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右心耳血栓の頻度:JASE誌

Frequency and Significance of Right Atrial Appendage Thrombi in Patients with Persistent Atrial Fibrillation or Atrial Flutter
Cresti A et al.
J Am Soc Echocardiogr 2014;27:1200-7


疑問:右心耳血栓はどのくらいあるのか?

方法:
・2日以上の心房性頻脈で救急外来受診者。経食道エコー同意
・左心耳及び右心耳の解剖学的機能的把握が可能な983名対象
・右心耳血栓、左心耳血栓、心耳収縮期血流速度、モヤモヤエコー

結果:
1)心耳血栓頻度9.7%。左心耳9.3%、右心耳0.73%(p<0.01)

2)心房細動/粗動群では左心耳血栓率10.3%、右心耳0.75% (p<0.01)

3)心房粗動群では左心耳血栓率6%、右心耳0.6% (p<0.01)

4)平均左心耳収縮期最高血流速度:左心耳血栓群24 cm/sec (10-32 cm/sec),非左心耳血栓群38 cm/sec (20-59 cm/sec)

5)平均右心耳収縮期最高血流速度:右心耳血栓群で17±7 cm/sec,非右心耳血栓群で 34±13 cm/sec (P<.01)

結論:右心耳血栓は左心耳血栓に比べ、頻度は非常に少ないが大きくなることがある.マルチプレーン経食道心エコーは右心耳の形態学的,機能的評価を可能とする.経食道心エコーガイド除細動の前には左心耳と右心耳の両者をルーチンに調べるべき

### 右心耳血栓というのがあるんですね。論文では見たことがありますが、実際は、経食道エコーでも右心耳は見難く、意識したことはありませんでした。
肺塞栓が問題となりそうですが、実際そういう症例があるのかどうか知りたいです。全体の0.73%ですから左心耳に比べ少ないとはいえいることはいることに注意します。

$$$今朝はどんより空。近くの八幡神社に続くいつもの道。前々からほかの道とどこか違うと思っていてどこが違うのか言えませんでした。なんかスッキリしているような、ちょっと物足りないような道。。そうですね、電柱がないのですね。仙台でも国道48号線は無電柱化されているようです。そういえば震災の時も電気の復活は速い地区でした。
右心耳血栓の頻度:JASE誌_a0119856_23353949.jpg

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by dobashinaika | 2014-11-09 23:38 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

新しい薬はリアルワールドのデータが出れば出るほどわからないことが多くなる

ダビガトランに関する米国メディケアからのリアルワールドの論文がCirculationとJAMAIMから1つずつ出ていて、JAMAIMの方では特に消化管出血が多かったことが話題となっています。

前回のブログでも確認しましたが、消化管出血の発症率がかなり違っています。
      ダビガトラン   ワルファリン
JAMAIM    17.4%    10.0%
Ciuculation   3.42%    2.65%
RE-LY      1.56%    1.07%

JAMAIM http://dobashin.exblog.jp/20354077/
Circulation http://dobashin.exblog.jp/20339500/

これらは、消化管出血の定義の違いからくるようです。
JAMAIM(対象約9400人)では、大出血、小出血の両者が含まれています。大出血は「入院または救急部門に滞在した」消化管出血で、小出血は「何らかの外来患者の訴え」に基づいた消化管出血と論文の中で定義されています。

この消化管出血の中での大出血と小出血の区別は明らかにされていなようです。

一方Circulation(対象13万人)は、超大規模データですので、消化管出血はカルテのICD-9コードを元にしており、しかも「大出血」のみを扱っております。その定義もICD-9上の「致死的部位」「輸血」「死亡」というくくりです。

参考までにRE-LYは「大出血」が対象で、その定義はいわゆるISTH基準(Hb2以上減少、輸血2単位以上、致死的部位での症候性出血)と細かいものを採用しています。

JAMAIMには患者さん申告の小出血が含まれていたので、他よりも高発症率になったのだろうと思います。消化管出血でかつ大出血がどのくらいか論文には記載されていないようですので、そこはわかりません。またRE-LYのように下部消化管出血が多かったのかもわかりません。

またおなじくRCTで消化管出血の多かったリバーロキサバンの実臨床データもあまりなく、わかっていません。

また米国ですので、150mgx2のデータですが、日本ではすでに110mgx2は多数の患者さんが服用されていますので、欧州または日本初のリアル・ワールドデータがない、現段階ではこれもわかりません。

たとえば当院では大腸ポリープ、胃潰瘍の既往のあるひとは少なくともダビガトラン150x2はこれまで避けてきましたが、110x2でもそうすべきか、リバーロキサバンはどうか、まだ何一つわかっていません。アピキサバンはリアルワードデータはほぼ全く報告されていません。いろんな報告から、各人それぞれに解釈して意思決定しているのが現状でしょう。

後ろ向き大規模コホートは、症例数が膨大でインパクトが大きいのですが、反面細かい患者データがわからない。

新しいコホートが出れば出るほど、細かい点で知りたいことが増えてくるばかり、というのが3年半の歴史を経たNOACの現状のような気がします。

まあ、データが蓄積されればされるほど、知識が増えれば増えるほどわからないことが増える、ということは、「何がわからないのかがわかるようになる」ことであり、ある意味、EBMの、いや医療の、いや人生の摂理だと思われます。

ただしそうとばかり言っていたのでは思考停止(←便利なことば)になります。本論文は、全部の大出血がダビガトラン群で多かったことがわかっていて、この中に消化管出血は多く含まれていると思われますので、やはり150mgx2を使うとき消化管出血には十分な注意が必要ということをメッセージとして受け取るべきと思われます。

なおNOACが消化管出血をきたしやすいメカニズムについては、以前のT/H誌を参考にしてください。
ダビガトランの生物学的利用率が非常に低く、吸収されないダビガトランも消化管内(おそらく糞便中)でエステラーゼで活性化されるため、高レベルで集積される可能性が指摘されています。ですから上部より下部消化管出血が多いという指摘です。
http://dobashin.exblog.jp/20184354/

近所の神社の紅葉も、日に日に葉が少なくなってきています。私はだいたいこの前を通る朝は、必ず2拍してお参りをするのですが、ここ数日「何も考えずにお参りする」ようにしてみたところ、非常に難しいことに気が付きました(笑)。
新しい薬はリアルワールドのデータが出れば出るほどわからないことが多くなる_a0119856_23375899.jpg

by dobashinaika | 2014-11-07 23:41 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

心房細動があると無症候性脳梗塞はない人の2倍:AIM誌

Association Between Atrial Fibrillation and Silent Cerebral Infarctions: A Systematic Review and Meta-analysis
Shadi Kalantarian et al
Ann Intern Med. 2014;161(9):650-658


疑問:心房細動と無症候性脳梗塞の関係は?

方法:
・システマティックレビュー
・心房細動かつ脳梗塞既往のない例、または無症候性脳梗塞で人工弁の人

結果
・5317例。50〜83.6歳
・剖検例は含まず
・CTとMRIで検討

・心房細動の無症候性脳梗塞に対するオッズ比(心房細動なしの人に比べ):2.62 [95% CI, 1.81 to 3.80]; I2 = 32.12%; P for heterogeneity = 0.118

・心房細動のタイプ(発作性、持続性)に無関係
・たとえ質的スコアが最大値の70%に制限された場合でも結果は大きく変わらず
・心房細動合併無症候性脳梗塞の有病率はMRIで40%、CTで22%

限界:だいたいが横断研究、剖検研究は異質性が高く微小病変の感度が不十分

結論:心房細動は無症候性脳梗塞を約2倍増化させる

### MRIだと脳梗塞の症状がなくても、心房細動があれば約4割のひと脳梗塞の病巣が見つかるということですね。

一旦脳梗塞になった人では45%というデータも有ります。
http://dobashin.exblog.jp/20229328/

こうした例では認知機能の低下も認められやすいことが指摘されています。
http://dobashin.exblog.jp/18162333/

抗凝固薬の使用状況が不明なので知りたいところです。
早めに抗凝固薬を飲めば認知症になりにくいのでしょうか?そこまでのデータを今後期待したいです。

$$$ 今日は、散歩もしましたが、午後から近くの博物館で江戸絵画を堪能しました。
円山応挙の「雪松図屏風」。遭うのは2回めです。私、江戸絵画が大好きで、琳派(尾形光琳の一派)も良いのですが、それよりは写実的で、デザイン性も兼ね備えた円山応挙は特に好きです。雪の白は塗らずに屏風の地色を使っていますが、今にも松の枝からどさっと落ちそうなんです。さりげないのにすばらしい。
心房細動があると無症候性脳梗塞はない人の2倍:AIM誌_a0119856_235333.jpg

by dobashinaika | 2014-11-06 23:05 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

ダビガトランのリアルワールド出血リスク:JAMAIM誌

Risk of Bleeding With Dabigatran in Atrial Fibrillation
Inmaculada Hernandez et al
JAMA Intern Med. Published online November 03, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.5398


疑問:ダビガトランの出血に関するリアルワールドデータはなにか

方法:
・後ろ向きコホート
・米国メディケアの薬局と医療機関データ5%のサンプル(2010−2011年)
・新規発症心房細動
・ワルファリンまたはダビガトランを診断60日以内に投与された患者
・ダビガトラン群1302人、ワルファリン群8102人
・部位別出血(大,小含む)イベント
・大出血:頭蓋内出血、心嚢内出血、血尿による受診、消化管出血、その他の出血
・プロペンシティスコアマッチ、Cox比例ハザードモデル
・4つの高出血リスク群を想定:75歳以上、アフリカンアメリカン,CKD,7つ以上の合併症

結果:
1)ダビガトランの大出血ハザード比(対ワルファリン):
 ・全出血:1.30 (95% CI, 1.20-1.41)
・大出血:1.58 (95% CI, 1.36-1.83)
・消化管出血:1.85 (95% CI, 1.64-2.07)
・頭蓋内出血:0.32 (95% CI, 0.20-0.50)

2)ダビガトラン群の大出血、消化管出血リスク増加はいずれのザブグループでも有意にあり

3)アフリカン・アメリカン、CKD患者で特に高リスク

結論:ダビガトランは(解剖学的部位にかかわらず)大出血リスク増加に関係有り。特に消化管出血を増加させたが、頭蓋内出血は減らした。ダビガトランは特に高リスク患者では、注意して使うべき。

### 先日ご紹介したCirculation誌のメディケアデータとは、やや異なる結果でした。
どちらもダビガトランで、ワルファリンより消化管出血が多かったわけですが、今回はハザード比が1.85倍(Circulaionでは1.28倍)とかなり高く、そのため大出血率も有意に高くなりました。

この違いの原因を知るため、患者背景を見てますと、本論文は症例数が両群とも8000〜13000人。平均年齢約75歳 、白人が80%以上で、黒人はダビガトラン群6.4% ,ワルファリン群8.1%、CHADS2スコア1点が20%前後、2、3点が50%強でした。

Circulationの方は、白人が92%、黒人は3%、CHADS2スコア0〜1点28%、2点40%。3点21%で、やや白人が多く、CHADS2スコアはやや高めですが、大きな違いはなさそうです。

一番の違いは消化管出血の発症率のようです。本論文ではダビガトラン群が17.4%、ワルファリン群で10.0%に対し、Circulationのほうは各3.42%、2.65%でした。ちなみにRE-LY本試験では各1.56%、1.07%でかなり低いです。

例えば、登録研究ですと、RE-LYなどで消化管出血が多いことを知っている患者さんが、少しの血便でも医師に報告するといったようなバイアスはありえるかもしれません。消化管出血の定義は両試験ともカルテベースのようなので、明記されていないようです(間違っていたらすみません)。

RE-LY試験は150mgの大出血はワルファリンと同等で、頭蓋内出血は半分以下、消化管出血は約1,5倍で有意に増加しておりましたので、類似していますが、今回データはさらに消化管出血が多い結果となっています。

RE-LYでは75歳未満では消化管出血はダビガトランで低く、75歳以上で高くなったのですが、本試験は年齢に関わらず一貫して高いとのことです。

確認ですが、米国ですので、110mgx2はなく、ほとんどが150x2で腎機能低下者は75x2だと思われます。

日本では110x2がありますが、これの消化管出血のリアルワールドデータも知りたいところです。今のところ、私としてはこれまで通り、150x2は消化管出血、胃潰瘍、(あるいは大腸ポリペクトミー)の既往がある場合は、立ち止まることにします。

Circulation誌のブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/20339500/

先日の「NOACリアルワールドデータスライド」に追加しておきます。
ダビガトランのリアルワールド出血リスク:JAMAIM誌_a0119856_2223575.png


### 今朝は寒かったです。今日から手袋デビュー。写真が取れるようにスマホ対応手袋買いました。スマホは指紋認証にしていますが、はじめ手袋のまま指紋認証してしまいました。その場面誰にも見られなくてよかった(笑)。
ダビガトランのリアルワールド出血リスク:JAMAIM誌_a0119856_22194082.jpg

by dobashinaika | 2014-11-05 22:26 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

共病記(2)〜医者が患者になった時〜

共病記=医者が患者になった時(入院したので「患者になった時」にしました)の続きです。
前回はこちらです。
http://dobashin.exblog.jp/20303802/


救急隊の方が、私の体を瞬く間に担架に乗せ、救急車まで運びました。この間不思議にあまりめまいは感じなかったように思います。それより、目をつぶり、息を潜ませて担架で運ばれると、不思議に「空気の匂い」「温度」に非常に敏感になることに気が付きました。部屋から廊下に出た瞬間のむっとした夏の夜の空気と、建材の鼻に付く化学臭。外に出た時の頬に差す小雨と土の匂い、救急車の中の薬品や医療機器の匂い、それらひとつひとつにそれまで全く意識しなかったような匂いや感触を覚えました。異様に敏感になった臭覚、触覚でもって脳に直接伝わるかんじでした。

でも、救急車の中は地獄でした。それほど揺れてはいなったのでしょうが、ちょっとした段差や左右の横揺れが、ひどいめまいと吐き気を誘いました。おそらく10回は嘔吐したと思います。最後は吐くものがなくなりましたが、本来上から下に行くべきものが、急激に逆流することの苦痛をひさしぶりにいやというほど味わいました。経験したことのある人は多いと思いますが、これでもかと押し寄せる吐き気の苦痛は言葉では表現できません。苦行です。

早く着いてくれ、その言葉だけを念じていました。実質的には10〜15分程度だったのでしょうが、1時間にも感じました。

ようやく、病院の救急外来に到着しました。ここは実は私も勤務したことのある病院で、うっすら目を開けると部屋のレイアウトに若干の見覚えはあるのですが、でも今日はこれまで全く来たことのない病院のように感じました。と言うより病院の部屋全体が現実感のないもの、妄想の中のもののように思えました。なんでここに自分がストレッチャーに乗りながら横たわっているのだろうという受け入れがたい現実のせいだったのかもしれません。

すぐに看護師さん、若い先生方数人が取り囲み、名前、生年月日、住所の確認、血圧測定、酸素飽和度測定、点滴差し替え等、滞りという言葉とは全く無縁の、ある意味機械的な処置が次々となされていきました。大変な状況にもかかわらず、その手際の良さにひどく感心しました。

そのうち若い先生がやってきて「神経所見を取らせていただきます」と、丁寧に声がけされたあと顔面、上肢、下肢、体幹の麻痺、温痛覚、触覚と順序通り丹念に診察されました。この間、ひとつの所見をとるたびに「〜をしますね」と声がけされました。いつも自分はこんなに丹念に患者さんに声がけしてたのか不安になりました。私が医師だったことも大きいと思いますが、患者になってみて、こうした丁寧な声がけがとても患者さんを安心させることを痛感しました。

心電図、ポータブル胸部X線、採血と進み、頭部CTとMRIを撮ることになったのですが、ここへ来てまた大問題、つまり強烈な尿意が限界に達していました。採血の段階になり、もう一寸たりとも動くと失禁しそうになりました。ただ、ベット上で排尿できるかものすごく不安で、また恥ずかしくもあったため、極力ひっぱっていたのですが、もうダメでした。尿意を告げるといかにも屈強な男性の看護師の方が尿瓶をあてがってくれました。そこで、乳児の時をのぞいては初めての臥位での排尿をしました。尿意がものすごく強かったためか、首尾よくおしっこが出て下腹部が楽になった時には本当にホッとしました。

CTはすぐにおわったのですが、検査台に移る時とストレッチャーに戻る時が、また大変な苦行です。いちいち嘔吐していたように記憶しています。MRIは別の棟にありスタンバイに時間がかかりましたが、同じように苦行しながら移動しました。

MRIは受けたことのある方も多いと思いますが、閉じられた空間で大きな音と振動を感じます。押し寄せるめまいと嘔気も相まってそれはひどく長く感じました。

その後、かなりの時間控室で待っていました。相変わらず正面より左を向くと、例の高速風景移動が起きます。点滴を受け、めまいの薬が入り終わっても全く症状は改善なしでした。「やっぱり脳かな」とおもっていたところ、内科当直の先生がいらっしゃり、CT,MRIの結果をお話されました。CTでは脳梗塞の像は認めない。MRIも大筋では大きな異常はない。ただし、ディフュージョン(MRIの拡散強調画像という撮影方法。脳梗塞の急性期に有用)で、小脳にわずかに変色しているようにみえるところがあるが、アーティファクト(人工的な雑音)のようにも見える。末梢性のめまい(脳由来でなく、耳の奥の平衡感覚のトラブル)の可能性が高いが、小脳のトラブルの可能性も否定できないので、入院の上安静が必要とのことでした。

人間とは、危機的状況の中で物事を自分の都合のいいように解釈します。それまで「小脳梗塞」かもしれない。。と漠然と考えてはいましたが、「末梢性の可能性」と言われた途端、ああもう大丈夫だという、なにか大きなものに包まれでもしたかのような安堵感に全身が支配されました。心房細動もないし、血圧は薬でかなり低かったし、他のリスク因子もないし。。。当直医の「小脳のトラブルの可能性。。」といったことなどほとんど頭に残っていなかったように思います。

そのまま耳鼻科の病棟に入院となりました。顔見知りの看護師さんが何人もいて、いつもならとても恥ずかしい感じだと思う状況ですが、それよりこの時点では安心感のほうが先でした。点滴のせいか、入室の頃には少しだけ吐き気も治まっていて、このまま落ち着けば2日くらいで帰れて月曜日からまた仕事だ。。そんなことまで考えました。

時計はすでに午前2時を回っていたかと思います。その晩は長い入院生活が始まることなど全く考えもせずに眠りにつきました。

### 本当は、もっと端折って書きたかったのですが、日記などを元に書いたら、細かなことも書かないでいられなくなってしまいました。もっともっと重大な疾患を経験している方もおられると思いますが、日頃患者を診る側の人間が、はじめて大きな疾患で患者の立場になった時の感想だと思って読んでいただければ幸いです。

休日の広瀬川遊歩道。ウォーキング、ジョギングする人であふれます。ジョギングは頭に響くのでまだ無理ですが、早歩きはかなり出来るようになりました。
共病記(2)〜医者が患者になった時〜_a0119856_2334574.jpg

by dobashinaika | 2014-11-03 23:37 | 医者が患者になった時 | Comments(2)

外来における尿路感染症の診断と管理(アブストラクト、診断):JAMA誌のレビューより

Diagnosis and Management of Urinary Tract Infections in the Outpatient SettingA ReviewA Review
Larissa Grigoryan et al
JAMA. 2014;312(16):1677-1684


JAMAに外来での尿路感染症の診断と管理に関するレビューが掲載されています。
いわゆる膀胱炎を含む尿路感染症に遭遇する機会は、すべての外来診療を行う医師にとって、きわめて多いものと思われます。
非常に重要な知見が含まれていると思い、まとめてみました。

<アブストラクト>
【重要性】
・尿路感染症 (UTI)は、外来で抗菌薬を使う理由の最たるものの一つであるが、耐性菌の出現が増加し、診断と治療に影響を及ぼしている。

【目的】
・若年女性、糖尿病の女性、男性の急性膀胱炎の適切治療および、外来での急性膀胱炎の適切な診断法について述べる

【エビデンスレビュー】
・PubMedとCochraneデータベース

【所見】
・27RCT (6463患者)、6システマティックレビュー、11観察研究(252934患者)

・女性の急性非複雑性(単純性)膀胱炎は、診療所受診なし、尿培養なしで可能

ST合剤(160/800mg1日2回3日間)、ニトロフラントインnitrofurantoin monohydrate/macrocrystals (100mg1日2回、5−7日間)、ホスホマイシン•トロメタモール (1回3g)はすべて、単純性膀胱炎の第一選択

・フルオロキノロンの臨床アウトカムは効果ありだが、より広範な感染時に使用する

・βラクタム(アモキシシリンークラブラン酸、セフポドキシムプロキセチル)は第一選択としては不適当

・速やかな抗菌薬使用は遅い治療やイブプロフェンのみの治療よりも推奨される

・男性の急性膀胱炎での7〜14日間の治療を支持する観察研究は限定的

・観察研究1つと、われわれの意見を元にすれば、糖尿病合併女性の急性膀胱炎は、糖尿病なしの女性と同様に治療されるべき

【結論】女性の急性期単純膀胱炎の抗菌薬治療としては、ST合剤、ニトロフラントイン、ホスホマイシン・トロメタモールが適応である。尿病理に基づく耐性率の増加が治療をより複雑にする。薬剤耐性への危険因子と治療忍容性を個々に評価することが、適切な経験的治療の選択に必要である。

<診断>
・尿培養は急性期の診断治療にはあまり活用されない

・少なくとも2つの症状(排尿障害、切迫失禁または頻尿)があり、膣分泌が欠如していれば急性膀胱炎の診断確率は90%以上

・検尿による白血球検出は、事前確率が高い場合尤度比はそれほど大きくない。

・あるRCTは検尿と尿培養による管理が、経験的治療にくらべ、症状スコアや紹介までの時間改善に寄与しないことが報告されている


・外来での急性膀胱炎における尿培養なしの管理は容認される

・6ヶ月以内の再発、合併感染、多剤抵抗性の場合は尿培養をすべき

・高頻度で高再発率の場合、効率的な診断と治療アプローチが好まれる

・尿培養なしの他のアプローチとして、電話による管理や患者先行の治療が考えられる

### 開業医仲間の抄読会のために読んでいます。日本の内科開業医その他の外来セッティングでは、膀胱炎症状の方を診たら、まず検尿し、尿中白血球を確認し、キノロン系か第3世代セフェムが投与されるケースが多いような気がします。

当院では、単純性膀胱炎ですと、検尿して沈渣で白血球を確認し、ST合剤を第1選択にすることが多いです。

尿培養、検尿は不要、電話アプローチ、キノロンははじめから用いないーこれらは寝耳に水の医師もおられるかもしれません(特に我々より上の世代の医師?)。

こうしたJAMAの総説を開業医の間で輪読し、日本の実情も踏まえて専門医を交えてディスカッションするような勉強会を企画したいものです。

治療についても、時間があったら和訳します。

小雨に煙る早朝の大崎八幡神社。
外来における尿路感染症の診断と管理(アブストラクト、診断):JAMA誌のレビューより_a0119856_21383841.jpg

by dobashinaika | 2014-11-01 21:41 | 感染症 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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