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イグザレルト中和薬の概要;日本語プレスリリース

昨日ご紹介した、イグザレルトの中和薬に関して、バイエル薬品から日本語訳のプレスリリースも出ています。
http://byl.bayer.co.jp/html/press_release/2013/news2013-02-12.pdf

イグザレルトと似た構造式で、なおかつイグザレルトと結合し、活性を低下させるとのことです。「おとりとして」の役割という表現があり、おそらく似た構造式でXa阻害作用の無い構造部分が、Xaと接触するようになり、結果Xa抑制が外れるようなイメージでしょうか。推測ですが。

追記です。
by dobashinaika | 2013-02-14 20:00 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

イグザレルトに対する中和薬の第I相臨床試験の話題など

Janssen Pharmaceuticals社からリバーロキサバンに対する中和薬(PRT4445)の第I相臨床試験が開始されることが発表されています。
このくすりについては、”a novel recombinant protein”くらいしか記載がなく詳細は不明です。
http://www.janssenpharmaceuticalsinc.com/news-center

すでにダビガトランでは、同様の中和薬に関する第I試験について発表がなされています。
http://dobashin.exblog.jp/16751720/

何れにしてもいい薬が出ることを期待したいです。


もうひとつ、第3のNOAC(新規経口抗凝固薬)、エリキュースについてブリストル・マイヤーズ(BMS)とファイザー社からプレスリリースが出ています。
ご参照下さい。
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/43800/Default.aspx
by dobashinaika | 2013-02-13 18:32 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)

心房細動の心拍数80未満を達成できた例と110未満との間でアウトカムに差なし:RACE II試験サブ解析

JACC 2月19日号より

Rate Control Efficacy in Permanent Atrial Fibrillation: Successful and Failed Strict Rate Control Against a Background of Lenient Rate Control
Data From RACE II (Rate Control Efficacy in Permanent Atrial Fibrillation)
J Am Coll Cardiol. 2013;61(7):741-748. doi:10.1016/j.jacc.2012.11.038


【疑問】RACE II試験で、心拍数の厳格コントロールを達成した例と緩徐コントロール群を比べるとアウトカムに変化があるか?

P:RACE II試験登録例:オランダの33医療施設で以下の基準を満たした心房細動患者614名。基準:12か月以上続いた永続性心房細動、80歳以下、安静時平均心拍数80/分以上、抗凝固療法施行。

E:厳格コントロール達成群:心拍数80/分未満=203例
  非達成群=98例

C:緩徐コントロール群:心拍数110/分未満=307例

O:一次エンドポイント:複合エンドポイント=心血管死、心不全による入院、脳卒中、全身塞栓症、大出血、失神、心室頻拍、心停止による入院、薬剤による生命を脅かす副作用、ペースメーカーやICDの植え込み。二次エンドポイント:一次エンドポイント+全死亡。追跡期間:最低2年、最大3年

【結果】
1)到達心拍数:達成群72 ± 7/分、非達成群86 ± 14/分、緩徐群93 ± 8/分(p < 0.001)

2)一次エンドポイント:達成群14.2%、非達成群15%、緩徐群12.1%(p=0.5)

3)一次エンドポイントの各要素、QOLは各群で差なし
心房細動の心拍数80未満を達成できた例と110未満との間でアウトカムに差なし:RACE II試験サブ解析_a0119856_23133063.jpg


【結論】永続心房細動において、厳格な心拍数管理が成功してもアウトカム改善にはつながらない。故に緩徐コントロール群が第一選択であろう。

### RACE II試験では「心拍数を厳格に管理しようとした群」では緩徐コントロール群とアウトカムで変わりはなかった訳ですが、実際レート80未満に管理できた例だったらアウトカムはよかったのでは、という臨床上の疑問の元に行われた後付け解析です。

あくまで後付けですと、本来の無作為割り付けの意味がなくなり、患者背景などにばらつきが生じる恐れがありますので、あくまで参考データとして捉えるとよいと思います。

実際データをよく見ますと、レートが早い場合(緩徐コントロール群)に一番の不利と思われる心不全イベントが、厳格コントロール達成群とも、非達成群とも全く変わらないことがわかります。筆者は、心不全をきたすのは、(110より)もっと早いレートを要するためとしています。
おそらくそうなんでしょう。平均心拍数で110未満ならそれほど血行動態に影響を与えないということだと思われます。

むしろ厳格群の方がアウトカムの方が悪い傾向にあるのもやや気になります。使用した薬剤(べータブロッカー、ジギタリスなど)のadverse effectも考慮すべきなのでしょうか?


RACE II試験についてはこちら
http://dobashin.exblog.jp/10211952/

原各群と緩徐群でQOLが変わらないとしてサブ解析はこちら
http://dobashin.exblog.jp/13796669/

心房細動のレートコントロールに関する総説はこちら
http://dobashin.exblog.jp/14206464/

心房リモデリングと緩徐コントロールとの関係についてはこちら
http://dobashin.exblog.jp/13315365/
by dobashinaika | 2013-02-12 23:14 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

超高齢者の心房細動管理などなど

休みの日なので、というわけでもないですが、ちょっとだけ宣伝を

CardioVascular Contemporary(メディシンラトル社)というとってもおしゃれな雑誌に「超高齢者の心房細動管理」という題名で拙文を寄せました。
ガイドラインには80歳以上の心房細動に対する抗凝固療法のことなど、さらっとしか触れていませんが、実はリアルワールドでは、80歳以上で通院して来られる心房細動の実に多いのです。これプライマリケア医皆の実感だと思います。
http://cvc-journal.com/index.html
超高齢者の心房細動管理などなど_a0119856_2216185.jpg


今後この傾向はますます強くなると思われます。おそらく5年後、いや3年後には間違いなく抗凝固療法の主問題となるだろうと思っています。

何しろエビデンスがない。しかし現場では対応しなければならない。その辺のことをちょっと書いております.書店では手に入りにくいですが、もし御興味ある方は入手していただければ幸いです。

あわせて、最近出版されました不整脈の専門書「不整脈概論 専門医になるためのエッセンシャルブック」(メジカルビュー社)という専門書で「心房細動の病態、病因」についても書かせていただいております。

長らく病院の現場を離れており、こうした基礎的な教科書を書けるような知識も見識もないのですが、これまでの年輪の蓄積だけをたよりに書いております。

こちらはちょっとというか、かなり高額ですので、不整脈の専門知識を深めたいという方、よろしければアクセスしてみてください。
http://www.medicalview.co.jp/catalog/ISBN4-7583-1404-7.html#mokuji
超高齢者の心房細動管理などなど_a0119856_22143997.jpg

by dobashinaika | 2013-02-11 22:19 | 不整脈全般 | Comments(0)

英国のGPにおいて心房細動抗凝固薬適応患者の1/3強に抗凝固薬が処方されていない

HEART 2月7日付オンライン版より

The use of anticoagulants in the management of atrial fibrillation among general practices in England
Heart doi:10.1136/heartjnl-2012-303472

【疑問】イギリスのgeneral practiceにおいて心房細動に対する抗凝固療法の現状はどうなっているのか?

P:イギリスのGP1857施設に通院する、心房細動既往例231,833人

O:抗凝固薬、抗血小板薬の使用状況(CHADS2スコア別、年齢別)。

結果:
1)心房細動患者:GPにおける登録患者1310万人のうちの1.76%

2)各施設間で患者数に差があり、その差はその期間の患者年齢に関連:65歳以上の患者数が心房細動例数を強く規定する

3)心房細動患者の57.0%はCHADS2スコア2点以上。83.7%は1点以上

4)抗凝固薬:114,212人49.3%が服薬。この割合はCHADS2スコアの増加に連れて上昇するが3点以上でプラトーに達する

5)CHADS2スコア2点以上のうちの抗凝固薬使用:54.7%。11.3%は抗凝固薬禁忌または拒否。残り34.0%は禁忌や拒否の記載なし

6)抗凝固薬非服用のうち79.9%で抗血小板薬投与

7)抗凝固薬服薬例(CHADS2スコア2点以上):80歳以上vs. 80歳未満=47.4%vs. 64.5%, p<0.001

8)抗血小板薬は高齢者でより飲まれていた
英国のGPにおいて心房細動抗凝固薬適応患者の1/3強に抗凝固薬が処方されていない_a0119856_1925716.gif


結果;抗凝固薬の適応と思われる心房細動患者の1/3以上で服薬されていなかった。抗凝固薬非投与例では、高率に抗血小板薬が投与されていた。80歳以上で特に投与されていなかった。

### 英国のGPですらやはりこのような現状なんですね。NOACが出てからどうなったが興味深いですが。

ちなみにドイツの医療機関(GPとは限らず) のデータはこちら
http://dobashin.exblog.jp/15590515/
抗凝固薬処方はCHADS2スコア2点以上の40%のみです。

アジア諸国の専門医の現状はこちら
http://dobashin.exblog.jp/16645824/
日本は79%で1位、中国、韓国などは40%です。ただしチャズ2点以上はどの国も70%位です。

こうしたデータは取り方に差がありますし対象がかなり違うため、取り扱いには注意が必要です。
by dobashinaika | 2013-02-08 19:27 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

リバーロキサバンにより巨大左心耳血栓が消失した1例の報告

Thrombosis and Haemostasis 1月24日付けオンライン版

Resolution of giant left atrial appendage thrombus with rivaroxaban
http://dx.doi.org/10.1160/TH12-11-0821


64歳男性
・持続性心房細動の除細動目的で入院
・入院時NYHA III
・虚血性心疾患、虚血性心筋症、CKDステージ3B〜4(CCr29)
CHA2DS2-VAScスコア6点。ワルファリン服用中、INR管理不良

・経食道エコーで左心耳尖端に11x12mmの小血栓有り(A)
・除細動を6週間延期し、ワルファリンをINR2.5~3.5(実際は2.1~4.2、平均3.2)になるようにコントロール
・6週後のエコーでむしろ血栓は増大(12x45mm)し左心耳からが飛び出そうになっていた(B)

・ワルファリンの効力発揮は遅く、ビタミンKに依存する
・大血栓の溶解能力には乏しいとのエビデンスは増えつつある
・そこでリバーロキサバン15mg1日1回経口投与に変更

・4週間の経食道エコーで血栓は退縮傾向を認め(C)、6週後には完全に消失した(D)
・電気的除細動は成功し、患者は退院となった

・このレポートはリバーロキサバンの血栓溶解を示した初のレポートであり、新規FXa阻害薬のいくつかの重要な特徴を明示している

・第一に、ワルファリンと異なりFXa阻害薬はその場での新たな血栓増大を抑制し、さらに重要なことに形成された血栓を溶解するポテンシャルを持つ
・そのため、血栓誘発性のフィブリノペプタイドA生成をヒルジン同様に抑制する
・第二に、腎不全患者では低用量リバーロキサバンが心—塞栓リスクを十分減らすものと思われる
・第三に、リバーロキサバンは限られた時間内での血栓溶解が可能であった。それゆえ同様のケースにおける治療オプションとして期待できる
・特に左心耳血栓はワルファリン投与者の40%では残存しており、予後不良に関連していると言われている。
・大規模試験が待たれる。
リバーロキサバンにより巨大左心耳血栓が消失した1例の報告_a0119856_23481621.jpg


### ワルファリンでむしろ左心耳血栓が増大し、リバーロキサバンで退縮したという症例です。平均INR3.2と厳しく管理していながらワルファリンで血栓が大きくなったのはなぜなのか?

この方の腎機能はかなり低く、普段からINR管理が不良であったことから、じつはINRは日々かなり変動していたのではないかと思われます。また急にワルファリン投与を厳しくしたために、一時的にプロテインC,Sなどが抑制され過凝固に陥ったのか、、、

このような例では低用量リバーロキサバンであれば、むしろワルファリンより安定した血中濃度が得られ、血栓溶解能が優れているのかも知れません。その意味ではアピキサバンも期待ができるかもしれません。

1例報告ですので、多数例での報告が待たれるところ。
by dobashinaika | 2013-02-07 23:50 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

新規抗凝固薬からワルファリンへ切り替え時の塞栓症に注意:ROCKET-AF試験後付け解析

JACC 2月12日号より

Outcomes of Discontinuing Rivaroxaban Compared With Warfarin in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation
Analysis From the ROCKET AF Trial (Rivaroxaban Once-Daily, Oral, Direct Factor Xa Inhibition Compared With Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation)
J Am Coll Cardiol. 2013;61(6):651-658.


【疑問】リバーロキサバンを中止した場合、ワルファリンに比べて脳塞栓などのアウトカムに違いはあるのか?

P:ROCKET-AF試験対象例(post-hoc解析)

E:リバーロキサバン群(一時的または永久使用中止例)

C:ワルファリン群(一時的または永久使用中止例)

O:3日以上の一時的中止後30日以内または永久中止後早期(3日〜30日)、または試験終了後にオープンラベル試験に移行する時期(3日〜30日)での脳卒中または全身性塞栓症

結果:
1)一時的中止後の脳卒中または全身性塞栓症;リバーロ群6.20/100人年vs. ワルファリン群5.05/人年、p=0.62

2)永久中止後早期:リバーロ群25.60/100人年vs. ワルファリン群23.28/人年、p=0.66

3)オープンラベルへの移行期:リバーロ群6.42/100人年vs. ワルファリン群1.73/人年、p=0.0044

4)至適INRへの回復時間:リバーロ群の方が遅い

5)塞栓症イベント(脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血管死):有意差なし

結論:一時的中止あるいは永久中止後の早期においては両群でイベント差はなし。試験終了後のオープンラベルへの移行期において,リバーロ群の方がワルファリン群よりイベントが多い。この時期の抗凝固療法のカバーの重要性が強調されるべき。

### 一時的中止とは、手術その他の理由による3日以上(論文では平均6日間)の短期の中止のことです。一方大出血等の何らかの理由による永続的な中止およびオープンラベルへの移行期は、終了後3〜30日間のイベントを比べています。以前から指摘されているようにROCKET-AF試験は試験終了後にワルファリンを再開する際に前薬とのオーバーラップ期間を設けておりません。リバーロはすぐ体からはけますが、ワルファリンは至適INRになるまで2−4週くらいかかります(ワルファリンを以前服用していて至適用量がわかっている人は別ですが)。この論文でも30日後にINRが2以上になっているのは48.8%!にすぎません。これでは塞栓症を起こすのも当然ですね。

この論文は以前から言われていた、この試験の弱点というか、他の試験の新規経口抗凝固薬(NOAC)に比べリバーロがワルファリンより優位性を持たなかった理由の一つを、改めて論文化したものと言えます。

この欠点を受けて次のアピキサバンのARISTOTOLE試験ではオーバーラップ期間を3日間も受けたのですね(3日間でも足りない気もしますが)。

まあ試験のやり方の議論は専門の先生に任せるとして、わたしもNOACについてこれまでいろいろ経験してきたなかで、このNOACからワルファリンへ切り替える際が最も気を使うと言うか、トラブルが多いことを痛感しています。

逆はいいです。ワルファリン→NOACはそれほどトラブルはありません。ワルファリンは意外と速やかに体からはけます。

その逆は大変です。ワルファリンが至適INRに到達する時間は、本当に個人差が大きいです。1週間1mg/日ですぐINR2以上になる人もいれば、4週かかる人もいます。VKORC1の発限度の差が最も出る期間です。この個体差があるため、オーバーラップの時期も一律には決めがたいのが実情と思います.

この間、頻回に外来に来てもらい採血することになりますが、患者さんは大変です。できることなら一度NOACを始めたなら、ワルファリンに戻したくない。これが使用経験のある医師皆のホンネではないかと思います.
by dobashinaika | 2013-02-06 19:09 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

ワルファリン服用患者の腎機能低下は大出血と関係があり、血栓塞栓症とは無関係

Thrombosis Research 1月23日付けオンライン版より

Estimated glomerular filtration rate is associated with major bleeding complications but not thromboembolic events, in anticoagulated patients taking warfarin
http://dx.doi.org/10.1016/j.thromres.2013.01.006

【疑問】ワルファリン管理良好例において、GFRは出血や塞栓のリスク因子となるか?

P:スウェーデンのSkåne University Hospitalの抗凝固療法センターで2008年に抗凝固薬を処方された登録患者3536人(2875治療年)

E/C:eGFR別

O:大出血、動脈あるいは静脈血栓

結果:
1)出血イベント=2.6/100治療年。血栓イベント=1.8/100治療年

2)平均TTR74.5%

3)大出血は年齢、INR>3.0であった時間の割合に関係

4)GFR30未満は特に高齢者で出血イベントと関係があった

5)GFRは血栓塞栓イベントとは無関係
ワルファリン服用患者の腎機能低下は大出血と関係があり、血栓塞栓症とは無関係_a0119856_23182737.jpg


結論:良好にワルファリンが管理された群では腎機能が正常であれば大出血リスクは低い。良好な管理にも関わらず、重症腎機能低下者の年間大出血リスクは高い。

### この論文を待つまでもなく、RE-LY試験やROCKET-AF試験でもワルファリン群における大出血は腎機能と関連があることが示されていますね。腎代謝でもないワルファリンがなぜ?との疑問は当然起こります。

もともと腎機能(eGFR)は動脈硬化の指標と考えれば、腎機能低下は出血リスクと関連あると思われますが、具体的には腎機能低下によるCYP活性の低下やワルファリンのタンンパ結合率の変化で、ワルファリンの血中濃度が上昇するためとも言われていますね。

腎機能低下が効きすぎの方に作用するということです。そういえば腎機能はCHADS2スコアにもCHA2DS2-VAScスコアにも入っていませんが、HAS-BLEDスコアには入っていますね。
by dobashinaika | 2013-02-04 23:20 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

抗血栓薬─止める勇気? 止めない覚悟!:雑誌「消化器内視鏡」1月号特集

医学雑誌「消化器内視鏡」の1月号で「抗血栓薬─止める勇気? 止めない覚悟!」と題して、内視鏡検査時の抗血栓薬について特集が掲載されています。

ガイドラインの解説から、内視鏡施行時の注意点、循環器医師の本音、脳血管系医師の本音などまで、この分野の話題が万遍なく網羅されており、新ガイドライン発表後としては、最も勉強になる出版物だと思われます。

手前味噌で恐縮ですが、わたしも1編駄文を寄せさせて頂きました。
もし機会がありましたら、ご笑覧いただければ幸いです。

http://www.tokyo-igakusha.co.jp/f/b/show/b01/533/zc01/2.html
by dobashinaika | 2013-02-02 19:09 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

ヨガは心房細動患者の血圧、心拍数、QOL、不安、うつを改善する

JACC 1月30日付けオンライン版より

Effect of Yoga on Arrhythmia Burden, Anxiety, Depression, and Quality of Life in Paroxysmal Atrial Fibrillation:The YOGA My Heart Study
doi:10.1016/j.jacc.2012.11.06
0

【疑問】ヨガは心房細動の負担軽減やQOLなどの改善に有効か?

P:症候性発作性心房細動(University of Kansas Hospital and Medical Center)
連続103例中、試験を遂行できた49症例

E:少なくとも週2回、1回60分、15~20人のグループでインストラクターの指導のもとに3ヶ月施行

C:同一患者で、ヨガ施行前3ヶ月間、ヨガ非施行期間

O:心房細動の症状の変化、心房細動ではない症状、無症候性心房細動、SF-36(QOLスコア)、SAS(不安スコア)、SDS(うつコア)

結果:
1)症候性かつ心房細動エピドード:ヨガ施行により3.8回→2.1回、p<0.001

2)症候性かつ非心房細動:2.9回→1.4回、p<0.001)

3)無症候性心房粗動;0.12→0.04、p<0.001)

4)不安、うつスコア:改善、p<0.001

5)身体機能、一般健康状態、活力、社会的機能、メンタルヘルスに関するSF-36:改善、p<0.001

6)心拍数、収縮期および拡張期血圧;低下、p<0.001

結論:発作性心房細動患者において、ヨガは症状、不整脈持続時間、心拍数、血圧、不安およびうつスコア、QOLを改善した。

### 同一コホートを対象に対照期と介入期を設けて群内比較するいわゆるtime-series designです。このデザインの利点は、当たり前ですが、同一集団なので患者背景が同一であることです。欠点はいろいろあって、時間的経過による学習効果、時期効果(単なる時間的経過による改善効果)、平均への回帰現象(あらゆる事情は時間経過ともに平均値に回帰する)などです。まずそのバイアスを差し引いて考えましょう。

血圧、心拍数などは比較的客観的指標ですが、QOL、症候性エピソードの回数などはバイアスが入り込みやすい指標です。

ヨガの効果は、各種心疾患でも報告されており、確かに自律神経系特に迷走神経系の賦活に有効とされています。実際には迷走神経緊張は心房細動を誘発する可能性もある訳ですが、そこまでは行かないレベルでうまくヨガの効果が発現するのかもしれません。まあこの論文だけでそれが言えるだけのエビデンスレベルには至っていないと思われますが。

心拍数、血圧だけでなく、生化学的なマーカーやホルターでのL/H比なども見ていれば、より格調高いペーパーになったかもしれません。

座禅、アロマテラピー、太極拳etcなどはどうなんでしょうか?
by dobashinaika | 2013-02-01 23:23 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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