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高齢者心房細動では女性のほうが男性より脳梗塞リスクが高い:JAMAより

JAMA 5月9日号より

Sex Differences in Stroke Risk Among Older Patients With Recently Diagnosed Atrial Fibrillation
JAMA. 2012;307(18):1952-1958. doi:10.1001/jama.2012.3490


高齢者心房細動患者における脳梗塞発症リスクの性差に関する研究

P:カナダ、ケベック州の1998〜2007年までの入院患者データベース中の一般住民コホートのうち最近心房細動と診断された65歳以上の人

E/C:性別

O:脳梗塞リスク

結果:
1)男性30308人、47.2%。女性44115人、52.8%

2)女性は男性より高齢でCHADS2スコアが高い
(1.99 [SD, 1.10] vs 1.74 [SD, 1.13], P < .001)

3)退院30日後、男性の58,2%、女性の60,6%がワーファリン処方あり。→補正後女性のほうが有意に多く処方されていた(オッズ比1.07 :1.04-1.11; P < .001)

4)ワーファリンアドヒアランスは男女とも良好

5)粗脳梗塞発症率:女性2.02/100人年vs. 男性1.61/人年(P<0.001)

6)性差は75歳以上でより顕著

7)多変量解析(CHADS2スコア、活動性、ワーファリン使用で補正:女性は男性より高リスク(ハザード比1.14;1.07〜1.22;
P<0.001)
高齢者心房細動では女性のほうが男性より脳梗塞リスクが高い:JAMAより_a0119856_2321115.png


結論:最近診断された高齢者心房細動患者においては、ワーファリン使用にかかわらず、女性のほうが男性より脳梗塞リスクが高い。

### フラミンガム研究はじめ以前から女性のほうが男性より心原性脳塞栓が高率であるという報告がなされています。女性のワーファリン服薬率が低いためという報告もありました。この研究はそうした修飾因子にかかわらず、女性というだけで男性よりリスクが高く、女性ということが脳梗塞の独立した危険因子であることを明らかにしています。

しかもこの差は75歳以上でより著しい結果となっています。

筆者らはなぜ女性のほうがリスクが高いのかは不明としています。

後ろ向きコホート、心房細動の種類が不明(これはあまり寄与しないか)、TTR(ワーファリンコントロール状況)も不明なので限界はあります。ハザード比も1.14倍程度ですが、CHA2DS2-VAScスコアの有効性を裏付ける研究といえるかもしれません。
by dobashinaika | 2012-05-21 23:23 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

ドクターサーチみやぎに参加しました。CHADS2スコアの新しい覚え方を教わりました。

本日14:00〜、アークホテル仙台で開催予定の第21回ドクターサーチみやぎ健康セミナー「脳卒中予防に関する市民公開講座〜あなたの脳卒中危険度は?〜」に、講師兼パネリストととして参加いたしました。
http://miyagi.doctor-search.tv/p/seminar-vol21.aspx

今日は、主に「脳卒中を予防するには」と題して脳卒中予防10箇条についてお話しました。
脳卒中予防10箇条は日本脳卒中協会が作成したもので、脳卒中予防のための必須事項が網羅されています。

1-手始めに高血圧から始めましょう
2-糖尿病ほっておいたら悔い残る
3-不整脈見つかり次第すぐ受診
4-予防にはタバコ止める意思を持て
5-アルコール控えめは薬 すぎれば毒
6-高すぎるコレステロールも見逃すな
7-お食事の塩分・脂肪控えめに
8-体力にあった運動続けよう
9-万病の引き金になる太りすぎ
10-脳卒中起きたらすぐに病院へ
番外ーーお薬は勝手にやめずに相談

セミナーに来られる方は、皆非常に勉強熱心で、お顔が全員こちらに向いているし、メモ取り率も非常に高かったです。出席者も、青葉祭りにもかかわらず、予定より大幅に増え臨時椅子が出るほどでした。

今日、一番個人的にためになったのは、同じパネリストとして参加された国立病院機構仙台医療センター循環器内科の篠崎毅先生の「CHADS2スコアの覚え方」です。

うけつあつ(高血圧)
うにょうびょう(糖尿病)
んふぜん(心不全)
うこうそく(脳梗塞の既往)
753(75歳以上)
略して「ことしの七五三」

どうですか?患者さんに「あなたのチャズ2スコアは3点ですからワーファリンを飲みましょう」といっても、いったいチャズって何なのか、なかなか覚えられないと思います。そんな時「ことしの七五三」です。

チャズ2スコアは、抗凝固療法を始めるときの患者さんと医師との共通言語ですから、患者さんにもわかりやすい覚え方があればいいなと思っていましたが、篠崎先生の語呂合わせは大変覚えやすいと思います。

ツイッターで紹介したところ、早速かなりのリツイートがついていますので、今後普及するのではないでしょうか。私も明日から早速患者さんに言ってみます。

でももしCHA2DS-VAScスコアの方が主流になってきたらこまりますね。

それにしてもここ4日間は怒涛でした。全然心房細動の論文アップできていません。明日からまたやります。結構面白そうな論文が溜まってきてますので。
ドクターサーチみやぎに参加しました。CHADS2スコアの新しい覚え方を教わりました。_a0119856_2352349.jpg

by dobashinaika | 2012-05-20 23:15 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

東日本大震災復興プロジェクト「鼎談・塩野七生さんを囲んで:瓦礫と大理石:廃墟と繁栄」盛会のうちに終了

昨日は、東北大学艮陵同窓会140周年記念東日本大震災復興プロジェクト「鼎談・塩野七生さんを囲んで:瓦礫と大理石:廃墟と繁栄」を開催いたしました。卒後25年の学年が当番幹事となり、今年は私の学年で私も幹事の一人を務めました。

講演会はほとんど断っているという塩野氏ですが、一昨年10月から周到に用意を進め実現に漕ぎ着けることができました。これには、特に本学年のある先生の尽力によるところが大でした。

あまり宣伝しなかったにもかかわらず、市民の方々の多数の参加をいただき、まずは盛況のうちに終わることができ安堵しています。

正直お話を拝聴するまでは、著書などに見られるときに厳しい視線に、私など畏敬の念を持っていましたが、生の声によるリーダー論や復興に向けての提言は人間賛歌、東北へのエールに聞こえました。

いくつか印象的な言葉を:
まず最初の一言(この一言出るまでの会場のものすごく張り詰めた緊張感は忘れられません!)
「1000年、2000年前のことを書いているので、たった1年前の出来事をそう簡単には結論づけられない」
「ローマでは自然災害そのもので壊滅的打撃を受けて滅びた都市はひとつもない。打撃を受けたあと、その地は必要ないと当事者が思った地はそのまま滅びた」
「ヨーロッパの町は瓦礫の上に立てられた、瓦礫は処理するというのが日本」
「手段と目的は逆転する。演繹と帰納で考えると、日本は下から上げていくボトムアップ(帰納)なやり方。それが果たして良いのか」
「一般民衆はいつも健全。さかなは頭から腐る」
「革新はいつの間にか保守に変わる。人間は持つべきものがあると、守るようになる」
「アカデミア(学者)というのは科学的データを示す。しかしそれを突き詰めると何もできないことがある。政治家はある程度のルーズさが必要」
「強力なリーダーがリスクを取って行うことのほうが良い。日本はリーダーを育てて来なかった」
「リーだと権力者の違い。リーダーは津波が来た時どちらに逃げるか瞬時に判断できる人。権力者は長期的展望にたって復興をできるひと」
「私は自分が書く人を愛する。欠点も書いて読者の中に、(その人を)生かしたい。今はある人物について勉強の時期。映画の撮影の後の編集をしているようなとき。書いている時はその人が恋する人なので(誰についていま執筆中かは)明かせない」

他に数えきれないくらいはっとする言葉がありました。

鼎談のお相手の東北大学電気通信研究所教授、大野英男先生。東北大学医学系研究科教授、山本雅之先生も塩野さんの大ファンとのことで、私達が聞きたいことを引き出していただきました。

上記、メモ書きですので、一言一句正しく伝わっていない部分もあるかもしれませんことはご容赦ください。

何より、塩野氏の一言一言を聞き逃すまいとする会場の張り詰めた、しかしここちの良い緊張感が印象的でした。
東日本大震災復興プロジェクト「鼎談・塩野七生さんを囲んで:瓦礫と大理石:廃墟と繁栄」盛会のうちに終了_a0119856_22375068.jpg

by dobashinaika | 2012-05-20 22:38 | 開業医生活 | Comments(2)

「プライマリケア医のための心房細動抗凝固療法入門」という題名で講演しました。質疑応答をアップします。

本日は栗原市医師会の学術講演会にお招きいただき、抗凝固療法についてお話させて頂きました。
演題名は「プライマリケア医のための心房細動抗凝固療法入門」です。

話の内容は
1・誰に抗凝固療法を行うべきか
2.ワーファリンと新規抗凝固薬をどう使い分けるか
3.新規抗凝固薬の使い方の実際
4.抗凝固療法を行うときの患者さんとの情報共有の仕方
の4点です。

質問として
1.ダビガトランは患者さんが75歳以上になっても処方し続けて良いか
2.ワーファリンを80歳以上の人に処方するときはINRをどの程度にするか
3.カテーテルアブレーションを抗不整脈薬に先立って第一選択にして良いか
4.弁膜症性の心房細動に新規抗凝固薬を使用することはどう考えるか

などを頂戴いたしました。

私なりの回答として
1.腎機能が良好であることが第一条件。クレアチニンクリアランスが50以上に保たれていて、それまでの経緯が安定していればそのまま継続。ただし脱水、腎機能低下、APTTのチェックは頻回に。

2.超高齢者であっても1.6は必ずキープ、上は2.0以下を心がける。

3.アブレーションが生命予後を良くする証拠は今のところないので、あくまで症状改善が主目的であることを忘れてはならない。自分としては抗不整脈薬2剤使用でも発作が抑制されず症状が強いかた、60歳未満あるいは活動性の高い方、には比較的積極的にアブレーション進めている。しかしあくまで患者さんの好みと、術者の成績とを考えあわせて意思決定すべき。

4.今のところエビデンスはなく、添付文書上にも記載はない。理論上は効果があることは予想される。

間違っているところもあるかもしれませんが、現時点での当院の考えを述べさせて頂きました。

その後の懇親会でも活発にご質問ご意見をいただき、私自身も大変勉強になしました。
医学部時代の卓球部の大先輩の先生や、研修病院時代お世話になった先生もいらして、幸せなひとときでした。
「プライマリケア医のための心房細動抗凝固療法入門」という題名で講演しました。質疑応答をアップします。_a0119856_23371510.jpg

by dobashinaika | 2012-05-17 23:38 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

新規抗凝固薬3剤の間接比較:JACCより

J Am Coll Cardiol 5月8日Epub ahead of printより

Indirect Comparisons of New Oral Anticoagulant Drugs for Efficacy and Safety When Used for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation.

3つの新規抗凝固薬の大規模RCTを間接比較した研究

結果:
1)脳卒中/全身塞栓症;ダビガトラン150BID < リバーロキサバン(26%)、アピキサバン=ダビガトラン(両用量)、アピキサバン=リバーロキサバン、リバーロキサバン=ダビガトラン110mgBID

2)脳梗塞:3剤同じ

3)大出血:アピキサバン<ダビガトラン150mgBID (26%)orリバーロキサバン(34%),アピキサバン=ダビガトラン110mg

4)大出血または臨床的に有意な出血:アピキサバン<リバーロキサバン(23%)

5)リバーロキサバンに比べて、ダビガトラン110mgは大出血(23%)、頭蓋内出血(54%)が少ない

6)心筋梗塞:ダビガトラン=アピキサバン

結論:間接比較という制約にもかかわらず、3剤間で効果の点において大きな違いは見いだせなかった。ダビガトラン150mgBIDはいくつかのエンドポイントでリバーロキサバンよるすぐれていた。しかしながら大出血はダビガトラン110mgBIDとアピキサバンで明らかに低率だった。Head-to-headの直接比較でより十分な答えだ出るであろう。

### このような比較にどれだけ意味があるかは不明ですが、一応JACCの論文なので紹介しました。3試験で最も大きな違いは周知のように患者背景で、リバーロキサバンのROCKET-AFはCHADS"スコア2点以上対象ですの、他の2試験とは様相が違います。細かいプロトコールもあとの試験ほど工夫されているため、確かなことを言うには尚早と思います。あくまで参考の参考に
by dobashinaika | 2012-05-15 20:48 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

第21回ドクターサーチみやぎ健康セミナーに出演します。

今日は宣伝です。

5月20日(日)14:00〜、アークホテル仙台で開催予定の第21回ドクターサーチみやぎ健康セミナー「脳卒中予防に関する市民公開講座〜あなたの脳卒中危険度は?〜」に、講師兼パネリストととして参加いたします。

一般の方なら誰でも参加できるようですので、ご興味ある方は下のサイトでご確認ください。
http://miyagi.doctor-search.tv/p/seminar-vol21.aspx

私は脳卒中をどう予防するかについて、お話する予定です。

そうこうしているうちに紹介すべき面白そうな論文が溜まってきていますが、明日からアップします。
by dobashinaika | 2012-05-14 23:55 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

NEJMの“Patient-Centered Medicine”に関する2つの重要な論文

最近のNew England Journal of Medicineに“Patient-Centered Medicine”あるいはEBMと"“preference-based” medicine に関する非常に興味深い2つのPerspectiveが掲載されています。

Defining “Patient-Centered Medicine”
N Engl J Med 2012; 366:782-783March 1, 2012


Evidence, Preferences, Recommendations — Finding the Right Balance in Patient Care
N Engl J Med 2012; 366:1653-1655May 3, 2012


心房細動の抗凝固療法も、他のあらゆる医療上の意思決定も、結局この問題にたどり着くのであり、たとえば上記2番目の論文のこの図を達成することが、抗凝固療法の意思決定における最終目標とも言えるわけです。
NEJMの“Patient-Centered Medicine”に関する2つの重要な論文_a0119856_0245287.jpg


時間がないため、和訳は近日中にアップします。ご容赦を。
by dobashinaika | 2012-05-12 00:28 | リスク/意思決定 | Comments(0)

新規抗凝固薬アピキサバンに関するARISTOTOLE試験における脳梗塞既往例でのサブ解析

Lancet Neurology 5月8日早期公開版より

Apixaban compared with warfarin in patients with atrial fibrillation and previous stroke or transient ischaemic attack: a subgroup analysis of the ARISTOTLE trial
doi:10.1016/S1474-4422(12)70092-3


新規Xa阻害薬アピキサバンに関する大規模試験ARISTOTLEにおける脳梗塞/TIA合併例でのサブ解析

P:アピキサバンvs. ワーファリンの心房細動脳塞栓に関する大規模RCT,ARISTOTLE試験登録患者中、脳卒中/TIAの既往のある3436例(19%)(非既往例も同時に解析)

E:アピキサバン5mgx2

C:ワーファリン(INR2-3)

O:脳卒中またはTIA、大出血

結果:
1)脳卒中またはTIA既往例:アピキサバン群 2.46/100人年vs. ワーファリン群 3.24/人年(ハザード比0.76,0.56〜1.03)

2)脳卒中またはTIA非既往例:アピキサバン群 1.01/100人年vs. ワーファリン群 1.23/人年(ハザード比0.82,0.65〜1.03、交互作用p=0.71)

3)脳卒中またはTIAの絶対危険減少;既往例:0.77/100人年(0.08〜1.63)、非既往例:0.22(ー0.03〜0.47)

4)ワーファリンに比べてのアピキサバンの大出血数;既往例:1.07/100人年(0.09〜2.04)、非既往例:0.93(0.54〜1.32)

解釈:アピキサバンのワーファリンに対する効果は、脳卒中/TIAの既往のあるなしで変化なし。既往例においては高リスクであるため絶対危険減少はより大きい値となっている。

### 脳梗塞の既往の有無にかかわらずアピキサバンがワーファリンより効果の点で優っていたとのことです。ダビガトランでも同様のサブ解析があり、やはり既往に関係なく有効です。こちらです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21059484?dopt=Abstract

イベント数自体が既往例では多いので、ARRも大きくなっています。既往例(ハイリスク)ほど恩恵を被る人多いということです。ただしそれだけ出血も多いですので、そこは注意です。

ARISTOTLE試験についての過去ブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/13416606/
by dobashinaika | 2012-05-10 18:49 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

ダビガトランの副作用に関する実臨床からの報告

5月3~5日、シカゴで行われたThrombosis & Hemostasis Summit of North America 2012での報告です。
Webサイト:Heart wireより

More adverse events seen on dabigatran vs warfarin

P:ワーファリンからダビガトランへの変更を行った113例:同一患者での期間別比較

E:ダビガトラン投与期間(平均3.9日月):2例の75mgx2を除いて全例ダビガトラン150mgx2

C:ワーファリン投与期間:TTR70%

O:薬剤を中止するようなイベント

結果:
1)薬剤中止を必要とするイベント;
ワーファリン投与期間 1例(0.88%)=高INRによる入院
ダビガトラン投与期間 13イベント11.5%=死亡1(消化管出血)、他の出血4(消化管出血2,腹直筋鞘出血1,外傷性頭蓋内出血1)、深部静脈血栓1、心房内血栓1、TIA1、発疹1,消化器症状4

2)これらの副作用は高齢者、女性に多い:ダビガトランでの副作用例平均73.4歳(全平均66.5歳)。女性の71%に副作用

発表者のコメント
・ダビガトランにまつわる問題は「撃ちっぱなし医療」(=fire and forget)と表現される。
・医師は処方したら、再び考えることはしない。しかしながら抗凝固療法とはそういうものではない。
・ダビガトランがINRモニターの必要がないのは、「モニターを必要としないこと」を意味しない。
・患者さんは腎機能モニター、他の服用薬剤のレビュー、コンプライアンスのモニターを年4回は施行されるべきである。
・患者は他のすべての新規抗凝固薬と同様コンプライアンスを厳格に保つべき
・新規薬は半減期が短いので1回2回の服薬忘れが大事故を生む。
・「ワーファリンの一つの良い点は、半減期が長いのでたまに量を間違えても大きな問題ではないことである。そしてクリニックに通う40%の患者は1〜数週に1回飲み方を間違える。しかし新規薬は半減期が短い。私は2,3回服薬を怠ったために2日以内に大血栓を生じた例を2例経験した。」
・「多くの患者は値段が高いため、タブレットを半分に切ったり、服薬ををやめてしまった。これは大きな問題だ。もし患者さんがワーファリンに不適合の場合、新規薬だともっと悪いことになる・」
・これらのことはGP(general Physician)にはよく理解されていない。
・新規抗凝固薬の導入は病院か抗凝固クリニックで管理されるべきと考える
・「この薬はぞんざいに扱われたり忘れられたりするような薬ではない。」

RE-LY試験を主導したDR Lars Wallentinのコメント
・上記研究での高度の選択された患者群での結果は、RE-LYの結果とは大きく異なる。
・昨年1年の実世界での70万人以上の全世界からの自発報告では、副作用報告はこれよりかなり低率である。
・そしていまなお、これらの自発報告では高齢者と腎機能低下者でダビガトランの副作用が多かったとしている。
・これらの患者では110mgx2が使用されるべきだが、本報告も含めて幾つかの国でこの量が使用できないのは不運である。
・本報告では他の代替抗凝固薬の必要性を強調し、ワーファリンからの変更と復帰をトリッキーであるとしているが、新規抗凝固薬感での変更はより簡便である。

### 論文化されておらず患者背景も不明のため、あくまで参考としてください。113例のうちワーファリンではイベント1例で、ダビガトランにしたら死亡1例を含む13例にイベントが出たというのは、ちょっとなぜだろうと疑いたくなるデータです。コメントで飲み忘れのことが言われていますが、実際は出血合併症が多く、関係あるのかは不明です。

ただ、当院でも30例の処方例のうち9例で飲み忘れを経験しておりうち6例は複数回忘れています。ワーファリンからの切り替え例で多く、夕食後、飲酒する人に飲み忘れが多い傾向がありました。その方での塞栓症は認めておりません。

ダビガトランのアドヒアランスが塞栓症増加を促すのか、は今後検討課題と思われます。なにしろRELY試験ではこの点あまり考慮されていませんが、実世界ではたいへん大きなポイントですので。

発表者のコメントの最初の方は同意できる内容です。ダビガトランが「モニターを必要としない薬ではない」というのはそのとおりであり、「モニターしたいけど出来ない薬」なのだと思います(最近はかなりその点わかってきてはいますが)。

このサイトの最後に、ベーリンガーインゲルハイムからのステートメントでGLORIA AF レジストリーという、大規模リアルワールド登録研究の計画がアナウンスされています。2020年までに50カ国から56000人の新規心房細動患者を登録するとのことです。すごい目標ですね。
by dobashinaika | 2012-05-10 00:22 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

ワーファリン関連頭蓋内出血に対するプロトロンビン複合体製剤の効果

Stroke 5月3日 Epub ahead of printより

Poor Prognosis in Warfarin-Associated Intracranial Hemorrhage DespiteAnticoagulation Reversal.

ワーファリンによる頭蓋内出血時におけるプロトロンビン複合体製剤(PCC)の効果に関するカナダの多施設登録研究

P:ワーファリン投与により頭蓋内出血をきたし、PCCを使用した141例。2008~2010年まで。

E/C:PCC使用

O:治療後の血栓症、CTによる血腫量測定、modeified Rankinスコアおよび院内死亡率(一次アウトカム)

結果;
1)中間値78歳。男59.6%、中間値グラスゴーコーマスケール14、中間値INR2.0、中間値脳実質内血腫15.8ml

2)PCC治療後;中間値INR1.4。79.5%は治療1時間後でINR1.5未満

3)脳実質内出血例の院内死亡率;42.3%、中間値modified Rankinスケール:5

4)明らかな血腫拡大;45.5%

5)血栓症3例(治療7日以内)

結果;PCC治療は多くの患者ですみやかにINRを補正する。しかし死亡率やmobidityは未だに高い。速やかなINR補正のみでは予後改善は不十分

### 比較対象はありませんが、PCC使用例でも死亡率40%以上と高値です。出血したあとの更なる出血は防げても、始めの一撃が強いので
なかなか救命には至らないということでしょうか。ただ現時点で、なかなか割付試験はできないでしょうから、すくなくとも症例対照研究まではしてほしいものです。

PCCについての関連ブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/15045649/
http://dobashin.exblog.jp/13523873/
by dobashinaika | 2012-05-08 23:12 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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