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Mar 28


背景:心房細動再発予防に用いられる抗不整脈薬が、予後や他のアウトカムに及ぼす影響については不確定

目的:抗不整脈薬の死亡、脳卒中、塞栓症、副作用、心房細動再発についての長期効果を検討

方法:
・Cochrane Library 、MEDLINE 、EMBASEからのメタ解析
・抗不整脈薬vs偽薬または他の抗不整脈薬、 RCT

結果:
1)最近の3試験を含む59試験、21305例

2)Concealment(無作為化の隠蔽)は17試験。他の42試験は不明

3)全死亡(対対照群):
キニジン、ジソピラミド:オッズ比2.39 (1.03−5.59)、NNTH109 (34-4986)
ソタロール:オッズ比2.23 (1.1-4.50), NNTH169 (61-2068)
他の薬剤は影響なし、ただし検出力に欠ける

4)再発オッズ比:
クラスIA(キニジン、ジソピラミド)、IC(フレカイニド、プロパフェノン)、III(アミオダロン、ドフェチライド、ドロネダロン、ソタロール):0.19 to 0.70、NNTB3~16
β遮断薬(メトプロロール):0.62(0.44−0.88)、NNTB9

5)全薬剤で副作用による中止あり。アミオダロン、ドロネダロン、プロパフェノンを除いて催不整脈
作用あり

6)脳卒中:ドロネダロンに関する1つの試験以外は明らかな影響なし

7)心不全:対照試験少なく解析できず

結論:いくつかのクラスIA,IC,III抗不整脈薬はII群(ベーダ遮断薬)同様心房細動除細動後の洞調律維持に中等度の効果を示した。しかし副作用の増加(再不整脈作用を含む)を認め、キニジン、ジソピラミドは死亡率増加を認めた。臨床上重要なアウトカム(脳卒中、塞栓症、心不全)は確立されるべきものとして残った。

### 前々から言われていたことではありますが、コクランからどーんと言われると、やっぱりと思ってしまいます。最近は抗不整脈薬を長期に使うことは殆ど無いわけですが、今後さらに抗不整脈薬はアブレーションあるいは慢性化(レートコントロールオンリー)までのワンポイントとして位置づけられるように思われます。

$$$造り酒屋跡の公園。枝垂れ桜ようやくうっすら紅色に染まってきました。
a0119856_1813311.jpg

by dobashinaika | 2015-04-01 18:02 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

様々な介入により高齢者のポリファーマシーは改善するか:Cochraneシステマティックレビュー

Interventions to improve the appropriate use of polypharmacy for older people.
Patterson SM et al
Cochrane Database Syst Rev. 2012 May 16;5:CD008165. doi: 10.1002/14651858.CD008165.pub2.


疑問:ポリファーマシーや薬剤関連の問題が、高齢者において、介入により改善されるのか

方法:
・2013年11月時点、MEDLINE and EMBASE、検索語:'polypharmacy', 'medication appropriateness' and 'inappropriate prescribing'

結果:
1)12研究;1つはコンピューターによる決断支援、他の11は複雑で多面的な薬局でのアプローチ

2)介入は、医師薬剤師などの専門職による。ポリファーマシーの評価ツールとしてMAIスコア、 Beers criteria、STOPP criteria、 START criteria が用いられていた

3)介入は、薬剤不適切使用の減少させた

4)GRADEアプローチに基づくと、エビデンスの全体の質は超低〜低であった

5)ベースラインと追跡後で、対照群に比べ介入群でMAIスコアの減少が見られた;4研究、平均減少度 -6.78, 95% CI -12.34 to -1.22

6)介入後のpooled dataは低いMAIスコアを示した;5研究、平均減少度 -0.1, 95% CI -0.28 to 0.09

7)入院に関する効果(5研究)や薬剤関連問題への効果(6研究)のエビデンスは一致を見ていない

結論:薬局などの介入がポリファーマシーを明らかに改善するかどうかは不明確。しかしながら、不適切処方を減らす効果は明らかとなった。

### 今、いわゆるポリファーマシーについて開業医の立場からある原稿を書いています。

ポリファーマシーは最近良く問題となりますが、詳しくはこちらのブログをご覧ください。
http://syuichiao.blogspot.jp/2012/12/de-escalation.html

ポリファーマシーには単に多剤処方というだけでなく、それにまつわるアドヒアランスの低下、相互作用、コストの問題、高齢者での効果の問題、不適切適応、逆に適応あるのに処方されていない、という重層的な一連の問題が絡んでいるものと思われます。

どれくらいからをポリファーマシーというのかもまだ定かでありませんが、5〜9剤以上と言われています。

不要な薬剤のスクリーニングリストとして、本論文にもでているBeersクライテリアSTOPPクライテリアなどがあります。日本での適応がまたれるところです。

現時点では、問題となっていることすら知られていない感じで、浸透度は低いかもしれません。。特に内科の医師の中には、多くの薬を出すことに疑問を持たないどころか、これに制限を加えるとなると、目くじらを立てる向きもあるかもしれません。

しかしながら、薬が多すぎると、少ない場合よりアウトカムが悪いというエビデンスは集積されつつあります。問題はそれに対してどう介入するかですが、この論文で扱っている介入には、医師を対象にした教育プログラム、薬局主導での組織的なスキルアップ、医療費的優遇、政府や地域の法制的介入等が挙げられています。

患者サイド、医師サイド、薬剤師サイド、医療システム面などなど各方面から重層的な対応が求められます。
薬をありがたがる患者さんの気持ち、身に染み付いている医師の臓器別疾患別のゴール設定マインド、それに拍車をかける出来高制度、フリーアクセスによるポリドクターの問題(内科はこの疾患、整形はこれ、泌尿器はこれと、ドクターが複数)などなど、突っ込みどころはすごくいっぱい。

かくいう私も、9剤以上処方している患者さんはもうたくさんおられます。薬を追加することは簡単でも、なかなか減らすことは難しいです。多いなあとは思っていても。我々やはり足し算の思想には慣れていますが、ひき算することは非常に苦手なんですね。

まずは、広くその存在を知らせることからでしょうか。その上でシステム、各ステークホルダーのマインド、スキルをどう変えるか。難題ではありますが、手がけていきたい問題ではあります。

ということで今日は台風一過で風強い中の散歩でした。
金木犀の実が大量に落ちてしまっていました。季節の変化というのは、少しずつすすんでいくばかりではない、大風や大雨の襲来で、劇的に変化するわけです。物事も同じで、徐々にしかかわらないと思っていることも、なにかのきっかけで突然ブレイクスルーすることもよくあります。また、知らないうちに大風が吹いて、自分でも知らないうちにブレークスルーしている場合もあるかもしれませんね。もちろんそうなる前に既に萌芽があるわけですが。
a0119856_2352719.jpg


野良猫、台風一過で気持ちよさそう。
a0119856_23503038.jpg

by dobashinaika | 2014-10-14 23:56 | 医療の問題 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(34)
(34)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(19)
(18)
(17)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36
冠動脈疾患合併心房細動におけ..
at 2019-09-03 07:29
製薬企業をスポンサーとするD..
at 2019-08-30 08:29
心房細動に対する経皮的頸動脈..
at 2019-08-22 06:42
フレイルと心房細動,抗凝固療..
at 2019-08-21 07:00
オープンダイアローグと診療所診療
at 2019-08-13 07:00
周術期ヘパリンブリッジなしで..
at 2019-08-09 06:28
日経メディカルオンライン更新..
at 2019-08-06 07:30

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン