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アブレーションは心房細動のQOLを有意に改善させるが,ループレコーダーを使うと75%で再発している:CAPTAF試験


P:6ヶ月以上の心房細動治療(1種以上の抗不整脈薬またはβ遮断薬に対し)抵抗性を示す30-70歳の患者155例。北欧の5大学病院。6ヶ月以内の症候性心房細動,心電図上12ヶ月以内に1回以上の発作性心房細動,2ヶ月以内に2回以上の持続性心房細動の除細動歴
除外基準:LVEF<35%,左房径>60mm,心室ペーシング依存,アブレーション歴あり

E:カテーテルアブレーション

C:服薬歴のない抗不整脈薬

O:主要=総合的健康状態 (GH)サブスケールスコア(MOS SF-36,最悪0〜最良100 ),副次=植込み型心臓モニターによる心房細動負荷(時間割合)など。アブレーション3ヶ月間が分析から除外

結果:
1)155例(アブ79例,抗不整脈薬76例),平均56.1歳

2)アブ群再施行14例,くすり群1剤治療抵抗43例

3)GHスコア:有意にアブ群が改善(群間差:8.9ポイント、95%CI:3.1~14.7、p=0.003)
アブ群:61.8ポイント→73.9ポイント
くすり群:62.7→65.4ポイント

4)12ヶ月後のAF負荷:有意にアブ群で改善(群間差:-6.8ポイント、95%CI:-12.9~-0.7、p=0.03)
アブ群:24.9%→5.5%
くすり群:23.3%→11.5%

5)MOS SF-36のサブスケール7つのうち5つで有意にアブ群で改善

6)主要有害事象:アブ群 尿路性敗血症(5.1%),くすり群 心房性不整脈(3.9%)

結論:症候性心房細動において,カテーテルアブレーションは抗不整脈薬に比べ12ヶ月後のQOLを有意に改善した。盲検試験ではないが,カテーテルアブレーションはQOLを改善させる可能性あり。

### QOLに注目したアブレーションvs抗不整脈のRCTです。予想通りアブ群で大きな改善が見られており,その原因はAFの時間的な負荷が大幅に減少したからだと思われます。

しかし一番驚いたのは,全例植え込み型ループレコーダーを導入して心房細動の再発をチェックした点です。それによると心房細動の非再発率はホルター心電図ではアブ群84.9%,くすり群78.4%だったのに対し,ループレコーダーではなんとそれぞれ25.3%,29.7%でした(しかもどちらのデバイスも有意差なし)。
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これを正直にとらえると,アブレーションしても再発しないのは1/4しかいない!ということになります(薬でも同じ)。もちろん合計の時間(バーデン)はアブのほうがかなり少なくなり感じなくはなりますが,ループレコーダーで正確に評価するとかなり再発してるのだということがわかります。

ただし,「再発」の定義はループレコーダーが2分以上持続,ホルターが1分以上ですので,短時間の症例も含まれることにはなっています。

どのくらい持続すると血栓ができるのかという議論にはなりますが,アブレーション後に抗凝固薬を中止することは推奨されない根拠にはなる(とくにCHA2DS2-VASc高リスク例)と思われます。また今後のアブレーション後再発の評価は(少なくとも論文レベルでは)ループレコーダーの使用がデフォルトになっていくのかもしれません。

これまで心房細動の評価は自覚症状,時々の心電図とホルターなどしか用いられてこなかった中で,数多くの臨床試験が成り立ってきたわけですが,本試験はテクノロジーが人の行動様式を変えていく有様をまた見せつけられる思いがします。

$$$ 眠るにはいいい季節
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by dobashinaika | 2019-06-01 07:28 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

日本の不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)が発表されました

先日横浜で開催された第83回日本循環器学会学術集会と同時発表されました「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)」について概観します。


膨大ですので,とりあえず心房細動のところだけ。

4.1.3 AF アブレーションの治療適応

<推奨クラス I:評価法・治療が有用,有効であることについて証明
されているか,あるいは見解が広く一致している.>
・薬物治療抵抗性の症候性発作性 AF(高度の左房拡大や左室機能低下を認めず)(エビデンスレベル(A)

<推奨クラス IIa:データ,見解から有用,有効である可能性が高い>
・症候性再発性発作性 AF に対する第一選択治療としてのカテーテルアブレーション(B)
・心不全(左室機能低下)の有無にかかわらず,同じ適応レベルを適用する(B)
・徐脈頻脈症候群をともなう発作性 AF (B)
・症候性持続性 AF (B)

<推奨クラス IIb:有用性,有効性がそれほど確立されていない>
・症候性長期持続性 AF (B)
・無症候性発作性 AF で再発性のもの(C)
・無症候性持続性 AF (C)

<推奨クラス III:評価法・治療が有用でなく,ときに有害となる可能
性が証明されているか,あるいは有害との見解が広く一致している>
・左房内血栓が疑われる場合(A)
・抗凝固療法が禁忌の場合(A)

※ 薬物治療抵抗性:少なくとも 1 種類の I 群または III 群抗不整脈薬が無効

<症候性AFのフローチャート>
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< AF カテーテルアブレーションの適応に関する総合的判断>
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4.3 AFアブレーション周術期の抗凝固療法

<推奨クラス I>
・ワルファリンもしくはダビガトランによる抗凝固療法が行われている患者では,休薬なしでAF アブレーションを施行することが推奨される(B)
・ヘパリンは,鼠径部穿刺後あるいは心房中隔穿刺後に至適用量をボーラス投与し,アブレーション手技中は ACT 値を 300 秒以上に維持する(B)

<推奨クラス IIa >
・持続性 AF および高リスク例(CHADS2 スコア 2 点以上)では,ワルファリンあるいはDOAC を,少なくとも 3 週間以上使用すべきである(C)
・リバーロキサバン,アピキサバンによる抗凝固療法が行われている患者では,休薬なしで AFアブレーションを施行することが推奨される(B)
・エドキサバンによる抗凝固療法が行われている患者では,休薬なしで AF アブレーションを施行することは合理的である(B)
・DOAC による抗凝固療法が行われている患者では,AF アブレーション施行前に抗凝固薬を1 もしくは 2 回休薬し,アブレーション後に再開することが推奨される (B)
・術後の抗凝固療法(ワルファリンあるいは DOAC)は,再発の有無にかかわらず,少なくとも 3ヵ月間継続することが推奨される(C)
・術後 3ヵ月以降の抗凝固療法(ワルファリンあるいは DOAC)に関しては,長期経過観察期間中の AF 再発を考慮し,CHADS2 スコア 2 点以上の患者では継続投与することが望ましい(C)

### 学会発表と同時のWeb掲載でしたので,現時点で世界で最も新しいアブレーションのガイドラインです。

AFアブレーションの最も良い適応(推奨度I)は「抗不整脈最低1剤使用でも発作が起きる発作性心房細動」です。いきなりするのは推奨度IIaです。しかしながらはじめから症候性のAFで抗不整脈薬1剤程度で発作が起きない症例は少ない(かあっても軽視される?)ので,事実上現在は発作性AFであれば禁忌のない限りアブが第一選択という共通認識が不動になりつつあると思われます。

また持続性(1年以内持続)では,抗不整脈無しでいきなりアブで良いとなっています。

一方,心不全合併AFはCASTLE-AF試験などの知見を踏まえ推奨度IIaで,心不全の有無で推奨度を区別しないとなっています。最近UpdateされたAHA/ACC/HRSガイドラインでは心不全AFのアブはIIbとなっていて微妙な差があります(米国のは死亡率低下や心不全入院減少のためのアブ,となっていますが)。

無症候性心房細動に対してはIIbですから,どうしても現場で必要と判断された場合に限定かと思われます。

高齢者心房細動の推奨度は示されませんが,「アブレーションの効果の高い発作性 AF 例においては,日常生活動作の保たれている高齢者(おおむね 75 歳以上)での治療適応を若年者と同様に考えることは,妥当な判断と考える.しかし一方で,高齢者の持続性および長期持続性 AF へのカテーテルアブレーションの適応の妥当性は,若年者よりも低いと判断する」と記載されています。

「総合的判断」のトリアスに示されるように,年齢,症状,進行度の3因子を総合的に判断することが提唱されています。

個人的にはCAVANA試験で予後改善が示されなかったこともありますが,最も知りたいのは「アブレーションをすることでどのように症状や運動耐用能が改善し,どんなふうに生活や生きることへの意欲が変わるのか」ということなんですが,これはじつはプライマリケア医がいちばん知っている(べき)ことなんですね。

### 今回の改定で嬉しいのは,アブレーション前後の抗凝固薬使用について教えてくれているところです。
アブレーション前少なくとも3週間の抗凝固療法と,休薬なしのアブレーションが勧められています。このときワルファリンとダビガトランはエビデンスの多さから推奨度Iでその他のNOACはIIaのようです。

アブが成功した後に抗凝固療法をするかどうかがプライマリ・ケアでは注目ですが,少なくとも3ヶ月は必ず行い,3ヶ月後はCHADS2スコア2点以上はずっと継続となっています。

0点については本文の中で「3ヶ月後に中止可能」と述べられていますが,1点については「判断は難しいが,発作性か持続性か,塞栓リスクと出血リスク,左房径,BNP 値,D-dimer 値,患者の意向などを総合的に判断し,中止または続行を決定する」と言及されています。

実際1点でもやめないほうが無難と考える医師も少なくないため(無症候性の再発も考えると),抗凝固薬を継続している患者さんはよく見かけます。そうなるとアブレーションしたからといって抗凝固薬の呪縛から逃れる人はあまり多くはないということにもなりそうです。

なお注目の左心耳閉鎖デバイスについては,推奨度は示されず,「左心耳閉鎖デバイスは,NVAF に対する長期ワルファリン内服の代替療法となる可能性が示されたが,ワルファリンと同等に有効で,より安全とされる直接作用型経口抗凝固薬に対する有効性・安全性を検証する RCT は行われていない」との記載にとどまっています。

この時代,大変な労作のガイドラインと言えますが,GRADEシステムは用いられていないようでガイドラインそのものとしての評価は今後の判断となろうかと思います。

$$$ しかし今回の横浜での学術集会。ツイッターでのスライド紹介が大幅に緩和されて,担当医師による大量のスライド撮影やコメントがタイムラインに洪水のように押し寄せてきました。非常に壮観でかつ勉強になりました。

これ実現させた学会情報広報部の努力に敬意を評したいと思います。学会員数から見て盛り上がりは途上とは思われますが,一つのプラットフォームとして機能していくことを期待したいです。
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by dobashinaika | 2019-04-02 00:22 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)

臨床上の各場面でどの抗凝固薬を選べばよいか:EHJ誌

Choosing a particular oral anticoagulant and dose for stroke prevention in individual patients with non-valvular atrial fibrillation: part 1
Eur Heart J http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv643 ehv643 First published online: 4 February 2016

EHJ(Lip先生グループ)から非弁膜症性心房細動における抗凝固薬の選択と用量についての実践的ガイダンスがでています。
そのパート1

<安定冠動脈疾患+心房細動>

第1選択:NOAC単独,どのNOACでもよい
第2選択:アスピリン長期追加:ただし個々のリスクと冠動脈の形態による
コメント:NOAC間の直接比較研究はない

<安定末梢動脈疾患+心房細動>

第1選択:安定狭心症に同じ:エビデンスが集まるまで

<PCI施行患者+心房細動>

第1選択:トリプルテラピーの患者ではビタミンK阻害薬(VKA,TTR70%超,INR2.0-2.5)またはNOAC(低用量)
コメント:NOAC間の差はない。トリプルテラピーの公表されたエビデンスはダビガトラン(RELY)のみ

<除細動時>
第1選択:VKA:ただしいくつかのデータはNOACで代替できることを示唆,実際除細動までの時間短縮になる
コメント:Post hoc解析ではアピキサバン,ダビガトラン,リバーロキサバン間で差異はない

<カテーテルアブレーション時>
第1選択:ワルファリン(中断なし)
第2選択:ダビガトラン,アピキサバン,リバーロキサバン(中断なし)
歳3選択:ブリッジング下のワルファリン中断
コメント:エドキサバンのエビデンス利用できない

<機械弁,中等〜重症(リウマチ性)僧帽弁狭窄症>
第1選択:VKA
コメント:NOACのデータなし。使用すべきでない

<その他の弁膜症:僧帽弁,大動脈弁,三尖弁閉鎖不全。大動脈弁狭窄>
第1選択:アピキサバン,リバーロキサバン
第2選択:ダビガトラン,エドキサバン
第3選択:VKA

<VKAでTTR70%を超える患者>
第1選択:VKA継続
第2選択:以下の場合NOAC:VKA投与下で大出血,虚血性脳卒中の合併既往あり。SAMe-TT2R2スコア2未満。その他患者の選好と価値を考慮
コメント:NOACの選択と用量は患者の特性による。NOAC間の差はない

<低リスク(CHA2DS2-VAScスコア1点(女性で2点))>
第1選択:OACを考慮:ダビガトラン150x2たまはアピキサバンを考慮

<心房細動1回のみ記録されている場合>
コメント:抗凝固薬の選択は心房細動のタイプ,頻度による
(本文では,原則投与だが,若年でCHA2DS2-VAScスコア1点には使用しないとの記載)

<リズムコントロール,レートコントロール患者>
・べラパミル内服者はダビガトランとエドキサバンは低用量で
・リバーロキサバンは減量しない
・アピキサバンはアミオダロン,ベラパミルに影響しない
・ダビガトランはドロネダロん併用は禁忌
・エドキサバン30mgはドロネダロン併用時に使用すべき

### 大変実践的ですが,全般にNOACイチオシがやや目立ちます。「コスト」の項目がないのが遺憾といえば遺憾(笑)
膨大なCOIの記載を見ればそれも頷けますか。

パート2も後日ご期待を

$$$ 冬の散歩の風物詩,ガードレールで自己主張する片っぽ手袋。今日も全世界の何処かで大量片っぽ手袋が路上や塀やガードレールにひとりさびしく,引き取りてもなく置着ざりにされているかと思うと不憫でなりません(笑)
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by dobashinaika | 2016-02-09 00:13 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(1)

カテーテルアブレーションの成功率が高い論文ほど引用されやすい(引用バイアス):CCQO誌

Association Between Success Rate and Citation Count of Studies of Radiofrequency Catheter Ablation for Atrial Fibrillation: Possible Evidence of Citation Bias
Perino AC et al
Circ Cardiovasc Qual Outcomes 2014;7:687-692.


疑問;心房細動アブレーションの効果を評価する論文に引用バイアスはあるのか?

方法;
・心房細動アブレーションに関する174論文を調査
・主要エンドポイント:論文の引用回数

結果:
1)成功率:1回10〜92%、複数回31〜95%

2)平均引用回数:54

3)アブレーションの成功率が10%上昇するにつれて、その論文の引用回数は17.8%上昇(公表からの時期で補正)

4)雑誌のインパクトファクターやオーサーシップとは独立した関係

結論:高成功率の論文ほど低成功率のものより引用されやすい

Perspective:引用バイアスが、心房細動アブレーションの目に見える形での成功率を過大評価していることを示す興味深い論文。しかし解析の方法にではなく、科学的な質、患者背景のタイプ、アブレーションの方法に、重要な潜在的交絡因子がある。引用バイアスと成功率の関係があるかどうかは、これらの交絡因子補正後も残るかもしれない。

### 最近では一番興味深いで論文です。成績が良い論文ほど引用されやすい。悪い施設のは無視されがち。しかし複数回でも31%しか成功率のない論文もあるのですね。1回で10%というのもどういう施設なのでしょうか?

そういう施設の問題点こそ知りたい気がします。それはなかなか広く知られない。NOACなどもそうで、重篤な副作用も報告されないで埋もれているケースはあると思われます。

CardioSource. orgのサマリーを参照しました。
by dobashinaika | 2014-10-03 17:43 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

ケアネット連載;心房細動アブレーション前後でワルファリンを継続すべきか?:更新いたしました

ケアネットに連載中の「Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~」
第7回は「心房細動アブレーション前後でワルファリンを継続すべきか?」です。

最近アブレーション前後でワーファリンをやめないで継続する施設が増えてきておりますが、それを裏付けるデータです。

http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0007.html
(無料登録が必要です)
by dobashinaika | 2014-07-18 00:37 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動アブレ−ション前後でワルファリンを継続すべきか?:Circulation誌

Circulation 4月17日オンライン版

Periprocedural Stroke and Bleeding Complications in Patients undergoing Catheter Ablation of Atrial Fibrillation with Different Anticoagulation Management: Results from the "COMPARE" Randomized Trial
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.00642
Luigi Di Biase et al


【疑問】心房細動のカテーテルアブレ−ション前後でワルファリンを継続すべきか

P:CHADS2スコア1点以上の心房細動アブレーション施行者

E:ワルファリン中止+ヘパリンブリッジ

C:ワルファリン継続

O:血栓塞栓イベント:アブレーション後48時間以内

T:オープンラベル、ランダム化比較試験。米国の多施設研究

【結果】
1)1584人登録。中止群790人、継続群794人。背景に差なし

2)血栓塞栓イベント:有意に中止群で多い (p<0.001)
中止群39例:脳卒中29,TIA10:発作性2,持続性4,長期持続性33
継続群2例:前例長期持続性

3)ワルファリン中止は血栓塞栓イベントの強力な予測因子:オッズ比13(3.1−55.6, p<0.001)

【結論】この試験はアブレーション周術期のワルファリン継続が、ワルファリン中止+ヘパリンブリッジに比べ脳卒中や小出血を減らすことを示した初めてのランダム化試験である。

### 確認ですが中止群はアブ前2−3日でワルファリン中止し、当日まで低分子ヘパリンブリッジとエノキサパリン1日2回投与しています。術後は3ジアkンゴからエノキサパリン投与開始、INRが2以上になったら中止としています。継続群では当日1INRが3.5以上の症例は除外されています。

また出血合併症は、中止群7例、継続群4例でどちらも心嚢液貯留でしたが有意差なしでした。(むしろ継続群で少ない傾向)

血栓塞栓イベントはCHADS2スコア高点及び長期持続性で多かったようです。

なかなかインパクトの有る結果です。日本ではINRがもっと低めですから塞栓症イベントで差が開かないかもしれませんが、やはりヘパリンブリッジは症例により危険が伴うのかもしれません。上記の症例では特にワルファリン継続を考えるべきかもしれません。


NOACでどうかが興味深いですが、筆者はNOACに解釈を広げるべきでないと諭していますね。
by dobashinaika | 2014-04-21 17:19 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

日本における心房細動アブレーションの1年間追跡成績:Circulation J誌

Circulation Journal 3月21日早期公開版より

Nationwide Survey of Catheter Ablation for Atrial Fibrillation: The Japanese Catheter Ablation Registry of Atrial Fibrillation (J-CARAF)
– Report of 1-Year Follow-up –



【疑問】日本全体でのカテーテルアブレーションの成績はどうなのか?

【対象】
2011年9月〜2012年3月までにJ-CARAF研究に登録された心房細動アブレーション施行2137例のうち、2013年に1年間追跡データのある1208例(56.5%) :
119施設

【結果】
1)平均年齢61.9歳。発作性64.3%、持続性20.4%、長期持続性15.3%

2)初回アブレーション:76.7%

3)1年間の心房細動フリー率:発作性70.9%、持続性61.4%、長期持続性56.2%(発作性vs他;P<0.02)

4)再アブレーション率:発作性11.3%、持続性16.3%、長期持続性17.3%

5)施術時間(オッズ比0.82。P=0.000)と心房細動誘発試験の結果(オッズ比1.36,P<0.02)は成功のアウトカムと有意な関連あり

【結論】
約70%の発作性と60%の非発作性心房細動でアブレーション後の1年間発作なく、臨床的には成功。短い施行時間と誘発性の低下が中期的成功の予測因子であった。

### 確認事項ですが、臨床的成功例でも48.65%の症例で抗不整脈薬が退院時投与されているようです。
日本における心房細動アブレーションの1年追跡成績は「60〜70%は臨床的に良くなる(抗不整脈半数投与下)」ということですね。

以前紹介したヨーロッパの登録研究では、抗不整脈薬なしでの1年間初回成功率は43.7%(発作性)でした。
http://dobashin.exblog.jp/19449116/

また合併症については、日本不整脈学会のHPで既に公表されていて大小合わせて4%程度だったと思います。

大変参考になるデータだたと思います。施設ごとでこのようなデータが公開されると患者さん、プライマリ・ケア医にとってはフレンドリーだと感じます。

もう一つの興味は患者さんのQOLがどうなったかですね。私、個人的なアブレーションに対する最大の関心事は、服薬が少なくなることもも含めたQOLの改善だと思っております。
心房細動が認められなくなった。再アブレーションが少ないなどの臨床的アウトカムが大きく報告されますが、予後改善効果が不明である以上、アブレーション前後でどのくらいQOLの改善があったのかが、本来もっと論じられるべきだと思っております。

こうした研究の結果も知りたいとことですね。
by dobashinaika | 2014-04-07 19:51 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

発作性心房細動の第一選択治療は薬かカテーテルアブレ−ショーンか?:JAMA

JAMA2月19日号

Radiofrequency Ablation vs Antiarrhythmic Drugs as First-Line Treatment of Paroxysmal Atrial Fibrillation (RAAFT-2)A Randomized Trial
JAMA. 2014;311(7):692-700. doi:10.1001/jama.2014.467.


【疑問】発作性心房細動の第一選択治療は薬かアブレ−ショーンか?

P:未治療発作性心房細動127人:欧米の16施設からのエントリー、2006年7月〜2010年1月

E:抗不整脈薬群61人

C:アブレーション群66人

O:主要アウトカム:30秒以上持続する心房性不整脈が最初に記録されるまでの時間。定期的及び非定期的心電図、ホルター、電話伝送心電図使用
 副次アウトカム:症候性心房細動発症およびQOL (EQ-5D)

T:RCT、追跡2年

【結果】
1)主要アウトカム発生頻度:抗不整脈薬群72.1%vs. アブレーション群54.5%:HR0.56 (0.35-0,90), p=0.02

2)副次アウトカム(再発):抗不整脈薬群59%vs. アブレーション群47%:HR0.56 (0.33-0.95), p=0.03

3)重篤な副作用:死亡=両群ともなし、心タンポナーデ=アブレーション群4例

4)抗不整脈薬群では43%で1年後にアブレーション施行

5)QOL:両群ともベースラインからやや低下し、1年後に改善。改善度に差はなし

【結論】抗不整脈薬非投与の発作性心房細動例においては、アブレーションは薬物に比べ2年間での再発リスクを低く抑えた。しかしながら再発率は両群とも頻回であった。

###アブーレションは年間200例以上の施設からの登録です。抗不整脈薬はフレカイニド69%、プロパフェノン25%です。

心タンポナーデ4例ですが6.0%で多いですね。また2年でアブレーション群で54.5%の再発というのも多い気もします。心房頻拍も入れていますが。

nが少ないですね。もっともアブレーションか薬か、という選択自体患者さんにで持ちかけることが難しい命題ですが。
デンマークのMANTRA-AFも同様のRCTですが、こちらもnは294例程度ですがやはりアブレーションの方が2年間の累積時間が少ないとの結果でした。こちらのアブ群の非再発率は85%ですから、やや違う対象を見ているのか、あるいはデータの取り方の差かもしれません。

この論文からは、アブレーションいいようですがリスク、再発率を考えると超一押しまでには至っていないという印象を受けます。
by dobashinaika | 2014-03-13 19:44 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

リバーロキサバンとダビガトランの心房細動アブレーション周術期使用はワルファリンより有効かつ安全:EP誌

Europace2月18日付オンライン版より

Rivaroxaban and dabigatran in patients undergoing catheter ablation of atrial fibrillationRui Providência et al
doi: 10.1093/europace/euu007


【疑問】リバーロキサバンの、カテーテルアブレーション周術期での有効性と安全性はダビガトランに比べてどうか?

P:フランス、トゥールーズの1医療施設で心房細動アブレーションが施行された連続556例(2012年10月〜2013年9月);平均61.0歳。発作性61.2%

E/C:周術期投与薬:ビタミンK阻害薬192例、リバーロキサバン188例、ダビガトラン176例

O:有効性:アブレーション後30日間の死亡率、全身性または肺塞栓症。安全性:出血イベント

T:観察研究

【結果】
1)1年間の登録期間中NOAC使用は10%未満から70%に増加

2)血栓塞栓症:VKA2.1%、リバーロ1.1%、ダビ0.6%;P=0.410

3)大出血:VKA4.2% 、リバーロ1.6%、ダビ1.1%;P=0.112

4)小出血:VKA2.1%、リバーロ1.6&、ダビ0.6%;P=0.464

5)致死性イベント無し

【結論】アブレーション周術期のNOACの使用はここ1年で7倍に増加した。プレリミナリーデータではあるが、リバーロキサバンとダビガトランの心房細動アブレーション周術期使用はVKAに比べて有効かつ安全である。

### 薬剤の投与方法ですが、VKA群は術前5日前からワルファリンを止めてヘパリンブリッジ、術後当日夜からワルファリン再開。リバーロキサバン群は術前ワルファリンまたはリバーロキサバン投与、術後リバーロキサバン投与。ダビガトラン群は術前ワルファリンまたはダビガトラン投与、術後ダビガトラン投与。リバーロ群は術前24〜48時間、ダビ群は術前24〜36時間中断しヘパリンブリッジ。術度4〜6時間で再開、です。

3群での患者比較ではダビ群で若年者、発作性、CHADS2スコア低値、CHA2DS2-VAScスコア低値、HAS-BLEDスコア低値、高血圧が多いとのことでした。

観察研究ですので当然選択バイアスは大きいです。ダビガトランはより軽症例で使われているようです。VKA群で出血が多いのは、穿刺部出血
が多かったためのようです。おそらくワーファリンが切れるまでヘパリンとのオーバーラップ期間があることなども出血に傾きやすい要因かもしれません

ダビガトランのアブレーション時データはこれまで幾つか報告されていましたが、リバー力サバンは初めてだと思います。
http://dobashin.exblog.jp/16413289/
http://dobashin.exblog.jp/16973024/

使いやすく安全であることから今後アブレーション周術期の抗凝固薬は、ますますNOACが主流になるのでしょうか。
by dobashinaika | 2014-02-26 22:54 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

ヒトで最初のロボティックナビゲーションシステムを用いた心房細動アブレーション

EHJ 2月9日付オンライン版より

First in-human robotic rotor ablation for atrial fibrillation
doi: 10.1093/eurheartj/ehu009


ハンブルグのクック先生のグループからの報告です。

心房細動のメカニズムは心房筋上を電気的興奮が渦巻状(spiral)に旋回していくモデルが確立されていますが、旋回する回路である"rotors"を遠隔操作によるカテーテルマッピングシステムであるロボットーナビゲーション(RN)により同定して焼灼する方法のヒトでの第1例めの報告です。

【デバイス】
デバイスは64極のバスケットカテーテル (FIRMap®, Topera)、マッピングシステム(RhythmView®, Topera)、RNシステム(Sensei™, Hansen Medical)

【経過】
73歳男性の発作性心房細動(器質的心疾患なし)。2本のロングシースを左房に挿入。バーストペーシングで心房細動を誘発させ、5分以上持続させ、両心房をバスケットカテでマッピング

Roterは右房になし、肺静脈antrumに近い左房の中後壁に同定された。同部位にRN Artisan®Extend catheter (Hansen Medical) で30W、300秒焼灼を行い、150〜170msecの冠静脈洞リズムが出現。焼灼72秒後に心房細動は停止。同側の肺静脈隔離術を施行しその後心房細動は誘発不可能となる。
a0119856_2344741.gif


透視時間23分。線量3125cGycm2。食道温度モニターを行い、術後内視鏡では食道熱傷は確認されず。エコーで心嚢液なし。

【結論】RNとFIRMapカテのコンビネーションはfeasible

###遠隔操作でカテを動かすロボットシステムは外科領域では既に実用化されていますが、カテーテルアブレーションの分野では第1例目のようです。

メーカーのサイトの写真では以下の様なデバイスですね。カテ台とは別の所で被曝なしにカテを操作するのだろうと思われます。
http://www.hansenmedical.com/international/products/ep/sensei-robotic-catheter-system.php

マッピング自体は64極バスケットですので、図を見る限り荒い感じもしますが、術者の被曝なしにできるシステムはいいですね。
わたしがアブカテを握っていた頃とは隔世の感があります。

"Senseiという商標は「先生」から由来するのでしょう。
そうしたことも含めてクラスタ内の評価について知り合いのアブレーション専門の先生に聞いておきたいと思います。
by dobashinaika | 2014-02-17 23:05 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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