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心房細動診断においてスマホによるシングルリード心電図は感度特異度とも良好:Ann Fam Med誌


目的;プライマリ・ケア対象に,心房細動の診断アルゴリズム搭載スマートフォンによるシングルリード心電図(1誘導心電図)の妥当性を,12誘導診断図と比較して評価する

方法:
・対象:非急性期の12誘導心電図を実施した連続症例
・12誘導心電図を同時に1誘導心電図も記録
・スマートフォンアルゴリズムと同様,盲検下された循環器専門医が1誘導心電図を評価
・循環器専門医は12誘導心電図もランダムに評価
・12誘導心電図を標準リファレンスとして心房細動や心房粗動,調律異常,伝導異常の1誘導心電図の診断精度を評価

結果;
1)オランダの12のGP施設から214人が登録。平均64.1才,53.4%が女性

2)12誘導心電図での心房細動/粗動,調律異常,伝導異常の検出頻度は各23,44,28人

3)心房細動/粗動に対する1誘導心電図の感度は100% (95% CI, 85.2%-100%)。特異度100% (95% CI, 98.1%-100%)

4)心房細動アルゴリズムの感度は87.0% (95% CI, 66.4%-97.2%),特異度97.9% (95% CI, 94.7%-99.4%)

5)すべての調律異常に対する感度は90.9% (95% CI, 78.3%-97.5%),特異度は93.5% (95% CI, 88.7%-96.7%)

6)すべての伝導異常に対する感度は46.4% (95% CI, 27.5%-66.1%)。特異度は100% (95% CI, 98.0%-100%)

結論;プライマリ・ケア対象において,スマートフォン用1誘導心電図デバイスは,心房粗細動およびその他の不整脈に対し非常に良好な診断精度を示した。伝導異常に対する感度は劣っていた。

### 心房細動の診断に関するさまざまなデバイスが発売されていますが,今回はオランダのGPからの発表です。

スマホアプリと小さなステックのようなパッドの組み合わせで,パッドに左右2本ずつ指を乗せて30秒間心電図を記録します,
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このメーカーのサイトでは非常に鮮明な心電図が記録されています。$99です。
足にタッチすることで6リードにもなるとのことです。

Apple WatchによるApple Heart Studyが注目されていますが,Apple Watchは24時間モニター可能であり,一般住民のスクリーニングに向いていますが,こちらは症状があるときあるいは1日2回などと決めて規則するタイプですので,症状があるが記録できない,あるいはある程度ハイリスクの人のスクリーニングに有用と思われます。

心房細動の感度特異度は良好ですが,さすがに伝導異常(ブロック等か)は感度は低いようです。

$$$ 近所に素敵な本屋さんオープン。早速一冊購入
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by dobashinaika | 2019-09-19 06:30 | 心房細動:診断 | Comments(0)

第17回どばし健康カフェ「心肺蘇生法」を学ぼう!語ろう!体験しよう! どなたでもご参加できます!

10月26日(土)に第16回どばし健康カフェを開催いたします。

今回は「心肺蘇生法」のお話です。

心肺蘇生法をレクチャーと体験実習を行い,その後に体験に基づいての心肺蘇生法について感じたことや,救急の現場にい合わせたときや,ご家族が急変したときにときどう考えるか,どうするか。

皆で語り合います。

以下のサイトから申込可能です。
また直接ご連絡いただいても結構です。

お気軽にご参加ください。

参加申込サイト


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by dobashinaika | 2019-09-05 08:51 | 土橋内科医院 | Comments(0)

強い症状のない血行動態の安定した心房細動に対し,救急外来でのアグレッシブな電気的除細動は必要ないかもしれない:AJC誌


背景:急性心房細動発作でカルディオヴァージョンが施行されるが,オルタナティブとしてレートコントロールも広く普及している。しかし洞調律復帰率は不明

方法:
・心房細動専門クリニックにおける救急外来受診の心房細動で血行動態安定,軽〜中等度の症状で退院した157例
・退院後72時間以内,30日以内のリズム,電気的除細動の必要性につきをチェック

結果:
1)自発的洞調律復帰率:72時間以内63%,30日以内83%

2)90日までに電気的除細動が必要だったのは6.3%

3)洞調律復帰に影響する因子:
糖尿病(38% vs 69%, p<0.01),
冠動脈疾患(43% vs 73%, p<0.01)
左房径中等度〜重度拡大(38% vs 78%, p<0.01)

4)多くは2-3日以内に復帰

結論:強い症状のない血行動態の安定した心房細動に対し,救急外来でのアグレッシブな電気的除細動は必要ないかもしれない

### これまでもたとえば発症72時間以内の心房細動の68%(3分の2は24時間以内発症)は自然停止するとの報告がありますが,この論文ではその多くは72時間以内に止まるとの指摘です。

今でも当院の外来など,開業医の外来ではいきなり電気的除細動やI群薬は投与せず,ワソランの緩徐静注などが行われていると思いますが,症状が強くなく安定していでばそれで良いとの指針であり,安心させられる感があります。塞栓症ハイリスクは別にしても抗凝固などはその後に考えれば良いと思われます。

$$$ 今日のにゃんこ
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by dobashinaika | 2019-09-04 06:36 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

冠動脈疾患合併心房細動における血行再建1年以降のリバーロキサバン単剤は抗血小板薬併用に比べ安全性に優れ,有効性も非劣性:NEJM誌 #ESC2019

背景:心房細動と安定した冠動脈疾患合併例における抗血栓療法を評価したRCTのデータは限定的である

方法:
・日本における多施設,オープンラベル試験,ランダム化比較試験
・P:1年以上前にPCIまたはCABGを施行,または血管造影上診断が確定した血行再建不要の冠動脈疾患を有する心房細動2236例
・E:リバーロキサバン単剤(リバーロキサバン単剤群)
・C:リバーロキサバン+抗血小板薬1剤(併用群)
・O:一次エンドポイント(有効性,非劣性検討,非劣性マージン1.46)=脳卒中,全身性塞栓症,心筋梗塞,血行再建が必要な不安定狭心症,全死亡
一次エンドポイント(安全性,優越性検討)=大出血(ISTH基準に準拠)

結果:
1)併用群の死亡率増加のため,試験は中断となった

2)有効性:リバーロキサバン単剤群は併用群に比べ,有効性の一次エンドポイントにおいて非劣性を示した:(ハザード比, 0.72; 95% CI 0.55 to 0.95; P<0.001 for noninferiority)

3)安全性:リバーロキサバン単剤群は併用群に比べ,安全性の一次エンドポイントにおいて優越性を示した: (ハザード比, 0.59; 95% CI, 0.39 to 0.89; P=0.01 for superiority)
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結論:抗血栓療法としてのリバーロキサバン単剤療法は,併用療法に比べ有効性の点で劣らず,安全性の点で優れていた。

### 日本発信の大変貴重なエビデンスが出ました。ESCとNEJM同時発表です。

冠動脈疾患合併心房細動患者さんにおいて,PCI1年以内の急性期,亜急性期での抗血栓療法はある程度エビデンスがあり,ガイドラインも細かな修正がなされています。一方,PCI1年以降はESCなどのガイドラインでは抗凝固療法単独が推奨されていますが,そのエビデンスは限定的でした。

ところがとくにプライマリ・ケアの場においては1年後以降どうするかは非常に重要です。このような患者さんはPCI終了後診療所に逆紹介されることも大変多く,確たる証拠がないままワルファリンor NOAC+アスピリンorクロピドグレルを漫然と何年も使い続けられている状況でした。ときに出血もあるし,観血的手技時その他でも面倒な思いをする。そうした悩みにかなりの方向性を与えてくれるエビデンスと思われます。しかも日本発です。

内訳を見るとステントはDESが2/3,BMSが20%強。抗血小板薬初期使用はアスピリン70%,P2Y12阻害薬27%。リバーロキサバンは10mg45%,15mg54%でした。

アウトカムに関しては,一番知りたい心筋梗塞はHRが1.60(95%CT 0,67-3,87),血行再建を要する不安定狭心症は0.71(0.35-1,44)でした。

NOACの虚血性心疾患に関するアウトカムは薬剤間で差がありますので,トロンビン阻害薬でも当てはまるかも興味深いところです。

Editorialはこちら
今後臨床の現場がどう変わるか,注目していきたいと思います。

$$$ 仙台の朝焼け
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by dobashinaika | 2019-09-03 07:29 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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