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日本人の心房細動におけるCHA2DS2-VAScスコアと脳梗塞・心血管イベントとの関係

Journal of Cardilogy3月1日オンライン版より(Epub ahead)

Relationship between CHA2DS2-VASc scores and ischemic stroke/cardiovascular events in Japanese patients with paroxysmal atrial fibrillation without receiving anticoagulant therapy

日本の発作性心房細動患者におけるCHA2DS2-VAScスコアの予後予測に関する有効性の検討


P:1995年から2008年にかけて抗凝固療法を受けていない発作性心房細動患者332名(男性224名、平均65歳)

E/C:CHA2DS2-VAScスコアによる層別化。平均53ヶ月追跡

O:脳梗塞、心血管イベント

結果:
1)CHA2DS2−VAScスコア0,1,2,3,4,5,6,7点別患者数:
76 (23%), 60 (18%), 69 (21%), 69 (21%), 28 (8%), 23 (7%), 6 (2%), and 1 (0.3%)

2)スコア別(0,1,2,3,4,5,6以上)年間症候性脳梗塞発症率:
0%, 0.60%, 0.95%, 1.96%, 5.45%, 9.06%, and 13.7%(p<0.001)

3)スコア別(0,1,2,3,4,5,6以上)年間心血管イベント発症率:
0%, 1.43%, 1.50%, 2.52%, 10.14%, 12.85%, and 17.13% (p < 0.001)


4)多変量解析後、CHA2DS2-VAScスコアは症候性脳梗塞と有意な関係あり(オッズ比7.051, 3.76-13.22, p<0.001)。心血管イベントとも有意な関係(オッズ比3.448, 2.33-5.11, p<0/001)

結論:日本の発作性心房細動患者において、CHA2DS-VAScスコアは脳梗塞、心血管イベントに関するリスク層別化の有効なスキームである。

###日本の心房細動患者の臨床研究を発信し続けている岩手医大の小松先生の論文です。

ESCガイドラインのデータよりも各スコア別脳梗塞率は低いようです。特にこのスコアで2点の人の脳梗塞発症率は日本人では0.95% であり、有名なCHADS2スコア2点の人の脳梗塞率2.8%(欧米人中心データ)に比べかなり低い値と言えます。この中には「65−74歳の女性」「65−74歳で糖尿病の男性」といったCHADS2スコアだと0点の人も含まれているためと思われます。

やはりESCのガイドラインのように、CHADS2スコアを優先し、1点以下の時にCHA2DS2-VAScスコアの各項目を検討するといった使い方が今のところ実際的に思われます。
by dobashinaika | 2012-03-07 23:10 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

血清ビタミンE値が低いほど、電気的除細動後の心房細動再発が多い。

Circulation:Arrhythmia and Electrophysiology 2月23日オンライン版より

Serum Levels of Vitamin E Are Associated with Early Recurrence of Atrial Fibrillation After Electrical Cardioversion

抗酸化作用があり、酸化ストレスマーカーであるビタミンEと電気的除細動後の心房細動再発との関係についての研究


P:電気的除細動に成功した非弁膜症性心房細動患者144名、平均71.1歳

E/C:尿中8-iso-PGF2α、sNOX2-dp,高感度CRP、血清ビタミンEレベル

O:3ヶ月追跡期間での心房細動再発(毎月の心電図、または症状から)

結果;
1)50人再発、94人は洞調律維持

2)左房系で補正しない段階では、尿中8-iso-PGF2α、sNOX2-dp,高感度CRPは再発群で有意に高値。ビタミンEは有意に低値

3)多変量解析では、ビタミンEレベルのAF再発におけるハザード比は0.0734 (p<.001; 0.605-0.891)。高感度CRPはなお有意に再発と関連あり(p=0.047)

4)尿中8-iso-PGF2α、sNOX2-dpはビタミンEと負の相関あり(r=-0.626; p<0.001 and r=-0.460; p<0.001, 各)

結論:電気的除細動後のAF再発と低ビタミンEの関係を示した最初の論文。ビタミンEは酸化ストレスに反比例するので、この所見は酸化ストレスと心房細動の関係性を示す仮説を支持する。

###骨粗鬆症の実験的知見などで何かと話題のビタミンEですが、少なくとも心房細動再発にとっては多ければ多いほど再発が少ないとの事のようです。ここから介入研究が出てくるとは思えませんが、心房細動の機序を示唆する知見の一つとして捉えたいです。
by dobashinaika | 2012-03-07 00:17 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

家庭医療学冬季セミナー、そしてジャクソン・ポロック展

この土日は、東京で行われた第7回若手医師のための家庭医療学冬季セミナーに参加しました。
「気持ちが若手」なら誰でも参加可能ということで、医院リニューアルのヒントも得たいと考え「家庭志向」「地域診断」の2つのワークショップを選択しました。

ワークショップなので、写真のようにロールプレイあり、ワールドカフェあり、普段の医師会の講演会などとは全く違った楽しくも緊張感のある時間です。
家庭医療学冬季セミナー、そしてジャクソン・ポロック展_a0119856_18533726.jpg


「家族という枠組みの中で患者の医療に焦点を当てる」「Community as Partnerモデルを用いて地域を診断する」
などなど明日からやらなきゃと思うこと満載でした。

このプライマリケアの熱気を、自分がやっている医師会の活動にも取り込みたいのですが、なかなかままならないで時間が過ぎていきます。
しかしながら、そう言っている間に、自分が何もしなくてもこの勢いは必ず無視できない日本医療のひとつの潮流になってくるように思えてなりません。


セミナーのあとは、会場やや近くの東京国立近代美術館に「ジャクソン・ポロック展」を観に行きました。
絵の具のはね、滴りは偶然の産物でカオス的と思われがちですが、じっと見ていると必然性を帯びたものであることに気づきます。

タイム誌が彼の作品を「カオスだ、くそったれ!」と評したのに対し、ポロックは「カオスなんかじゃない、クソったれ!」との反論を電報で送ったそうですが、本音なのだろうなと思いました。
家庭医療学冬季セミナー、そしてジャクソン・ポロック展_a0119856_1854722.jpg


なかなかにいい休日でした。
by dobashinaika | 2012-03-04 18:55 | 開業医の勉強 | Comments(0)

心房細動時の心臓の動きを動画で見られるiPhone, iPad向けアプリ

サノフィーアベンティス社による心房細動の患者支援向けアプリのご紹介です。
http://itunes.apple.com/jp/app/afib-educator/id361883529?mt=8

心房細動の時の心臓の動きが動画でわかるようになっています。透視図もあり、心臓内の電気の流れもわかります。

これは非常にわかりやすい動画です。早速明日から使います。

出来れば、洞調律と心房細動とを並列して表示されるとよりわかりやすかったとも思います。
心房細動時の心臓の動きを動画で見られるiPhone, iPad向けアプリ_a0119856_236647.jpg

心房細動時の心臓の動きを動画で見られるiPhone, iPad向けアプリ_a0119856_2362369.jpg

心房細動時の心臓の動きを動画で見られるiPhone, iPad向けアプリ_a0119856_2363893.jpg

by dobashinaika | 2012-03-01 23:09 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動患者での心臓バイオマーカーによる脳心血管イベント予測:RELYサブ解析より

Circulation 2月28日オンライン版より

Cardiac Biomarkers are Associated with an Increased Risk of Stroke and Death in Patients with Atrial Fibrillation: A RELY Substudy

RELY研究の心房細動例におけるトロポニンIおよびNT-proBNPと心血管イベントの関係についての研究

P:RELY研究参加者のうちからランダム抽出した6189例

E/C:トロポニンIを<0.010 μg/L, n=2663; 0.010-0.019 μg/L, n=2006; 0.020-0.039 μg/L, n=1023; ≥0.040 μg/L, n=497の4群に分類
NT-proBNPを <387; 387-800; 801-1402; >1402 ng/Lの4群に分類

O:脳梗塞、心血管イベント

結果:
1)脳梗塞リスクとトロポニンI:最高値群2.09%/年vs. 最低値群0.84%/年。ハザード比1.99、1.17-3.39、p=0.0040

2)脳梗塞リスクとNT-proBNP:最高値群2.30%/年vs. 最低値群0.92 %/年。ハザード比2.40、1.41-4.07、p<0.0001

3)心血管イベントとトロポニンI:最高値群6.56%/年vs. 最低値群1.04%/年。ハザード比4.38、3.05-6.29、p<0.0001

4)心血管イベントとNT-proBNP:最高値群5.00%/年vs. 最低値群0.61%/年。ハザード比6.73、3.95-11.49、p<0.0001

5)血栓塞栓症に対するC統計量は、バイオマーカーにより0.68から0.72に上昇。p<0.0001

結論:トロポニンIとNT-proBNPの上昇は心房細動例ではよくあることであり脳梗塞と死亡率のリスク上昇にそれぞれ独立して関与している。心バイオマーカーは通常臨床での使用を超えて、心房細動例でのリスク予測改善に有用と思われる。

###以前にも心房細動の人はトロポニンI軽度上昇でも予後予測が可能とする論文を紹介しました。トロポニンI、NT-proBNPとも心筋の状態及び心機能の反映ですが、心房細動でははじめから上昇している例も多く、その評価に戸惑うこともあります。この論文では、やはり両者の上昇が予後に影響しているという事を示しています。長いおつきあいとなる心房細動患者さんではこうしたマーカーを一応ワンポイント測っておこうかという気になります。
by dobashinaika | 2012-03-01 16:39 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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