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第3回心房細動を考える会

昨年から、私と五十人町おおともクリニックの大友淳先生、東北大学病院循環器内科の福田浩二先生とで企画しております、「心房細動を考える会」の第3回を本日開催いたしました。今回は、リニューアルされた心房細動ガイドラインを概観し、そのうえでいろいろな症例を提示し、開業医の立場からと病院勤務医の立場から上記お二人の先生に、それぞれにどんな検査を追加し、どんな治療をするのか、ご意見を戦わせていただく形で行いました。症例は以下の4例です。
1「50代男性、今朝から動悸が出現し、心電図で心拍数毎分130回の心房細動」
2「60代男性、今年の健康診断で初めて心房細動を指摘されたが自覚症状なし」
3「60代女性、発作性心房細動のためA薬を服用していたが、最近発作が増えてきた」
4「70代女性、慢性心房細動でワーファリン服用中に大腸ポリペクトミーの適応と診断された」

いずれも極めて日常よく遭遇する患者さんのタイプですが、にもかかわらずこれがベストだと言える治療法はなく、ほかの先生がどんな治療をしているのかを知るいい機会でもありました。

各例ごとに参加された先生方から、自分ならこうする、この治療法はどうか、といった意見、質問が積極的に出されました。参加者は循環器専門以外の先生であったにもかかわらず、とても質の高いディスカッションができたと思います。私は司会をしていましたが、ほとんど発言しなくても話が収束していく感じで、とても楽でした(笑)。それだけ本日の先生方のレベルが高かったのと同時に、心房細動で、日々皆悩んでいるのだなあ、と改めて実感しました。

心房細動は、年齢、血圧、糖尿病、飲んでいる薬、心臓の働き、などなどさまざまなものの影響を受け、また体へのあらわれ方も、すごくどきどきする場合もあれば、知らないうちになっている場合もある、治療法も何通りもの薬、カテーテル、手術がある、そういった幅の大変広い病気です。

それぞれに型にはまった治療というのはありません。まさにわれわれ医師にとっても心を悩ませる「心房細動」な疾患(病気)であるといえます。しかしながら、今後も患者さんは増えつづることが予想される病気でもあります。このような勉強会を通じて、どんな患者さんを前にしても、「心を細かく動かす」ことなく、じっくりしっかり対処できるようにしたいとあらためて感じ入った夜でした。
# by dobashinaika | 2009-07-09 23:32 | 心房細動:リアルワールドデータ

ちょっとリニューアル

先週、待合室の洗面所の蛇口を自動式(手をかざすと水が出る)に変えました。
ちょっとリニューアル_a0119856_22251812.jpg

同時にトイレも近付くと自動的にふたが開くタイプに変更しました!
ちょっとリニューアル_a0119856_22264529.jpg

水道の蛇口に手を触れない、トイレのふたに触らない、これらは医療機関として最低限の設備です。遅まきながら当院でもようやく導入いたしました。
ついでに待合室のエアコンも自動でフィルター清掃などができる最新式のものに交換しております。
ちょっとリニューアル_a0119856_223016100.jpg

狭い待合室で、いつもご迷惑をおかけいたしておりますが、少しでも快適になれば幸いと思っています。
# by dobashinaika | 2009-07-07 22:33 | 土橋内科医院

日本不整脈学会・日本心電学会合同学術集会

昨日までの2日間(7月2日、3日)、京都の不整脈関係の学会に出席してまいりました。夏の京都は何回か経験がありその暑さを覚悟していましたが、梅雨空のためか思ったほど蒸し暑くなく、それほど汗もかかずに過ごせました。

不整脈はたくさんありますが、「心房細動」と「重症不整脈(致死的不整脈)」がとくに重要視されて聞いており、この2つに関する発表がたいへん多くなってきております。

今回は、当院でも患者さんが多い心房細動に関し、学会で新しいガイドラインが作り直されたため、それに関しての発表をいくつか聞きました。昨年新しくなったのですが、今までとかなり違っており、今後心房細動の日本での治療が大きく変わっていくことが予想されます。

特にアスピリン、ジギタリスといった昔からよく使われていた薬はだんだん使われなくなるでしょう(もちろん患者さんによっては有益なこともあります)。ワーファリン、β遮断薬といった薬はますます多くなるでしょう。

古いガイドラインは約8年前に作られたのですが、今の治療方針とはまったくちがったことが書かれています。一つの病気も8年たつと、まったく治療法が変わってしまうのが、今の医学です。「温故知新」ならぬ「新故知新」です。。。。。が、医学においてもいつまでも変わらぬものもあるはず、すなわち故くて新しいもの。。。。

すぐ思い浮かぶのは古くは「ヒポクラテスの誓い」、陳腐な言葉で言うと「患者を思う心」とか。。。。私なりの言葉を使うと「読み解くこと」、このことこそ変わらずに医師の要求される姿勢だと思われます。病気に対する新しい知識、これをいかに自分の患者さんにうまく役に立つように読み解けるか、患者さんからの訴え、言葉から発せられるもの、言葉以外から発せられるもの、これをいかに読み解けるか、つまりいろんな情報を自分なりに噛み砕いて、ひとりひとりの患者さんの治療に生かすという姿勢こそ、変わらぬものでなければならないものと思われます。

学会などに出ると日本不整脈学会・日本心電学会合同学術集会_a0119856_2384128.jpg、いつもと違う時間の流れを経験するため、以上のようなたわいもないことを考えられるのが、いいと言えばいいことかもしれません。
# by dobashinaika | 2009-07-04 23:10 | 開業医の勉強

第10回土橋EBM教室

昨日(6月27日)、午後2時から当院待合室で、第10回の土橋EBM教室を開催いたしました。
30度を超える炎天下にもかかわらず、11名と定員をオーバーする方にご参加いただきました。

今回もテーマは「心筋梗塞、狭心症とどう付き合うか」です。皆さんステント治療を受けた方ばかりです。「ステントはどのくらい持つのか?」「カテーテルはずっと受け続ける必要があるのか?」切実な質問が次々に出されました。

この会の有意義なところは、時に患者さんがご自分の体験を話し始められ、皆がそれを熱心に聞くといった光景が見られることです。同じ治療を受けた方の体験談ほど参考になることはないと思われすからです。そういった話が自然にわき出るような雰囲気を今後とも作っていきたいと思います。

それこそが患者さん自身にとっての「エビデンス(治療根拠)」になりえるのだと思います。
# by dobashinaika | 2009-06-28 23:09 | 土橋EBM教室

きょう、うれしかったこと

開業医の日々の診療はマンネリズムに陥りがちです。それは比較的落ち着いた患者さんが多いためです。ただ、時にうれしいことも少なくありません。

今日は1年くらい通院の滞っていた患者さんが久しぶりにいらっしゃいました。聞くと、自宅が遠いので、近くの医院にかかっていたがそれも行ったりいかなかったりだったとのことです。今日は最近体調が悪いとのことで受診されました。

1年以上通っていなかったことで、とてもいらっしゃりにくかったことと思いますが、そんな中で遠いところをいらしていただいたことを大変うれしく、光栄に思います。

頼りにされる。。。人との生のコミュニケーションの中でなかなか得られる感覚ではありません。医師としての喜びはこういったところにひっそり存在します。この心持を大切にしていきたいと改めて思います。
# by dobashinaika | 2009-06-24 23:41 | 開業医生活


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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