人気ブログランキング |

<   2019年 08月 ( 7 )   > この月の画像一覧

製薬企業をスポンサーとするDOAC/NOAC関連イベントと処方数,もしくは医師の生涯学習のあり方


目的:製薬企業をスポンサーとするNOAC関連イベントの質,数,内容を明らかにする(オーストラリア)。それらとNOACの消費量とを比較する。

デザイン&セッティング;
・Australian pharmaceutical industry transparency reportsのデータからのcross-sectional study
・2011年10月から2015年9月までのNOAC関連イベント,および2011年4月から2016年6月までのNOAC消費量(Australia’s Pharmaceutical Benefits Scheme (PBS)による)を調査

主要アウトカム:
NOAC関連教育イベントの特性,内容,コスト,頻度,参加者の情報,NOACの消費率

結果;
1)イベント数:2797イベント(月平均45件)

2)コスト:$A10 578 745(約7億5700万円:1豪ドル=71.6円として)。うち飲食代:$A4 23
8 962(約1億7千万円)

3)対象:GP(42%),循環器専門医(35%),血液専門医(23%)

4)場所:48%が診療外:レストラン,バー,カフェ

5)形式:55%がカンファランス,ミーティング,セミナー

6)2つのイベントにおいては,認可されていない適応や(NOACに)好ましい利益/害のプロフィールが提示され,スピーカーは製企業と親密な関係であった。

7)NOAC関連イベント数とNOAC処方数は経時的に増加した
a0119856_08235469.gif
リバーロキサバン

a0119856_08243623.gif
アピキサバン

a0119856_08245558.gif
ダビガトラン

結論:4製薬企業によるNOAC関連イベントの莫大な資金は,販売促進目的であることが示された。医療従事者は,新しく提供された薬剤については例えば官庁などからの,(製薬企業から)独立した情報を探索すべきである。

### 著者はシドニー大学の薬学センター/薬学部の先生です。
NOAC関連イベントが月平均45件とのことですが,日本では例えば今年9月の仙台だけでも私の知る限り5-6件くらいあります(最近少なくなったとはいえ)。発売当初2−3年はそれは大変な数でした。日本全国でみるとオーストラリアをかなり凌駕する(数倍?)くらい開催されているのではないでしょうか。また費用もこれよりかなり多いかと思われます。
場所はレストランなどが多いとのことですが,日本はホテルが圧倒的に多いですね。最近はWebカンファランスも増えています。

しかしこの論文では相当手厳しく実例が挙げられています。2014年のEuropean Haematology Association’sのあるセミナーでは5人の講演者全員が製薬企業から講演料,研究グラント,相談業務を受けていて,一人の講演者は「NOACは禁忌は完全にない」,他の講演者は「小児にも ‘last resort therapy’として使える」と言った,などと生々しいレポートが記載されています。イベント数と薬剤消費量は直接関連があるかどうか不明ですし,結論最後の政府関連情報を,というのも違うかもしれないとしても,考えさせられます。

私自身,NOAC発売は医療従事者の生涯学習のあり方について深く考えさせられる契機となりました。新薬に関してはやむを得ない面はあるにせよ,とくに開業医では生涯学習(特に薬剤について)において製薬企業ベースの講演会が大きな位置を占めているのは否めません。自分でエビデンスを探すよりもいろんな意味においてconvinientです。

しかし著者も指摘しているように,そうした情報は数々のバイアスが入り込みやすいということは十分知るべきでしょう。日本ではオピニオンリーダーと呼ばれる医師が上記のような講演会のスピーカーとなっており,バイアスを見分けるのは非専門家にはかなり困難な状況と考えます。

新たな勉強法としては,日々の診療で発生する疑問を解決するために1)ネット(UpToDateなど)やSNSを参考にしていわゆるパーソナルナレッジベースをつくる 2)近所の開業医仲間で小さい勉強会を開いて問題解決を図る,などが考えられます。

コンプライアンスの関係や時代の流れから見て,おそらく製薬企業関連教育イベントは希少になっていくものと思われます。自ら主体的に学ぶ姿勢の探索が求められます。

開業医の生涯学習については,後日まとめて書くつもりです。

$$$ 今日のニャンコ
a0119856_10461873.jpg





by dobashinaika | 2019-08-30 08:29 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動に対する経皮的頸動脈フィルターの実用性,安全性:JACC誌


目的:新規の永久的総頸動脈コイルフィルター(径1.4mm以上の塞栓捕捉,両側)に関する初めてのヒト対象多施設非無作為試験

方法:
・CHA2DS2-VAScスコア2点以上,抗凝固薬内服不可能,総頸動脈サイズ4.8-9.8mm,30%以上の頸動脈狭窄なし
・超音波ガイド下に24ゲージ針で直接頸動脈穿刺
・電動式ユニットがフィルターを押し出し頸動脈を拡張する
・術前3ヶ月アスピリン+クロピドグレル,術後アスピリン内服
・一次エンドポイント:手技成功(両側頸動脈への適切なフィルター留置),30日以内の大イベント(死亡,脳卒中,大出血,フィルター移動,総頸動脈血栓/狭窄
・頸動脈エコーを手技後,退院前,1週間後,1,3,6,12ヶ月に施行

結果:
1)3施設,25例,平均71±9歳,CHA2DS2-VAScスコア平均4.4点,脳塞栓の既往48%

2)手技成功率92%(23/25),1例は片側のみ

3)手技に伴う大きな合併症なし,穿刺部血腫/浮腫5例(20%)

4)平均6ヶ月フォロー後,フィルターでの血栓捕捉4例(1例両側,4例片側)。全例無症候性。3例は捕捉確認,2例は分類不能,その場で生成されたものは0

5)全例でヘパリン皮下投与により塞栓は溶解

6)1例で手技に無関係な小梗塞あり

結論:永久的頸動脈フィルター留置は技術的に可能かつ安全である。

### 抗凝固薬を内服できない患者に対する両側の総頸動脈フィリターに関する初の試験です。イメージはこんな感じです。
a0119856_06390564.gif
a0119856_06402296.jpg
手技はこのようにして行われるとのことです。
a0119856_06405910.gif

提供企業のサイトでもビデオを見ることができます。

米国FDAでは新規デバイスの審査が厳しくなっており,この試験もチェコなどのヨーロッパ行われています。

いよいよこういうデバイスが出たかという感もします。ヘパリン皮下注で全例塞栓が消えたとのことですが,本当に消えるのかという懸念もあります。
また1例では脳梗塞が起きており,完全には抑えられないのかとも思います。
本文では捕捉が見られたのは6例とあり,数が合わないところがある気がしますが,,

まだなんとも言えません。抗凝固薬がどうしても飲めない人の選択肢にはなるでしょうか。遠隔成績を見守りたいと思います。

$$$ 今日のにゃんこ
a0119856_06414756.jpg

by dobashinaika | 2019-08-22 06:42 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)

フレイルと心房細動,抗凝固療法の関係に関するシステマティックレビュー:Age and Ageing誌


目的;フレイルと心房細動,臨床アウトカムの関係に関するエビデンスの統合

方法:フレイルと心房細動,臨床アウトカムの関係,フレイルと抗凝固療法との関係についてのシステマティックレビュー

結果:
1)20試験,30,883例対象,全て観察研究,病院での研究18,コミュニティー対象4,ナースングケア1

2)リスクバイアスは低〜中等度

3)心房細動有病率:3-38%

4)フレイルは,脳卒中増加,全死亡,入院期間,重症度と相関あり

5)フレイルは入院時の抗凝固薬処方率減少と関連あり (pooled adjusted OR 0.45 95%CI 0.22–0.93,3試験)。退院時処方率とは関連なし(pooled adjusted OR 0.40 95%CI 0.13–1.23,3試験)

6)コミュニティ対象の試験ではフレイル症例ほど抗凝固薬処方が多い(OR 2.33 95%CI 1.03–5.23)
a0119856_06565851.png

結論:心房細動患者においてフレイルはコモンかつ負の臨床アウトカムに関連した。フレイルと抗凝固薬処方とは関連があったが,入院患者とコミュニティ対象とでは結果の方向性が異なった。一般住民において高齢者は多数を占めるが,フレイルと心房細動,抗凝固療法,アウトカムとの関連に関するエビデンスは欠如している。

### フレイルと心房細動,抗凝固療法に関するメタ解析です。トピックな話題でのメタ解析なので興味を引きました。
フレイルの定義は各試験で異なりますが,Clinical Frailty Scale (CFS)などが使用されているようです。CFSですと5点(買い物,外出,家事に支援が必要)以上とする論文が多いですが,対象の多くは7点(生活全般への介助)以上であり,概ね要介護3以上が対象と思われます。

コミュニティベースではフレイルの人ほど抗凝固薬が処方されていた点が興味深いですが,考察によれば1論文のみで,比較的j若年で低リスクの心房細動が対象の試験だからだろうとのでした。一方別のメタ解析ではフレイルへの抗凝固療法はフレイルでない人に比べて約半分との報告もあります(J Atr Fibrillation. 2018 Apr; 10(6): 1870.)。

フレイルの人ほどアウトカムが良くないし,抗凝固薬処方が少ない,ー納得ですが,抗凝固薬の有無でネットクリニカルベネフィットが変わるのかまでのアウトカムはないようでした。そこが一番知りたいところではあります。

$$$ 今日のニャンコ
a0119856_06574444.jpg


by dobashinaika | 2019-08-21 07:00 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

オープンダイアローグと診療所診療

【外来診療に抱く日々の「違和感」】
診療所医師になって15年になるのですが,実は以前から診察室で行われる「外来診療」という形式に漠然とした違和感をずっと持ち続けてきました。どんな違和感なのかと問われても明確に答えることはできないのですが,毎日数十人の人と数分刻みでお話をすること,そこにどうしても「仕事をこなしている」感みたいなものを感じていました。

その解決策を得るためというわけでもないのですが,8月第1週の週末3日日間,オープンダイアローグネッドワークジャパンが主催する「オープンダイアローグトレーニング3DAYSワークショップ」に参加しました。オープンダイアローグ(OD)については,すでに多くの場面で普及しており詳細は省きますが(ODNJPのホームページにあるガイドラインが大変参考になります),そこで得られた「体験」により,私の違和感の輪郭がややはっきりし,どう解消していけばよいのかの緒をつかんだように思いました。

【対話主義】
ODにはいくつかの原則がありますが,最も刺激的だったのは「対話主義」です。「対話は何かの手段ではなく,それ自体が目的であり,解決はその先に現れるものである」「対話の場で今まさに起きていることに焦点を当てる」,ODのガイドラインにはそう書いてあります。しかし実際にロールプレイなどを行ってみると,いかに対話自体を目的とすることに自分が馴染んでいないのかを痛感させられます。

私たち医療者(少なくとも自分)は医学的根拠や自分の専門性を「正しさ」の後ろ盾にして,当事者の発する言葉を自分の「正しさ」と照合し,適合させようとする心の癖があります。そこまで大きく言わなくても「説得」や「説明」が診察室でのコアになりがちです。対話の場に発生する関心,恐れ,喜怒哀楽の感情などのさまざまな「起きていること」に注意を向け応答するーそうした対話だけに集中し感情に敏感になることには疎いかもしれません。

たとえば患者さんが発した「これから自分がどうなってしまうのか不安だ」という言葉。通常,身体疾患であれば現在の病状を説明し,これから予想される状況や取りうる治療選択について説明することになりますが,ODでは「不安だ」という言葉を発した患者さんの内面のみならず,自分がどう感じたか,あるいは同席者がどう感じたのがが重視されます。患者さんが不安だと発したことを「自分がどう感じたか」をその場に発して患者さんや他の同席者の反応を見るのです。

この姿勢は,当事者にとっての病の意味や解釈を引き出すナラティブアプローチや構造化された面接技法ともやや違います。また安易な「傾聴や共感」とも一線を画すもののように思います。まず病の意味聞いて,次に共感的な言葉をかけて。。。といった技法的な態度とはODはむしろ正反対で現場主義的,非構造的です。

【ポリフォニー】
こうした対話主義のもととなるのが「様々なものの見方を尊重し,多様な視点を引き出す」こと,いわゆるポリフォニーの姿勢です。ODではリフレクティングがその手法ですが,当事者,家族をスタッフとの対話のあと,当事者の目の前でスタッフ同士の意見交換をし,それに対して当事者が意見を述べる。そこではときに当事者には耳の痛い言葉や,やや意見がコンフリクトする場面もあります。しかしそこに意見の押しつけや中途半端な意思決定はありません。複数の視点から語られる視点の交錯は,「当事者の意志決定」という近年大事にされてきた概念とは無縁です。さまざまな視点が示されることにより当事者に「こうしたい」という欲望が生じます。これは中動態の世界に通じますね。

ここにきて,これまでずっと抱いてきた「診察」への違和感がおぼろげながら顕になってきたように思います。当事者と医師とが1対1で面接する,そこに発生するどうしてもぬきがたい上下関係ーヒエラルヒーと言ったらいいのか,自分がずっと抱いてきた違和感はそうした「勾配」のようなものなのです。これまでなんとかそうした勾配を平にしようと思い,面接技法の本を読んだりセミナーに行ったりもしました。しかし違和感が払拭されなかったのは,どうも1対1で対峙する外来診療の構造そのものに由来するからのように思います。またそれに加えてどうしても拭い難い「説明」「説得」の体質でしょう。

【取り組みたいこと】
実は当院では,1年半以上前から,多職種が関わっている患者さんとご家族,ケアマネジャー,訪問看護師,ヘルパー,当院スタッフが会するケアカンファランスを行ってきました。そこで気づくことは,多くの人の前で例えば認知症を持つ人が,自らの生活や,記憶の片隅について生き生きとお話されるということです。医療スタッフはもちろん,ときにはご家族も驚くようなことを明るい表情で語られるのです。これはまあ,レベルは違うにせよ一種のODなのかもしれないと考えています。

またときに市民との対話の場としてやっているどばし健康カフェも,対話を楽しむ場なのかもしれません。こうしてみると,診察室の外では意外と対話を大事にしていたのか,という気もします。

これからは診察室診療にODの要素を取り入れることに腐心していきたいと考えています。たしかに身体疾患では意志決定はどうしても医師主導なりがちで,特に内科を標榜している医院でできるのかという問いはあります。が,手始めに認知症の人やうつの人に対話を重視した診療を導入できるものと思います。

試みに当院では4月から診療看護師(NP)が勤務し,必ず一人の患者さんにNPあるいは看護師と医師が複数で診療を行う仕方を開始しました。対話主義,ポリフォニーがどこまで診療所診療に導入できるのか,今後とも実践しながら考えていきたいと思います。

### 今日のにゃんこは難しい
a0119856_07022917.jpg



by dobashinaika | 2019-08-13 07:00 | 心理社会学的アプローチ | Comments(0)

周術期ヘパリンブリッジなしでDOACを中止しても大出血,血栓塞栓症は少ない:JAHAIM誌


目的:周術期における標準的DOAC管理の安全性を評価?

デザイン,セッティング,参加者:
・The Perioperative Anticoagulation Use for Surgery Evaluation (PAUSE)コホート(欧米の23診療センター)3007・
・ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン使用
・待機的手術,手技
・ヘパリンブリッジなし

介入:
・薬物動態,出血リスク,腎機能に基づく標準的DOAC中止及び再開基準使用
・低出血リスク時1日中止,1日後再開。高リスク時2日中止,2−3日後再開
・術後30日フォローアップ
a0119856_06193011.png

主要アウトカム:
・大出血,動脈性塞栓血栓症,手術時抗凝固レベル検知されずまたは50ng/mlm未満の比率

結果:
1)平均72.5歳,アピキサバン1257例,ダビガトラン668例,リバーロキサバン1082例。高出血リスク手技33.5%

2)大出血:アピキサバン群1.35% (95% CI, 0%-2.00%),ダビガトラン群0.90%(95% CI, 0%-1.73%) ,リバーロキサバン群1.85% (95% CI, 0%-2.65%)

3)血栓塞栓症:アピキサバン群0.16% (95% CI, 0%-0.48%),ダビガトラン群0.60%(95% CI, 0%-1.33%) ,リバーロキサバン群0.37% (95% CI, 0%-0.82%)

4)高出血リスク手技での大出血:アピキサバン群2.96% (95% CI, 0%-4.68%),リバーロキサバン群2.95% (95% CI, 0%-4.76%)

結論:ヘパリンブフリッジ/凝固系検査なしの周術期DOAC管理戦略においては大出血,血栓塞栓症は少ない。

### リアルワールドでの周術期ヘパリンブリッジなし戦略を検証した論文。ヘパリンある郡との比較ではありません。血栓塞栓症がかなり少ないですね。

大出血手技とは硬膜外麻酔,頭蓋内/脊髄手術,胸部,心臓,大血管,腹部骨盤内手術,大きな整形外科手術,大きながん/がん再建手術。小出血手技は,消化器内視鏡,ペースメーカー,ICD手術,歯科手技,皮膚生検,白内障手術などです。

DOACではノーヘパリンブリッジが,すでに現場で浸透していると思われますが,その正当性を裏付ける結果かと思われます。

$$$ 仙台七夕,吹く風は涼しげ
a0119856_06255178.jpg


by dobashinaika | 2019-08-09 06:28 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

日経メディカルオンライン更新いたしました。:第10回 高齢者の抗凝固療法で気になる「腎機能低下・高血圧・多剤併用」 意外と要注意な「NOACの併⽤薬の減らし⽅」

日経メディカルオンライン連載中の「プライマリ・ケア医のための心房細動入門リターン」更新いたしました。
今回は,第10回 高齢者の抗凝固療法で気になる「腎機能低下・高血圧・多剤併用」 意外と要注意な「NOACの併⽤薬の減らし⽅」です。

NOAC/DOACでも併用薬は,腎機能や血圧とともに意外と重要だということを述べています。
ご参考になれば幸いです。

(要無料登録)
a0119856_07295359.png

by dobashinaika | 2019-08-06 07:30 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

カテーテルアブレーションは,薬物療法に比べ心不全合併心房細動症例の生存率,再入院,QOLを改善させた。RCTプール解析:EHJ誌


目的:心不全合併心房細動患者のリスムコントロールに関する有効性,安全師を評価する

方法:
・プール解析
・Subset A:抗不整脈薬(AADs) vs. レートコントロール
・Subset B :カテーテルアブレーション vs. 薬物療法
・一次評価項目:全死亡,再入院,脳卒中,血栓塞栓イベント

結果:
1)11試験,3598症例,Subset A:2486, Subset B:1112

2)AADsはレートコントロールに比べ:
全死亡は同等(OR: 0.96, P = 0.65)
再入院は高率 (OR: 1.25, P = 0.01)
血栓塞栓症は同等(OR: 0.91, P = 0.76,)
a0119856_08265071.png

3)カテーテルアブレーションは薬物療法に比べ:
死亡率は明らかに低い(OR: 0.51, P = 0.0003)
再入院は低率 (OR: 0.44, P = 0.003)
脳卒中イベントは同等 (OR: 0.59, P = 0.27)
左室EFは著明改善(weighted mean difference (WMD): 6.8%, P = 0.0004)
心房細動再発は低率 (29.6% vs. 80.1%, OR: 0.04, P < 0.00001)
QOLは改善 (Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire score) (WMD: −9.1, P = 0.007).
a0119856_08232679.png
結論:リズムコントロールとしてのカテーテルアブレーションは,心不全合併心房細動症例の生存率,再入院を大幅に改善し,洞調律維持を改善させた。これには心機能保持が関与している。QOLも改善した。

### Subset AにはRACE, AFFIRM, AF-CHF, CAFEといった古典的なRCTがふくまれています。Subset Bには最近のCASTLE-AFとCABANAのサブグループ解析も含まれています。

AADかレートコントロールかは,当然の結果と推測できます。一方カテアブvs. 薬物療法では,死亡率,脳卒中等が同じであるとしたCABANA試験の結果に沿ったものではないようです。

ただし,このプール解析にはCABANAのデータは全死亡にしか利用されておらず,再入院,脳卒中には反映されていないようです。CABANAも,薬物群の25%強がアブレーションも施行されており,on treatment解析ではアウトカムは改善されていたのでそこは考える必要があると思われます。

Subset AとBの患者背景違いのひとつは年齢です。Aは平均68才,Bは64才。気になる心機能はAがNYHA II-IV,BがLVEF 30.1%となっています。

今回の結果から単純にストーリーを考えれば,心機能低下例でも比較的早いうちからアブレーションを行えば,心機能改善が見込まれ,このため死亡率が改善する。QOLも改善する,とも読み解けます。

ですが,個々の症例ではカテーテルアブレーションをいつ行うか?常に悩みます。よリ早ければそれに越したことはないのでしょうが,症状に乏しい人にどうアプローチするか。また客観的指標はなにか。まだまだ論議すべき点は多いように思います。

いずれにせよリズムかレートか,アブレーションは良いのかを考える上で参照すべきプール解析です。

by dobashinaika | 2019-08-02 08:29 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(35)
(34)
(27)
(27)
(26)
(25)
(24)
(21)
(20)
(19)
(19)
(18)
(16)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

中高年開業医におけるヤブ化防..
at 2019-10-18 07:27
日経メディカルオンライン:第..
at 2019-10-15 06:26
新規発症心房細動では服薬アド..
at 2019-10-06 10:47
心房細動診断においてスマホに..
at 2019-09-19 06:30
第17回どばし健康カフェ「心..
at 2019-09-05 08:51
強い症状のない血行動態の安定..
at 2019-09-04 06:36
冠動脈疾患合併心房細動におけ..
at 2019-09-03 07:29
製薬企業をスポンサーとするD..
at 2019-08-30 08:29
心房細動に対する経皮的頸動脈..
at 2019-08-22 06:42
フレイルと心房細動,抗凝固療..
at 2019-08-21 07:00

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン