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心房細動除細動時のリバーロキサバン投与の有効性安全性:EHJ誌

Rivaroxaban vs. vitamin K antagonists for cardioversion in atrial fibrillation
Riccardo Cappato et al
Eur Heart J (2014) doi: 10.1093/eurheartj/ehu367

疑問:心房細動除細動時、リバーロキサバンは使えるのか?

P:48時間を超えて続く非弁膜症性心房細動で、除細動予定の患者

E:リバーロキサバン20mg(CrCl30-49では15mg)1002例
早期例:登録後1〜5日後除細動
待機例:21日以内(最高〜56日)

C:ビタミンK阻害薬(VKA)502例:PT-INR2〜3
早期、待機は同じ

O:主要有効評価項目=脳卒中/TIA、末梢塞栓症、心筋梗塞、心血管死(坐忘内血栓例などをのぞいたmodified ITT解析)
主要安全評価項目=大出血 (On Treatment解析)

T;無作為化比較試験

結果;
1)有効評価項目:リバーロ群5/978 (0.51% ) vs. VKA群 5/492 (1.02%):(リスク比 0.50; 95% CI 0.15–1.73).:
早期例:リバーロ群0.71%、VKA群1.08%
   待機例:リバーロ群0.24%、VKA群0.93%

2)リバーロ群は除細動までの時間がVKAより有意に短い (p<0.001)

3)大出血:リバーロ群 0.6% vs. VKA群 0.8%:(リスク比 0.76; 95% CI 0.21–2.67).

結論:リバーロキサバンは有効性、安全性から見てVKAの代替となり得る。また除細動までの時間を短くする可能性あり。

### これまで、ダビガトランではRE-LY試験のサブ解析で除細動時のVKAに比べての評価が出ており、同等とのことでした。
しかしこの時はダビガトラン例でも30日後の除細動でした。
http://circ.ahajournals.org/content/123/2/131.long

我々が知りたいのはNOACだとすぐに効くので、ガイドラインどおり3週間のローディングがいらないのではないかということです。
今回は、各種大規模試験後で除細動対象としては初の前向き無作為化試験であり、この点も検討されてます。

ちなみに全体の58%が早期施行例です。

興味深いのは、待機例において、リバーロの方は平均25日投与したのに対し、VKAは34日かかっており、またリバーロでは21日内に77.0%がVKAでは除細動したのに対し、VKAではINRが不適切のため36.3%の人しか除細動できていなかったということです。まあリバーロのほうはマーカーがないからと言ってしまえばそれまでですが、アウトカムに差はなかったことから見ても、従来の方法に取って代わる可能性はあると思われます。

早期例でも、VKAで脳塞栓はNOACと同等程度だったようですが、イベント発生数自体非常に少ないので、なんとも言えません。
少なくとも3週を念頭に入れれば、ワルファリンより短期にできることは利点と言えそうです。1〜5日でOKかどうかはこの試験だけではどうでしょうか。可能性は見えるかと思われます。
by dobashinaika | 2014-09-03 21:12 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

ヨーロッパの心房細動診療大規模登録研究 (EORP-AF Pilot registry);EHJ誌

Prognosis and treatment of atrial fibrillation patients by European cardiologists: One Year Follow-up of the EURObservational Research Programme-Atrial Fibrillation General Registry Pilot Phase (EORP-AF Pilot registry)
Gregory Y.H. Lip et al
Eur Heart J (2014)doi: 10.1093/eurheartj/ehu374


疑問;ヨーロッパでの心房細動診療の現況はどうなっているのか?

方法:
・欧州心臓病学会所属9カ国の循環器医から、心電図上心房細動を呈した連続患者を登録
・3119例
・1年間追跡(2012年はじめ〜)
・評価項目:症状の進行、抗凝固薬、リズムコントロールとレートコントロール、死亡率および脳卒中/TIA/全身性塞栓症の規定因子

結果:
1)多くは無症候性:76.8%

2)発作性または持続性では症候性が普通

3)主症状は動悸、易疲労感、息切れ、

4)抗凝固薬使用率:〜78%:ビタミンK阻害薬(VKA)68.1%、NOAC 10.5%、抗血小板薬29.0%

5)登録時VKA例の84%はVKAのまま

6)登録時NOACの86%はNOACのまま。11.8%はVKAに変更。1.1%は抗血小板薬に変更

7)ジギタリスはレートコントロールに多数使用されている
ジギタリス49.0%、β遮断薬67.4%

8)リズムコントロール症例中;電気的除細動9.7%、薬理学的除細動5.1%、カテーテルアブレーション4.4%

9)死亡率:5.7% (心血管死70%)

10) 再入院411人 :理由=心房性不整脈、心不全

11)予後規定因子:
死亡+脳卒中/TIA/全身性塞栓症=年齢、CKD、心不全、悪性腫瘍、小出血
死亡のみ=年齢、CKD、TIA、COPD、悪性腫瘍、小出血、利尿薬
スタチン使用は低死亡率に寄与
ヨーロッパの心房細動診療大規模登録研究 (EORP-AF Pilot registry);EHJ誌_a0119856_21264173.gif


結論:このデータは、ヨーロッパの循環器医におけるESCの新しいガイドライン発表後初の心房細動診療に関するデータである。
全体としては抗凝固薬使用率は高いが、継続性においては問題があり、多くの例でそれまでの抗凝固薬を踏襲している。抗凝固薬の使用率が高いにもかかわらず、1年間の死亡率、合併症率は依然として高く、特に心不全と再入院が問題。

### 以前同試験の性差に関するアウトカムだけ紹介しましたが、今回は1年後のごろーアップの全データで、今開催中のESCで発表されたものです。

日本のJ-RHYTHM-Registryと比較したくなります。J-RHYTHM-Registryの方は2009年時点の結果でワルファリンのみですが、抗凝固薬投与率は87.3%でした。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/75/6/75_CJ-10-1119/_pdf

またJ-RHYTHM-Registryの死亡率はPT-INR別に見て、2年間で非warfarin群3.4%,PT-INR≦1.59群3.0%,1.6~1.99群2.7%,2.0~2.59群1.8%,2.6~2.99群1.7%,≧3.0群5.3%ですので、ESCより相当低いことがわかります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/77/9/77_CJ-13-0

対象年齢も68〜69歳でほぼ同じですが、やや違うのはリスクで、J-RHYTHM-RegistryのCHADS2スコアは0〜2点だけで77%くらいになりますが、EORP-AFではCHA2DS2-VAScスコア2点以上が80%でした。(スコアの基準が違いますが)

また、興味深いのは、2012年時点のデータではありますが、NOACは10%くらいで抗血小板薬がなんとまた30%弱に使われていることでしょうか。
いろいろ検討すべき内容が豊富な研究と思われます。
by dobashinaika | 2014-09-02 21:28 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心臓手術後の心房細動等へのコルヒチンの効果:JAMA誌

JAMA. Published online August 30, 2014. doi:10.1001/jama.2014.11026
Colchicine for Prevention of Postpericardiotomy Syndrome and Postoperative Atrial FibrillationThe COPPS-2 Randomized Clinical Trial
Massimo Imazio et al


疑問:心臓手術後の心タンポナーデや心房細動に、コルヒチンは有効か?

P:イタリアの11施設から登録差sれた心臓手術連続症例(2012.3〜2014.3);360例(平均67.5歳、69%女性、36%弁手術)
洞調律でない例、心移植、コルヒチン禁忌例は除く

E:コルヒチン180例:70kg以上 0.5mg1日2回, 70kg未満1日1回:術後48〜72時間で開始し1ヶ月持続

C: コルヒチン非投与180例

O:
主要評価項目=心膜切開術後症候群(3ヶ月以内)
注)心膜切開術後症候群は以下のうち2つを満たす:1)説明の付かない発熱 2)胸膜痛 3)心膜摩擦音増強 4)心嚢液 5)CRP上昇なしの胸水
二次j評価項目=心房細動または心嚢液貯留

T:無作為化二重盲検比較試験

結果:
1)主要評価項目:コルヒチン群19.4% vs. 対照群29.4%:絶対減少10.0%、NNT10
心臓手術後の心房細動等へのコルヒチンの効果:JAMA誌_a0119856_129146.png


2)術後心房細動;コルヒチン群33.9% vs. 対照群41.7%%:絶対減少7.8%、有意差なし

3)術後心嚢液または胸水:コルヒチン群57.2% vs. 対照群58/9%%:絶対減少1.7%、有意差なし

4)術後心房細動(on treatment解析);コルヒチン群27.0% vs. 対照群41.7%%:絶対減少14.2%、95% CI, 3.3%-24.7%

5)有害事象;コルヒチン群20・0%% vs. 対照群11.7%:絶対減少8.30%、NNH=12

6)服薬中断はおなじ、重篤な有害事象なし

結論:コルヒチンは心臓術後の心膜切開後症候群を有意に減らしたが、心房細動や心嚢液は減らさなかった。術後の消化器症状を軽減する可能性あり

### 現在バルセロナで行われている欧州心臓病学会でも発表されたCOPPS-2試験です・
コルヒチンは古い薬ですが、最近注目ですね。

最近だと狭心症二次予防に効くという報告があります。
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleid=1486716

以前、アブレーションの再発予防や心膜炎予防効果についてはブログでも触れています。
http://dobashin.exblog.jp/16589213/

今回はきっちりランダム割付されていてエビデンスレベルは高いようです。
術後心房細動は残念ながら有意に減らせなかったようですが、脱落例が多かったからと考察されています。
たしかに20%も有害事象があり多くは消化器症状ですが、用量設定に問題があったのかもしれません。

ほかに、心膜切開後症候群の症状の多くは、術後一過性の炎症に起因する要素が多いと思われますが、心房細動となると炎症だけで説明がつかない機序のmのもあるのかもしれないとも思います。

今後ともいろいろな疾患で注目したいです。
by dobashinaika | 2014-09-01 12:07 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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