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慢性腎臓病は心房細動脳塞栓症のリスク:JACC誌

Net Clinical Benefit of AntithromboticTherapy in Patients With Atrial Fibrillation and Chronic Kidney Disease: A Nationwide Observational Cohort Study
Anders Nissen Bonde et al
J Am Coll Cardiol. 2014;64(23):2471-2482.


疑問:CHA2DS-VAScスコアに慢性腎臓病が関係するのか?

方法:
・デンマークの全国登録研究
・1997〜2011年に退院した非弁膜症性心房細動例
・末期腎不全例と非末期腎不全例における脳卒中リスクを比較評価
・Cox regression
・エンドポイント:脳卒中/出血による死亡/入院、致死性脳卒中/致死性出血、心血管死、全死亡

結果:
1)非弁膜症心房細動154259例。非末期腎不全11128例7.2%、腎移植1728例1.1%

2)腎移植は脳卒中/全身性塞栓症の高リスク;CHA2DS2-VAScスコア0点では5.5倍、2点以上では1.6倍

3)CHA2DS2-VAScスコア2点以上の腎移植患者:ワルファリンはリスク低下(ハザード比0.85;0.72−0.99)に関与

4)CHA2DS2-VAScスコア2点以上の非末期腎不全:ワルファリンは致死性脳卒中/出血、心血管死、全死亡のリスク低下に関与
慢性腎臓病は心房細動脳塞栓症のリスク:JACC誌_a0119856_22322661.jpg


結論:CKDは心房細動の脳卒中リスクにかかわらず、脳卒中/全身性塞栓症の高リスクに関係有り。CHA2DS2-VAScスコア2点以上の高リスクCKD合併心房細動患者は、脳卒中予防の点でワルファリンが有効

### CHA2DS2-VAScスコア0点でも腎不全があると脳卒中/全身性塞栓症リスクが高いことが示されています。

No CKDではワルファリンの有無にかかわらず0.7〜0.8%ですが、非末期CKDではワルファリン服用時2.1%、末期腎不全では非服用時4.2%です。

以前からCHADS2スコアなどに腎機能を加えた場合の脳卒中予測能に関する論文は多くあり、出血には関与するが脳卒中全般だと関与しないとする論文や、影響するという論文など、その扱いは多様でした。

例によってデンマークのNationwideコホートだと、CHA2DS2-VAScスコア0点、つまり64歳以下のノーリスクの人でもCKDなら年間2%脳卒中/全身性塞栓症とやや高いリスクだとのことです。

またワルファリンも塞栓も増やすが出血も増やすとの報告が多い中、このコホートでは致死性脳卒中と抱き合わせにすればアウトカムあ良くなるとのデータでした。

対象のプロファイルが違うからでしょうが、またリスク評価のとき迷わせるデータです。

私自身は、CHA2DS2-VAScスコア1点の例えば65〜74歳男性の場合、eGFR低下があればより積極的に抗凝固薬を促してみる、そういう1点程度の低リスクで抗凝固を一瞬ためらうようなときにeGFR (CKD)を参考データにしています。

以下は腎機能リスクについて否定的な報告です。
http://dobashin.exblog.jp/19687454/
http://dobashin.exblog.jp/17798313/
http://dobashin.exblog.jp/17798313/
http://dobashin.exblog.jp/17632970/

一方こちらはCHADS2スコアに腎機能を加えたR2CHADS2スコア
http://dobashin.exblog.jp/16953875/

$$$今日のにゃんこ
慢性腎臓病は心房細動脳塞栓症のリスク:JACC誌_a0119856_223779.jpg

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by dobashinaika | 2014-12-09 22:39 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

周術期のヘパリンブリッジにより大出血は増え血栓塞栓症は変わらない:TH誌

Perioperative bridging anticoagulation during dabigatran or warfarin interruption among patients with an elective surgery or procedureSubstudy of the RE-LY trial
J. D. Douketis et al
Thrombosis and Haemostasis 12月4日


疑問:ヘパリンブリッジは、NOACでも有効か?

方法:
・対象:RELY試験参加者のうち待機的手術/手技のために抗凝固薬を一時中断(1回め)した人
・ダビガトラン群、ワルファリン群でヘパリンブリッジした人としない人を比較
・脳卒中/全身性塞栓症、大出血、血栓塞栓症
・評価期間:術前7日間〜術後30日
・Cox regression

結果:
1)ブリッジ施行例:ワルファリン中断時のほうがダビガトラン中断時より多い:27.5% vs. 15.4%; p<0.001

2)ダビガトラン群の大出血:ブリッジ施行例で大出血多い:6.5% vs. 1.8%; p<0.001

3)ダビガトラン群の脳卒中/全身性塞栓症、血栓塞栓症:ブリッジ、非ブリッジで同じ:0.5% vs.0.3%;p=0.46

4)ワルファリン群の大出血:ブリッジ施行例で大出血多い:6.8% vs. 1.6%; p<0.001

5)ワルファリン群の血栓塞栓症;ブリッジ施行例で多い:1.8% vs. 0.3%; p=0.007

6)ワルファリン群の脳卒中/全身性塞栓症:ブリッジ、非ブリッジで同じ:0.5% vs. 0.2%;p=0.32

結論:RE-LY試験では、ダビガトラン、ワルファリンとも周術期のヘパリンブリッジにより大出血が増えた。

### 非常に興味深いデータです。

ヘパリンブリッジのプロトコールは、ダビガトランの場合、低出血リスク手術では24時間前に中止し高出血リスク手術では2〜5日中止(腎機能にもよる)。ワーファリンは主治医任せです。

このデータからは、一言で言えば「ヘパリンブリッジはワルファリンでもダビガトランでも、出血ばかりふやして、脳卒中/全身性塞栓症は予防しない」ということです。

まずもって、周術期に抗凝固薬を中断しても、脳卒中/全身性塞栓症発症リスクは大変低いのですね0.2〜0.3%しかありません。そこにブリッジした場合、むしろイベントが増えるような数字になっていますね(統計的有意差はありません)。

それに対し、ヘパリンブリッジした時の大出血リスクはワルファリン、ダビガトランとも6%台と高率です。

あたかも抗凝固薬をやめるとすぐにも脳塞栓を起こすような印象がありますが、実際は0.2〜0.3%と低値です。それでもインパクトは絶大なので、とにかくヘパリンでつないでという発想になりますが、やっても塞栓症は減らないし、むしろやや増やすかもしれない、それよりも結構出血を増やしてしまう。ということで従来からの治療法に再考を迫る結果になっています。

もちろん無作為割付でないので、ヘパリンブリッジをした例は塞栓症のリスクの高い既往例とかが多く、そういう例では出血リスクも大きいでしょう。また腎機能ほかも偏りがある可能性があります。また大出血の中身が記されていません。肝腎の頭蓋内出血はどうだったのか。

とにかく近頃ヘパリンブリッジは何かと論議を読んでいるところで、この際バッチリRCTして欲しいものです。

RE-LY試験の周術期サブ解析自体は以下
http://dobashin.exblog.jp/15598618/

ヘパリンブリッジへの疑義論文は以下
http://dobashin.exblog.jp/19307831/

$$$ 今日で、大きな病気をしてからちょうど4ヶ月になります。まだ4ヶ月しか経っていないのかという驚きにも似た時間間隔があります。これまでの同じ4ヶ月の何倍もの濃密な時間を経験したように思います。

先日、虹の儚さをつぶやきましたが、これはちょうど2ヶ月前に当院から西の空を見上げた時に見つけた虹です。この虹はいつまでも消えずにずっと残っていました。これまさにブリッジですね。
周術期のヘパリンブリッジにより大出血は増え血栓塞栓症は変わらない:TH誌_a0119856_2234469.jpg

by dobashinaika | 2014-12-08 22:36 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

共病記(5)〜医者が患者になった時〜:5つの不 その① 不条理

自分の病名が分かったあと、すぐさましたことは、やはりネットでした。
家にあったiPadを持ってきていたので、まず医療情報サイト「UpToDate」にアクセスし、日本語で「椎骨動脈解離」と入れますと、ほんの数秒でこの病気の病因、診断、症状、治療、予後(今後どうなるのか)の情報をすぐ見ることができます。こういうときiPadは助かります。キーボード入力はおそらく体勢を起こさなければならず、またこの時は突起したボタンを押すこと自体が苦痛だったのですが、タッチパネルはその点、右側だけしか向けない身には楽であり、操作も触るだけなので、ありがたい限りでした。

まず、真っ先に"prognosis(予後)" が気になりました。自分はこれからどのようになってしまうのだろう?明日からの仕事のことをすぐにでもどうにかしなければならない状況にあって、一番それが知りたいことでした。そこには「予後は初期の脳卒中やくも膜下出血の重症度に依存する」「血管が修復されるのは最初の1ヶ月間」「頭蓋内脳動脈解離のクモ膜下出血発症例では高率に再破裂するため、外科的治療が必要」などと書かれていました。主治医の先生の言葉通り、やはりここ数日以内に最初の大きな脳梗塞またはくも膜下出血をきたすかどうかが今後を大きく左右するということがわかります。

次にどうしても知りたかったことは「原因」でした。"Etiology(=病因)"を見ると、「ほとんどは自発的に(原因なしに)または小さな外傷から起こる」「首を過度に動かす運動が引き金になることもある」などと書かれています。また生まれつきの血管組織の異常、遺伝的な原因なども詳細に記載されています。ゴルフとかダンス、マサージなどが引き金になるという報告もあります。

一応医者ですので、こうした記述を見れば疾患としての概略はわかります。でもいくらこうした医学的記述を呼んでも全然しっくり来ない、というか納得がいかないのです。それは、以前から感じている「高速ランダムめまい」や「後頭部からお腹にかけてのもっさり感」が強くなるに連れ、また入院時間が経過してそれらとの付き合いが長くなるに連れより強く感じられるようになりました。

たしかに、右椎骨動脈の壁が裂けてその裂け目に血液の塊ができ、それが平衡感覚を司る小脳に飛んだから高速ランダムめまいが生じいているのだろう、とか、血管が裂け脳細胞が壊死しめためその場所から様々な炎症性物質とそこを修復しようとする防御反応がそれはめまぐるしいきおいで生じているため、こうしたもっさり感が起こるのだろうくらいは説明することはできます。

でも、それは今の自分の身体の状態が「どのようになっているのか」という現状分析でしかありません。「なぜ、今という今、この時に、この場所で、このような苦しい思いをしなければならなくなったのか」「なぜ、ほかでもない、この自分がこんな苦しみを感じ、仕事もできないのっぴきならない状況に陥ってしまったのか」そうした問に対しては、いくら医学的記述を詳しく読んでも、説明していくれません。もちろん、医学的記述は、過去のデータを元に客観的な情報として書かれていますので、そんな個別的な問に答えてくれることは期待できないわけです。でも、それでも、問いたいのです。なぜ「この感じ」なのかと。なぜ「この自分」なのかと。

そしてそこから原因探しの旅が始まるのです。発病の1週間前くらいから、「自分がどこで何をしたのか」「あの時あそこに行かなければこうならなかったのではないのか」「最近毎日のように診療が終わってからも仕事で出かけていったからではないのか?」はては「2〜3週間前に血圧の薬を1日のみ忘れたことが関係しているのではないか」といった瑣末な事まで、原因に結びつけて考えようとしてしまうのです。

さらに、「あの時無理をしたのはこう考えたからだ」「あの時急に椅子から立ち上がってしまったからこうなってしまったのだ」「もっと水分を取っていればこんなことにならなかったのだ」というように、医学的に見るとあまり因果関係がはっきりしないことまで、原因として考えてしまうのです。原因探しの旅から自責と後悔の旅へとめまぐるしい葛藤が始まります。

そしてさらに、「これまで血圧の薬はしっかり飲んで毎日血圧を測って、アルコールは飲み過ぎないようにして、あれだけ気をつけてきたのに、なんでこうならなきゃならないんだ」「首を動かすようなことなんかしていないのに」というどこにぶつけていいかわからない怒りのような、また今にして思うと医者とは思えないような幼稚な攻撃性のような感情も随時これに加わり、まさに葛藤の連鎖状態となるのです。(もちろんずっとそう考えているわけでなくて、押し寄せては消える感じでですが、、)

言うまでもなく、どんな病気でもそうですが、血管が解離する場合も原因は複雑です。原理的に言うと血管の壁そのもののの強さ、血流の力のかかり具合、血圧そのもの、血液の成分、外からの刺激などが解離に関係しそうですが、ストレスだとか、食べ物だとか言い出すともう無数の因子が複雑にからみ合って病気を成立させているとしか言えません。

医者としてはその程度の因果の特定困難は理解しているつもりですが、でも今ある苦しいという感覚と、社会的に置かれている危機的状況の両方を考えた場合、なんでこうなったのかとにかく原因を特定して納得しておきたい衝動に非常に強く駆られるのです。おそらく医院に通院される患者さんもみなそうなんだろうなあ、ということも思いました。事実、どうして病気になったのかを尋ねられる方は非常に多いのです。私たちは病気の原因を探さずに入られない存在、原因探しの病という新たな病に陥りやすい存在なのかもしれません。

でもそう考える次の瞬間、この苦しい感じの自分を自覚すると、絶望感が襲ってきます。この今の苦しい感じは、いくら原因を突き止めようとしても、医学の言葉で説明を求めても、なせ、今この自分の身にそれがあるのかを100%の満足度で持って納得することはできない。

これが「不条理」というものだと、このとき心底思ったのです。
そしてこの不条理は、それに続くもう一つの「不」の裏返しだと思えてきたのです。

ここまで考えると、医学医療の出番はあまり残されていないようにも思えてきますが、ところがそうではないということも、その後経験することになります。その辺のことともう一つの「不」についてはまたこの次に。

### 今回病気してみて5つの「不〜」ということを考えました。今回その1です。
仙台初雪でした。大崎八幡神社もこんなで張り詰めた空気感です。
共病記(5)〜医者が患者になった時〜:5つの不 その① 不条理_a0119856_22403628.jpg

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by dobashinaika | 2014-12-07 22:47 | 医者が患者になった時 | Comments(0)

ダビガトランの中和薬に関する人を対象とした研究:Circulation誌

ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社 からのプレスリースです。
http://www.boehringer-ingelheim.jp/news/news_releases/press_releases/2014/140626-2111.html

これに関連して11月にシカゴで行われた米国心臓協会(AHA)で、ダビガトランの中和薬
Idarucizumabに関する健常者対象の第I相試験の結果が報告されています。
Effect of Dabigatran on the Ability to Generate Fibrin at a Wound site and its Reversal by Idarucizumab, the Antidote to Dabigatran, in Healthy Volunteers: An Exploratory Marker of Blood Loss
Joanne van Ryn et al
Circulation.2014; 130: A1840
3

・ダビガトラン110mgx2を4日間、健常者に投与
・ファイブロペプタイドA (FPA)を前, 3, 4日後の朝内服2.5時間ごと6時間後に定量
・4日目にIdarucizumab1,2,4g及び偽薬を5分かけて静注・前腕に紙で切った時のような傷をつけそこから血液採取

・ダビガトランによりFPAはほど完全に抑制される
・フィブリン形成はIdarucizumabで用量依存性に回復する。
・抗凝固能はダビガトランにより明らかに延長し、Idarucizumab2及び4gでコントロールレベルにまで回復する

2年前のブログで紹介した試験の結果ですね。
http://dobashin.exblog.jp/16751720/

ダビガトランは、リアルワールドの結果も多く出揃ってきて(150mgのデータが多いですが)、ポジティブなデータもネガティブなデータも他のNOACにくらべて豊富だという印象があります。別にダビガトランの肩を特に持つわけではありませんが、そのような意味では、どの症例には使えてどの症例には使えないかがある程度、他よりも明らかになっており、それらをしっかり把握しておけば、使いやすい薬といえるかもしれません。

それに中和薬の存在が加われば、より安心感は増すと思われます。

5月からはグローバルの臨床試験も始まっているようです。

$$$ 今朝は寒かったですね。朝6時45分。まだやや暗い中で、近くの神社の鳥居を後ろから写してみました。見えますでしょうか。この辺りは大崎八幡のお膝元なのか、大小いろいろな神社があり、ここも気づかないと通り過ぎてしまうようなお社です。
ダビガトランの中和薬に関する人を対象とした研究:Circulation誌_a0119856_22175257.jpg

by dobashinaika | 2014-12-05 22:19 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)

75歳以上の人の心房細動の脳卒中、大出血リスク:Stroke誌

Stroke and Major Bleeding Risk in Elderly Patients Aged ≥75 Years With AtrialFibrillation: The Loire Valley Atrial Fibrillation Project
.Lip GY et al
Stroke. 2014 Nov 25. pii: STROKEAHA.114.007199. [Epub ahead of print]


疑問:75歳以上の心房細動患者のリアルワールドでの脳卒中、出血リスクはどうか?

方法:
・対象;Loire Valley AF project参加者、75歳以上の心房細動入院患者コホート
・アウトカム:脳卒中/全身性塞栓症、死亡、大出血及びその危険因子

結果:
1)75歳以上4130人(全8962人中)

2)死亡率、脳卒中/全身性塞栓症、脳卒中/全身性塞栓症+大出血:年齢と共に増加

3)死亡率:ビタミンK阻害薬(VKA)内服者>非内服者

4)大出血:年齢とともには増加しない

5)VKA内服者の死亡率:75歳未満<75歳以上:ハザード比0.57 (0.45-0.72)。ただしVKAの効果は年齢と共に上昇

6)VKA内服者の脳卒中/全身性塞栓症:75歳未満<75歳以上:ハザード比0.69 (0.57-0.83):年齢とともに効果大

7)VKA内服者の大出血:年齢に無関係

8)75歳以上においては、年齢、脳卒中の既往が脳卒中/全身性塞栓症の主要予測因子

9)腎機能低下とVKA使用が大出血の予測因子

結論:高齢者は脳卒中、大出血とも高リスク。脳卒中/全身性塞栓症、死亡に関するVKAの効果は年齢にかかわらず存在する

### これまでの報告とはやや異なるようです。梗塞、出血とも高齢になるにつれて多くなると思っていましたが、このコホートでは出血は年齢に関係なしで、VKAの効果も同様とのことです。

ワーファリンコントロールを低めにしているせいかもしれません。

75歳以上においても、脳卒中既往例はやはりできるだけ抗凝固、腎機能には最新の注意、を再確認

$$$ 最近、散歩中に発見しました。
75歳以上の人の心房細動の脳卒中、大出血リスク:Stroke誌_a0119856_21522837.jpg

by dobashinaika | 2014-12-04 21:54 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

心房細動の人が脳梗塞になった時の抗血栓療法の実態:Stroke誌

Antithrombotic Therapy After Acute Ischemic Stroke in Patients With Atrial Fibrillation
Emer R. McGrath et al
Stroke.2014; 45: 3637-3642

疑問:心房細動の人が脳梗塞になった時の抗血栓療法の実態は?

方法;
・対象: the Ontario Stroke Registryに登録された、心房細動を合併し虚血性脳卒中を発症して入院した連続症例
・Cox比例ハザードモデル
・アウトカム:一次エンドポイント:退院後死亡まで、または再入院までの時間

結果:
1)2162人

2)退院時処方:抗血栓薬なし8.0%、抗血小板薬のみ21,6%、ワルファリンのみ39.3%、ワルファリン+抗血小板薬31.1%

3)一次エンドポイント(ワルファリンのみをハザード比1.0):抗血栓薬なし1.51(1.23ー1.86)、抗血小板薬1.31(1.14−1.50)、ワルファリン+抗血小板薬0.91(0.80-1.04) :冠動脈疾患のみでは0.79(0.61−1.02)

4)重症脳卒中でも結果は同様

結論: 最近のガイドラインに反し、心房細動合併虚血性脳卒中患者の30%は退院時になんらかの抗凝固療法を受けていない。しかるに抗凝固薬+抗血小板薬併用は30%強である。高心血管リスク患者の抗凝固薬+抗血小板薬併用の評価にはクリニカルトライアルが必要。とくにNOAC

### おそらく何らかの出血リスクが高いため、ワルファリンをやめるか、アスピリンなどで代用してしまうのでしょうか。

ワルファリン服用中に脳梗塞を起こした場合、抗血小板薬を追加するのはやはりアテローム血栓性の診断をきちんと神経内科医がした時と思われますが、心原性が疑われるのでワルファリンだけでよしとするかどうか、その辺クリアカットに行かない場合もあるのかどうか。神経内科の先生に聞いてみたいところです。

$$$今日のにゃんこ。どこにいるかわかりますか?
心房細動の人が脳梗塞になった時の抗血栓療法の実態:Stroke誌_a0119856_2219954.jpg

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by dobashinaika | 2014-12-03 22:21 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(3)

抗凝固薬を選ぶときの患者さん説明用の表:Circulation誌

Warfarin Versus Novel Oral AnticoagulantsHow to Choose?
Rishi K. Wadhera et al
Circulation.2014; 130: e191-e193


Circulation誌に「心臓患者さんのページ」という患者さん向けのコーナーが有り、そこで抗凝固薬の選び方付いて患者さんに向けてのわかりやすい説明文と表が掲載されていました。

当院では、抗凝固薬導入時に、約12ページの小冊子を使って患者さんに説明します。その際に下の表1はこれまで作成していましたが、この記事の知見を取り入れて少し改定しましたので紹介します。

表1で、効果の速さ、持続のところでは、手術の際の休薬に関連して、たとえばNOACだとあまり早くから前もって入院しなくて済むといった説明に使います。

薬価は一番安いエリキュース2.5mgx2から最高値のリクシアナ60mgx2までの幅を示していますが、実際はプラザキサ110、イグザレルト15、エリキュース5が多いので、それらの薬価を別に示すようにしています。

<表1:ワーファリンとNOACの比較>
抗凝固薬を選ぶときの患者さん説明用の表:Circulation誌_a0119856_2310643.png

注:プラザキサ110mg1日2回:1日478.6円、プラザキサ150mg1日2回;545.6円、イグザレルト10mg:383.4円、イグザレルト15mg:545.6円、エリキュース2.5mg1日2回:298.0円、エリキュース5mg1日2回:545.6円、リクシアナ30mg:748.1円、リクシアナ60mg;758.1円

表2の比較表も、類似のを作っていましたが、本記事を参考に少し改定しました。あくまでRCTの結果を記載したものです。

まず、大前提として、ワーファリンの管理が大変良好で毎月ほとんど同じ量を処方できる方には、ワーファリンで良いことを伝えます。

実際には赤い部分の主要評価項目+頭蓋内出血の部分をお見せするようにしています。

その下の項目は二次評価項目ですし、その後のコホート研究などで若干結果に違いがでている部分なので、表では示さず、ただし消化管出血の既往がある方などには、この薬剤はちょっと使いづらいです、と説明するときにその下の覧まで入った表をお見せするようにしています。
([頭蓋内出血」は「脳出血」でもいいかもしれません)

<表2:ワーファリンと比べた各NOACの効果と安全性>
抗凝固薬を選ぶときの患者さん説明用の表:Circulation誌_a0119856_23122630.png

注:ワーファリンの採血結果が毎回あまり変わらない方は、新しい脳梗塞予防薬に比べて効果、安全性は大きく変わることはありません。

特に表1は長年、使っていますが、やはり全部口頭で説明するよりこうした表を使って説明したほうが、かなりわかりやすいと思われます。大切なことは、その説明の仕方かと思いますが、

こうした患者さんに親切な説明文が学術雑誌に掲載されているのも、良いですねー。というか、こうした患者さん向けの情報発信も、医療者向けのガイドラインと同等あるいはそれ以上に力を入れるべきものだと、かねがね思うのです。もちろんこれ、アクセスフリーですね。

$$$ 今朝非常に寒くて、しかも東に太陽が見えているのに西の空が暗くて雨が降っていたので、これはと思ったら、やっぱり虹が出ていました。うっすら見えますでしょうか?これ、でも1分もしたら薄くなってしまいました。虹の架け橋なんてよく言いますが、実際はすぐ消え行く儚いものなのです。とまた散歩哲学^^
抗凝固薬を選ぶときの患者さん説明用の表:Circulation誌_a0119856_23155018.jpg

by dobashinaika | 2014-12-02 23:18 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

左心耳閉鎖デバイスWatchmanの長期成績:JAMA

Percutaneous Left Atrial Appendage Closure vs Warfarin for Atrial FibrillationA Randomized Clinical Tria
lVivek Y. Reddy et al
JAMA. 2014;312(19):1988-1998


疑問:左心耳閉鎖デバイスWATCHMANの長期成績はどうか?

方法:
・対象:18歳以上、非弁膜症性AF、CHADS2スコア≧1、ワルファリンの長期投与
・デバイス群436例:経食道的心エコーガイド下にLAA閉鎖術を施行後、45日間ワルファリン+アスピリン投与
 ワルファリ群244例:INR2〜3目標
・主要評価項目:脳卒中、全身性塞栓症、心血管死/原因不明死(複合エンドポイント)

結果:
1)平均追跡期間3.8年(2012年10月時点アウトカム)

2)イベント率:デバイス群8.4%(2.3イベント/100人年)vs. ワルファリン群13.9%(3.8イベント/人年):ハザード比0.65(0.41〜1.05);非劣性及び優越性クライテリアを満たす

3)心血管死亡率 :デバイス群3.4%(1.0イベント/100人年)vs. ワルファリン群9.0%(2.5イベント/人年):ハザード比0.40(0.21〜0.75:P=0.005)

4)全死亡率:デバイス群12.3%(3.2イベント/100人年)vs. ワルファリン群18.0%(4.8イベント/人年):ハザード比0.66(0.45〜0.98;P=0.04)

結論・臨床適用:脳卒中リスクのあるNVAFの3.8年間の追跡後、経皮的左房閉鎖術は、ワルファリンに比べ、非劣性、優越性とも複合エンドポイントのクライテリアを満たした。

### 左心耳閉鎖デバイスWATCHMANの成績です。すでに2.3年時点の結果は報告されています。
http://dobashin.exblog.jp/17206624/

今回はより長期の3.8年後の長期成績です。出血などの安全性エンドポイントは、デバイス群3.6/人年、ワルファリン群3.1/人年で非劣性(同等)でした。一番知りたい虚血性脳卒中はデバイス群5.2%、ワルファリン群4.1%で差がなかったようです。2.3年の時より安全性の差が縮まっている印象です。やはり施行後早期の手技にまつわるイベントが多いからと推測します。

私が高リスクの心房細動だったら、そうですね、ワルファリンと比べるとなるとかなり考えますね。日本人のデータがないので当然ですが。左心耳切除術ですね、自分なら

$$$ 近くの美術館にミレーを見に行ってきました。ミレーの描く農民や農村は大変敬虔で宗教的な雰囲気を醸し出しています。地平線まで続く農地、祈り、落穂ひろい。日本の農村のような、田んぼと水が主体ですぐ山に囲まれ、集約的でもっと現世的な風土とは根本的に違う世界ですね。
左心耳閉鎖デバイスWatchmanの長期成績:JAMA_a0119856_22563323.jpg

by dobashinaika | 2014-12-01 22:56 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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プライマリ・ケア医のための心房細動入門

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ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


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