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共病記〜医者が患者になった時(15)「死」のイメージ

今週水曜日ケアカフェ仙台に参加しました。テーマは「死んだらどうなる」

病気になるまでは死んだら「無になる」と思っていました。大方の医師がそうであるように。
しかし脳梗塞の最初の数日、めまい、吐き気、苦しみで身体全体がグチャグチャの混沌状態になっていた時、やや死に近づいていたように思います。そのときは身体全体が「苦しい」「つらい」のかたまりで「苦」「痛み」を軸とする純粋に単一の自己だったように思います。

そこには言葉とかロジックなど入り込む余地がない、自分の全存在が「痛み」「苦しみ」に支配され、一体化してしまっている感じ。確かに頭が痛くて苦しいのですが、苦しいのは頭だけでない。からだ全部と言ってもいい。どことはいえないー。以前使った言葉を用いれば、自己全体が「身体のじぶん」のみと化した状態と言っても良いかもしれません。

私の場合、幸いそこから改善に向かったわけですが、この時、だんだんに自分の身体の状態を言葉で言い表し分析する自分がほぐれて現れ、身体のじぶんと言葉の自分が対極化していきました。

以前にも述べたように「治る」というのは、この苦の混沌(=身体のじぶん)から言葉の自分が別れて自立していく過程とか関係性の変化のことだと思うのですが、一方そのまま自己が一塊のままで(ある種の恍惚感を持って)突き進んでいく状態が「死」なのではないかと思ったりします。「統一場としての自分」と言った感じ。

そしてこの自分は世界とも一体化するのではないか、その時が「死」なのではないか。バラモン教でいう梵我一如に近い感触。。
誰も死を見たことがない、経験してきたことがないので、何でも戯言を言えるのですが、最近は、それまで思いもしなかった「スピリチュアル」な「死」のイメージを抱くようになりました。

まーでもやっぱり、一方でそういったスピリチュアルも、脳内物質の相互作用で説明可能とまだどこかで思ったりスルのも、医者の性かもしれません。

死については、そして病気と死との違いについて、そこへの医療の関わり方について。次回はもう少し掘り下げていこうと思います。
共病記〜医者が患者になった時(15)「死」のイメージ_a0119856_21575966.jpg

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by dobashinaika | 2015-07-17 22:02 | 医者が患者になった時 | Comments(0)

心房細動では糖尿病罹患期間が長いほど、血栓塞栓症が多い。

Duration of Diabetes Mellitus and Risk of Thromboembolism and Bleeding in Atrial FibrillationNationwide Cohort Study
Thure Filskov Overvad et al
Stroke Published online before print July 7, 2015


目的:糖尿病罹患期間が心房細動関連血栓塞栓症及び出血の予測因子になるか否か

方法
・デンマーク国内登録研究
・アウトカム:退院時心房細動の新規発症
・血栓塞栓症、出血と糖尿病罹患期間(1〜4年、5〜9年、10〜14年、15年以上)

結果:
1)心房細動患者137,222人:糖尿病有病率12.4%

2)血栓塞栓症(対非糖尿病患者ハザード比):罹患期間0〜4年1.11(1.03〜1.20)。15年以上1.48(1.29〜1.70)

3)血栓塞栓症リスクと糖尿病罹患期間は用量依存性。出血は関連なし

結論:心房細動患者では、糖尿病罹患期間が長いほど血栓塞栓症リスクが高いが、出血リスクは関係がない。血栓塞栓症と出血のバランスを考えると、長期糖尿病患者では抗凝固療法開始の良い適応かもしれない

### 長らく糖尿病、特に軽症のひとはほんとうにCHA2DS2-VAScスコア1点に値するのか、疑問に思っていました。日本の3大登録研究ではハザード比の95%信頼区間が1を超えていませんでした。デンマークでは罹患期間0〜4年は一応有意とはいえ1,11倍でした。 

他にリスクがなく、糖尿病罹患期間が4年以下の場合はちょっと抗凝固薬の使用を急がなくてもいいのかもしれません、反対に15年以上罹患していれば積極的に考える方向かも。糖尿病の重症度との関係はどうでしょうか。

$$$ きょうのニャンコ。どこでしょう
心房細動では糖尿病罹患期間が長いほど、血栓塞栓症が多い。_a0119856_21455684.jpg

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by dobashinaika | 2015-07-17 21:46 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

アジア人でも心房細動と認知症発症は関連がある:IJC誌

Risk and prediction of dementia in patients with atrial fibrillation — A nationwide population-based cohort study
Jo-Nan Liao et al
Int J Cardiol Published Online: July 06, 2015


E:認知症のない心房細動。台湾の33万人余に及び国内健康保険リサーチデータベース。心房細動なし群対照

C:心房細動なし。認知症無し。年齢、性別マッチング

O:認知症発症。CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアの有効性の検討

結果:
1)認知症発症:心房細動群=年2.12% vs. 非心房細動群1.50%:ハザード比1.420

2)CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアスコアは認知症発症の予測因子
1点増加ごとの認知症増加:CHADS2スコア1.520、 CHA2DS2-VAScスコア1.497

3)C統計量:CHA2DS2-VAScスコア0611 vs.CHADS2スコア0.589、p<0.001

結論:台湾の国内コホート研究では、心房細動は認知症高リスクに関係。CHA2DS2-VAScスコアは心房細動の認知症発症評価に有用

### 以前の認知症x心房細動関連ブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/17915041/

アジア人の大規模コホートでも関連ありのようです。両者に共通なリスク因子はたくさんありそうですね。

$$$ 先週末は所用で名古屋に行きました。空から富士山
アジア人でも心房細動と認知症発症は関連がある:IJC誌_a0119856_2127723.jpg

by dobashinaika | 2015-07-16 21:28 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

高齢者における抗血栓症法に関するエキスパートの意見:EHJ誌

Antithrombotic therapy in the elderly: expert position paper of the European Society of Cardiology Working Group on Thrombosis
Felicita Andreotti et al on behalf of the ESC Thrombosis Working Group
European Heart Journal doi:10.1093/eurheartj/ehv304


ESCから高齢者の抗血栓療法のエキスパ−トポジションペーパーがでています。
抗凝固療法のところを簡約します。

<イントロ>
・75歳以上を'elderly'とよぶ
・各種データベースやリスクスコアは65歳で切っている

<虚血と出血のリスクに関する年齢のまとめ>
・CHA2DS-VAScスコア1−2の人も3点以上の人も、HAS-BLEDスコアの高い人も低い人も年々イベントリスクは増加
・抗凝固療法はそれらイベントリスクを全て下げる

<抗凝固薬>
【ビタミンK阻害薬】

・年齢とともに出血は増加
・米国の高齢者の薬物相互作用による救急入院99,628例のうちワルファリン関連は3分の1
・RCTでのワルファリン大出血率は75歳未満で1.7−3.0%、75歳以上で4.2−5.2%
・同じINRのに到達するのに若年者より低用量で良い
・上昇したINRを正常化させるには時間が必要
・75歳上のNVAF対象のBAFTA試験では、アスピリンより脳卒中/全身性塞栓症予防効果ぬ優れ、出血は同じ
・静脈血栓塞栓症でも適応あり。禁忌なし
・若年者よリ、低用量でタイトな管理が必要

【直接トロンビン阻害薬:ダビガトラン】
・RE-LY での脳卒中/全身性塞栓症予防:150x2では年齢に関係なし
・頭蓋外出血;110x2で顕著に減らすが75歳以上でなその傾向はない。150x2では75歳以上で明らかに増える
・頭蓋内出血:年齢にかかわらず減る
・消化管出血:150x2で増える
・腎機能低下:CrCL30未満→米国では75x2。欧州では80歳以上では110x2
・年齢だけではダビガトランの使用禁忌にはならないが、血中濃度、引いては虚血や出血に影響する
・150x2に変わって110x2を考慮するときは年齢75〜79であり、欧州では80歳以上で推奨される

【直接Xa阻害薬:リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン】
・ROCKET-AF試験
・44%は75歳以上
・脳卒中/全身性塞栓症;ワルファリンに非劣性
・大出血:ワルファリンと同等
・頭蓋内出血、致死的大出血は減少
・消化管出血は増やす
・上記の関係に関し年令による交互作用なし

・ARISTOTOLE
・31%が75歳以上
・脳卒中/全身性塞栓症、大出血、頭蓋内出血、死亡率共ワルファリンに勝る
・80歳以上の13%にも同様の結果
・消化管出血はワルファリンとくらべてコモンではない

・ENGEGE AF-TIMI48
・40%が75歳以上
・脳卒中/全身性塞栓症は減らす
・大出血、頭蓋内出血減らす
・消化管出血は60mgでより多い
・30mgは虚血性脳卒中を増やすが、死亡率、消化管出血は減らす
・これらの結果は異なる年齢のサブグループでも同じ

・CrCL15超の例では、我々はワルファリンよりも直接Xa阻害薬を勧める
・頭蓋内出血は少ない、全体の有効性、安全性が良い。モニターの必要がない
・薬剤相互作用、消化管出血の可能性、腎機能低下例における減量には注意


### 75歳以上についての言説ととらえましょう。ダビガトランについては明確なことは言っていないようです。
その他のXa阻害薬は、本試験と75歳以上の結果がほぼ変わりないことから、概ね75歳以上でもNOACを推奨のようです。
ただ85歳以上となると各RCTでも数%しかエントリーされておらず、しかしながら実臨床では大変多くなってきており、この論文を読んだとしても悩むところです。

また高齢の方では、認知機能と転倒リスクが常に問題となるので、そのことについても言及して欲しかった気がします。

個人的には、要するにエビデンス的にはXa阻害薬でも良いが、85歳以上、認知症、高転倒リスクについては一律な解答はない。そうしたComplicatedなケースでない場合はNOACで良い、というスタンスを取って行きたいと思います。

$$$ ブラタモリで紹介された、当院すぐ裏手の四ツ谷用水の洗い場あと。見事に階段上になっています。
高齢者における抗血栓症法に関するエキスパートの意見:EHJ誌_a0119856_2291771.jpg

そして今日のにゃんこ
高齢者における抗血栓症法に関するエキスパートの意見:EHJ誌_a0119856_2295880.jpg

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by dobashinaika | 2015-07-14 22:11 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)

「ブラタモリ」で土橋通りの由来や当院裏の四ツ谷用水が紹介されました!

7月11日19:30〜のNHK総合「ブラタモリ」は神回でした!

6月中旬ころ、土橋通りにタモリさんご一行が来てると、午後から出勤してきた当院の栄養士の先生から一報が入りました。その後も患者さんから、タモリさんに声をかけられたなどの情報がありつぎ、「ついに来てしまったかー」という思いを強くしました。

というのも、ブラタモリ地方編が始まってから、番組の性格から見て「仙台編」が放映されるときは、必ず伊達政宗が仙台市の治水のために作った当院裏の四ツ谷用水を扱うだろうと予想していたからです。

それがこんな早くに実現しようとは。。。11日の放映では、ぎりぎり当院は映りませんでしたが、当院すぐ裏の洗い場の看板が紹介されていました。
「ブラタモリ」で土橋通りの由来や当院裏の四ツ谷用水が紹介されました!_a0119856_21135677.jpg


他にも江戸町のところが暗渠になっていて歩道がそこだけ広くなっているところとか
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長屋アパート
「ブラタモリ」で土橋通りの由来や当院裏の四ツ谷用水が紹介されました!_a0119856_21153520.jpg

へくりざわに通じる谷などなど。。。

これまで散歩のたびに何気なくブログに載せていた写真の現場が、数多く放映されました。
ご近所の方のお顔やお話もテレビに映っていましたねー。

「土橋通り」「四ツ谷用水」の名前の由来も解明されていました!!
「土橋」とは、澱橋へ向かう道の尚絅学院高校の手前の道で、両側が崖になっていてその下のへくり沢を越えるために昔の人が土を持って作った橋なんです。
このあたりのことは熊谷屋さんのブロもグにも詳しいですね。
http://kumagai-ya.co.jp/blog/705

あと、当院新築時に2〜3メートル土を掘削するとすぐ水が出てしまい難儀したのですが、それも今回謎が解けました。四ツ谷用水からしみだす水がなんと、遠くのいろは横丁の井戸にも使われていたのですね。伊達政宗の治水に対する意志がいろいろな形で現代に影響を及ぼしているのかと思うと、非常に灌漑、基、感慨深いものがあります。

そして最後に映し出された荒浜の風景とタモリさんの表情。。

来週も是非見たいですね。
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by dobashinaika | 2015-07-12 21:21 | 土橋通り界隈 | Comments(0)

抗凝固薬服薬中にこれだけはチェックしておきたい6つの項目:AIM誌

Annals of Internal MedicineからDOAC服用患者のモニター法に関するオピニオンがでています。

How to Monitor Patients Receiving Direct Oral Anticoagulants for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation: A Practice Tool Endorsed by Thrombosis Canada, the Canadian Stroke Consortium, the Canadian Cardiovascular Pharmacists Network, and the Canadian Cardiovascular Society ONLINE FIRST
David J. Gladstone et al
Ann Intern Med. Published online 30 June 2015 doi:10.7326/M15-0143


より簡便には以下のサイトでもまとめを見ることができます。
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Prevention/52376

ABCDEFsの6項目になっています。

A: Adherence assessment and counseling
B: Bleeding risk assessment
C: Creatinine clearance (for dosing decisions)
D: Drug interaction assessment and counseling
E: Examination (with focus on blood pressure and fall risk)
F: Final assessment and follow-up

A: アドヒアランス評価とカウンセリング
B: 出血リスク評価
C: クレアチニンクリアランス(用量決定のため)
D: 薬剤相互作用の評価とカウンセリング
E: 検査(血圧と転倒評価)
F:最終評価とフォローアップ


### なかなかこの6項目まとまっていますね。

ただし欧州不整脈学会(EHRA)から既に抗凝固療法患者のフォローアップは#Structered Follow-upとして別な6項目が提案されています。
http://dobashin.exblog.jp/17727424/
抗凝固薬服薬中にこれだけはチェックしておきたい6つの項目:AIM誌_a0119856_0482294.png

ここでは
1)コンプライアンス
2)血栓塞栓症イベント
3)出血イベント
4)他の副作用
5)併存医療行為、併用薬剤
6)血液サンプリング

の6項目となっています。

個人的にはEHRAの評価項目のほうが、より実践的な感じがします。AIM誌の項目のうちクレアチニンクリアランス、転倒リスクなどはむしろ初期評価項目と思われます。

服薬が決定してからは、むしろEHRAの6項目のほうがよりしっくり来るような感じです。

当院では上記を踏まえ、全抗凝固薬服用患者さんに
服薬直前に 1)クレアチニンクリアランス 2)転倒リスク 3)認知機能 4)抗凝固薬に対する解釈モデル
をチェックし

その後以下の項目につき、毎回の外来受診ごとに以下の6項目を手早く聴くようにしています。
抗凝固薬服薬中にこれだけはチェックしておきたい6つの項目:AIM誌_a0119856_0503492.png

当院では医師でなく、看護師が主にアドヒアランスなどをチェックします。医師には黙っていて看護師だけが情報を得ることも多いですので。

$$$ 仙台の今年の夏は快適です。雨が少なく湿度も低く、早朝の散歩はまさに爽快。日本じゃないみたい。ここはご近所の午前5時半の神社。パワースポットってあまり信じてはいないのでですが、そう言いたくもなる一瞬の佇まいでした。
抗凝固薬服薬中にこれだけはチェックしておきたい6つの項目:AIM誌_a0119856_153648.jpg

by dobashinaika | 2015-07-10 01:07 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

米国ではDOAC発売後抗凝固薬処方が増加。一番処方されている薬は?:AJM誌

National Trends in Ambulatory Oral Anticoagulant Use
Geoffrey D. Barnes et al
Am J Med Published Online: July 02, 2015

目的:現時点で、米国におけるDOAC使用は、ワルファリンに比べてどのくらいか?

方法:米国のIMSデータサービス(民間のデータサービス会社)使用。2009年から2014年

結果:
1)抗凝固療法のための受診者は増加:205万人→283万人、p<0.001

2)DOAC処方のための受診は2014年に405万受診に増加

3)心房細動のための経口抗凝固薬による受診は88万人から172万人に増加:ワルファリンとNOACは同様に増加

4)心房細動の抗凝固薬処方率:51.9%から66.9%に増加、P<0.01

5)2014年の処方内訳:リバーロキサバン47.9%、アピキサバン26.5%、ダビガトラン25.5%

結論:DOACは急速に普及して来た。ワルファリン使用もこれに同調。心房細動の抗凝固薬使用全体も増加

### なるほど。。日本ではどうでしょうか。
一番知りたいのはアウトカムですが。これだけ抗凝固薬が普及しDOACも相当広まっているとするとRCTに従えば、虚血性脳卒中は微減、頭蓋内出血は激減するはずですが。そこが最も知りたいところです。

それにしてももう論文も”DOAC”なんですねー。

$$$ 朝日の中に佇む今日のにゃんこ。どこにいるかわかりますか?
米国ではDOAC発売後抗凝固薬処方が増加。一番処方されている薬は?:AJM誌_a0119856_22402170.jpg

ついで今日の紫陽花も
米国ではDOAC発売後抗凝固薬処方が増加。一番処方されている薬は?:AJM誌_a0119856_22412075.jpg

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by dobashinaika | 2015-07-08 22:43 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動患者では交通事故関連入院が増加。抗凝固薬はそのリスクを減らす(?):台湾のコホート研究

Atrial fibrillation, CHA2DS2-VASc score, antithrombotics and risk oftraffic accidents: A population-based cohort study
Hui-Chin Lai et al
International Journal of Cardiology 197 (2015) 133–139


背景:抗凝固薬を服用中の心房細動が交通事故の障害に影響しているかどうかは定かではない

方法:
・台湾の国民健康保険において、2005年に新たに心房細動と診断された40歳以上の患者
・年齢、性別、合併症マッチの火心房細動患者を対照群
・アウトカム:入院が必要な交通事故、脂肪、保険からの離脱。2010年まで追跡

結果:
1)平均追跡期間4.3年

2)交通外傷:心房細動群5.4 vs. 非心房細動群4.9/1000人年、p=0.012.ハザード比1.110

3)交通外傷の危険因子:65歳以上、高血圧、冠動脈疾患、脳卒中、肝硬変、CHA2DS2-VAScスコア1点以上

4)抗凝固薬内服(バスク1点以上)はハザード比を下げる:ハザード比0.576,p=0.002

5)抗血小板薬は関係なし

結論:CHA2DS2-VAScスコアや、他の合併症がある心房細動患者では交通事故がより不安定なものとなる。しかしこの傾向は特定の患者での抗凝固薬で改良される。抗血小板ではされない。

著者の利益相反:なし

### 台湾からの論文。心房細動の人は、そうでないひとに比べて0.11倍、交通事故が多いのだそうです。それほどでもないように思えますが、なんといっても交通事故者の絶対数は莫大ですので、0.11倍でもかなりの数かと思わます。

抗凝固薬は、アウトカムを半分に減らすとのことです。その理由考察では、心原性脳塞栓の発生時に事故を起こす可能性が記載されています。

てっきり外傷時の出血を助長し入院数や予後を悪化させるとばかり思っていました。実際抗凝固薬を飲んでいて、単なる軽度の骨盤骨折と思って入院していた方が翌日大量出血をきたした症例を有るセミナーで聞いたこともあしますが。。。日本での場合はどうなんでしょうか?


$$$ 知人が釣ってきたカレイ。大漁だったそうです。
心房細動患者では交通事故関連入院が増加。抗凝固薬はそのリスクを減らす(?):台湾のコホート研究_a0119856_21555729.jpg

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by dobashinaika | 2015-07-06 22:02 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動脳梗塞後の抗凝固薬再開は4〜14日後がベスト:Stroke誌

Early Recurrence and Cerebral Bleeding in Patients With Acute Ischemic Stroke and Atrial FibrillationEffect of Anticoagulation and Its Timing: The RAF Study
Maurizio Paciaroni et al
Stroke Published online before print June 30, 2015


背景:脳塞栓後の抗凝固薬再開時期については不明な点が多い。

方法:
・多施設共同研究
・主要アウトカム:脳梗塞から90日以内の脳梗塞、TIA、症候性全身性塞栓、症候性脳出血、頭蓋外出血

結果:
1)1029例。123例128イベント(12.6%):虚血性脳卒中/TIA/全身性塞栓7.6%、症候性脳出血3.6%、頭蓋外出血1.4%

2)90日以内に50%の患者が死亡または重症障害(mRankinスコア3点以上)。10.9%死亡

3)高CHA2DS2-VAScスコア、高NIH脳卒中スコア、大きな梗塞巣、抗凝固薬の種類は主要アウトカムの予測因子

4)脳卒中後4〜14日の抗凝固薬再開が主要アウトカムを最善にする:ハザード比0.53

5)抗凝固薬のみの患者の7%はイベント1つのみ。低分子へパリン例は16.8%、事前のみ抗凝固薬使用は12.3%(p=0.003)

結論:心房細動患者の急性虚血性脳卒中は、90日以内の再発および大出血が多い。高CHA2DS2-VAScスコア、高NIH脳卒中スコア、大きな梗塞巣、抗凝固薬の種類は主要アウトカムの予測因子。脳卒中後4〜14日の抗凝固薬再開がベスト。抗凝固薬単独の再開が良い。

### 心房細動例の脳梗塞の30%で、抗凝固薬が再開されないというデータも有ります。
http://dobashin.exblog.jp/20463616/

どのくらいの時期から再開するかは、これまで確固たるデータに乏しかった思いますが、4〜14日と明確に示されているところが注目の論文かと思われます。もちろん、CHA2DS2-VAScスコア、HAS-BLEDスコア、梗塞の大きさなどでその時期は症例ごとに検討されるべきでしょう。

再開時薬を変えるのかが非常に興味深いところです。より塞栓症予防効果の高い別のNOACなどにするのか。アブストラクトに書いてないので全文で調べてみます。

$$$ 本日の我が家の収穫。「つくる」喜びは何ものにも代え難いです。
心房細動脳梗塞後の抗凝固薬再開は4〜14日後がベスト:Stroke誌_a0119856_23151370.jpg

ついでにきょうのニャンコ
心房細動脳梗塞後の抗凝固薬再開は4〜14日後がベスト:Stroke誌_a0119856_2313774.jpg

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by dobashinaika | 2015-07-02 23:16 | 脳卒中後 | Comments(0)

いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)の予防についての患者さん向け説明:JAMA誌

アメリカ医師会雑誌(JAMA)の患者さん向けページにいわゆるエコノミークラス症候群(飛行機旅行関連深部静脈症)と肺塞栓症に関する説明と予防策が掲載されています。
ツイッターで見かけたのですが、非常にわかりやすいので訳してご紹介いたします。
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1486833#.VZLLatA0Ges.twitter

* 深部静脈血栓症は足の深いところの静脈に血栓(血液の塊)ができ、心臓に血液が戻る途中で流れが滞る病気です。

* この病気が起こると、足が腫れ、ふくらはぎが痛くなります。ただし症状がないこともしばしばあります。

* 肺塞栓症は、血栓が大きくなり足の血管から離れて、右心房、右心室を通り、肺に行く血管(肺動脈)の大小の枝に詰まる病気です。

* この病気は、胸の痛み、呼吸困難、血痰などをきたします。

* 重症になると、ショックや死に至ります。

* 長時間の飛行機旅行や、短時間の飛行機旅行の連続が、深部静脈血栓症や肺塞栓症に関係します。

* あまり足を動かすことなく、長時間膝を曲げていると、血液の流れが低下し、血栓のリスクが増えます。

* 最近外科手術を受けたひと、避妊薬を飲んでいるひと、ホルモン療法を受けているひと、妊娠、がん、心臓病、高齢者などではこの病気のリスクが増えます。

* 先天的な遺伝的因子もこの病気に関係します。

<予防>
* よくフィットしたストッキング(弾性ストッキング)は有効

* 以前血栓症を起こしたひとのような高リスクの人には、低分子ヘパリンがプライマリ・ケア医から処方され、飛行機搭乗前に自分で皮膚の下に注射することができる(日本の場合は不可)

* 頻繁に立ち上がったり、飛行機の通路を歩いたりすることは血液の流れを増やし、血栓を減らすかもしれない。ただしいつも出来るとは限らないし安全とは言い切れない。

* 簡単な予防策としては、座りながら頻繁に「足をポンプのように動かす」ことである。または、つま先を挙げ、そのつぎにかかとを上げて、ふくらはぎの静脈の血流を増やすことができる。これにより血栓を減らすことができる

いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)の予防についての患者さん向け説明:JAMA誌_a0119856_23151317.png

左:飛行機内での足の運動;つま先を挙げ、次にかかとを上げる
中:座っている時:ふくらはぎはぎの筋肉を通る静脈の中で、血液の流れは遅くなり、滞る
右:足のポンプ体操:筋肉の収縮(伸び縮み)が静脈にあるバルブ(弁)を介して、血液を押し返す

### エコノミークラス症候群は、最近「旅行者血栓症」「ロングフライト症候群」等さまざまな呼び方がありますね。医学的には「深部静脈血栓症・肺塞栓症」ですが、一般にはわかりにくいです。
つま先とかかとの上げ下げだけでも有効とのことです。

$$$ 道端に置かれていたアンパンマン。可愛いんだけどなんか、もののあはれを感じます。
いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)の予防についての患者さん向け説明:JAMA誌_a0119856_23152981.jpg

by dobashinaika | 2015-07-01 23:20 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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プライマリ・ケア医のための心房細動入門

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治療 2015年 04 月号 [雑誌]

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ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


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