スマートフォンやアップルウォッチなどのニューディバイスによる心房細動検出に関するレビュー:BMJ雑誌

BMJからスマートフォンやアップルウォッチによる心房細動検出に関するレビューが掲載されています。


長文なので結論だけ訳します。

結論:
・従来からの方法(ホルターなど)では適切な治療の機会を逃す危険性がある
・最近のいくつかのデバイスのよりその欠点が克服されることが示されて生きた
・これらのデバイスは,正確さ,モニターの期間,簡便性,コストなの点でそれぞれに異なる長所や欠点がある
・これらのデバイスで短いエピソードの心房細動が検出された場合の臨床的意義は不明であり,こうしたエピソードの管理は複雑な決断を要する

・各種ガイドラインは,ハイリスク患者で診断されていない無症候性心房細動のの卒中リスクは高いがめ,心房細動のスクリーニングを勧めている
・受診ごとに脈を取り,不整な場合心電図を施行することは効果的だが,多くの限界がある。
・アルゴリズムを備えた自動血圧計,フォトプレチスモグラフィーを用いたスマートフォン,ハンドへルドデバイスまたは心電図記録と用いたスマートフォンはそうした限界を克服し精度を高める

・心房細動合併脳梗塞既往例は再発リスクが高い
・こうした例には24−72時間ホルターがガイドライン上勧められている
・ただしどの程度の記録期間が妥当かは不明
・デバイス選択と記録機関の個別化が求められる
・長期間モニターが必要な場合は,ループレコーダーが従来用いられてきたが,モバイルテレメトリーやILRも実用化されつつある
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### 現時点での心房細動スクリーニングバイスに関する詳細なレビューです。
これを見ますと感度,特異度の点でそれぞれのデバイスに差があり,万全なものはないようです。

個人的には,ずっと連続して記録できる点でアップルウォッチが一番感度特異度とも良いとは思いますが,たとえばCHADS2スコア2点以上の人全員アップルウォッチとは行かないわけです(四六時中つけるわけでもないし)。

また数十秒とか数分とかの心房細動を,臨床的に意義のあるものと取るかどうか,いわゆる”significance”が非常にクローズアップされてくるように思われます。

# by dobashinaika | 2018-11-08 08:47 | 心房細動:診断 | Comments(0)

クライオバルーンアブレーションはRFに比べ再アブレーション率が低く手技時間は短い:EP誌より


目的:第二世代クライオバルーンアブレーションとイリゲートRFアブレーションのアウトカム&安全性比較

方法:
・4657例。初回アブレーション
・クライオ982例,RF3675例
・スウェーデンのレジストリーおよびEHRA長期レジストリー
・主要評価項目;再アブレーション(12ヶ月間)
・副次評価項目:手技時間,頻拍再発,合併症率

結果:
1)再アブレーション:クライオで有意に少ない:7.8% vs. 11%, P = 0.005

2)頻拍再発率(30秒):同等: 70.2 % vs. 68.2%, P = 0.44

3)心房細動のタイプ,適応病変での差はなし

4)「発作性」はクライオでの再アブ低下の指標: hazard ratio 0.56 (P = 0.041)

5)手技時間;クライオが有意に短い: 133.6 ± 45.2 min vs. 174.6 ± 58.2 min, P < 0.001

6)合併症率;同等:53/982 (5.4%) vs. 191/3675 (5.2%), CRYO vs. RF, P = 0.806.

結論:クライオバルーンアブレーションはRFアブレーションに比べ,再アブレーション率が低く,手技時間は短かった。このことは登録研究というリミテーションにもかかわらず,手技選択上重要な視点である

### 最近はアブレーションを依頼すると,ほとんどクライオが行われていて,再発は以前より確かに少ない実感があります。施行されている先生方に聞いてもみなクライオの良さを強調されますね。アブ初心者医師でも可能であるとのことも聞きます。

一方でこうした注意喚起もあるようです。現場での声を聞いてみたいところです。

$$$ フェルメール。静謐というより緊張と凝縮なんです。私にとっては
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# by dobashinaika | 2018-11-07 06:15 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

日経メディカルオンライン連載第5回:抗凝固薬の使い分け NOACはどれか1つを使いこなせば「まずOK」

日経メディカルオンライン連載第5回更新いたしました。

今回は,抗凝固薬の使い分け NOACはどれか1つを使いこなせば「まずOK」

ご参照いただければ幸いです。


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# by dobashinaika | 2018-10-24 10:46 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

複数共存疾患を持つ心房細動患者では,いずれの抗凝固薬も脳卒中予防の有効性は同等。しかしダビガトランとリバーロキサバンは死亡率減少と関連:JACCNW誌


疑問:複数共存疾患(multiple chronic conditions :MCC)を持つ心房細動患者におけるNOACのアウトカムは,ワルファリンに比べてどうか?

デザイン,セッティング,対象:
・米国メディケアデータベース
・心房細動新規発症90日以内に抗凝固薬開始
・CHA2DS2-VAScスコア;低リスク(1-3点),中リスク(4-5点),高リスク(6点以上)
・HAS-BLEDスコア:低リスク(0-1点),中リスク(2点),高リスク(3点以上)
・Gagne comorbidity スコア:低リスク(0-2点),中リスク(3-4点),高リスク(5点以上)
・ダビガトラン群(150mgx2),リバーロキサバン群(20mgx1),ワルファリン群でプロペンシティーマッチング
・アウトカム:脳卒中,大出血,死亡

結果:
1)ダビガトラン群:21979例,平均75.8歳,女性51.1%
リバーロキサバン群:23117例,平均75.8歳,女性49.9%
ワルファリン群;10175例,平均78.5歳,女性57.3%

2)脳卒中(マッチング後):3群で有意差なし

3)ダビガトラン(対ワルファリン):
・低MCCリスクにおいて大出血を有意に減少(HR0.62; 95% CI, 0.47-0.83; P < .001; )
・中,高リスクでも同様

4)リバーロキサバン(対ワルファリン):
・大出血;ワルファリンと同等。ダビガトラン群より中,高リスクで有意に増加 (HR, 1.24; 95% CI, 1.04-1.48; P = .02 and HR, 1.28; 95% CI, 1.05-1.56; P = .01, respectively)

5)ダビガトラン群とリバーロキサバン群は,全MCCリスクを通じてワルファリン群より全死亡は有意に減少(HR0.52-0.84)
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結論:複数共存疾患を持つ心房細動患者では,いずれの抗凝固薬も脳卒中予防の有効性は同等。しかしダビガトランとリバーロキサバンは死亡率減少と関連

### 最近,抗凝固薬投与で最も大切なことは,本論文で取り上げているような「多疾患共存(あるいは併存)状態」の人が非常に多くなっている,という認識だと思われます。抗凝固薬はますます高齢者に投与され,そうした方は高血圧,糖尿病,心不全をはじめ,CKD,フレイル,認知症等々,数多くの共存疾患を抱えています。そうした中での抗凝固薬がどのようなインパクトなのかを知ることこそ,求められるものではないかと痛感します。

細かく見ると,リバーロキサバンは,中,高リスク例で大出血のうち特に消化管リスクがダビガトランやワルファリンに比べ増加し,とくに開始30日以内で増加しているようです。特に投与開始時に注意が必要かもしれません,

共存疾患のリスクの程度を表すGagne comorbidity scoreは私も初めて知りましたが,以下のサイトをご参照ください。

$$$ 今日のニャンコ
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# by dobashinaika | 2018-10-23 06:16 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

10月27日,第14回どばし健康カフェを開催します

10月27日(土) 第13回どばし健康カフェを開催します。今回のテーマは,かしこい患者になろう!

~病院やクリニックとの上手な付き合い方~


 医療機関に行ったとき、症状をうまく先生に伝えられずもどかしい思いをしたことや、忙しそうな先生をみて聞いてみようと思ってることを飲み込んでしまった経験はありませんか?


先生や看護師さんと上手にコミュニケーションが取れるともっと的確な医療に近づける?!実は先生も患者さんとコミュニケーションをとりたがっている?!!

  

気軽におしゃべりしながら、かしこい患者像を一緒に探っていきましょう。


お申込みはこちらからできます。
直接メールまたは電話を頂いても結構です。

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# by dobashinaika | 2018-10-11 17:00 | 土橋内科医院 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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