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無症候性心房細動のアウトカムと抗凝固薬の効果は症候性と同等:AJM誌より


背景:無症候性心房細動は偶然見つかることが多いが,症候性に比べての予後や最適な治療については不明。それらを比較検討。

方法:
・GARFIELD-AF試験:発症1年以内の新規心房細動。グローバル前向き観察研究
・CHA2DS2-VAScスコアで分類
・抗凝固薬処方とアウトカム(脳卒中/全身性塞栓症,全死亡,出血)を2年追跡

結果:
1)52,032例中:無症候性25.4%,症候性74.6%

2)無症候性の患者背景:やや高年齢 (72 vs. 70 years),男性多い(69.4% vs. 66.0%),

3)無症候性のアウトカムは同等: 補正ハザード比 95% CI
・虚血性脳卒中/全身性塞栓症: 1.19, 0.97-1.45
・全死亡:1.06, 0.94-1.20
・出血:1.02, 0.87-1.19

4)抗凝固薬の効果:無症候性vs. 症候性
・虚血性脳卒中/全身性塞栓症:0.59, 0.43–0.82 vs. 0.78, 0.65–0.93
・全死亡:0.69, 0.59-0.81 vs. 0.77, 0.71-0.85

無症候性心房細動のアウトカムと抗凝固薬の効果は症候性と同等:AJM誌より_a0119856_06413058.jpg
結論:主要アウトカムと抗凝固薬の効果は,無症候性と症候性で変わりなし。機会ごとに検出された無症候性心房細動は,(症候性と比べて)同等のアウトカムと抗凝固薬への反応を示す。

### GARFIELD-AFには様々なプロフィールの患者が含まれています。無症候性は診療所で,病院やERよりも多く見つかっており,また初発(分類不能):発作性:持続性:永続性=42-45%:25-28%:15%:11-16%程度です。抗凝固薬はVKA,NOAC合わせて症候性,無症候性とも65%程度に施行されていました。

CHA2DS2-VAScスコア,HAS-BLEDスコアはほぼ同等でしたが心不全は症候性に多く,脳卒中既往は無症候性にやや多い傾向でした。

これまでの報告では,無症候性のほうが予後が良くないとの報告が多く,無症候性のほうが発見されたときにすでに高齢だったり高齢者が多く,治療が遅れたりすることなどに起因すると考えられていました。FUSHIMI AF Registryでは,発作性については無症候性のほうが予後が良くない一方,持続性では今回の研究同様差がないという結果でした。
患者背景や治療内容に違いがあると思われますが。無症候性でもとにかく症候性と同様にきちんと治療することが大切と思います。

$$$ 昨日朝の仙台
無症候性心房細動のアウトカムと抗凝固薬の効果は症候性と同等:AJM誌より_a0119856_06423574.jpeg

# by dobashinaika | 2021-03-03 06:45 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動アブレーションは薬物療法に比べて,MACE,全死亡のリスク低減に関連あり:FUSHIMI AF Registry

Major adverse cardiovascular events and mortality after catheter ablation in Japanese patients with atrial fibrillation: The Fushimi AF Registry

背景:心房細動の長期の臨床的アウトカムにおけるカテーテルアブレーションのインパクトは,コホート研究が限られており不明である。

方法:
P:FUSHIMI AFレジストリ4465例のうちの2639例
E:カテーテルアブレーション492例
C:標準的リズム and/orレートコントロール(薬剤)2147例
O:MACE:心血管死,心不全入院,心筋梗塞,虚血性脳梗塞or全身塞栓症,全死亡

結果:
1)20の共変数でマッチング後。アブレーション群342例,薬物群342例。平均追跡期間1865日

2)MACE:アブレーション群で有意に少ない: HR0.56, 95%CI 0.36-0.86; P = 0.0077)

3)全死亡: HR 0.47, 95% CI 0.29-0.75; P = 0.0016

心房細動アブレーションは薬物療法に比べて,MACE,全死亡のリスク低減に関連あり:FUSHIMI AF Registry_a0119856_06433060.png

結論:カテーテルアブレーションは薬物療法に比べて,MACE,全死亡のリスク低減に関連があった。アブレーション群における大部分のMACEは心不全入院であった。


$$$ アブストラクトだけですので,詳しくコメントできませんが,刮目すべきデータですね。日本のFUSHIMIのデータですので,参考になると思われます。全文を入手したら,どんなケースがアブレーションに適しているのか考察したいと思います。



### 最近は散歩のとき,マスクの落とし物をよく見つけます。
心房細動アブレーションは薬物療法に比べて,MACE,全死亡のリスク低減に関連あり:FUSHIMI AF Registry_a0119856_06435402.jpeg


# by dobashinaika | 2021-03-01 06:52 | 心房細動:アブレーション

クライオバルーンアブレーションの発作性心房細動第一選択治療としての有効性安全性を示す2つの論文:NEJMより


疑問:発作性心房細動患者のファーストライン治療として,抗不整脈薬とクライオアブレーションの効果の違いは?

方法:
P:発作性,未治療の心房細動303例
E:クライオアブレーション
C:抗不整脈薬
O:主要エンドポイント:心房頻拍再発の初回記録。副次エンドポイント:症候性不整脈フリー期間,AF負担,QOL
T;ランダム化比較,追跡12ヶ月
・術後評価は植込み型モニタリング

結果:
1)再発:アブレーション群42.9%vs. 抗不整脈薬群67.8%:hazard ratio, 0.48; 95%CI, 0.35 to 0.66; P<0.001

2)症候性不整脈再発:アブレーション群11%vs. 抗不整脈薬群26.2%:HR 0.39; 95% CI, 0.22 to 0.68

3)心房細動持続時間の中間位:アブレーション群0%vs. 抗不整脈薬群0.13%

4)重大な有害事象:アブレーション群3.2%vs. 抗不整脈薬群4.0%
クライオバルーンアブレーションの発作性心房細動第一選択治療としての有効性安全性を示す2つの論文:NEJMより_a0119856_07305850.jpeg
結論:症候性発作性心房細動の初期治療において,持続的リズムモニタリングを用いた場合,クライオアブレーションは抗不整脈薬に比べ,再発は有意に低値であった。



疑問:ファーストライン治療としてクライオアブレーションの有効性,安全性は?

方法:
P:発作性,未治療の心房細動203例
E:クライオアブレーション(PV隔離):104例
C:抗不整脈薬:99例
O;主要有効エンドポイント:初回不成功なし or 心房性不整脈再発なし(90日ブランキング期間後),主要安全性エンドポイント(アブレーション群のみ):手技,クライオシステムによる重大な有害事象
T:ランダム化比較
・術後評価は1.3.6.12ヶ月後の12誘導心電図,週毎および3−12ヶ月後の症状発現時の伝送心電図,6,12ヶ月時の24時間ホルター

結果:
1)アブレーション群:初回成功率97%

2)12ヶ月後の治療成功率:アブレーション群74.6% vs. 抗不整脈薬群45.0%(P<0.001 by log-rank test)

3)12ヶ月後の安全性エンドポイント:アブレーション群2例,1.9%
クライオバルーンアブレーションの発作性心房細動第一選択治療としての有効性安全性を示す2つの論文:NEJMより_a0119856_07321471.jpeg
結論:クライオアブレーションは発作性心房細動患者の第一選択治療として,心房性不整脈再発の点で抗不整脈薬を上回った。手技に関連した有害事象はまれだった。

### 昨年11月のNEJMに同時発表された,クライオアブレーションに関する2本の論文,EARLY-AF trial とSTOP AF First trialです。

どちらもクライオアブレーションと抗不整脈薬のRCTで,主に再発をエンドポイントとし,対象も平均60歳程度とほぼ同様のフレームです。違いは再発の評価方法で前者は植え込み型モニタリング,後者がホルター,伝送などの心電図です。

1年後までの非再発率は前者がアブレーション群で57.1%、抗不整脈薬群で32.2%,後者がアブレーション群74.6%、抗不整脈薬群45.0%でした。植え込み型モニタリングのほうが非再発率が低かったのは,そうしないと再発を過小評価するためと思われます。

60歳前後で心房細動を見たら,症状があればアブレーション(クライオも含む)が第一選択が潮流になると思われます(もはやとっくにそうなっている)。問題は症状がないときはどうするか,70歳以上のときはどうするか。今後も注目したいところです。

$$$ 2.13の地震では多くの方からエールを頂きました。幸い当院は,診察室の時計が床に落ちたく
クライオバルーンアブレーションの発作性心房細動第一選択治療としての有効性安全性を示す2つの論文:NEJMより_a0119856_07332745.jpeg
らいの被害ですみました。一日も早い復興を祈念いたします。


# by dobashinaika | 2021-02-15 07:36 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

高リスク心房細動患者における,左心耳閉鎖術のDOACとの比較:JACCCIより


目的:高リスク心房細動患者における,左心耳閉鎖術( left atrial appendage occlusion :LAAO)の臨床的アウトカムをDOACと比べる

方法:
E:LAAO 成功例:1088例
C:CHA2DS2-VAScスコア,HAS-BLEDスコアによりプロペンシティスコアマッチしたDOAC内服例。デンマーク国内登録より。1078例
O:主要評価項目:虚血性脳卒中+大出血(BARC≧3)+全死亡
T;追跡期間2年

結果:
1)主要評価項目:LAAO群ハザード比 0.57; 95%CI 0.49 to 0.67

2)全イベント数:LAAO群256 vs.DOAC群461

3)イベント率:LAAO群14.5人年 vs.DOAC群25.7人年

4)虚血性脳卒中:同等:HR: 1.11; 95% CI: 0.71 to 1.75

5)大出血 (HR: 0.62; 95% CI: 0.49 to 0.79),全死亡(HR: 0.53; 95% CI: 0.43 to 0.64) はLAAO群が明らかに低値

結論:高リスク心房細動患者においては,LAAOはDOACに比べ脳卒中予防は同等で,大出血,死亡は低リスクだった。

高リスク心房細動患者における,左心耳閉鎖術のDOACとの比較:JACCCIより_a0119856_07184969.jpg

###
左心耳閉鎖術とDOACの大きな比較試験です。
気になるのは,DOACはLAAO直後から中止するのではないことです。3ヶ月後の中止例は20%,2年後でも58%でした。

ランダム化試験ではなく,そもそもLAAO施行例はstrokeもbleedingも両方生じやすい症例であり,従来のスコアによる補正が妥当かどうかは検討の余地はあります。とはいえDOACのalternativeとして今後考えるべきデバイスとなるか,注目されます。

$$$ まだまだ寒い
高リスク心房細動患者における,左心耳閉鎖術のDOACとの比較:JACCCIより_a0119856_07205633.jpeg

# by dobashinaika | 2021-02-02 07:23 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)

DOACの不適切低用量処方は標準用量と比較してアウトカムに差はなし:AJMより


背景:DOACは心房粗細動のstrokeリスク低減に有効であることが示されているが,出血リスク低減のため,適応外低用量が利用されることがある。DOACの不適切低用量処方の頻度とアウトカムにつき検討。

方法:
P:脳卒中予防の適応(CHA2DS2-VAScスコア≧2)の心房細動患者。4つの承認されたDOACのうち1つが処方されている
E:不適切低用量
C;適切量
O::全死亡,脳卒中/全身性塞栓症,心筋梗塞,急性冠症候群,冠血行再建,大出血

結果:
1)8125例,平均追跡期間2.2±2年

2)不適切群1724例(21.2%)

3)全死亡,脳卒中/全身性塞栓症,大出血,MI,ACS,冠血行再建の複合:有意差なし

4)アピキサバン低用量のみ全死亡が増加: (HR 1.24, 95% VCI 1.03-1.49)

5)サブグループ解析には差はなし

結論:DOACの過小使用は,心房細動患者の出血,全身性塞栓症,全死亡を最小化することはできなかった。アピキサバンの不適切低用量は全死亡増加に関連した。

### メイヨークリニックのグループからのデータです。

日本のFUSHI AFレジストリでも同様の報告がなされています。https://dobashin.exblog.jp/239149458/

ORBIT-AF II試験でも不適切低用量使用の場合,血栓塞栓症や死亡率は増える傾向にはありましたが,補正後は有意差はありませんでした。https://dobashin.exblog.jp/238348593/

対ワルファリンで適切低用量も含まれる場合の検討は以下などがあります。

ちなみにアピキサバンの減量基準遵守例での低用量処方については,以下の検討があります:J‐ELD AF Registry 

今回の試験の不適切低用量症例についてのプロフィールは見ていませんが,おそらく低用量にする理由として,減量基準ギリギリで大事を取ってという例が多いことが推測されます。高齢というだけで腎機能等が良好にも関わらず一律に減量するということは慎みたいところですが。


# by dobashinaika | 2021-01-21 07:03 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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