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心房細動低リスクの人において抗凝固薬内服は認知症リスクを低下させる;登録研究:EHJ誌から


P:スウェーデンの国民登録研究。2006−2014年に心房細動と登録された患者,CHA2DS2-VAScスコア>1,女性とカウントされない人,以前に認知症または頭蓋内出血の診断を受けている人を除く

E:抗凝固薬 (OAC)使用あり

C:なし

O:認知症の発症

T:後ろ向きコホート

結果:
1)除外後対象患者数91,254例,OAC使用43%

2)OAC使用は補正後の認知症発症リスクを低下させた (HR, 0.62 95% CI, 0.48-081)

3)認知症リスク低下のベネフィトははCHA2DS2-VAScスコア1点(若年者)で見られた

4)OACと虚血性脳卒中や頭蓋内出血とは関係なし

5)OAC使用は複合エンドポイント(認知症,虚血性脳卒中,頭蓋内出血)を低下 (HR, 0.8-8; 95% CI, 0.77-1.00)

6)複合エンドポイントは65歳以上ではOACの利益は少ない。

7)複合エンドポイントはVKAとOACで有意差なし

結論:OACを服用する低リスク心房細動患者の認知症リスクは,非服用者に比べて低い。

### 抗凝固薬が認知症予防に関連ありという趣旨の論文が増えてきましたが,本論文はCHA2DS2-VAScスコア2点未満という,本来抗凝固薬の適応でない人を対象としていることが注目されます。

従来の報告だと,高リスクの人も含まれるため,認知症リスクの高い(と医師が感じた)人がOACを服用する可能性もあるわけで,65歳前からの内服だとその選択バイアスは低くなります。

とはいえRCTではありませんので因果関係を言うのは慎みたいです。しかし認知症のRCTは困難ではありますね。

心房細動と認知症の総説はこちら

広瀬川河畔にたたずむ
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by dobashinaika | 2019-05-31 07:23 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

ACC/AHAから心血管疾患の一次予防に関する包括的なガイドラインです。一度は目を通すことをお勧めします

アメリカACC/AHAの心血管疾患音一次予防ガイドラインが発表されています。


プライマリ・ケア領域で極めて有益な内容ですので,ご紹介します。
ACCのまとめサイトから

【1. ガイドラインの守備範囲】
・動脈硬化性心血管疾患(ASCND)関連の9つのエリアを網羅したもの
・ASCVD(急性冠症候群,心筋梗塞,安定/不安定狭心症,動脈血行再建,脳卒中/TIA,末梢血管疾患)および心不全,心房細動の一次予防(成人)に焦点
・多職種チームベース,社会的因子を実装した患者ー医療者間のshared decisionsを強調
・社会的因子(ケアの障壁):ヘルスリテラシー,経済的貧困,文化的影響,教育レベル,他の社会経済的因子

【2. リスク評価(1)】
・一次予防の基礎である
・20−39歳:4-6年ごとの古典的リスク因子の評価(喫煙,脂質異常,早期心血管死の家族歴,慢性炎症性疾患,高血圧,2型糖尿病(T2DM))
・20−39歳,40−59歳:10年リスクが7.5%未満の場合,30年リスクを評価(ASCVD Risk Estimator Plusにより)
・30年リスク評価はライフスタイル強化やある種の薬剤導入(家族性高コレステロール血症,高血圧,耐糖能異常,早期心血管死家族歴のある脂質異常症,LP(a)増加)に利用

【3. リスク評価(2)】
・今後10年間の絶対リスクを電子あるいは紙のチャート上で活用する
・40−79歳の無症候性成人はASCVD Risk Estimator Plusで10年リスクを評価
・低リスク(<5%),境界型(5-7.5%),中等度(7.5-20%),高リスク(20%以上)
・ASCVD Risk Estimator Plusは白人には適するがそれ以外には過大/過小評価の可能性あり
・他の評価ツールとしてはFramingham CVDリスクスコア, Reynoldse リスクスコア, SCORE, and QRISK/JBS3 tools など
・境界型および中等度リスクでは個別に追加的な「リスク強化」因子の使用を考慮する

・スタチン開始及び強化時は以下の「リスク強化」因子を考慮
>早期心血管死家族歴(男性<55,女性<65),LDLC160以上,non-HDLC190以上,CKD(eGFR<60),メタボリック症候群,子癇および早期閉経(<40歳),炎症性疾患(RA,ループス,乾癬,HIV),南アジア系
>各種バイオマーカー(中性脂肪175以上,LP(a)50以上,高感度CRP2mg/L以上,apolipoprotein B>130,ABI<0.9)

・境界型および中等度リスク例では,上記でも不確実であり,冠動脈CTによる冠動脈石灰化スコア(CACs)の追加が合理的

・CACsのスコアが100パーセンタイルあるいは75以上の場合,リスクは上方修正され,0の場合下方修正される(特に男性<50歳,女性<60歳)
・CACsは低リスク例,若年者(<45歳),高齢者(>75歳)の評価を向上させる
・CACs=0の場合:スタチンは不要,他の薬剤も導入は遅くて良い
・MASA ,ASTROCHARTMといった他のネット上リスク評価ツールはCACと併用使用できる

【4. 栄養 】
・以下の食品のダイエトリーパターンはCVDの生命予後に関連する
>砂糖,低カロリー甘味料,高炭水化物ダイエット,低炭酸化物ダイエット,精製された穀物,トランス脂肪酸,飽和脂肪酸,塩分,赤肉,加工赤肉(ベーコン,サラミ,ハム,ホットドッグ,ソーセージ)

・すべての成人は以下のような健康的な食物ベースあるいは地中海様ダイエットを食べるべき・これらは全死亡を標準的ダイエットに比べ減らすことが示されている。
>野菜,果物,ナッツ,全粒穀物,低脂肪野菜または蛋白(魚が良い),繊維質野菜,

・長期の低炭水化物,高動物性脂肪/蛋白ダイエットは高炭水化物食同様,死亡率を増やす
・安価で甘味のあるハイカロリー食品は,仕事上の低活動性と相まって,肥満の比率や高血圧,2型糖尿病を増やしている

【5. 肥満】
・肥満(BMI≧30),高体重(BMI≧25-29.9)はASCVD,心不全,心房細動リスク上昇に関連

・肥満/高体重の人には,6ヶ月間の包括的なライフスタイルプログラムが推奨される
>低炭水化物ダイエット;500kcal/日または800−1500kcal/日
>高レベルの運動:200-300分/週

・臨床的に意味のある体重減少(≧5%減少)は血圧,LDLC,中性脂肪,血糖,糖尿病発症を抑制
・ダイエット,運動に加え,FDA認可の薬物療法,肥満手術はある種の患者の体重減少に役立つ

【6. 運動】
・大規模観察研究により定期的な運動はASCVDを減らし,公衆衛生上の有益性が強調されているが,USの50%の人は最低限の推奨も満たしていない
・中等度〜高度の運動量とASCVDの減少は比例する
最低150分/週の中等度運動または75分/週の高度有酸素運動とレジスタンス運動が推奨される

【7. 糖尿病】
・2型糖尿病(HbA1c>6.5%)は高血糖を生じるインスリン抵抗性による代謝性疾患
・食事,運動,体重に強く影響される
・すべての2型糖尿病の人にダイエットカウンセリングをすべき
・食事;地中海食,DASH食,ベジタリアン/ヴィーガンダイエットが勧められる
・運動:中〜高度150分/週(有酸素/レジスタンス)でHbA1c0.7%減少
・他のリスク因子も積極的に検索すべき
・若年者や軽症では,薬物療法の前に3−6ヶ月のライフスタイル治療を考える

第一選択はメトホルミン
・メトホルミンは非薬物療法に比べ,血管性疾患を32%,心筋梗塞を39%,全死亡を36%減らす
・ゴールはHbA1c6.5-7.0%
・SU剤を含むいくつかの薬剤はHbA1cは減らすがASCVDには影響ない

・以下の2つの薬剤はASCVDの減少に関連することは最近報告された
SGLT-2:近位尿細管でのグルコース,NaCl排泄を促進,HbA1c,体重,血圧,ASCVD,心不全を減少させる(RCTによる)。一次予防に有効かどうかは限定的
GLP-1Rアゴニスト:肝でのインスリン,グルカゴン合成促進。筋,脂肪組織でのグルコース取り込身を増やし,肝での糖新生をへらす。高リスク群でのASCVDをへらす

危険因子をもつ2型糖尿病では一次予防として上記2薬剤を開始するのは妥当
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【8. 脂質】
・ASCVDの一次予防には幼少時からのリスク因子評価が推奨される
・19歳未満の家族性高コレステロール血症ではスタチンを開始する
・20−39歳ではライフスタイルの評価と変容が優先
・スタチンは若年でのASVCDの家族歴およびLDLC≧160でスタチンを考える
・全患者でASCVDリスクを評価

【9. スタチンの推奨】
・LDLC≧190mg/dl(20−75歳):他のリスク評価なしで高用量スタチン

・2型糖尿病(40−75歳):中等量スタチン。以下のリスクにより高用量処方(目標LDLC60%以上減少)
>リスク因子:10年以上の2型糖尿病,20年以上の1型糖尿病,≧30μgアルブミン/mgクレアチニン。eGFR<60,網膜症,腎症,ABI<0.9,

・>75歳:臨床的な評価とリスクを考慮する

・LDLC70-190(40−75歳,糖尿病なし):ASCVDのリスクによる
>5-7,5%(境界型):上記リスク因子あり→中等量スタチン(症例によりCACs検討)
>7.5−20%(中リスク);中等量〜高用量スタチン,他のリスク因子介入
>>CACs=0:スタチン不要,5−10年ごと再度評価
>>CACs=1-100:55歳以上なら中等量スタチン
>>CACs>100(75パーセンタイル以上):スタチン

・中等量〜高用量スタチンはLDLC,ASCVDリスクを減らす
・6−8週後に効果と忍容性を評価
・LDLC減少が妥当であれば(中等量≧30%減少,高用量50%),他のリスク因子とコンプライアンスを定期的に評価する
・75歳以上の場合は,その都度検討を要す
・CACs の評価は低リスク女性(<7.5%),若年男性(<45)で考慮
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【10. 高血圧】
・USにおいては他のどのリスクよりもASCVDに影響大
・ステージI(130-139/80-89以上)の人は,他の人種より46%多く,加齢とともに激増
・61の前向き試験を含むメタ解析では,収縮期115-180/拡張期75-110では血圧とASCVDは正比例
・収縮期20mmHg,拡張期10mmHg上昇ごとにASCVDによる死亡は2倍上昇
・このことは30-80歳の幅広い層で認められる

第一に減量,ヘルシーダイエット(DASH/DASH地中海食),減塩(1〜1,5g/日減少),カリウムリッチなサプリ。有酸素運動,等尺性レジスタンス(ハンドグリップ),ダイナミックレジスタンス(ウェイトトレーニング)。節酒(男性<3ドリンク,女性<2ドリンク)
・ステージI高血圧では10年で10%のASCVD減少が推奨される
・ASCVD10%/10年以上(CKD,糖尿病):目標血圧<130/80
・ステージII高血圧(≧140/90):目標血圧<130/80
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【11. タバコ】
・疾患,死亡,障害の最重要原因
・喫煙および無煙喫煙(噛みタバコ)を全死亡,ASCVDを増やす
・副流煙はASCVD,脳卒中の原因
・冠動脈疾患死の1/3は喫煙および副流煙が寄与する
・心筋梗塞リスク増加は低レベルではあるが,本数減少はリスク抑制にはつながらない
・電子ニコチン送達システム(ENDS),通称電子タバコおよびVapingは,超微粒子,ニコチン,有毒物質を発散するエアロゾルでCVリスクや肺疾患を増大する可能性あり
・健康若年者では慢性的喫煙が,酸化ストレスと交感神経緊張の持続的増大をもたらす

・全成人に,受診ごとに喫煙状況を評価し,禁煙するようアドバイスすべきである
・行動変容,ニコチン置換,薬物療法のために専門医紹介が有効
・ニコチン置換には数々の方法があるが,ニコチン受容体拮抗薬(バレニクリン,ブプロピオン),抗うつ薬がある

【12. アスピリン】
・長年低用量アスピリンがASCVD予防に使用されてきた
・出血(特にGI出血)がある
アスピリンのASCVD二次予防は確立されている
・近年の知見から,一次予防は使用すべきではない
・以下の出血リスクを持つ人にはアスピリンは勧められない;消化管出血,消化管性潰瘍の既往,他の部位からの出血,70歳以上,血小板減少例,凝固疾患,CKD,NSAID使用,抗凝固薬使用

・以下の使用法が推奨される
>一部のASCVD高リスク者,40−70歳,出血リスクなし:一次予防で推奨可能性あり
>70歳超でのASCVD一次予防のための使用:推奨されない
>全年齢で出血リスクあり:推奨されない
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### 膨大,かつ有用な情報です。アメリカのガイドラインですので,リスク評価スコアなど日本とは違いますが,日本で用いるとしたら吹田スコアなどを参考にするのかもしれません。

特にスタチン開始時期については論議のあるところと思われます。

臨床家としては一度は目を通しておきたいものかもしれません。図表のところだけ,そのうち拡大して紹介します。

$$$ 今日のニャンコ
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by dobashinaika | 2019-05-12 12:54 | 循環器疾患その他 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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