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高齢者透析患者における心房細動罹患の傾向

Circulation 10月3日オンライン版より

Trends in the Incidence of Atrial Fibrillation in Older Patients Initiating Dialysis in the United States
doi: 10.1161/ CIRCULATIONAHA.112.09960


米国における高齢の透析患者における心房細動の罹患率

背景:65歳以上の透析患者の1/6は心房細動を合併しているが、その罹患率については明らかでない

対象:67歳以上で過去2年以内に心房細動の診断がついていない患者258,605名。メディケアの1995〜2007年データ

結果:
1)罹患率148/1000人年

2)1995年から2007年までに罹患率は11%上昇

3)非ヒスパニック系白人に比べてアフリカン・アメリカン(-30%) 、アジア人(-19%)、ネイティブアメリカン(-42%)、ヒスパニック(-29%9はいずれも罹患率が低い

4)心房細動罹患後の死亡率は22%減

5)虚血性脳梗塞はより減少した

結論:高齢の透析患者における心房細動罹患率は高く、13年間で増加している
。死亡率は減少しているが、死亡の50%長が心房細動診断後1年以内である。ワーファリン処方のデータがないので、予後改善傾向が抗凝固療法に由来するかどうかは検証不可。

### フラミンガム研究では70歳以上の男性の2年間新規発症率(発作性)1000人年あたり12.7人=1年間6.35人です。久山町研究では70代男性で7〜8人/1000人年です。いずれも本データとはひとケタふたケタ違います!

予後改善傾向は、虚血性脳梗塞がより顕著に減っていることから抗凝固療法の寄与が考えられますが、降圧療法その他の質の向なども大きいと推察されます。
by dobashinaika | 2012-10-18 23:21 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

神の残したいたずら「左心耳」を結紮するデバイス"LARIAT"の臨床成績

JACC 10月10日オンライン版より

Percutaneous Left Atrial Appendage Suture Ligation Using the LARIAT Device in Patients With Atrial Fibrillation
Initial Clinical Experience
doi:10.1016/j.jacc.2012.06.046


左心耳結節デバイス“LARIAT”の臨床成績

【方法】
・対象:経皮的左心耳結紮デバイス”LARIAT”により左心耳結紮術を行った心房細動89例
・LARIATは左心耳の上から心外膜経由で、予め結んである縫合糸とスネアからなる
・左心耳結紮は経食道エコーと造影により、直後、1日度、30日後、90日後、1年後に行われる。
神の残したいたずら「左心耳」を結紮するデバイス\"LARIAT\"の臨床成績_a0119856_2391834.png


【結果】
・成功率;85/89人96%。81人は直後に結紮完成。

・3人で2mm以下の残存リーク。1人で3mm以下のジェット

・合併症
 ➢デバイス由来の合併症なし
 ➢アクセル由来の合併症:3例
 ➢重症心膜炎;2例
 ➢遅発性心嚢液:1例
 ➢原因不明の突然死2例
 ➢塞栓とは考えられない遅発性脳卒中:2例

・長期成績:経食道エコーによる評価での左心耳閉鎖率
 ➢1か月後:81/85、3ヶ月後:77/81。成功率95%
 ➢1年後:98%(リーク例3例含む)

【結論】LARIATによる左心耳縫縮術は、効果的であり、アクセスに伴う合併症と周術期有害事象は許容出来る程度。

### 左心耳閉鎖デバイスには、すでに大規模に治験が行われているWatchmanがありますが、こちらのLARIATはなんと心外膜からアクセスして、左心耳を外からスネアで結びあげてしまうという大胆な発想のデバイスのようです。

13名のヒトに応用した研究は既にブログに書きました。
http://dobashin.exblog.jp/12018959/

高い成功率ですが、気になるのは合併症でやはり心膜炎や心嚢液貯留が数例あるようです。何より原因不明の突然死というのが、非常に気になります。

今のところ適応はどう考えたらとよいのでしょう。ワーファリンなどが飲めない方限定なのでしょうか。もっとデバイスが簡便になれば、「肺静脈隔離+左心耳デバイス両方で2時間で心房細動根治!」などという時代が来るのでしょうか?

これはでも、手先が器用な日本人向けのデバイスのような気がします。UFOキャッチャーの得意な人向きでは?

なお”LARIAT”と聞いてスタン・ハンセンが思い浮かぶ方は同年代ですね(笑)
by dobashinaika | 2012-10-17 23:16 | 心房細動:左心耳デバイス | Comments(0)

ワーファリン用量調節のアルゴリズムの妥当性に関するRE-LY試験サブ解析

Circulation オンライン版より

Variation in Warfarin Dose Adjustment Practice is Responsible for Differences in the Quality of Anticoagulation Control between Centers and Countries: An Analysis of Patients Receiving Warfarin in the RE-LY Trial
doi: 10.1161/ CIRCULATIONAHA.112.101808


ワーファリン用量調節とTTR (time in therapeutic INR range)、アウトカムとの関係についてのRE-LY試験サブ解析

P:RE-LY試験でワーファリンを割り付けられた群6022人;912医療施設、44カ国

E/C:ワーファリン用量調節のアルゴリズム(適正範囲内は変更なし、逸脱時週あたり10〜15%の用量変更)に合致した用量の処方割合

O:TTR、複合アウトカム(脳卒中、全身性塞栓、大出血)

結果:
1)アルゴリズム通りの用量設定と国別の平均TTRは相関あり

2)施設間のTTRの変動の87%、国別の変動の55%はアルゴリズムの一致の程度による

3)施設でのアルゴリズムの一致率が10%上昇すると、TTRは6.12%上昇することが予想され、複合アウトカムは8%減少することが予想される。

結論:単純なワーファリンアルゴリズムに対してのアドヒアランスは、故意か否かにかかわらず、TTRとアウトカム改善を予測する。アルゴリズムに基づいた用量調節システムは抗凝固療法の質を向上させ、地球規模での心房細動アウトカムを改善させる。

### 日本では各人、各専門家の経験則で決められるワーファリン用量ですが、機械的に行なってもアウトカムが良いということです。これまでワーファリン用量設定アルゴリズムの予後改善効果の証明はなされていないと思いましたが、今回RE-LYで示されています。至急原著論文に当ります。
by dobashinaika | 2012-10-16 23:51 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

”森口騒動”で考えたこと-「科学における不正行為」と「メディアの誤報」そして科学リテラシー

今日は、心房細動を離れて先週来続いているいわゆる「森口騒動」についてちょっと考えたことをつらつらします。

今日昼休みたまたまテレビを見たら、件の「森口氏」の自宅の賃貸がどうのこうのとかといったまさしく瑣末なことをとりあげ、これまでにもあった捏造行為や経歴詐称の非を厳しくあげつらう内容でした。

もちろん件の氏に「不正行為」があったことは間違いなさそうだし、それに関する検証と責任の追求は、今後のiPS細胞の臨床応用にも大きな影響を与えるだけに、しっかり行われるべきであると思います。

しかし、こうした「科学における不正行為」は以下のWikipediaを参照するまでもなく、古今東西各分野で枚挙に暇がありません。誤解を恐れずに言えば科学に不正行為はつきものと言っても過言ではないかもしれません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/科学における不正行為

まず押さえるべきは、科学者がこのようにくりかえし不正行為をしてしまう大きな構造、例えば容易にデータを改ざんできてしまうような組織内部の構造、スポンサーとの利益相反、論文の査読体制など、こそなのです。そしてそうした構造を生み出すに至る虚栄心、功名心、要するに人間心理のエゴにまでメスを入れるべきなのです。

メディア(特にワイドショー的な番組)にそこまで求めることは酷としても、そうした「構造」を検証することなしに個人の非ばかりを強調する報道姿勢には暗澹たる気持ちにさせられるのです。

次に、言うまでもなく今回のより大きな問題は、もう散々言われているように「メディアにおける誤報」です。これに関してもやはり古今東西、様々なメディアで各種の誤報がなされています。しかし今回のメディアの報道ではこのことを大々的に取り上げる空気は薄く、表面的な論議に終始している感があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/誤報

ここでも我々は、今回読売新聞の記者某の非や責任をあげつらうだけではなく、古来より過熱報道、誤報道が繰り返されるその構造をこそつまびらかにし、誤報道がなされてしまうようなチェック体制の甘さ、商業主義、他社との競争といった大きな枠組みの中で今回の問題を考えるべきだと思われます。

今回の問題においては、まずこうした「科学における不正行為」と「メデイアにおける誤報」とを峻別して論ずるべきです。そしてそれぞれに、それらを成り立たせている構造、その根底にある人間心理にまで立ち入って検証していく、という視点が必要です。そうした視点なく、ただ個人的不正、一新聞社の勇み足として済ませてしまっては何の生産的論議もなく、また歴史が繰り返されるだけです。

そうした論議を踏まえて見えてくるものがあります。それが「科学情報を読み解く力」つまり科学リテラシーです(リテラシーってあまりにも使われすぎていて、現時点であまり好きな言葉ではないですが)。

今回の場合、どうして読売新聞の記者が真偽を見抜けなかったのか。そしてさらに、我々読者、一般人が、ノーベル賞受賞直後の状況の中でかの情報を鵜呑みにしてしまったのではないか。かく言う私もあの日の一面を見た時、「うそだろう」と思う反面、ハーバードとMGHが緊急避難で認可したんだったらありえるかな、と思ってしまったのです。

そもそもメディア上の科学情報は、その妥当性信頼性において玉石混交であり、玉もあれば石もあります。しかしそれらの情報には、ある程度のエビデンスレベル、まあいわゆる格付けが存在していて、特に情報の信頼性に於いて、その点を常に考えながらメディアに接していくことが大切です。
(この読み取り方についてはこちらなど参照)

今回の騒動は、はからずもそうしたリテラシーについて、つまり科学情報をどのように読みとくかということについて、メディアにも、そして一般の人達にも広く考えるためのある意味と良い契機とも言えたのです。

例えば私は、今回の新聞の切り抜きを患者さんなどにお見せし、科学情報に格付けがあること、どのポイントを読めばそれがわかるのかなどを一緒に考える機会を作りたいと本気で思ったりしています。

このように科学リテラシー論議の一石となる機会なのにもかかわらず、それを瑣末な個人批判に収束させるような愚は厳に慎むべきです。

・ 森口騒動は「科学における不正行為」と「メディアにおける誤報」とを分けて論ずるべき
・ その時そうした行為、そうした誤報を個人批判に収束させるのでなく、それらを成立させるにたる「構造」を考察すべき(両者に相似な構造があるように思いますが)
・ この問題の根底に横たわる科学情報に対するリテラシー向上に向けた論議をすべき


今回の騒動で私がちょっとだけ広く主張したいこと、学んだことはこんなところです。メディアに対して最大限に怒りながらです(笑)。
by dobashinaika | 2012-10-16 00:42 | 医療の問題 | Comments(0)

心房細動アブレーション後の再発予防におけるコルヒチンの効果

JACC 10月3日オンライン版より

Colchicine for Prevention of Early Atrial Fibrillation Recurrence After Pulmonary Vein Isolation
A Randomized Controlled Study
doi:10.1016/j.jacc.2012.07.031


コルヒチンの心房細動アブレーション後の再発予防効果に関する検討

P:カテーテルアブレーションを施行された発作性心房細動患者160名:80歳未満、12ヶ月以内に2回以上のエピソード

E:コルヒチン0.5mg1日2回、3ヶ月間

C:プラセボ

O:3ヶ月以内心房細動再発。CRP, IL-6

結果:
1)再発;コルヒチン群16% (13/81)、プラセボ群33.5%(27/80)。オッズ比0.38(0.10〜0.80)
心房細動アブレーション後の再発予防におけるコルヒチンの効果_a0119856_22433827.jpg


2)下痢;コルヒチン群8.6%vs. プラセボ群1.3% (p=0.03)

3)CRPIL〜6ともコルヒチン群で有意に低下

結論:コルヒチンは、アブレーション後の抗不整脈非投与下での早期再発予防に関し有効かつ安全。このことはCRPとIL-6を含む炎症メディエーターの減少と強い関係があると思われる。

### コルヒチンといえば、痛風発作予防が思い浮かびますが、アブレーション後の心房細動再発も予防するとは驚きです。

以前から心房細動アブレーション後CRPの上昇が認められており、再発例では特に高いことが報告されています。
Pacing Clin Electrophysiol 2012 35 () 106-116

ステロイドやNSAIDはどうなのか興味が持たれますが、用量や投与期間の関係もあるのでしょうが、副作用の強さが懸念されると筆者らは述べています。

筆者らは、コルヒチンの好中球や免疫細胞への効果の他に、心筋細胞、特にイオン輸送、アドレナリン分泌、細胞間交互作用に役割のある微小管に作用する効果をメカニズムとしてあげています。

コルヒチンは近年、心膜炎の再発予防にも効果があることが証明されており、今後注目すべきと言えます。
http://www.doljapan.com/special/esc/2011/html/14.html
by dobashinaika | 2012-10-14 22:45 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

アピキサバンの塞栓、出血リスクスコア別サブ解析結果

Lancet 10月2日オンライン版より

Efficacy and safety of apixaban compared with warfarin according to patient risk of stroke and of bleeding in atrial fibrillation: a secondary analysis of a randomised controlled trial
doi:10.1016/S0140-6736(12)60986-6


ARISTOTLE試験におけるアピキサバンのCHADS2, CHA2DS2VASc,およびHAS-BLED別有効性、安全性

P:ARISTOTLE試験登録患者

E/C:CHADS2, CHA2DS2VASc,およびHAS-BLEDスコア別

O:有効性=脳卒中/全身性塞栓(ITT解析)、安全性=大出血(on treatment解析)

所見:
1)CHADS2, CHA2DS2VASc, HAS-BLEDスコアいずれにおいても、点数による有効性の差はなかった
(CHADS2 1, 2, or ≥3, p for interaction=0·4457; or CHA2DS2VASc 1, 2, or ≥3, p for interaction=0·1210) or bleeding (HAS-BLED 0—1, 2, or ≥3, p for interaction=0·9422)

2)各スコアの点数によって、ワーファリンに比べての大出血リスク減少に違いはなかった
(CHADS2, p for interaction=0·4018; CHA2DS2VASc, p for interaction=0·2059; HAS-BLED, p for interaction=0·7127)

3)頭蓋内出血の相対危険減少:HAS-BLEDスコア3点以上(ハザード比0.22)は1点以下(ハザード比0.66)よりRRRが大きかった

解釈:アピキサバンのワーファリンに対する有効性、安全性における優位はCHADS2, CHA2DS2VASc,およびHAS-BLEDスコアの点数によらず一定であった。アピキサバン投与時、各スコアを考慮することはあまり意義は多くない。低リスク者のためには、さらなるリスク層別化の改善が必要

### やはりそうですか、という感じもします。
この薬、ARISTOTLE試験で頭蓋内出血がかなりワーファリンより少なかったのもリスクに関係なく、どの層でも出血が少なかったことの裏返しかと思われます。

一方ダビガトランでは、有効性はスコアに関係なし。大出血はCHADS2スコア1点以下の人で有意にワーファリンよりダビガトランが少なく、2点以上で同等でした。リバーロキサバンはまだこの点でのサブ解析は出ていません(CHADS2スコア2点以上が対象なので出せない)。

ダビだったら、CHADS2スコア2点以下、リバーロだったら2点以上の人からまず処方、と漠然と思っていましたが、アピの場合あまりその点考慮しなくても良いことになるのでしょうか?

とにかくまだわかりません。自分で処方していない現時点では頭の隅に置いておく程度にしておきます。
by dobashinaika | 2012-10-12 18:24 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

長期持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションの成績

JACC 10月12日オンライン版より

Catheter Ablation of Long-Standing Persistent Atrial Fibrillation: 5-Year Outcomes of the Hamburg Sequential Ablation Strategy

長期持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションの長期成績に関する検討

対象:長期持続性心房細動(1年超持続、有症候性)でカテーテルアブレーションをうけた患者202名(平均61歳)。平均56ヶ月追跡。

アブレーションプロトコール:Sequential ablation strategy
1)初回:円形状肺静脈隔離→電気的除細動→洞調律なら成功→心房細動のままならCFAE(分裂波)アブレーション
2)再発時:肺静脈隔離されていればCFAEアブレーション、されていなければ再隔離

結果:
1)初回アブレーション後洞調律:41/202 (20.3%)

2)複数回アブレーション後洞調律:91/202(45.0%)。抗不整脈薬服用24人含む

3)肺静脈隔離のみ;105人。その内49人46.7%は洞調律キープ

4)心房細動罹患期間2年以内は2年以上に比べ明らかに成功率高い(76.5% vs. 42.2%, p =
0.033)

5)持続性の期間は独立した予測因子:ハザード比1.09

6)初回アブレーション後に肺静脈隔離成功例は再発率低い:ハザード比0.57
長期持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションの成績_a0119856_1912158.jpg

結論:5年追跡の間、単回アブレーション成功率は20%、複数回成功率は45%。2年以内の罹患機関患者は成功率が高い。

### ハンブルグのクック先生のグループの成績です。持続性心房細動の持続期間は99±64ヶ月、左房系は49±6mmということです。このような長く持続している心房細動でも肺静脈隔離のみで24%、複数回施行すれば45%の人で、長く洞調律を維持できるとのことです。

202人のうち、2回施行が126人、3回42人、4回11人、5回2人(!)だそうです。

また最初の1年(特に3ヶ月程度)で再発する方が半分以上ですが、1年以上経ってからの再発が15.3%あることにも注意です。

抗凝固療法は、左房隔離がされた例ではずっと長く施行。それ以外は少なくとも3ヶ月継続となっていて、それ以後はCHADS2スコアに従うとありますので、継続する人は多いものと思われます。

ぼくは、1年以上持続しているとなると、もっとずっと成功率が低いと思っていましたが、肺静脈隔離のみでも1/4くらいは洞調律に戻るというのは、なかなかいいのかもしれません。1年以上持続して入るものの心房筋のリモデリングがそれほど進んでおらず、肺静脈が心房細動のドライバーにもなっているような場合は有効なのかもしれません。

今後は、どのような方が成功しやすいのか、その予測因子をよりきめ細かく判断できるようなデータの蓄積がほしいです。また特にこうした長期持続性の方では、おそらく再発時の症状が比較的乏しいと思われますので、ループレコーダーを含む更に緻密な再発評価も必要かと思われます。

持続性心房細動のアブレーション関連ブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/15878846/
同じ施設の発作性心房細動の成績はこちら
http://dobashin.exblog.jp/11766271/
by dobashinaika | 2012-10-11 19:13 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

新規抗凝固薬における冠動脈イベントリスクのメタ解析

BMJ open  10月6日発表分より

Coronary and mortality risk of novel oral antithrombotic agents: a meta-analysis of large randomised trials
BMJ Open 2012;2:e001592 doi:10.1136/bmjopen-2012-001592

新規抗凝固薬の冠動脈疾患及び死亡リスクに関するメタ解析

P:キシメガラトラン、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンの拡大規模試験参加者:28RCT、138948人

E/C:新規抗凝固薬

O:心筋梗塞、急性冠症候群、大出血、全死亡

結果:
1)心筋梗塞/急性冠症候群:ダビガトランはリスク高い(OR 1.30; 95% CI 1.04 to 1.63; p=0.021)。リバーロキサバンは比較的低い(OR 0.78; 95% CI 0.69 to 0.89; p<0.001)。キシメガラトランは高リスクだが統計的には明らかでなかった。アピキサバンは低めだが有意差なし。
新規抗凝固薬における冠動脈イベントリスクのメタ解析_a0119856_23132413.jpg


2)大出血率は薬ごとにバリエーションあり

3)どの薬剤も死亡率低下に関与していた(研究間の異質性なしに)

結論:冠動脈イベントリスクはダビガトランで明らかに高かったが、キシメガラトランでは高くなかった。それに対しXa阻害薬はリスクが低かった。すべてのケースで新規抗凝固薬は死亡リスクが低かった。この情報は特定の患者の薬剤選択に有用。

### RE-LYのサブ解析ではダビガトランの虚血性心疾患リスクは一応否定されて入るものの、AIMのメタ解析ではやはり懸念されているところです。(その辺の経緯は以下参照)
http://dobashin.exblog.jp/14373537/
http://dobashin.exblog.jp/14394447/
http://dobashin.exblog.jp/14384703/

筆者によると、直接トロンビン阻害薬に関しては、in vitroでXa阻害薬に比べて逆説的凝固の存在が指摘されています。これはトロンビンによるプロテインC(凝固制御タンパク)活性化を抑えるためと解釈されています。トロンビンートロンボモジュリン複合体はプロテインCを活性化して血液凝固を阻止するいわば天然のダビガトランですから、そこをブロックすると凝固作用が更新するというメカニズムです。

もう一つのメカニズムとして、直接トロンビン阻害薬の長期使用による炎症マーカー(11-dehydrothromboxane β2)の増加が指摘されています。

Xa阻害薬にはこのようなデメリットが今のところ見当たりません。

しかしながらこのメタ解析はやや拙速に過ぎる感もあります。本ブログでも何度も指摘しているように、新規抗凝固薬のメタ解析をするには大規模試験がそれぞれの薬1つずつしかなく、それぞれにかなりプロトコールや対象患者が違います。また冠動脈イベントの評価法もさまざまで無症候性の心筋梗塞を心電図上から判断してアウトカムとするかどうかについても試験間に差があります。

ある程度の参考にはなりますが、意思決定に影響を及ぼすにはまだ早計という気がします。
by dobashinaika | 2012-10-10 23:17 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

心房細動制圧=脳塞栓制圧の図式完成にはiPS細胞の実用化を待たねばならないか?

昨日(9日)、仙台市医師会薬剤師会学術研修会に講師として参加し「心房細動における抗凝固薬と抗不整脈の実践的使い方」と題して講演させていただきました。

時間を間違えてしまいスライドを90枚くらい作ってしまいました。ちょっと細かいことを言い過ぎたかもしれないと反省しています。

講演で伝えたかったことのひとつは、「心房細動治療には2つのミッションがある」ということです(実際には時間がなくて強調できずでしたが)。
2つのミッションとは
A)ドキドキさせない
B)脳卒中にさせない

の2つです。そしてA→Bにはならないということです。

ドキドキしなくなる、つまり心房細動を抗不整脈薬で抑えようとしても心房細動はなくならないし、ましてや脳卒中は抑えられない。だからBに直接効く薬「抗凝固薬」が"暫定的に”必要である、ということです。

本当は心房細動そのものが全くなくなれば全てうまく行くのです。しかし現時点で抗不整脈薬にそれを課すことは無理。アブレーションの力はまだ不明です。そこで心房細動という現象はそのままにして、血液の方の凝固活性のみを”とりあえず”抑えておくことにしたら、今のところまあまあうまくいっている、というに過ぎません。

抗不整脈=抗凝固という風にストレートに行く治療法こそ画期的かつ王道と言えます。
それには心房細動を完全に制圧させる治療法がなければなりません。しかもリモデリングが有る程度起きる前にです。リモデリングが有る程度できてしまっては間に合いません。でもそんな治療法は今のところありません。
あ、間に合う方法がひとつ浮かびました。やっぱりiPS細胞かな〜(笑)。
by dobashinaika | 2012-10-10 00:57 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

仙台市社会福祉協議会さん主催のウォーキング教室に参加しました

本日は、午後から仙台市社会福祉協議会中核支えあいセンターさん主催の「ウォーキング教室(@榴ヶ岡市民センター)」に参加させていただきました。

仙台市社会福祉協議会さんとは被災者の方を対象とした巡回相談所で、被災された方のお話をお聞きしたり、健康相談に乗ったりといったことで、今年7月から何度かお手伝いをさせていただいております。
本日は借り上げ民間賃貸住宅にお住いの方々を対象とした教室で、私は午後の部の健康講話「生活不活発病について」でちょっとだけお話させていただきました。

その後ウォーキングレッスンに移りましたが、正味1時間半たっぷりのストレッチとウォーキングだったのに、全く長さを感じさせない実に実りのある時間を過ごさせていただきました。

参加者はお若い方から、比較的ご高齢の方まで様々で、腰痛や膝痛を抱えた方もお見受けしましたが、とにかく皆さん前向きで、笑いが絶えず、すごく楽しみながらエクササイズをされているのが伝わってきて、私自身とてもハッピーな気分にさせていただきました。

健康運動指導士の澁谷裕子先生のインストラクションも素晴らしく、終了後のみなさんの達成感あふれる表情が忘れられないものとなりました。

今後共、大変僅かではありますが、こうした活動のお手伝いが出来ればと考えています。
仙台市社会福祉協議会さん主催のウォーキング教室に参加しました_a0119856_2259640.jpg

by dobashinaika | 2012-10-06 22:59 | 開業医生活 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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