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ワインよりビールのほうが心房細動発症リスクは高い?:JACCーEP誌より


・UKバイオバンクデータ403,281人,平均58.2歳。平均追跡期間11.4年
・心房細動発症:21,311イベント
・アルコール消費量を心房細動発症はJ曲線の関係あり
・週7ドリンク未満が最低リスク
・ビール/サイダーが酒類に特異的な関連あり
・赤ワイン,白ワイン,スピリッツ(各10,8,3ドリンク/週)は心房細動リスクに関連なし

ワインよりビールのほうが心房細動発症リスクは高い?:JACCーEP誌より_a0119856_07182246.jpeg

### イギリスのワンドリンクだとアルコール換算で8gとのことで。ビールコップ一杯くらいであればむしろ心房細動発症は少ない。週14ドリンク(1日コップ2杯)くらいで発症リスクが上がるようです。

以前の別な検討では,心不全はアルコール消費量とJ型になりますが心房細動は頭打ちになるとの報告もあります。

酒類によって違うという報告は初だと思いますので,ビール好きにとっては悲報かもしれないですね。
ワインよりビールのほうが心房細動発症リスクは高い?:JACCーEP誌より_a0119856_07214558.jpg



# by dobashinaika | 2022-01-12 07:24 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

ノンコンタクトデバイスによる心房細動診断は実用化されるのか?:European Heart Journal - Digital Healthより


・最近FDAに承認された非接触型で動き/振動を感知する光学デバイスGili”の心房細動同定アルゴリズム評価
・Giliと標準的なベッドサイド心電図モニターの比較
・2人の循環器医による評価
・3582の30秒間心電図。444例。心房細動の既往41.9%
・心房細動,他の不整脈,リズム整はそれぞれ 16.9%, 29.5% and 53.6%
・機械ラーニングによりデバイスの感度は 0.92 (95% CI: 0.91-0.93),特異度0.96 (95% CI: 0.95-0.96)
ノンコンタクトデバイスによる心房細動診断は実用化されるのか?:European Heart Journal - Digital Healthより_a0119856_18472079.jpeg
### なんとノンコンタクト,ノンウエアラブルでの心房細動診断デバイスです!
やっぱりこういうのはイスラエル絡みですね。

メカニズムの詳細は不明ですが,振動を感知するもののようです。今後は例えば家にいると「現在心房細動発生中」とか警告が出るようになるかもしれないです。それいいことなのか(笑)?
ノンコンタクトデバイスによる心房細動診断は実用化されるのか?:European Heart Journal - Digital Healthより_a0119856_18493680.jpg


# by dobashinaika | 2022-01-09 18:53 | 心房細動:診断 | Comments(0)

服薬アドヒアランス(抗凝固薬の)には4パターンあり:JACC誌より


目的:経口抗凝固薬の長期の服薬アドヒアランスをカテゴライズし関連要素を明らかにする

方法:
・カナダ,British Columbia州の住民データベース
・集団軌跡モデル(group- based trajectory model)
・5年間のアドヒアランスの軌跡を同定

結果:
1)19,749例。平均70.6歳。CHA2DS2-VAScスコア平均2.8点

2)4モデルを同定
・consistent adherence,安定したアドヒアランス (n = 14,631, 74%)
・rapid decline and discontinuation早期離脱中止(n = 2,327, 12%)
・rapid decline and partial recovery早期離脱と部分的再開 (n = 1,973, 10%)
・slow decline and discontinuation晩期離脱中止 (n = 819, 4%)

3)特異なアドヒアランスを呈する人はまれ
服薬アドヒアランス(抗凝固薬の)には4パターンあり:JACC誌より_a0119856_21490986.jpeg

結論:服薬アドヒアランスにはその比率やタイミングにおいて多様性がありそれぞれに臨床的な特徴を持つ。アドヒアランス介入に役立つ情報だが,心理社会学的な要因や理由検索には質的研究が必要

### 大変興味深い報告です。それぞれのカテゴリーに適合する患者さんの顔が目に浮かびます。
たしかに7割強の患者さんは一旦服薬したらずっとやめないと思います。一方早期にやめる方が12+10%で22%。そのうち半数弱はまた再開とのことです。そして1年近く服薬してから中止する方が4%です。

一般的に,服薬中断の理由としては,1)出血 2)出血への不安 3)必要性(脳梗塞リスク)の過小評価などがあります。
上記の分類の背景を考えますと,slow decline and discontinuationはおそらくしばらく飲んでいて,数ヶ月以降に比較的大きな出血によって中止した場合。
rapid decline and partial recoveryは,早期に出血したが小出血のため再開された場合。
rapid decline and discontinuationは,早期に大きな出血をきたしたか,小出血でも不安が強くてやめてしまったか,あるいは飲んでは見たものの,自分は大丈夫という正常性バイアスが強い場合。
という感じで,早期中止離脱が一番理由が複雑のように思われます。

上記分類と,中止離脱の理由を絡めれば,服薬アドヒアランス向上のアプローチ法が見えるかもしれません。
服薬アドヒアランス(抗凝固薬の)には4パターンあり:JACC誌より_a0119856_21521747.jpg


# by dobashinaika | 2022-01-06 21:55 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

ウエアラブルデバイスによる心房細動のリスク評価と管理:EHJの2021年循環器医療レビュー「デジタルヘルス&イノベーション」より


EHJ2021年心血管医療のレビュー:「デジタルヘルス&イノベーション」から「心房細動とウエアラブルデバイス」の記述を読んでいきます。


・対象:UKバイオバンクの93,669例の心房細動の既往がない例
・手首に3軸加速度計を1週間装着
・100Hz(ダイナミックレンジ±8g)の加速度を感知
・主要評価項目:心房細動の検出
・身体活動の高いほど(学会推奨の活動度に準拠するほど)心房細動発症は低率
ウエアラブルデバイスによる心房細動のリスク評価と管理:EHJの2021年循環器医療レビュー「デジタルヘルス&イノベーション」より_a0119856_07080219.jpeg


・1,410の心房細動非罹患例(平均74.7歳)
・植込み型ループレコーダー3.5年のデータ収集
・前の週より1時間/日,身体活動が減ると,翌日の心房細動発症が25%ごとに増加する
・一番低活動の群ほど相関が強い


これらとは別に,ウエアラブルデバイスによる臨床のアウトカム(認知症など)と潜在性心房細動の関連を評価する大規模研究が進行中

### ウエアラブル端末で,単に心房細動を見つけるだけでなく,身体活動や臨床イベントと結びつける研究が続々と出てきていますね。心房細動があるだけではなく,どうすればならないかまで警告してくれます。こうしたデータの集積で,よりうまくデバイスを使いこなせるようになればいいですね。
ウエアラブルデバイスによる心房細動のリスク評価と管理:EHJの2021年循環器医療レビュー「デジタルヘルス&イノベーション」より_a0119856_07091353.jpeg


# by dobashinaika | 2022-01-05 07:12 | 心房細動:診断 | Comments(0)

心電図解析新時代の到来:EHJの2021年循環器医療レビュー「デジタルヘルス&イノベーション」より


恒例の,EHJ2021年心血管医療のレビューが掲載されています。
「デジタルヘルス&イノベーション」を読んでいきます。

グラフィックアブストラクトはシリコン内(コンピューター内部)で開発されたネットワークを,実臨床でvalidateして,大規模トライアルで検証するという,演繹を地で行くような世界です。
心電図解析新時代の到来:EHJの2021年循環器医療レビュー「デジタルヘルス&イノベーション」より_a0119856_07552174.jpeg
<AI対応の心血管疾患診断ツール,技術,方法論>
【心電図解析の新時代】

AIによる心電図解析分野では,以下の2つのカテゴリーの進歩がある
1)自動解析ツール
2)潜在性疾患発見のためのアルゴリズム

単誘導または複数誘導の大規模心電図データを,ニューラルネットワークにトレインさせた研究は以下。
Hannumらは,91232の単誘導心電図(ウエアラブルパッチ)をネットワークにトレインさせ,12のリズムに分類
・各419,297,246,541人のスマートウォッチを用いた9ヶ月間における心房細動スクリーニングに関する2つのメガトライアル(PerezらGuoら

これらの論文は早期の脱落例が多く,検出率は低い。以下の論文はAIアルゴリズムが訓練された循環器医を上回る解析能力を示した。

以下の潜在性疾患の同定と検出の論文が注目

以下の論文では,弁膜症などの疾患を特殊なアルゴリズムを使用し,高い信頼性(AUC>0.90)と長期の同定を可能にしている
・重症大動脈弁狭窄(無症状),僧帽弁閉鎖不全,左室肥大,心筋梗塞,その他

上記知見の課題として,より多くのAI普及のために心電図のスケーラビリティ(大規模化に比較してコストが増えないこと)への考慮がある

心電図は1世紀以上に渡り,多くの医療専門職に診断ツールとして利用されてきたが,AIディープランニングにより明らかに新時代に突入した。それは人間の観察の限界を超えて潜在性疾患やすでにある疾患の強力な診断ツールとなる。従来の心電図とスマートウォッチなどのウエアラブルデバイスを組みあせて,より広範で多面的な診断プロセスが,早期に発展することは疑いがない。

### 心電図診断が新しい時代に突入したことを高らかに宣言しているように思われます。今後は心電図は,今ある疾患の診断だけでなく,スマートウォッチを用いた将来の心疾患の予測ツールとして異次元の役割を担うことになるものと思われます。

まず広範な心電図AI解析には,予測の精度向上は必須です。しかしこれは相当なスピードで達成されるように思われます。それとは別に未来予測には別の側面,すなわち本来目的からの逸脱/暴走について警戒する必要があると思われます。本来目的とは,言うまでもなく私たちが病気にかからないようにすることですが,予測とは往々にして,予測のための予測になりがちだし,いつの時代も管理のための予測(それがいい場合ももちろんある)になることに注意を向ける必要があるでしょう。
未来予測ツールの運用には,その精度向上とともに,「予測」することへの私たちの考え方や処し方のdevelopも必要でありそれが試されていると考えます。

$$$
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# by dobashinaika | 2022-01-04 08:06 | 心房細動:診断 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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