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ダビガトランの周術期管理に関する前向きコホート研究:Circ誌

Perioperative Management of Dabigatran: A Prospective Cohort Study
Sam Schulman et al
Circulation Published online before print May 12, 2015



背景:ダビガトランの周術期の使用法はいろいろなので、特異的なプロトコールによリ周術期の安全性を評価した

方法:
・ダビガトラン内服中で、待機的侵襲的手技を計画された患者
・最終用量の中止時期は、クレアチニン・クリアランスと手技関連の出血リスクによる
・ダビガトラン再開は手術の複雑性と出血合併症で決定
・主要評価項目=30日以内の大出血、その他項目=小出血、動脈血栓塞栓症、死亡

結果:
1)541例:標準リスク60%、高リスク40%

2)手術前中止期間:24時間46%、48時間37%、96時間6%

3)再開時間:プロトコール通り

4)大出血;10人1.8%

5)小出血28人5.2%

6)血栓塞栓症:TIA1人0.2%

7)死亡:4人(関係の内出血または血栓)

8)(ヘパリン)ブリッジは術前には行わず、術後9例1.7%で施行

結論:われわれの周術期ダビガトランマネジメントプロトコールは効果的で実行可能である

(COI:筆者らはベーリンガー始め数社からグラントサポートと謝礼を受けている)

### カナダ、マクマスター大学グループからの大変貴重な報告。
中断および再開のプロトコールは以下のとおり

<中断プロトコール>:
CCr>80:(標準リスク)24時間前、(高リスク)2日前、
50 < CCr <80:(標準リスク)24時間前、(高リスク)2日前
30 < CCr <50:(標準リスク)2日前、(高リスク)4日前、
<30:(標準リスク)4日前、(高リスク)6日前

<再開プロトコール>:小手術は手技当日夜から75mg1錠、翌朝から110mgまたは150mgx2の標準用量。高出血リスク手技では術後48〜72時間か
ら標準

このプロトコールで、ヘパリンブリッジなし(!)で行ったところ、出血、塞栓症とも少なかったとのことです。

これは大変貴重なデータですね。これまでワルファリンでは3〜5日前からの中断とヘパリンブリッジが推奨されていましたが、最近ヘパリンブリッジは出血ばかり増やして効果が少ないとの報告が目立っています。

このブログの論文は大出血率5.0%(ブリッジ施行)

RE-LY試験サブ解析の大出血率は、ダビガトランで6.5%、ワルファリンで6.8%(ブリッジ施行)
これら2つの試験ではヘパリンブリッジしなければ1.3〜1.8%で、今回の試験と同等の大出血率でした。

考えてみれば、ヘパリンブリッジ施行時、現実世界ではINRを確認しないで入院当日から即点滴されたり、腎機能などもあまり評価せず、点滴日数も深く吟味されないままこれまで行って来たわけで、それよりは今回のように腎機能と手術リスクでしっかりリスク層別化して、休薬と再開のプロトコールを決めてブリッジ無しで行ったほうが良いというわけですね。

で、その際は、半減期がかなり長く個人差があるワルファリンよりはNOACのほうが扱いやすいし、中断時間も短い分だけやる方としては足りやすいのかもしれません。

ダビガトランは、このように実臨床データの蓄積が他のNOACに比べて多いのが強みですね。この論文のプロトコールは広く使えると思われます。
なお同様の論文はこちら

$$$ ご近所の個人宅ですが藤の花で有名で、毎年一般公開されています。今年は例年より早く、今日で終わりでしたが、すでにかなり散り始めていました。雨が少なく咲いている期間が短かったそうです。でもしばし暑さを忘れさせてくれる空間でした。
ダビガトランの周術期管理に関する前向きコホート研究:Circ誌_a0119856_2264634.jpg

ダビガトランの周術期管理に関する前向きコホート研究:Circ誌_a0119856_227847.jpg

by dobashinaika | 2015-05-14 22:10 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

日本の心房細動患者おいて「女性」は血栓塞栓リスクとしては低い:CJ誌

Validation of Risk Scoring System Excluding Female Sex From CHA2DS2-VASc in Japanese Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation – Subanalysis of the J-RHYTHM Registry –
Hirofumi Tomitaet al
Circulation Journal May 13, 2015


背景:J-RHYTHM レジストリーにおいて、CHA2DS2-VAScスコアスコアとCHA2DS-VAスコアの妥当性を比較する

方法;
・ワルファリン非投与の 997例を2年間追跡;平均68歳、女性294例
・CHA2DS2-VAScスコア、CHA2DS-VA(CHA2DS2-VAScスコアから「女性」を除外)スコアのC統計量を算出

結果:
1)血栓塞栓症:女性7/294(年1.2%)、男性23/703(年1.6%)で男性の方が多い:オッズ比0.72、P=0.44

2)CHA2DS2-VAScスコア、CHA2DS2-VAスコアとも層別化されたグループにおける性差なし

3)C統計量:CHA2DS2-VAスコア>CHA2DS2-VAScスコア (0.029, Z=2.3, P=0.02)

4) net reclas- sification improvement (NRI):CHA2DS2-VAスコア>CHA2DS2-VAScスコア (0.11, 95% CI 0.01–0.20, P=0.02)

5)CHA2DS2-VAScスコア0〜1点の患者では、C統計量、NRIともCHA2DS2-VAスコアのほうがより顕著に大

結論:日本の非弁膜症性心房細動患者においては、CHA2DS2-VAScスコアから女性をのぞいたスコアリングは、血栓塞栓症のリスク層別化の点で、CHA2DS2-VAScスコアよりも有用。特に低リスク患者で有用。

### 確認ですが、J-RHYTHMレジストリーのばあい、血管疾患=冠動脈疾患と定義されています。

これまでおもにヨーロッパのコホート研究では「女性」は特に75歳以上で有意に男性より血栓塞栓症が多く、一方アジアの諸報告では年齢にかかわらず性差なし、または男性のほうがリスク高いという結果が報告されているとのことです。

JーRHYTHMでは、今回の結果のように女性のほうがイベント発生率が低いため、かえって女性を入れてしまうと予測能が落ちるのだろうと推測されます。
更に興味深いことに、このペーパーのTable3をみますとCHADS2スコアとくらべると、なんと一番c統計用が高いのはCHA2DS2-VAスコアでなく、CHADS2スコアとなっています。つまり、日本人では65歳以上や血管疾患もあまりリスク因子として効いていないということを意味すると推測されます。

個人的には、最近特に年齢75歳以上、脳梗塞の既往、高血圧(特に管理不良)は重視で、それ以外でCHA2DS2-VA(Sc)スコア1点の場合はとりあえず様子見という雰囲気になっています。脳血管専門の先生からは甘いと言われそうですが。

J-RHYTHMでのCHA2DS2-VAScスコアの妥当性について検討したブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/19951989/

$$$ 今週末は青葉まつり
日本の心房細動患者おいて「女性」は血栓塞栓リスクとしては低い:CJ誌_a0119856_2201646.jpg

by dobashinaika | 2015-05-13 22:01 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

ケアネット連載:「僧帽弁手術に追加した外科的心房細動アブレーションの安全性と有効性」更新しました

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。
前回の紹介を忘れておりましたので2回分です。

今回は
「体重減少により心房細動が明らかに減少する」

僧帽弁手術に追加した外科的心房細動アブレーションの安全性と有効性」
の2つです。
 ケアネット連載:「僧帽弁手術に追加した外科的心房細動アブレーションの安全性と有効性」更新しました_a0119856_2152250.png

 ケアネット連載:「僧帽弁手術に追加した外科的心房細動アブレーションの安全性と有効性」更新しました_a0119856_21514727.png


ご参照いただければ幸いです。
(要無料登録)
by dobashinaika | 2015-05-13 21:55 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動の有病率は50年間で4倍(男性)、脳卒中は74%減少:フラミンガム研究より:Lancet誌

50 year trends in atrial fibrillation prevalence, incidence, risk factors, and mortality in the Framingham Heart Study: a cohort study
Renate B Schnabel et al
Lancet Published Online: 07 May 2015


目的:フラミンガム研究における50年間の心房細動コホートの包括的データを検討

方法:フラミンガム研究に1958年から2007年までに登録された心房細動症例の有病率、罹患率とリスク因子、脳卒中、死亡リスクを10年単位で検討

結果:
1)心房細動新規発症:1544例/202417人年:女性47%

2)有病率(年齢補正後、/1000人年)(1958〜67年→1998〜2007年);男20.4→96.2(4倍), 女13.7→49,4

3)罹患率:男3.7→13.4、女2.5→8.6

4)ルーチン検査の心電図による診断における有病率変遷:男12.6→25.7、女8.1→11.8

5)ルーチン心電図での罹患率は年代で有意差なし

6)リスク因子;ハザード比の変化は少ない

7)脳卒中:74%減少

8)死亡率(発症後20年追跡):25%減少

解釈:心房細動の有病率、罹患率の増加傾向は、おそらくサーベイランスの強化による。早期発見の強化が必要である。

### フラミンガム研究50年に渡る貴重なデータです。約50年間で男性の心房細動有病率は4倍、罹患率は2倍。脳卒中、死亡率は減少傾向とのことです。
サーベイランス体制の強化が背景にはありますが、高齢化社会も当然一因と思われます。

目を引くのは年齢別データで、70歳以上は4.53%(1978〜87)→7.35%(1998〜2007)、80歳以上は7.39%(1978〜87)→9.33%(1998〜2007)で高齢者が確実に有病率を増やしているということです。

$$$ 散歩のいい写真がないので、またまた先日水戸芸術館に行った時の山口晃展でみた電柱です。普段何気なく見ている電柱が美術館というフレームに入ると、別物として立ち現れます。
心房細動の有病率は50年間で4倍(男性)、脳卒中は74%減少:フラミンガム研究より:Lancet誌_a0119856_21351458.jpg

by dobashinaika | 2015-05-12 21:37 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

持続性心房細動のカテーテルアブレーションの焼灼法と再発率:NEJM

Approaches to Catheter Ablation for Persistent Atrial Fibrillation
Atul Verma et al
N Engl J Med 2015; 372:1812-1822


背景:持続性心房細動に対するアブレーションの成績は、発作性程よくない。ガイドラインでは肺静脈隔離に基質の修飾を推奨している。

方法:
・P:持続性心房細動589例
・E/C(3群):肺静脈隔離のみ67例、肺静脈隔離+complex fractionated activity (CFAE)焼灼263例、肺静脈隔離+線状焼灼(左房前壁ルーフ+僧帽弁輪峡部)259例
・O:1回の施行以後に30秒以上の心房細動が再発するまでの時間
・追跡18ヶ月

結果:
1)手技時間:肺静脈隔離のみが他2手技に比べ最短:p<0.001

2)非再発率(18ヶ月):肺静脈隔離のみ59%、CAFE焼灼追加49%、線状焼灼追加46%、p=0.15

3)2回目移行の再発率、他のあらゆる心房性不整脈の再発:3群で有意差なし

4)合併症:タンポナーデ3,脳卒中/TIA:3例、心房食道瘻1例

結論:持続性心房細動患者ではCFAE焼灼、線状焼灼の追加は肺静脈隔離に比べ、再発率の低下を認めなかった。(この研究のFundはSt. Jude Medical)

### 久々に心房細動関連論文、しかもアブレーションに関するものがNEJMに掲載されています。

持続性心房細動とはESCガイドラインでは7日を超え、除細動を必要とするものと定義されています。日本循環器学会の2011年ガイドラインでは「薬物治療抵抗性の有症候性の発作性および持続性心房細動」は推奨度IIaですが、左房拡大、左室機能低下、無症候性はIIbです。

持続性心房細動のアブレーションは肺静脈隔離だけでは不十分で、CFAE(心房内分裂電位、なぜかこれで”カフェ”と呼ぶ)の焼灼、心房内の線状焼灼のほか、自律神経節アブレーションなども行われる場合があります。しかしそのやり方は施設などでまちまちであり、確立されたものとは言いがたいのが実情でした。またこうした追加焼灼が、単純な肺静脈隔離より再発率が低いとの報告はあるものの、無作為化による真の意味での有効性の検討はないのが現状だったと思います。

今回はきっちり無作為化したところがNEJMに掲載されたゆえんかと思われます。
今後この分野の戦略はどうなっていくのか注目したいと思います。

$$$ ふるさと水戸が誇る(?)納豆記念碑。
持続性心房細動のカテーテルアブレーションの焼灼法と再発率:NEJM_a0119856_22171246.jpg

by dobashinaika | 2015-05-11 22:18 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

共病記(14):第三のじぶん

2月からみちのく総合診療医学センターのレジデントデイに月一回参加させて頂いています。http://www.miyagi-min.com/general/index.php

研修医の先生が1ヶ月間に経験されたケースの振り返りですが、外来や在宅のcommonな、あるいはcaoticなケースを若手、ベテラン共にディスカッションしながら振り返るというセッションです。

外来の患者さんをこの様にフィードバックする場があるということさえ感動を覚えるわけですが、他の医師、しかも若手の先生の経験を追随しワイワイとディスカッションすることがこの上なく楽しい時間です。

入院患者さんだけではなく、もちろん我々開業医が見ている外来患者さん、在宅患者さんの診療であってもさまざまな問題が日々生じますが、フィードバックする場が無いため、どんどん流れていってしまいます。外来診療であってもフィードバックは当然必要なわけで、こういう場をわれわれ中高年開業医でも創生したいなと考えています。

9日は3回めの参加で、Case-Based discussion(CBD)の指導医を実習させていただきました。これも非常に面白いのですが、それについては後日詳述したいと思います。

で、人間の認知システムというのは「直感システム=システム1」と「熟慮システム=システム2」の二重プロセスからなるというモデルはよく知られていて、以前のブログでも書きました。
http://dobashin.exblog.jp/21113999/

このことは病気の診断をする場合の臨床推論モデルにもよく引用されますが、この回のブログでも取り上げた本などを読みますと、最近はシステム2をさらに「アルゴリズム的精神」と「内省的精神」に分ける「三部分構造モデル」が提唱されているようです。

要するに人間の心は「直感(情動に近い)」と「分析(いわゆる頭の良さに相当)」のせめぎ合いだけど、「今は直感に頼ったほうが良いか、それとももっとゆっくりエビデンスなんか参考にして分析的に考えたほうが良いか」、その調整をする「メタ認知」的なものもあるということですね。

私の共病記の言葉を使って言えば「身体のじぶん」と「言葉のじぶん」のバランスを上手く取ろうとする「考えるじぶん」がいるということです。

人間の心がこの3つの要素のからみ合いで成り立っているというのは、人生のあらゆる場面で言えることかもしれません。

たとえばある人と意見が違うことで口論になる。その場合まずは感情(システム1=自動的精神=身体のじぶん)が表に出て、カッとなったり、なんとか言い負かそうと躍起になったりします。一方でここは冷静になれ、論理的に考えて相手を説得しようとする「アルゴリズム的精神=言葉のじぶん」も芽生えてくる。そこで大切なのは、しゃしゃり出てくる感情をいかに制御して、いや、やはりここは冷静に論理的に考えましょうとバランスを取ろうとする第3のじぶんだということです。

当院では数年前から医学部の5年製実習も受け入れていますが、そうした医師の教育に多少なりとも関わっていて思うのは、医師における(あるいは医師にかぎらず人間全ての)生涯学習とか、レベルアップとかいうのはアルゴリズム的なスキルアップもさることながら、この「内省的精神」のレベルアップが真の目的なのだと最近痛感します。年をとるほどに。

感情情動を優先したほうが良いか、熟慮したほうが良いか、をわきまえるということですね。(医療者の、あるいは患者さんの)教育の真の目的はそこにあるかもしれないと思われます。

でもこれ、意識的にできるわけでもなさそうで、また完璧にできたら神なわけですが。

$$$ これまた老舗熊谷屋さんのむすび丸。スイーツは食べるより見て楽しむべし(笑)。
共病記(14):第三のじぶん_a0119856_052369.jpg

by dobashinaika | 2015-05-11 00:10 | 医者が患者になった時 | Comments(0)

第9回日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部総会および勉強会

本日は第9回日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部総会および勉強会に出席して参りました。昨年の茶話会は、体調のため欠席でしたが、今年はぜひとも参加したいと思っていたので、念願叶いました。

本日は「ペースメーカー感染症について」との演題での勉強会があり、その後にQ&Aがありました。
勉強会に関連して、手術後の痛みに関する質問、また話題となっているMRI対応のペースメーカーについての質問など、いつもどおり活発な質疑応答があり、相変わらずの盛会でした。

第9回日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部総会および勉強会_a0119856_2361486.jpg

by dobashinaika | 2015-05-10 23:08 | ペースメーカー友の会 | Comments(0)

ダビガトランにおける消化管出血と年齢との関係;IJMS誌

Evaluation of Dabigatran- and Warfarin-AssociatedHemorrhagic Events Using the FDA-Adverse Event Reporting System Database Stratified by Age
Junko ABE
Int. J. Med. Sci 2015; 12(4): 312-321


FDAのAdverse Event Reporting System (FAERS) databaseからダビガトランの年齢別有害事象が報告されています。
ざっと斜め読みだけ。

・2,143,443人のデータ解析
・消化管障害のオッズ比:ダビガトラン(対非ダビガトラン)15.89、ワルファリン(堆非ワルファリン)4.73
・中枢神経系障害のオッズ比:ダビガトラン(対非ダビガトラン)9.98、ワルファリン(堆非ワルファリン)5.04

・ダビガトランの消化管出血のオッズ比:
50代8.20、60代10.62、70代13.55、80代19.34
・ワルファリンの消化管出血のオッズ比:
50代3.51、60代4.80、70代4.74、80代5.80
ダビガトランにおける消化管出血と年齢との関係;IJMS誌_a0119856_23464880.jpg

・ダビガトランの中枢神経系出血のオッズ比:
50代7.85、60代8.22、70代9.57、80代10.44
・ワルファリンの中枢神経系出血のオッズ比:
50代4.27、60代4.04、70代4.93、80代6.58
ダビガトランにおける消化管出血と年齢との関係;IJMS誌_a0119856_23471147.jpg


結論:ダビガトランはワルファリンよりも年齢の影響を受けやすい。これは腎機能低下によるところが大きい。特に消化管出血には注意せよ。

### ダビガトランは消化管出血に関しては年齢に比例して頻度が増えますがワルファリンは横ばい。中枢神経系出血は両者とも微増ということです。
ワルファリンも高齢ほど消化管出血が増えるというデータも有りますが、その傾向はダビガトランのほうが顕著かもしれないという推論です。

ダビガトランの腎排泄有意が影響しているものと思われます。先日のBMJの報告にも合致しますね。
http://dobashin.exblog.jp/21195302/

$$$ 先日実家に帰った時買ったおみやげ。かなり美味しいみたいですよ。
ダビガトランにおける消化管出血と年齢との関係;IJMS誌_a0119856_23514828.jpg

by dobashinaika | 2015-05-08 23:52 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

オピオイドは心房細動を増加させるか:JAMAIM誌

Association Between Opioid Use and AtrialFibrillation: The Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke (REGARDS) Study
Waqas T. Qureshi et al
JAMA Internal Medicine Published online April 27, 2015


目的:心房細動の動物モデルでオピオイド受容体のダウンレギュレーションが指摘されているが、一般住民コホート対象の研究はなし。横断研究でこれを解明する

方法:
・REGARDS研究登録患者:2003〜2007年
・30239人登録(米国)
・電話またら手紙による聞き取り調査
・血液検査と心電図は電話インタビューシステムと医療スタッフ訪問による
・心房細動は心電図及び聞き取りから
・オピオイド使用は、訪問時の薬剤ボトルから

結果
1)全解析患者24632人:平均65歳
2)オピオイド使用7.7%、心房細動8.5%
3)オピオイドの種類:ヒドロコドン41.3%、プロポキシフェン24.9%、トラマドール20.0%
4)オピオイド使用例は:やや若い、女性多い、黒人多い、心血管系合併症多い
5)心房細動有病率:オピオイド使用例12.5% vs. 非使用例7.6%、p<0.001
6)オピオイド使用は心房細動の増加に関連(補正後):オッズ比1.35 (1.16-1.57)

7)各種サブ解析でも同様の結果
8)ベンゾジアゼピン及びアルコール使用補正後も同様の関係:オッズ比1.29 (1.11-1.51)
9)すでに心毒性が知られているプロポキシフェンをのぞいてもこの関連は変わらず:オッズ比1.33

### Research Letterですが、臨床に直結するので読んでみました。がんの在宅患者さんなども時に診ますが、オピオイドは我々プライマリ・ケア医でも使用する機会が増えています。特に上記の中ではトラマドールなどはよく使われますね。

メカニズムとしては、内因性オピオイドがミトコンドリアK-ATPチャネルを開き、虚血時の酸化ストレス抵抗性を生ずるのを外因性の異ぴお井戸が拮抗して、酸化ストレスが増し心房細動が増えるとしています。あくまで推測と思われます。

横断研究なので参考程度ですが、いろいろと補正しても関連は明らかなようでやや注意したいところです。

$$$ 連休中の杜の都。こちらは国際センターと教養部の間(個人的には杜の都のベストロードと称しています)。
オピオイドは心房細動を増加させるか:JAMAIM誌_a0119856_22181425.jpg

こちらは定禅寺通り。
オピオイドは心房細動を増加させるか:JAMAIM誌_a0119856_22193041.jpg

遠くに行かなくても十分初夏を満喫できます。
タグ:
by dobashinaika | 2015-05-07 22:21 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

ジギタリスは死亡率を上昇させるのか:システマティックレビュー&メタ解析:EHJ誌

Digoxin-associated mortality: a systematic review and meta-analysis of the literatureMate Vamos et al
European Heart Journal DOI: http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv143 First published online: 4 May 2015


目的: 心房細動あるいは心不全患者の死亡率に及ぼすジゴキシンの影響について、現代の研究を詳細に解析して明らかにする

方法:メタ解析。MEDLINE, COCRANE

結果:
1)全19研究:心房細動9,心不全7,両者3、326,426人

2)ジゴシン使用による死亡率増加:ハザード比1.21 (1.07-1.38, P<0.01)

3)心房細動患者:ハザード比1.29 (1.21-1.39)
ジギタリスは死亡率を上昇させるのか:システマティックレビュー&メタ解析:EHJ誌_a0119856_10453944.gif

4)心不全患者:ハザード比1.14 (1.06-1.22)

臨床上の見通し:このジゴキシン治療に関するシステマティックレビュー&メタ解析は、ジゴキシンが心房細動あるいは心不全患者の死亡率上昇に関連があることを示している。RCTや用量調節下のジゴシンによる研究が必要。

### 最近の研究はことごとくジゴキシンに関してネガティブでしたので、同然の結果と思われます。
最近のブログだけでも以下の様にたくさん。
http://dobashin.exblog.jp/20992459/
http://dobashin.exblog.jp/20812078/
http://dobashin.exblog.jp/20128470/
http://dobashin.exblog.jp/17683246/
http://dobashin.exblog.jp/16894537/

おさらいですが、メカニズムとしては、1)高齢者などでは過量投与になりやすいこと 2)心房筋の不応期短縮、迷走神経過緊張 3)それに伴う催不整脈作用などですね。

出版バイアス、RCTは殆どないなどのバイアスはありますが、臨床的には心房細動合併の心不全患者さんで考える程度で、一般的には使うことは考えにくい薬剤になっていますね。

$$$ 毎朝の散歩道。ハナミズキ咲き誇っています。
ジギタリスは死亡率を上昇させるのか:システマティックレビュー&メタ解析:EHJ誌_a0119856_10445595.jpg

このところ、暖かいのでにゃんこ写真にも事欠きません。
ジギタリスは死亡率を上昇させるのか:システマティックレビュー&メタ解析:EHJ誌_a0119856_10451522.jpg

by dobashinaika | 2015-05-06 10:47 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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