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新規抗凝固薬の冠動脈リスク比較:BJCP誌

British Journal of Clinical Pharmacologyより

Comparative coronary risks of apixaban, rivaroxaban and dabigatran: a meta-analysis and adjusted indirect comparison
DOI: 10.1111/bcp.12376


【疑問】NOACの冠動脈リスクを比較するとどうか?

【方法】メタ解析。間接比較を補正。アウトカムが心筋梗塞、急性冠症候群の論文をサーチ

【結果】
1)27RCT検索

2)ダビガトラン対ワルファリン:OR 1.45, 95% CI 1.14 - 1.86

3)アピキサバン対ワルファリン:pooled OR 0.89, 95% CI 0.78-1.03

4)リバーロキサバン対ワルファリン:pooled OR 0.81, 95% CI 0.72 – 0.93

5)アピキサバン対ダビガトラン(修正後):OR 0.61; 95% CI 0.44-0.85

6)リバーロキサバン対ダビガトラン(修正後):OR 0.54; 95% CI 0.39- 0.76

7)ワルファリンとの比較による間接比較を制限した場合でも結果は同じ

【結論】急性冠症候群関しては安全性においてアピキサバン、リバーロキサバンとダビガトランで明らかな差があり

### Circulation上でも議論となったダビガトランの心筋梗塞リスクを、たのNOACと間接比較したものです。
統計的に補正しているようですが、あくまで間接比較なので、その点注意を
by dobashinaika | 2014-03-18 00:36 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

心房細動とがんの関係:JACC誌

JACC 3月18日号より

Insights Into Onco-CardiologyAtrial Fibrillation in Cancer
Dimitrios Farmakis, MD, et al
J Am Coll Cardiol. 2014;63(10):945-953. doi:10.1016/j.jacc.2013.11.026


【疑問】心房細動とがんの関係は?

JACCの最新号に心房細動がんの関係の関係に関する総説が掲載されています。

膨大ですので、エッセンスだけまとめます。

・がん患者において心房細動が診断される頻度が増加している。特に手術後の患者
・心房細動患者の2,4%にがんが合併
・がんと診断された患者の1.8%に心房細動が新たに発症
・新たに診断された患者では、血栓塞栓症は非がん患者の2倍、心不全は6倍

・これは、共通の生体内環境、腫瘍の直接的影響、手術や薬物による合併症ーーなどが機序として考えられる

・共通の分母としては炎症があげられる

・担がん患者の抗凝固療法はチャレンジングである

・がんは塞栓症、出血両者を増加させるからである

・CHADS2スコアは予測には適用されない
  ・出血リスクが高く単純に抵抗できない
  ・まずHAS-BLEDスコアで評価し、低出血リスクの場合にCHA2DS2-VAScスコアを適応する
心房細動とがんの関係:JACC誌_a0119856_23553391.jpg


・エビデンスがないので個々の対応を迫られる

・非がん患者対象のガイドラインや既存がん患者のエビデンスを参考にしながら行う

###がん患者さんというくくりで心房細動を考えたことは、ありませんでした。
しかし、最近他院から心房細動で紹介されてくる方の中にがん患者さんや、腫瘍専門医からの紹介が増えていることを実感します。

単に患者さんの高齢化とも思っていましたが、やはり共通の病態を考えるべきなのです。

抗凝固療法はたしかにやりにくいですが、そのがんがどのくらいのアクティビティで、塞栓と出血のリスクがどの程度なのか、について腫瘍内科あるいは、専門医としっかり連携を取る必要があると痛感します。

循環器内科医と腫瘍専門医とのコラボも必要な時代です。

NOACはがん患者さんの出血にはワルファリンに比べ、どの程度リスク減少があるのでしょうか?
各RCTはアクティブながん患者は除外基準に入りますので、なかなか明らかな情報はないかと思います。
ただ抗がん剤との併用は、ワルファリンよりはやりやすいと思われます。

今後注目すべき分野かと思われます。
以下はまとめの概念図です。
心房細動とがんの関係:JACC誌_a0119856_23555740.jpg

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by dobashinaika | 2014-03-14 23:57 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

発作性心房細動の第一選択治療は薬かカテーテルアブレ−ショーンか?:JAMA

JAMA2月19日号

Radiofrequency Ablation vs Antiarrhythmic Drugs as First-Line Treatment of Paroxysmal Atrial Fibrillation (RAAFT-2)A Randomized Trial
JAMA. 2014;311(7):692-700. doi:10.1001/jama.2014.467.


【疑問】発作性心房細動の第一選択治療は薬かアブレ−ショーンか?

P:未治療発作性心房細動127人:欧米の16施設からのエントリー、2006年7月〜2010年1月

E:抗不整脈薬群61人

C:アブレーション群66人

O:主要アウトカム:30秒以上持続する心房性不整脈が最初に記録されるまでの時間。定期的及び非定期的心電図、ホルター、電話伝送心電図使用
 副次アウトカム:症候性心房細動発症およびQOL (EQ-5D)

T:RCT、追跡2年

【結果】
1)主要アウトカム発生頻度:抗不整脈薬群72.1%vs. アブレーション群54.5%:HR0.56 (0.35-0,90), p=0.02

2)副次アウトカム(再発):抗不整脈薬群59%vs. アブレーション群47%:HR0.56 (0.33-0.95), p=0.03

3)重篤な副作用:死亡=両群ともなし、心タンポナーデ=アブレーション群4例

4)抗不整脈薬群では43%で1年後にアブレーション施行

5)QOL:両群ともベースラインからやや低下し、1年後に改善。改善度に差はなし

【結論】抗不整脈薬非投与の発作性心房細動例においては、アブレーションは薬物に比べ2年間での再発リスクを低く抑えた。しかしながら再発率は両群とも頻回であった。

###アブーレションは年間200例以上の施設からの登録です。抗不整脈薬はフレカイニド69%、プロパフェノン25%です。

心タンポナーデ4例ですが6.0%で多いですね。また2年でアブレーション群で54.5%の再発というのも多い気もします。心房頻拍も入れていますが。

nが少ないですね。もっともアブレーションか薬か、という選択自体患者さんにで持ちかけることが難しい命題ですが。
デンマークのMANTRA-AFも同様のRCTですが、こちらもnは294例程度ですがやはりアブレーションの方が2年間の累積時間が少ないとの結果でした。こちらのアブ群の非再発率は85%ですから、やや違う対象を見ているのか、あるいはデータの取り方の差かもしれません。

この論文からは、アブレーションいいようですがリスク、再発率を考えると超一押しまでには至っていないという印象を受けます。
by dobashinaika | 2014-03-13 19:44 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

ケアネットで連載「心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」始めました。

医療系サイトの「CareNet」で当ブログで取り上げた論文を見やすいスライドにまとめた
「Dr小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」の連載が開始されました。

このブログで日々取り上げている論文のうち、特に広く紹介したいと思うものが、コンパクトにまとめられています。

本ブロクをもうちょっとコンパクトに読みたいと思っておられる方。ぜひ、のぞいてみてください。
無料登録が必要です。

http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0001.html

ケアネットで連載「心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」始めました。_a0119856_13371887.png

by dobashinaika | 2014-03-12 13:40 | インフォメーション | Comments(0)

n-3系脂肪酸摂取量と心房細動発症にはUカーブ現象あり:EP誌

Europace 2月26日オンライン版より

A U-shaped association between consumption of marine n-3 fatty acids and development of atrial fibrillation/atrial flutter—a Danish cohort study
Europace (2014) doi: 10.1093/europace/euu019


【疑問】n-3不飽和脂肪酸と心房細動発症は関係あるか?

P:デンマークのDiet, Cancer, and Health Cohortに登録した50〜64歳患者57053人:1993〜1997年

E/C:n-3不飽和脂肪酸摂取量

O:心房細動発症

【結果】
1)13.6年間で3345例心房細動罹患

2)n-3不飽和脂肪酸と心房細動発症リスクにはUカーブ関係有り:中等度摂取(0.63g/日)で最低リスク

3)中等度摂取群は最低4分位群より13%リスク減少

4)5分位でみると:Q1レファレンスで各ハザード比:Q2 HR 0.92 (95% CI 0.82–1.03), Q3 HR 0.87 (95% CI 0.78–0.98), Q4 HR 0.96 (95% CI 0.86–1.08), and Q5 HR 1.05 (95% CI 0.93–1.18)

5)全魚類、脂肪豊富な魚、n-3不飽和脂肪酸、エイサコペンタ塩酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸も同様ののUカーブを描く

【結論】n-3不飽和脂肪酸消費量と心房細動発症リスクにはUカーブ関係が有ることを発見した。n-3不飽和脂肪酸の中等度摂取例において心房細動発症は最低リスクに近かかった。

### 以前のブログではこの両者は関係ないとの論文を紹介しました。
http://dobashin.exblog.jp/10203953/

より大多数の後ろ向きコホートではこのようなUカーブになるようです。あまり摂り過ぎるのもダメということのようです。
厚労省の食品摂取基準だとn-3系脂肪酸は50代男性で2.4g/日が推奨されていますので、0.63gというのはかなり少ないように見えますが。
http://www.glico.co.jp/navi/e07.htm

統計処理してあるとはいえ交絡因子は多数あるでしょう。
by dobashinaika | 2014-03-12 00:30 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

超高齢者におけるワルファリンのネットクリニカルベネフィット:Circ A/E誌

Circulation A/Eより

Net Clinical Benefit of Warfarin Therapy in Very Elderly Chinese Patients with Atrial Fibrillation
doi: 10.1161/CIRCEP.113.000858


【疑問】超高齢者のワルファリン治療におけるネットクリニカルベネフィットは?

P:80歳以上の非弁膜症性心房細動2,339人(中国人)

E:ワルファリン

C:抗凝固療法なし

O:複合エンドポイント:虚血性脳卒中による入院あるいは死亡:平均追跡2.2年

【結果】
1)主要エンドポイント発症:1861人、79.6% ワルファリン群66.9%、非抗凝固療法群80.8%;HR: 0.53, 95% CI:0.48-0.58, p<0.001

2)死亡率:ワルファリン群:HR: 0.40, 95%CI: 0.37-0.45,p<0.0001

3)虚血性脳卒中:ワルファリン群:HR: 0.64, 95%CI: 0.54-0.77,p<0.0001

4)ネットクリニカルベネフィット:虚血性脳卒中510に対し頭蓋内出血42

5)非抗凝固療法群年間虚血性脳卒中発症率:11.3%、頭蓋内出血発症率:0.6%
ワルファリン群年間虚血性脳卒中発症率:7.1%、頭蓋内出血発症率:1,1%

6)ネットクリニカルベネフィットはすべての高齢者においてワルファリンがより良好

7)脳卒中と頭蓋内出血の高リスク例においてネットクリニカルベネフィットが最も良い

8)高リスク例においてはワルファリンは、非抗凝固療法群にくらべ7.2〜8.0イベント/人年少ない

【結論】超高齢者では、ワルファリン治療は低い死亡率よ虚血性脳卒中率、ネットクリニカルベネフィットに関連していた。

### 高齢者でもワルファリンのネットクリニカルベネフィットは良好ということで、これまでの各種報告に沿った内容ですね。TTRは気になるところです。あとアドヒアランスや転倒リスクなども。全文に当たれれば調べてみます。

ただ、エンドポイント発症が79.6%って、いくら80歳以上でも多すぎないでしょうか?これも本文にあたってみたくなる点のひとつです。
by dobashinaika | 2014-03-11 00:12 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

エドキサバンと他の新規抗凝固薬の間接比較:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis 2月28日付オンライン版

Efficacy and safety of edoxaban in comparison with dabigatran, rivaroxaban and apixaban for stroke prevention in atrial fibrillation
http://dx.doi.org/10.1160/TH14-02-0118F.
Skjøth (1, 2), T. B. Larsen (1, 2), L. H. Rasmussen (1, 2), G. Y. H. Lip (1, 3)

【疑問】エドキサバンの有効性、安全性は他のNOACのに比べてどうか?:(間接比較)

【方法】Bucher法を用いて、エドキサバンと他の3NOACとのワルファリンを介した間接比較を施行

【結果】
1)高用量エドキサバンvs.アピキサバン:
有効性エンドポイント、死亡率、心筋梗塞、大出血:有意差なし
大出血、臨床上問題となる小出血:アピキサバンが少ない:ハザード比0.79(0.70−0.90)
消化管出血:アピキサバンが少ないハザード比0.72(0.53−0.99)

2)高用量vs. ダビガトラン110
有効性エンドポイント、安全性エンドポイント:有意差なし

3)高用量エドキサバンvs. ダビガトラン150
脳卒中/全身性塞栓症:ダビガトランが少ない:ハザード比0.75(0.56−0.99)
脳卒中:ダビガトランが少ない:ハザード比0.73(0.55−0.99)
出血性脳卒中:ダビガトランが少ない:ハザード比0.48(0.23−0.99)

4)高用量エドキサバンvs. リバーロキサバン
有効性エンドポイント、死亡率:有意差なし
大出血、臨床上問題となる小出血:リバーロキサバンが多い:

5)低用量エドキサバンvs. アピキサバン
脳卒中/全身性塞栓症:アピキサバンが少ない;ハザード比0.70(0.55-0.89)
脳卒中:アピキサバンが少ない:ハザード比0.70(0.55−0.92)
虚血性脳卒中:アピキサバンが少ない:ハザード比0.65(0.50−0.89)
大出血:アピキサバンが多い:ハザード比1.47(1.20−1.80)

6)低用量エドキサバンvs. ダビガトラン110
有効性エンドポイント:有意差なし
大出血、消化管出血:ダビガトランが多い

7)低用量エドキサバンvs. ダビガトラン150及びリバーロキサバン
脳卒中/全身性塞栓症;ダビガトラン、リバーロキサバンが少ない
大出血、消化管出血:ダビガトラン、リバーロキサバンが多い

【結論】
エドキサバンと他のNAOCを比較した初の報告である。間接比較は明らかに限界はあるにせよ、脳卒中予防においてNOAC間でいくるかの異なる効果があることは明らかとなった。そのことでわれわれは各患者のプロファイルにあった薬剤を選択することが許される(逆もまた言えるが)。

###紛らわしいので以下のようにまとめました。

<高用量エドキサバン>
対アピキサバン:有効性=、 安全性 エド<アピ
対ダビガトラン110;有効性=、 安全性=
対ダビガトラン150:有効性 エド<アピ、 安全性(出血性脳卒中) エド<アピ
対リバーロキサバン:有効性= 安全性 エド>リバーロ

<低用量エドキサバン>
対アピキサバン:有効性 エド<アピ、 安全性 エド>アピ
対ダビガトラン110;有効性=、 安全性 エド>ダビ
対ダビガトラン150:有効性 エド<ダビ、 安全性 エド>アピ
対リバーロキサバン:有効性 エド<ダビ 安全性 エド>リバーロ

これまでNOAC3剤の間接比較はやはりLip先生らの以下の検討があります。
http://dobashin.exblog.jp/15313418/
http://dobashin.exblog.jp/16839671/

また別のものもあります
http://dobashin.exblog.jp/15684086/

Lip先生らは間接比較の統計的処理法として"Bucher法”を採用しています。詳細は以下の論文に詳しいです。
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleID=1182715

ハザード比や95%信頼区間を各種計算式で処理する方法のようです。

ただこの方法でももともとの対象患者の属性の違いを補正することは困難だと思われます。
最も違うのは患者重症度で、RELYとARISTOTLEはCHADS2スコア1点以上、ROCKETAFとENGAGEAFは2点以上ですので、上記比較はエドとリバーロとの間のほうがより信憑性があるとも解釈できるかもしれません。
ただし、たとえばワルファリン群のTTRはROCKETAFとENGAGEAFとではかなり違いがあります。

またそもそも、先日のブログでとりあげたマクマスター大からの指摘では、脱落率に違いがあるとのことです。これを考えるとハザード比そのももを統計処理すること自体疑問視されるかもしれません。

では、だからといって全く間接比較を否定しまうのも問題かもしれません。直接比較が出ていない以上、注意しながらも勘案していく態度は妥当ではないかと思います。本文では、虚血性脳卒中をきたしたくなければダビガトラン150、高齢者など出血を避けたければダビ110,アピ、エドと言った選択肢を例にあげています。

でも最後の最後に"vice verca"って、どっちなんだ、っていう感じですが。
by dobashinaika | 2014-03-07 20:08 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

心房細動合併心筋梗塞例に対するワルファリン投与:JAMA

JAMA 3月5日号より

Warfarin, Kidney Dysfunction, and Outcomes Following Acute Myocardial Infarction in Patients With Atrial Fibrillation
Juan Jesús Carrero et al
JAMA. 2014;311(9):919-928. doi:10.1001/jama.2014.1334.


【疑問】腎機能低下例は、心筋梗塞のワルファリンによるアウトカムに影響するのか?

P;心房細動合併急性心筋梗塞生存者連続登録24,317人:スウェーデン。eGFR別に層別化

E:ワルファリン使用

C:ワルファリン非使用

O:1)複合エンドポイント:死亡、心筋梗塞、虚血性脳卒中による再入院 2)出血:出血性脳卒中、消化管出血による再入院。貧血につながる出血 3)退院1年以内の上記2結果のいずれか

T:コホート研究:SWEDEHEART登録:2003〜2010年

【結果】
1)退院時ワルファリン使用者は21.8%。CKD(eGFR60未満)は51.7%

2)一次エンドポイント:eGFRにかかわらずワルファリン使用者は非使用者よりリスク低い:eGFR60以上でハザード比0.73(0.65−0.81)

3)出血イベント:eGFRにかかわらすワルファリン使用者と非使用者でリスク同等:eGFR60以上でハザード比1.10(0.86−1.41)

4)一次と出血の集合アウトカム:eGFRによらずワルファリン使用者で低い:eGFR60以上でハザード比0.76(0.69-0,84)

【結論】ワルファリン治療は、心房細動合併心筋梗塞例において退院1年後の複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、脳梗塞)を減らし、出血は増やさず。この結果は腎機能に影響されない。

### RELYでもROCKET AFでも、ワルファリン群においてさえ腎機能低下に伴い出血リスクは増えたというデータが有るのですが、この登録研究ではあまり影響しないようです。iNRの管理状況がよかったからでしょうか?それとも非使用者でも出血イベントが多かったためか。全文にあたってみます。

同じスウェーデンからの報告では、特に高齢者で腎機能低下例では出血が多いようです
http://dobashin.exblog.jp/17265498/

抗血小板薬の併用状況も知りたいところです。

この結果からは、急性心筋梗塞患者が退院時に心房細動を合併していたら、腎機能低下をあまり気にすることなくワルファリンは必ず処方を考慮するという方向性が導かれますね。
あくまで観察研究ですが。
by dobashinaika | 2014-03-06 19:35 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

3月9日は脈の日:「心房細動週間」が提唱されました

3月4日、日本脳卒中協会と日本不整脈学会は3月9日を「脈の日」、3(みゃ) 月9(く)日、とし、3月9日から1周間を「心房細動週間」として、心房細動に関する市民啓発活動を実施することに決定したとのことです。

http://jsa-web.org/pulse/index.html
http://jhrs.or.jp/pdf/com_general201403_01.pdf

どのような啓発活動になるのか、注目したいと思います。
なかなか自分で脈を取ることはなれないと難しいですね。

なおこのことが発表された3月4日は、2004年に長嶋茂雄さんが脳梗塞を発症した日ですね。
奇しくもです。

私は「ありがとうの日」を思い浮かべしまいました。
by dobashinaika | 2014-03-05 22:12 | 心房細動:診断 | Comments(0)

新規抗凝固薬に関する大規模試験の問題点(その2):T/H誌

昨日からの続きです。

New oral anticoagulants for stroke prevention in atrial fibrillation: impact of study design, double counting and unexpected findings on interpretation of study results and conclusions
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-11-0918
N. C. Chan et al


<予期せぬ副作用>
1.各NOACともワルファリンより頭蓋内出血が少ない
2.高用量ダビガトランとリバーロキサバンで消化管出血が過多
3.ダビガトランで心筋梗塞が過多
4.低用量エドキサバンは、虚血性脳卒中が高率にも関わらず、血管死、全死亡は明らかに減少した

1)頭蓋内出血
・3NOACでワルファリンに比べた頭蓋内出血減少は強く一貫している:RR中間値0.40
・RELYとROCKETAFでは、脳内出血の大多数は頭蓋内出血(各46%、72%)。次が硬膜下出血(45%、24%)
・NOACは凝固因子を量的に抑えるので、局所の微小出血部位で組織因子絡みで大量に生成されるXaやトロンビンにより駆逐されてしまう。
このことが微小出血を大出血に変換させないことにつながる
・対するワルファリンはXaやトロンビンを修飾し、微小出血部位で組織因子に関連する凝固因子(VIIと思われる)を抑える
・このことは実験レベルで証明済み

2)消化管出血
・ダビ150,リバーロ、エド60はワルファリンに比べ、消化管出血率を増やした
・一方、アピは消化管出血減少傾向を認め、エド30は明らかに減らした:出血減少としては最も地味であるが
・これらの薬剤は消化管において活性型として高濃度に配置される
・ダビ150が糞便中の薬物濃度が最も高い
・NOAC(リバーロ除く)のうち、ダビは上部下部消化管で出血率は同等だが、アピ、エドは上部に多い(2/3)。
・ダビは吸収がpoorで、エステル化による生物学的活性化による活性化された薬剤が腸管に高濃度に残るためであろう。

3)心筋梗塞
・ダビはワルファリンに比べ、心筋梗塞リスク増加と関連した:キシメラガトランなども同様
・Xa阻害薬にはその傾向なし
・メカニズム不明
・影響は軽微だが、統計的には明らか
・プラークラプチャーした部位でのトロンビン凝集を妨げる力の違いかもしれない

<低用量エドキサバンの死亡率低下>
・ENGAGE AFでは、エドキサバンは15〜60mgという4倍のスパンの用量設定がなされた
・低用量エドキサバンは、ワルファリンより虚血性脳卒中を明らかに減らし(ARR0.55%/年)、血管死も減らした(ARR0.46%)
・死亡率も低下させ、出血減少がこれに寄与した:大出血ARR1.82%、致死的出血ARR0.25%:多くは頭蓋内出血減少
・低用量エドキサバンとワルファリンの死亡率減少の差は、頭蓋内出血減少だけでは説明不可能:致死的脳卒中のARRは0.07%、死亡率のARRは0.55%
・他に死亡率減少の理由としては血管死の減少がある
・大出血が、非出血性血管死に寄与しているとするのは妥当:機序として抗凝固薬の中止、低血圧、過凝固など

【考察】
・再評価によって見えてきたこと
1)有効性のアウトカムから頭蓋内出血を省くと、虚血性脳卒中の減少効果でワルファリンより優れたのは高用量ダビのみ

2)リバーロキサバンとエドキサバン60のITT解析での優越性欠如は、高い早期脱落率によるものであり、間接比較の問題を浮き彫りにした

3)ダビ、リバーロ、エド60は消化管出血増加に関連

4)特に低用量NOAC使用で、出血減少に伴い死亡率が減少

・アピとエド30は出血高リスク例にアピールする:消化管出血増加に関連せず

・エド30はワルファリンより脳梗塞が高率だがアピは脳梗塞の低い傾向

・リバーロとエド60は1日1回が強みだが、消化管出血はワルファリンより多い

・ダビ150は、非出血性脳卒中をワルファリンよりも減らす唯一のNOACであり、2012ESCガイドラインでもアピ、リバーロ内服中の脳梗塞高リスク例には推奨された:ただし消化管出血、心筋梗塞は増やすのでそうしたリスクのある例には注意

・直接比較はない時点では、NOAC間の選択は虚血性脳卒中予防、大出血リスク(頭蓋内出血と消化管出血)、心筋梗塞リスク、死亡率と1日1回という便利さを検討することに影響を受けるであろう。

【結論】4NOACは、より便利で、頭蓋内出血を減らし、少なくとも脳卒中/全身性塞栓症予防に効果的であり、死亡率を減少させる。NOAC間の相対的な有効性と安全性についての明確な結論は、直接比較がない以上控えるべき。

### 最後の1文が全てのように思います。その割には結構大胆に使い分けに関して述べているように思いますが。。中断率が高いためNOAC間比較は難しいという指摘が一番目を引いたように思います。

現時点では4NOACを上記のようないろいろな観点から優劣を考えて使い分けすること自体、医師の”好み”の問題に帰結せざるを得ないというのが本当のところだろうと思います。まあこの件に関しては、論じればキリがないですが、疲れたのでこの辺で。
by dobashinaika | 2014-03-05 01:10 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(1)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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