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日経メディカルオンライン連載第5回:抗凝固薬の使い分け NOACはどれか1つを使いこなせば「まずOK」

日経メディカルオンライン連載第5回更新いたしました。

今回は,抗凝固薬の使い分け NOACはどれか1つを使いこなせば「まずOK」

ご参照いただければ幸いです。


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by dobashinaika | 2018-10-24 10:46 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

複数共存疾患を持つ心房細動患者では,いずれの抗凝固薬も脳卒中予防の有効性は同等。しかしダビガトランとリバーロキサバンは死亡率減少と関連:JACCNW誌


疑問:複数共存疾患(multiple chronic conditions :MCC)を持つ心房細動患者におけるNOACのアウトカムは,ワルファリンに比べてどうか?

デザイン,セッティング,対象:
・米国メディケアデータベース
・心房細動新規発症90日以内に抗凝固薬開始
・CHA2DS2-VAScスコア;低リスク(1-3点),中リスク(4-5点),高リスク(6点以上)
・HAS-BLEDスコア:低リスク(0-1点),中リスク(2点),高リスク(3点以上)
・Gagne comorbidity スコア:低リスク(0-2点),中リスク(3-4点),高リスク(5点以上)
・ダビガトラン群(150mgx2),リバーロキサバン群(20mgx1),ワルファリン群でプロペンシティーマッチング
・アウトカム:脳卒中,大出血,死亡

結果:
1)ダビガトラン群:21979例,平均75.8歳,女性51.1%
リバーロキサバン群:23117例,平均75.8歳,女性49.9%
ワルファリン群;10175例,平均78.5歳,女性57.3%

2)脳卒中(マッチング後):3群で有意差なし

3)ダビガトラン(対ワルファリン):
・低MCCリスクにおいて大出血を有意に減少(HR0.62; 95% CI, 0.47-0.83; P < .001; )
・中,高リスクでも同様

4)リバーロキサバン(対ワルファリン):
・大出血;ワルファリンと同等。ダビガトラン群より中,高リスクで有意に増加 (HR, 1.24; 95% CI, 1.04-1.48; P = .02 and HR, 1.28; 95% CI, 1.05-1.56; P = .01, respectively)

5)ダビガトラン群とリバーロキサバン群は,全MCCリスクを通じてワルファリン群より全死亡は有意に減少(HR0.52-0.84)
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結論:複数共存疾患を持つ心房細動患者では,いずれの抗凝固薬も脳卒中予防の有効性は同等。しかしダビガトランとリバーロキサバンは死亡率減少と関連

### 最近,抗凝固薬投与で最も大切なことは,本論文で取り上げているような「多疾患共存(あるいは併存)状態」の人が非常に多くなっている,という認識だと思われます。抗凝固薬はますます高齢者に投与され,そうした方は高血圧,糖尿病,心不全をはじめ,CKD,フレイル,認知症等々,数多くの共存疾患を抱えています。そうした中での抗凝固薬がどのようなインパクトなのかを知ることこそ,求められるものではないかと痛感します。

細かく見ると,リバーロキサバンは,中,高リスク例で大出血のうち特に消化管リスクがダビガトランやワルファリンに比べ増加し,とくに開始30日以内で増加しているようです。特に投与開始時に注意が必要かもしれません,

共存疾患のリスクの程度を表すGagne comorbidity scoreは私も初めて知りましたが,以下のサイトをご参照ください。

$$$ 今日のニャンコ
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by dobashinaika | 2018-10-23 06:16 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

10月27日,第14回どばし健康カフェを開催します

10月27日(土) 第13回どばし健康カフェを開催します。今回のテーマは,かしこい患者になろう!

~病院やクリニックとの上手な付き合い方~


 医療機関に行ったとき、症状をうまく先生に伝えられずもどかしい思いをしたことや、忙しそうな先生をみて聞いてみようと思ってることを飲み込んでしまった経験はありませんか?


先生や看護師さんと上手にコミュニケーションが取れるともっと的確な医療に近づける?!実は先生も患者さんとコミュニケーションをとりたがっている?!!

  

気軽におしゃべりしながら、かしこい患者像を一緒に探っていきましょう。


お申込みはこちらからできます。
直接メールまたは電話を頂いても結構です。

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by dobashinaika | 2018-10-11 17:00 | 土橋内科医院 | Comments(0)

津川友介先生の講演「ビッグデータやAIで医療の未来はどう変わるのか?」を聴く@仙台

運良く津川友介氏の講演を聴くことができました。
津川先生はすでにいくつかのベストセラーを表す超有名人ですが,2005年医学部卒業で私の20年近い後輩ですw。スマートでキレッキレのプレゼンでしたが,いくつか考えさせられました。


以下講演のメモ書きです。走り書きゆえ細部の不明点はご容赦ください。


●医療 xAIの実例として以下の3つ
1) GoogleのDeepMInd:苦戦している。アメリカでは民間企業が個人情報を利用できないため。
2)マウントサイナイ病院:疾患の発症予測モデル、頭部CT画像診断:いい線いっている
3)ジョージア工科大学


●AIの3つの挑戦(問題)
1)特化型vs汎用型
2)深い(詳細な)データの不足
3)学習としてのAI x 因果推論がまだ存在しない


●特化型vs 汎用型(汎用型はまだ先の話):
アルファ碁vs ドラエモンの違いだが, この2つの間には大きなギャップがあり埋める方法がわかっていない。
病理診断、画像診断,検査結果の判別といったパータン認識ではAIは威力を発揮する。
しかし視覚、聴覚の分野を代替しているにすぎず,前頭葉、海馬などは代替できていなていない。
今後は予後予測の制度の向上,プレシジョンメディスンへの寄与が期待される


●深い(詳細な)データの不足:
現在広いデータ=サンプルサイズの大きなデータは取り扱える。
深い(解像度の高い)データ=患者一人一人に関する詳細なデータ(血液、画像、病理、治療内容、時系列データ、確定診断)が不足している。
個人情報保護の問題がクリアできていない。
アルファ碁はそれ同士で対戦したから人間を超えられた。 レファレンスが人間だけ,つまり最終診断が医者の確定診断では、人間を超えられない。


●AIに因果推論はできるのか?
まだわからない
以下の3つくらいしか学派がなく、かなり否定的な見通しがある
1)キャンベル(心理学)
2)ルービンンの因果モデル(統計学、経済学)
3)因果関係ダイアグラム(DAG):ジュディアパール(UCLA)

パールは, 学術的フレームワークができない ,または実験や反事実に対する想像力が必要なためAIは因果推論できないと悲観的な見方をしている。しかし津川氏は近い将来AIを用いた因果推論が開発されるとみている。


### 個人的には,郡司ペギオ幸夫氏が指摘するように,「強度」を客観的に定義し評価の基準とする限りにおいて,芸術だろうが,統計的因果推論だろうが,ゆくゆくはAIが人間を凌駕すると考えているので,概ね津川先生の論旨は納得できました。


面白かったのは,社会の要請によって生まれたような「疾患スペクトラム」に対してAIはどんな介入ができるのか」との質問に,医師(=人間)を正解とせず全く疾患のフレームワークがないところからのほうが,(最善の)治療に行き着くかもしれないというコメントが印象的でした。


AIには物事の意味はわからない,しかし意味のないところからこそ新しい疾患概念,あるいは治療が生まれるかもしれないという感じですかね。


いい講演でした。

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by dobashinaika | 2018-10-11 00:07 | 医療の問題 | Comments(0)

中動態的オープンダイアローグがしたい!:シンポジウム「オープンダイアローグと中動態の世界」に参加して

9月23日,東京大学駒場キャンパスで「オープンダイアローグネットワークジャパン(ODNJP)シンポジウム:オープンダイアローグと中動態の世界」に参加しました。
個人的に國分功一郎さんの著作に注目していたのと,オープンダイアローグについて,是非とも確認したいことがあったからです。

「中動態の世界」ついてはすでに各方面で多くのことが語られていますが,國分さんが例示されたように,「感動する」は果たして私が「感動する」のか,「感動させられている」かは厳密な判別はできないわけで中動態となります。「能動態/中動態」は行為が主語の「外側/内側」のどちらにあるかによって行為を分類するので「感動する」は自身の内側で行為が展開しているため中動態というわけです。

「能動態/中動態」にあっては,行為の責任を尋問されることはありません。これは斎藤環さんも指摘している,ナラティブテラピーにおける「問題の外在化」へとなめらかにつながる姿勢です。

わたしたちが,例えば「椎骨動脈解離」{医師がそうなったときの詳細はこちら)といった急発症の病気を患ったとしましょう(べつに「高血圧」のような慢性リスクでも構いませんが)。このときまず私達は「どうしてこんな病気になってしまったのだろう」「しかも他でもないこの私が」というように,まっさきにまず「不条理」を嘆き,次の瞬間「原因探し」の旅が始まります。多くの場合,「あのときあんなことをしなければ」「もう少しアルコールを控えていれば」といったとりあえず思い当たるエピソードに暫定的な回答を求めるのでしょうが,単一で明快な答えは得られることは少なく,病気が重ければ重いほど,何かにつけ自責の念にさいなまれることになるでしょう。

このとき中動態の文法は,患者にとっても医師にとっても「救い」となります。中動態による語りはこうした責任の所在を明らかにするものから遠く離れた,あるいは全く別の世界と言えます。「動脈の解離」は誰の意志の産物でもありません。「病む」のは自らの意志(能動)でも他からの受動でもない「中動」なのです。問題は患者さんの内側にあるのでもない,医師の内側にもない,外側にあるとする考え方です。中動態は,不条理を感じ,原因探しに心を苛まれる患者を,その呪縛から解き放つための文法ということができます。さらには,病気の成り立ちを単一の因果関係に求めない,ある意味医療の不確実性,複雑性を包括する姿勢とも思われます。

さらにわたしたちは次の段階として,近いあるいは遠い将来に向かって病気にまつわる問題(主に治療)にどう対処するのかの「意志決定」を迫られることになります。ところが中動態の姿勢からすれば,人に純粋なゼロから発生する自発性=意志はありや?という疑問が投げかけられます。

考えてみれば,日常診療のほとんどが,「説明しました(医師:能動)→説明受けました(患者:受動)→同意しました(患者:能動)のような能動/受動型インフォームド・コンセントに陥っているように思われます。わたし自身,患者さんに一通りの選択肢を示し,話し合いながら選択肢を選んでいく=Shared dicision makingを目指そうとは常々思ってきました。

しかしたとえば,抗凝固薬を飲むかどうか,といった診察室での場面においても医師は(少なくとも私は),エビデンスという大きな後ろ盾を背負いつつ,医師の論理を結構押し付けてしまっていはないか。自問のマイクを突きつけられるわけです。医師ー患者間に圧倒的な情報勾配が厳選と横たわっている以上,どんなことをしたって能動/受動型インフォームド・コンセントの形式から逃れられないのではないか,と。。國分さんは言います。意志は行為(の責任)をある主体に所属させるのを可能にしている装置であると,そうであるならば,インフォームド・コンセントなる行為は,責任を患者さんに押し付けてしまっているだけのものではないかと。。

そうした悲観的な捉え方への処方箋がオープンダイアローグという気がします。オープンダイアローグは患者ー医師という伝統的な従来の一対一セッティングではなく,多数の声が交錯し,誰の声が大きいわけでもなく,誰の意志のもとで物事が動くのでもない,誰に責任を帰することもない,まさにポリフォニックな音楽的な場です。そのような中で患者さんのナラティブと医療,介護,福祉のナラティブがうまく溶け合っていく。単に精神疾患に限らず,すべての医療現場においてこれまでの患者ー医師関係を根本から見直すアプローチのような匂いを感じています。

もちろん,すべての診療でこうした文法が成立するわけではないでしょう。実際能動ー受動的な(パターナリズム的な)形式が有効な場面も数多くあります。また精神疾患以外のところで,日常の多忙な外来診療でそうしたアプローチが可能的なのか,無理筋な感もあるかもしれません。

ところで,当院では昨年から主に多職種でのケアを必要としている方を対象に,ケアカンファランスを行ってきました。参加者は患者さんご本人とご家族,ケアマネジャー,訪問看護師,薬剤師,当院スタッフ(看護師,事務員),医師(私)です。本人,家族も交えて今のケアでの問題となっていることを確認し,対策を模索することが本来の目的だったのですが,途中から気がついたことがあります。それは,このカンファランスでは患者さんが普段診察室では聞けないような様々なことをたくさん語ってくれるということです。このとき患者さんは,普段の診察室では決して見られないような生き生きとした顔を見せ,またご家族にも意外に思えるほど,生活や日常の些細になことを楽しそうに,あるいは苦言を呈するかのように,しかし生き生きと話されるのです。

もうひとつ,当院では,医師が診察に入る前に,別室で看護師が患者さんの問診を取るような体制をとっているのですが,この「事前問診」がしばしば雑談になり,時には患者さんの感じている切実な問題を吐露する場にもなることがあります。そのまま医師,看護師(当院ではメディカルクラーク),ご家族など3-5人くらいでの「診察」というより「井戸端会議」のような雰囲気になるわけです。

こうした経験を経た上で今回のシンポジウムを反芻してみると,「(精神疾患に限らない)日常診療の場面での複数参加者による外来診療」に関して,参加者(医療福祉側)が中動態の姿勢を学び,オープンダイアローグのスキルをもっと身につけるようにすれば,前述の情報勾配とか,責任押し付けのためのインフォームドコンセントといった懸念を脱構築した,新たな診療の形が見えてくるようにも感じています。今回のシンポジウムは,こうした当院で取り組んでいることの方向性を確認したくて参加したわけですが,かなりそにの後押しが得られたように感じました。

最後に,國分さんの講演の中で最も響いた(ネットでも支持を得ていた)フレーズが,「なぜ(意志決定支援ではなく)『欲望形成の支援』ではいけないのか?」でした。
「意志」といった瞬間に,責任が発生する,そして何らかの「強制」が生まれます。患者さんも医師も「こうしなければならない」縛りに囚われます。

そうではなく,自分はどうしたいのか,何を欲しているのか。患者さんも医師もそこがスタートということでしょう。そもそも人は何を欲望しているか,自分ではわかりません。それを多くの人とともに探っていく,それこそが「中動態的オープンダイアローグ」の本質のように思い/思われます。
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by dobashinaika | 2018-10-08 10:13 | 土橋内科医院 | Comments(0)

The American College of Chest Physicians (ACCP)の心房細動抗凝固療法ガイドライン(CHESTガイドライン)


The American College of Chest Physicians (ACCP)による抗凝固療法ガイドライン(CHESTガイドライン)です。

1. ACCP)による心房細動抗凝固療法2012年のガイドラインアップデート

2.CHA2DS2-VAScスコアを用いる

3.CHA2DS2-VAScスコア低スコア(男性0点,女性1点)は抗凝固療法なし

4.CHA2DS2-VAScスコア1点以上(性別無関係)には抗凝固薬

5.用量調節下でのVKAよりもDOAC

6.予期せぬ出血の既往例では,アピキサバン,エドキサバン,ダビガトラン110

7.VKAを用いるときはTTR>70%を目指すべき。<65%のときはさらなる改善(より頻回のINR測定,アドヒアランス向上,薬剤相互作用の確認,一層の患者教育とカウンセリング)を試みる

8.すべての患者で対処可能な出血リスク因子を改善する:管理不良な血圧,抗血小板薬,NSAIDs併用,アルコール過飲

9.HAS-BLED3点以上では出血の確認と頻回フォロー

10. 48時間以上持続した心房細動(または持続時間不明)の場合,除細動前に最低3週間の抗凝固療法と経食道エコーが推奨される。ベースラインの脳卒中リスクにかかわらず除細動後最低4週間の抗凝固療法が継続されるべき。

11. 経食道心エコーで左心耳血栓が確認された場合,血栓症室と血管内皮化まで除細動の延期と4-12週の抗凝固療法が推奨される。再度の経食道心エコーを施行するかは症例による

12. 冠動脈ステント合併心房細動症例では,多剤抗血栓薬併用思考の是非は出血リスクと,臨床的なステントの必要性に基づく。

13. 待機的ステント術予定の心房細動症例では,
低出血リスク(HAS-BLEDスコア0-2点)例:1-3ヶ月のトリプルテラピー→12ヶ月までの二剤併用(抗凝固薬+クロピドグレル)→抗凝固薬単剤。
高出血リスク(HAS-BLEDスコア3点以上)例:1ヶ月のトリプルテラピー→6ヶ月の二剤併用→ 抗凝固薬単剤

14. 急性冠症候群でステント植え込み術後の心房細動例では,
低出血リスク(HAS-BLEDスコア0-2点)例で:6ヶ月のトリプルテラピー→12ヶ月まで二剤併用→ →抗凝固薬単剤。
高出血リスク(HAS-BLEDスコア3点以上)例:1-3け月のトリプルテラピー→12ヶ月の二剤併用→ 抗凝固薬単剤。

15. 頭蓋内出血後で再発高リスク例(脳アミロイドアンギオパチーなど)では,左心耳閉鎖術が推奨される。

### Lip先生が筆頭authorのようです。

CHA2DS2-VAScスコアに基づき,DOAC(NOACと言っていない)をより推奨し,出血既往例ではDOACの差別化が図られていますね。

全体としては目新しいものはありませんが,現時点でのまとめとしてみておきます。すべての患者での出血リスク減少への努力が強調されている。高出血リスク例ではより入念なフォローを行う。というところを再確認したいです。

$$$ 今日のニャンコ
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by dobashinaika | 2018-10-05 21:28 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)

抗凝固薬抗血小板薬併用療法において,DOAC+DAPTはVKA+DAPTより大出血を有意に減少させた:JACC誌


疑問:心筋梗塞/PCI後の心房細動では,DOAC+抗血小板薬か,VKA(vitamin K antagonists )+抗血小板薬か?

方法:
・デンマーク国民登録,2011−2017年
・心筋梗塞後 and/or PCI後の心房細動
・抗凝固薬+抗血小板薬
・12ヶ月またはイベント発生まで追跡

結果:
1)全3222例
VKA+SAPT(single antiplatelet therapy):875例(27%)
DOAC+SAPT:595例(18%)
VKA+DAPT:1074例(33%)
DOAC+DAPT:678例(22%)

2)心筋梗塞リスク(3ヶ月後):DOAC+SAPTはVKA+SAPTより有意に減少。:絶対リスク−1.53% (95% CI: −3.08% to −0.11%)。大出血,虚血性脳卒中,全死亡に差はなし

3)大出血(3ヶ月):DOAC+DAPTはVKA+DAPTより有意に減少。:絶対リスク−1.96% (95% CI: −3.34% to −0.88%)。心筋梗塞,虚血性脳卒中,全死亡に差はなし
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結論:リアルワールドの心筋梗塞/PCI後心房細動患者では,DOAC+DAPTは大出血をVKA+DAPTより有意に減少させた。これはDOAC vs VKAの単独比較と同様の血栓塞栓予防効果である。

### 抗凝固薬抗血小板薬併用療法については,

・まずPIONEER-AF試験(リバーロキサバン)で低用量リバーロキサバン+DAPTがVKA+DAPTより出血が少ないことが報告され・
RE-DUAL PCI試験(ダビガトラン)でダビガトラン+SAPTがVKA+DAPT(1-3ヶ月でSAPT)より出血が少ないことが報告され,
・最近のシステマティックレビューでは,DOCA+抗血小板薬がVKA+抗血小板薬より,有効性,安全性とも優れている(大出血はこちらのレビューでは有意差なし)

というのが,論文世界での流れかと思われます。

前2者の試験はVKAがもともと不利な試験デザインですので,やや疑問に思っていましたが,リアルワールドデータでもDOAC優位というデータが出てきたという感じです。

DOAC+DAPTで出血が少ないのは,筆者らは2/3の症例でDOACが低用量だったことを挙げています。ESCのガイドラインで併用の場合DOACは低用量が進められていることからかもしれません。

ただし,個々のDOAC特に,上記の試験に加わっていないアピキサバンやエドキサバンの低用量のときどうなのかは不明な点が多く,もっと知りたいところです。

$$$ 近所のお寺にあった箴言。心耳は心の耳であり,人の呼びかけを聞きうる耳,しかしながら人の命に関わる耳かもしれません(特に左)。。。
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by dobashinaika | 2018-10-03 20:53 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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