人気ブログランキング |

タグ:アピキサバン ( 9 ) タグの人気記事

小出血はNOACとワルファリンでどちらが多いのか:Heart誌

Non-major bleeding with apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation
Heart doi:10.1136/heartjnl-2016-309901

疑問:ワルファリンとNAOCでは非大出血はどちらが多いか

方法:
・アリストテレス試験サブ解析
・非大出血の定義:大出血に先行する臨床的に意義のある非大出血及び小出血

結果:
1)非大出血の頻度:大出血の3倍(12.1%vs3.8%)

2)アピキサバン群6.4/100人年 vs. ワルファリン群9.4/人(ハザード比0.69, 95% CI 0.63 to 0.75)
a0119856_19193871.gif


3)出血部位:血尿(16.4%),鼻出血(14.8%),消化管(13.3%),血腫(11.5%),挫傷/斑状出血(10.1%)

4)薬剤または外科的介入は同等:ワルファリン(24.7%) vs. アピキサバン(24.5%)

5)抗凝固薬変更(58.6% vs 50.0%) および試験中止 (5.1% (61) vs 3.6% (30), p=0.10) ワルファリン群で高頻度

6)非大出血は死亡(adjusted HR 1.70, 95% CI 1.32 to 2.18)及び引き続く大出血(adjusted HR 2.18, 95% CI 1.56 to 3.04).と関連あり

結論:アリストテレス試験においては,非大出血はコモンであり,アピキサバン群ではワルファリン群より少ない。非大出血は死亡や大出血に関連あり。この試験はどんな出血でも重症度にかかわらず重要であり,小出血を含む非大出血はマイナーではないかもしれない。

### 後付解析なのと,抗血小板薬が両群とも30%程度入っていることに注意。

それを置いても,重要な知見かと思われます。これまで何かと大出血,頭蓋内出血ばかりが取り上げられがちでしたが,小出血も臨床上決してあなどれないことは,臨床医が知っていることです。鼻出血であっても止まらない鼻血となれば,患者さんはやはりその原因となるような薬は飲みたくなくなるのが普通です。また消化管出血まで来たした場合,高齢者ではこれがきっかけで全身状態が悪化し,肺炎などを併発する,などというケースはしばしば経験します。

特に興味深かったのは非大出血をきたす例では大出血も死亡例も多いということですね。やはり血尿,鼻出血などであっても,それだけでは大したことはないと思わないことが大切かと思います。

個人的な印象としては,PT-INR2.0かそれより低めで管理している限りは,ワルファリンも小出血はかなり少ないように思います。むしろダビガトラン300やイグザレルト15のほうが皮下出血その他が目立つようにも思います。

やはり出血データは日本人のものがほしいといつも思います。
by dobashinaika | 2016-11-11 19:18 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

現実か?非現実か?抗凝固療法に関するリアルワールドデータの読み方:CMRO誌


ちょっとマイナー雑誌ですが,Curr Med Res Opin誌にリバーロキサバン,アピキサバンとワルファリンを比べたリアルワールドデータ(RWD)がまたもでていました。
Real-world evidence of stroke prevention in patients with nonvalvular atrial fibrillation in the United States: the REVISIT-US study. Curr Med Res Opin 2016:1- 7. 4.

方法:
・米国の民間データベース使用。2012〜2014年
・新規NVAF患者(CHA2DS2-VAScスコア2点以上),リバーロキサバン,アピキサバン,ワルファリンいずれかの投与患者
・脳卒中の既往例は除く
・主要評価項目は虚血性脳卒中または頭蓋内出血(複合)
・プロペンシティースコアマッチ

結果:
1)リバーロキサバン11411例
主要評価項目:ワルファリンより良い(HR = 0.61, 95% CI = 0.45–0.82)
頭蓋内出血:特に減少 (HR = 0.53, 95% CI = 0.35–0.79)
虚血性脳卒中:ワルファリンと同等 (HR = 0.71, 95% CI = 0.47–1.07)
a0119856_225061.jpg

2)アピキサバン4083例
主要評価項目:ワルファリンと同等 (HR = 0.63, 95% CI = 0.35–1.12)
頭蓋内出血:減少 (HR = 0.38, 95% CI = 0.17–0.88)
虚血性脳卒中:ワルファリンと同等 (HR = 1.13, 95% CI = 0.49–2.63)
a0119856_22503135.jpg

限界:サンプルサイズ,イベント数とも少ない。残存交絡因子を除外できない

結論:リバーロキサバンとアピキサバンは,ワルファリンに比べ頭蓋内出血を減少させ,主要評価項目も減少の方向。アピキサバンがワルファリンより虚血性脳卒中が多いと言うには,より多くの例数が必要。

これに対するLip先生のEditorialも読みました。
How to REVISIT the increasing ‘real world’ evidence for stroke prevention in non-valvular atrial fibrillation?
Gregory Y H Lip


”the devil is in the detail”悪魔は細部に宿るーの文言を持ち出し,やや厳しくこのRWDの問題点を突いています。要点は,
・複合エンドポイントである
・より一般的な「出血性脳卒中」は明らかでない
・脳卒中既往例は除外
・平均追跡期間が示されていない
・他の交絡因子が考慮されていない
・診断基準,ワルファリン管理状況が不明
・感度分析をしておらず,減量の効果も不明
・アピキサバン投与例は既に他の薬剤が使用されていた例が多いかもしれない

Lip先生は,”AF patients are clinically heterogeneous and thinking that ‘one drug fits all’ is simply naïve and unrealistic.” と述べ,RCTとそれを補完するRWDで4つのNOACの使い分けをより精緻にすべきと考えているようです。

### Lip先生の指摘はRWDを読むときのチェックポイントとし押さえておきたいところです。とくに
1)エンドポイントは何か 
2)どういう対象なのか
3)他の補正されない交絡因子には何があるか 
4)対照群のワルファリンのTTRはどの程度か 
5)統計的に補正(マッチング)が適切か

の5点くらいは,NOACのRWDを読み解く上で抑えておきたいところと思います(5)は私の追加)。

RWDにも論文の質には優劣がある。それをよくわきまえて読む必要がある。ということと思います。

T/H誌にもLip先生が連名の“Unreal world” or “real world” data in oral anticoagulant treatment of atrial fibrillation"という総説がでています。これは,最近のNOACのリアルワールドデータのまとめとして重宝します。

まあ一応言っておくと,私たちにとってRWDの”Real”も一種の”unreal””Virtual”であり,現実世界をある仕方で切り取ったものにすぎないわけです。真のリアルワールドは(実在論的には)存在するのかもしれませんが,私達はそれをそれ自体として知ることはできず,リアルワールドと認識した世界だけしか知ることができないわけですので(カント風ですね),「リアルワールド」といったところでその数は(論文の数)x(解釈する人の数)だけあるのかもしれません。

「どの」リアルワールドが,目の前のpatient’s worldに近いのか,を読み解くことが最終的な課題でありアポリアです。

#### 読み落としていましたが,8月のLancetにLip先生のグループによる心房細動の脳卒中に関する総説が掲載されています。NOACの使い分けなど例によって複雑で使う気にはなれませんが,ためになる箇所もあり一応挙げておきます。
Stroke prevention in atrial fibrillation
Prof Ben Freedman, MBPhDr,Tatjana S Potpara, MD, Prof Gregory Y H Lip, MD


$$$ 街の其方此方に柿の実が成っています。秋空に柿は映えますね。
a0119856_2301715.jpg

by dobashinaika | 2016-10-31 22:54 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

アピキサバンの東アジア人における有効性安全性:AHJ誌

Efficacy and Safety of Apixaban Compared with Warfarin for Stroke Prevention in Patients with Atrial Fibrillation from East Asia: A Subanalysis of the Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation (ARISTOTLE)
Trial.Goto S et al
Am Heart J. 2014 Sep;168(3):303-9.


疑問:アピキサバンのアジア人でのアウトカムはどうか?

P:ARISTOTOLE試験登録患者

E:東アジア人(1993人)

C:非東アジア人(16208人)

O:脳卒中/全身性塞栓症、大出血、臨床的に問題となる出血、頭蓋内出血


結果;
1)アピキサバンの対ワルファリンハザード比:脳卒中/全身性塞栓症:東アジア人0.74、非東アジア人0.81;交互作用なし

2)大出血:東アジア人0.53、非東アジア人0.72;交互作用なし

3)ワルファリン群の大出血+臨床的に問題となる小出血:東アジア人0.49、非東アジア人0.71、交互作用あり、P=0.03

4)ワルファリン群の頭蓋内出血:東アジア人で非東アジア人より明らかに多い。アピキサバンでは少ない

結論:アピキサバンは脳卒中/全身性塞栓症、大出血はワルファリンと同等に減らし、大出血及び臨床的に問題となる出血は特に減らした。ワルファリンは、特に東アジア人で頭蓋内出血により関係した

### 他のNOACのサブ解析と概ね同等です。ワルファリンは特に東アジア人の頭蓋内出血はそれ以外に比べて多いが、アピキサバンではそうしたことはない。推察として第VII因子の関与という流れかと思います。

将来登録研究が出ると思いますので、それも合わせて判断したいところです。

他のNOACのアジア人サブ解析
ダビガトラン
http://stroke.ahajournals.org/content/44/7/1891.long

リバーロキサバン
http://stroke.ahajournals.org/content/45/6/1739.abstract
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-12-0454/_pdf(J ROCKET試験)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-12-0454/_pdf(頭蓋内出血のみ)
by dobashinaika | 2014-09-08 10:23 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

アピキサバンの費用対効果のまとめ

ある事情で、このところブログを長期に休んでおりました。
大変申し訳ありません。
休む前に書きかけていた記事を掲載します。
今後とも更新をつづけますので、よろしくお願いいたします。

さて、最近アピキサバンの費用対効果に関する論文を多く見かけますので、ざっとご紹介します。

オランダからの報告
Economic evaluation of apixaban for the prevention of stroke in non-valvular atrial fibrillation in the Netherlands.
PLoS One. 2014; 9(8):e103974. PMID:25093723
Stevanović J et al

・ワルファリンに比べたアピキサバンのICER(増分費用対効果:1QALY延長するために必要な追加費用)は10576ユーロ(=約143,834円)
・ワルファリンに比べてアピキサバンの脳卒中と出血数が少ないことに起因
・多変量感度分析ではアピキサバンの絶対リスクとアピキサバンとビタミンK阻害薬を中止した時のモデル感度が明らかとなっている
・支払い意思閾値を20000ユーロ/QALYとした場合のアピキサバンの蓋然性は68%
・オランダでは、非弁膜症性心房細動患者では、アピキサバンの費用対効果はVKAに変わりうるかもしれない。


日本からの報告
非弁膜症性心房細動患者に対するアピキサバン投与によるイベント費用削減額の推計
医薬ジャーナル 2014年3月号(Vol.50 No.3) P113(993)~123(1003)


・シミュレーションモデル
・日本の急性期のDPCデータで費用を設定
・NVAF患者の生涯にわたる脳卒中発生回数は,1,000人当たり17回(虚血性脳卒中で3回,出血性脳卒中で14回減少),出血性脳卒中以外の出血は72回減少
・これらのイベントの減少により,虚血性脳卒中で100,716円,出血性脳卒中で45,336円,出血性脳卒中以外の出血で47,110円の費用が減少
・NVAF患者1人当たりの全イベントに対する総削減額は195,188円と推計
・わが国のNVAF患者数を約100万人とすると,脳卒中および出血性脳卒中以外の出血の発生回数はそれぞれ17,000回,45,000回減少することとなり,全国的な医療費の削減額は約2,000億円になると推定


その他、以下の論文も公表されています。
http://www.deepdyve.com/lp/springer-journals/estimation-of-the-impact-of-warfarin-s-time-in-therapeutic-range-on-30q2yrDFDX
この新シミュレーションだと、ワルファリン管理がたとえ90%であって、アピキサバンの方が優れるとしています

### 上記のような費用対効果分析は、もちろシミュレーションのデータですので、脳卒中発症時の医療コスト、抗凝固薬を飲んだ人数、等々の変数設定によって結論は変化することは当然頭に入れておかねばなりません。

上記のうち日本の論文がやはり興味深いですが、服用患者の範囲はおそらくARISTOTLEをもとにしているので、CHADS2スコア1点以上の人だろうと思われます。何十万人も飲むと言う試算になるので、実際そうなったら薬価も下がるかもしれないし、また急性期DPCだけのデータなので、慢性期リハのコストまで考えるとワルファリンはもっとかかるのかもしれません。

NOAC薬価はとにかく莫大ですので、直感的には大変なコストになると思われますが、脳卒中を来した場合のの生涯にわたる医療費もこれまだ莫大ですので、それとの差し引きで考えた場合、総じて他のコスパ計算でもペーパー上はNOAC有利との結果が多いようです。

ただ見落とされる視点として、NOAC上梓後日本でも、かなり抗凝固薬の処方数が増加しているとの情報がありますが、このままNOACの処方数がふえつづけたとして、不適切使用等の負の面が全面に出てこないか。またCHADS2スコア0〜1点のようなNOACといえども、ネットクリニカルベネフィットの利幅が少ない層への処方が急増した場合、ほんとにワルファリン(あるいは何もしないこと)よりいいのかは、まだ不明な点かと思います。
さらに、低リスク例で、ワルファリンより脳梗塞、脳卒中ともエビデンス上明らかに優れているNOACとなると限られますし.何よりもとデータはRCTなので、日本の実情とINR低値管理下の実情だとどうなのかも十分考えなければなりません。

他のNOACの医療経済に関する文献はこちら
http://dobashin.exblog.jp/12662617/
by dobashinaika | 2014-08-22 09:48 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

ケアネット連載:年齢別に見たアピキサバンの対ワルファリンの有効性と安全性はどうか?

ケアネットの「心房細動な日々〜ダイジェスト版〜更新いたしましいた。

第2回は「年齢別に見たアピキサバンの対ワルファリンの有効性と安全性はどうか?」
というタイトルで、EHJに先日発表されました、アリストテレス試験のサブ解析を紹介しています。

http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0002.html
(無料登録必要)

NOACのサブ解析について、以前のブログでも述べたことをまとめましたのでご参照いただければ幸に存じます。
http://dobashin.exblog.jp/19492060/

明後日から、日本循環器学会ですね。

私、今年は2日目午後に発表する機会をいただきました。
なかなか大きなテーマでまだスライド完成していません(笑)。

例年、見聞記をブログに書いておりますが、今年も面白かったものをここで紹介できればと思っています。
by dobashinaika | 2014-03-19 19:03 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

アピキサバンは、年齢にかかわらずワルファリンより有効性安全性とも優れる:EHJ誌

EHJ 2月20日付オンライン版より

Efficacy and safety of apixaban compared with warfarin according to age for stroke prevention in atrial fibrillation: observations from the ARISTOTLE trial
doi: 10.1093/eurheartj/ehu046


【疑問】年齢別に見たアピキサバンの対ワルファリンの有効性と安全性はどうか?

【方法】
・ARISTOTLE試験参加者18201名対象
・3群比較:65歳未満(30%)、65〜74歳(39%)、75歳以上(31%)

【結果】
1)脳卒中、全死亡、大出血は高齢者群で高い(P<0.001,対全体)

2)脳卒中減少効果、予後改善効果:全年齢層でアピキサバンはワルファリンより効果あり

3)大出血、全出血、頭蓋内出血:全年齢層でアピキサバンはワルファリンより少ない

4)2,3)の交互作用:P>0.11、対全体

5)この結果は80歳以上(全体の13%)でも同様
a0119856_0274699.gif


【結論】アピキサバンの対ワルファリンベネフィットは年齢にかかわらず同様。高齢者層では高リスクのため、アピキサバンの絶対的ベネフィットがより高くなる。

### 確認事項ですが、ARISTOTOLEでは80歳以上、体重60kg以下、血清クレアチニン1.5以上の3要件のうち2つ以上を満たすと低用量の2.5mgを選択するプロトコールとなっていて、2.5mgは831人に投与され、75歳以上の群の13.9%、80歳以上では31%が低用量投与だったとのことです。

高齢者群で出血が少ない理由のひとつとして考えられるかもしれません。

考察で述べられていますが、ダビガトランの場合は大出血に関しては75歳以上と未満とで交互作用あり、つまり高齢者での安全性はワルファリンと有意差なしでした。
http://circ.ahajournals.org/content/123/21/2363.abstract?ijkey=cdc7c234b742ae3d845555ead5adee32294ad7f3&keytype2=tf_ipsecsha

一方リバーロキサバンはアピキサバンと同様交互作用なしで、年齢にかかわらず安全性はワルファリンを上回っていました。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1009638

ダビと、リバーロ、アピとの違いはやはり腎排泄の要素があるのだろうと思われます。

その意味ではアピキサバンは高齢者に使いやすいということがこの論文からある程度読み取れます。ただし80歳以上は全体の13%で少数ですので、この層では、たとえアピキサバンであっても明確な優位性があるかどうかはもっと症例を積み重ねる必要はあると思われます。

蛇足ですが、このようにサブグループの差を複数の研究間で比較することは間接比較をするのと同じであり、高いリスクを伴うことがJAMAユーザーズガイドでも諭されています。

上記の結果をもって、75歳以上のサブグループではダビガトランより他の2剤のほうが安全であるということには注意が必要と思われます。
これを証明するには、75歳以上の人のみを対象としてNOAC3剤の無作為割付試験をしなればなりません(可能かどうかは別として)。

最近NOAC3剤の使い分け、比較に関する関心が高くよく聞かれるのですが、私は、基本的には3剤(4剤?)のエビデンスとしての優劣を論じることは各のhead-to-head比較試験が存在しない以上不可能と考えます。ですので、使い分けはあくまで薬理作用や患者の好みも十分加味して考える。サブ解析の優劣はあくまで参考程度と考えることにしています。
by dobashinaika | 2014-02-22 00:28 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

アピキサバンの費用対効果:EHJ誌

EHJ 2月7日付オンライン版より

Cost-effectiveness of apixaban vs. current standard of care for stroke prevention in patients with atrial fibrillation
doi: 10.1093/eurheartj/ehu006


【疑問】アピキサバンの費用対効果は?

【方法】
・Lifetime マルコフモデルを用いて、費用対効果をアピキサバンとワルファリン、アスピリン(VKA適合または非適合)とで比較
・アウトカム:虚血性脳卒中、出血性脳卒中、頭蓋内出血、他の大出血、臨床的に云う意味な非大出血、心筋梗塞、心血管疾患による入院、治療中止
・ARISTOTLE試験、AVERROES試験での死亡率、イベント率を採用

【結果】
1)アピキサバンはワルファリンやアスピリンに比べ平均余命とQALYs(質調整生存年)を改善すると推算された

2)こうした利益は生涯を通じて薬剤取得に関連したコストの増分に到達しうると推測された

3)1QALYあたりの推定費用対効果費の増分はアピキサバン11,909ユーロ(約167万円)、ワルファリン及びアスピリン7,196ユーロ(100万円)

4)感度分析では、結果は幅の広いインプット(各種変数)に対しても揺るぎなかった

【結論】無作為化試験のデータに基づくと。アピキサバンじゃワルファリンやアスピリンに対し、費用対効果から見て変わりうるものである。

### アピキサバンがワルファリンやアスピリンに比べ予後改善効果、頭蓋内出血、大出血の減少効果が認められることは報告されていますが、それによる生活の質の改善が、高いコストを上回る、との結論です。

もちろんあるモデルを使って、QALYを推定しての話です。
マルコフモデルは以下のような系統図を設定し、各アウトカムの確率と期待効用値を確定してQALYを計算するので、このアウトカムの設定方法によってはいろいろな値を取りうるように思われますが、広い範囲の変数を設定しても結果の変動は少なかった、すなわちアピキサバンがよかったとのことのようです。
a0119856_22543472.jpg


この辺あまり詳しくないので、間違っていたらすみません。
by dobashinaika | 2014-02-13 22:55 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

新期抗凝固薬アピキサバンのモニター法:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis 2月号より

Assessment of apixaban plasma levels by laboratory tests: suitability of three anti-Xa assays
A multicentre French GEHT study
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-07-0536


【疑問】アピキサバンはモニターできるのか?

【方法】
・アピキサバン入りサンプルでPT,aPTT,抗Xa活性を測定
・はじめの単一施設での測定では、広範囲の血中濃度(50-1000ng/ml)と20の試薬、2つの測定器を使用
・次の多施設(13施設)での測定では、一般的な試薬(RecombiPlastin2G®)、またはその地域でのPT,aPTT試薬を使用
・多施設測定では5つのブラインドされた濃度を使用し、アピキサバン濃度は3つの抗Xa活性、キャリブレーター、コントロールを用いて測定

【結果】
1)多くの試薬を用いたPT,aPTT試験では広範囲のアピキサバン濃度に対し、低感度を示した

2)10の試薬において、2倍のPTに対し血中濃度は400〜1000ng/ml以上の幅を示した

3)施設間のprecision(精度=複数回の測定結果がどの程度互いに近いか)、accuracy(正確度=真の値にどの程度近いか)それぞれ11%、12%未満

【結論】PT,aPTTはアピキサバンの同定には感度不十分であったが、lyophilised apixaban キャリブレーターとコントロールを用いた3つの抗Xa活性試験は広範囲のアピキサバン濃度を安定して量化できた。

### アピキサバンはピーク、トラフの濃度変動が小さいため、PT,aPTTの通常試薬での感度では、なかなか異常値を拾い上げられないと、以前専門の先生に聞いたことがあります。

アピキサバンでは抗Xa活性は血中濃度と相関がいいことは、以前製薬会社さんの資料で目にしましたが、ちゃんと測定法があるのですね。
どの程度一般化できるのか興味深いです。

以下も参照
http://dobashin.exblog.jp/18226475/
by dobashinaika | 2014-02-07 20:17 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

高感度トロポニンIは心房細動患者における抗凝固療法のアウトカムを予測しうるか?:Circulation誌より

Circulation 11月13日付オンライン版より

High Sensitivity Troponin I for Risk Assessment in Patients with Atrial Fibrillation: Insights from the ARISTOTLE Trialdoi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.006286

【疑問】 高感度トロポニンIは心房細動患者における抗凝固療法のアウトカムを予測しうるか?

P:ARISTOTOLE試験の参加者14,821名

E/C:血清トロポニンIレベル:98.5%は>/=1.3ng/L、50%は>5.4、25%は>10.1、9,2%は>/=23

O:脳卒中/全身性塞栓症:1.9年(中央値)追跡

【結果】
1)脳卒中/全身性塞栓症:4分位最低位0.76% 〜 最高位2.26% (10.1ng/L)

2)高感度トロポニンIと脳卒中/全身性塞栓症とは明らかな相関あり:ハザード比1.98
(1.42-2.78), p=0.0007(多変量解析後)

3)高感度トロポニンIは心臓死と関係有り:ハザード比4.52(3.05-6.70,p<0.0001)

4)脳出血とも関係有り:ハザード比1.44 (1.11-1.86, p=0.0250)

5)CHA2DS2-VAScスコアに高感度トロポニンIを加えた場合のC統計量:0.629→0.653に上昇

【結論】高感度トロポニンIは98.5%に心房細動例の同定され、9.2%の例で増加する。高感度トロポニンIレベルは脳卒中、心臓死、大出血リスクを相関し、CHA2DS2-VAScスコアの予測能を改善させる。アピキサバンのワルファリンに比べての効果は高感度トロポニンIに依存しない。

### 高感度トロポニンTについてのサブ解析は既にでています。
http://dobashin.exblog.jp/18704894/

今回はトロポニンI。

ほぼ同じ結果ですが、トロポニンIのほうが、各ハザード比の数値が高く出ており、またCHA2DS2-VAScスコアのC統計量もわずかに高くなるようです。

心筋障害の程度を表していると考えられますので、心房細動の患者さんで高感度トロポニンIをとり、かなり高値であればイベントリスクが高いと考え、抗凝固療法を含めた心房細動の全身管理をよりしっかりやる、というような行動変容を促すバイオマーカーになるかもしれません。

それにしてもTnT、TnIでほぼ全く同じサブ解析をするというのも、なにか特別に意味があるのかどうか。検査開発会社などの関係もあるのでしょうか?

(途中まで勘違いして、以前のトロポニンTとはアウトカムが別であると思い訳してしまいました。ほぼ同様の結果でしたねえ。。。)
by dobashinaika | 2013-11-19 22:44 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(35)
(35)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(20)
(19)
(18)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

【Apple Heart S..
at 2019-11-26 07:35
心房細動合併透析患者において..
at 2019-11-21 06:49
日本の心房細動患者の死因の半..
at 2019-11-11 07:22
CHA2DS2-VAScスコ..
at 2019-10-30 17:36
中高年開業医におけるヤブ化防..
at 2019-10-18 07:27
日経メディカルオンライン:第..
at 2019-10-15 06:26
新規発症心房細動では服薬アド..
at 2019-10-06 10:47
心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン