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日本循環器学会1日目「ダビガトランの使い方。私はこう考える」のまとめ #nichijun

日本循環器学会1日目ファイアサイドセミナー「ダビガトランの使い方。私はこう考える」のまとめです。
不整脈、抗凝固療法の第一人者揃いのぜいたくなセッションでした。これもっと時間をとってシンポジウムでよかったと思いました。

それぞれディスカッションの流れの中で浮かび上がったポイントを、私が見聞した範囲で私の視点から挙げました。内容は発表と異なる点もあるかと思いますので、その点はご勘案ください。本記事の文責はすべて小田倉にあることを述べさせていただきます。

<ダビガトラン処方のコツ>
・一次予防ではクレアチニンクリアランス50未満では使用しない。二次予防としては30‐50でもダビガトランを使う
・高齢、腎機能低下、併用注意薬、出血の既往のうち2つ以上あった時は原則ワーファリンあるいは110㎎BIDだが、2つの組み合わせによって、例えば高齢、腎機能低下ならワーファリン。併用注意薬+その他ならダビガトランという選択肢でもよい
・抗血小板薬併用の場合、3剤併用ならワーファリン。アスピリンのみとならダビガトラン110mg BID
・二次予防から言えば、抗血小板薬はワーファリンの代わりにならないが、ワーファリンは抗血小板薬の代わりになるとの発想から、ワーファリンまたはダビガトランのみの選択肢もあり
・75mgx2は、どうしてもワーファリンに戻りたくない人に限って説明と同意の上使用することもあり
・ディスペプシア対策はコップ一杯の水、もしくは制酸薬、粘膜保護薬で解決できる

<モニタリング>
・aPTTをモニターする
・投与前、2週間後、さらに2週間後、それで安定が確認されれば2ー3カ月に1回
・ピークで取るかトラフで取るかは施設による。ピークはばらつきが多い。
・何秒以上でダメというより、施設基準値上限の2倍以上という言い方の方が適切。aPTT70秒以上は投与しないという施設あり
・aPTTが低くても「効かない」とはいえない。あくまで出血の指標であり、効果をみるものではない
・aPTTが不安定な例では利尿薬服用、夏で脱水などの要素も考慮
・凝固脳の指標として可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)がよいかもしれない

<ダビガトランが適する患者像>
・CHADS2スコアが低い人(0,1点)、クレアチニンクリアランス50以上の人
・年齢については一次予防の立場からは80歳以上は出さない、二次予防の立場からは一律に考えず
・低体重者に注意
・65―74歳はCHADS2スコア1点に入れてもよいかもしれない
・二次予防の点からいってもCHA2DS-VAScスコア0点なら服用必要ない

<質疑応答>
Q:CCr50未満の人はワーファリンでも注意する必要がある。むしろ出血を恐れて150x2でもよい人に慎重投与してしまっているかもしれないがどうか?

A:この薬が市場から消えてしまうことを恐れる。現段階ではCCr50以上とし、30-50はデータの蓄積が必要と考える

Q:70歳以下の人も70歳になったら110mgx2にするのか?

A:腎機能は徐々に低下するのでそうしたほうがよい。ただし二次予防で再発リスクが高い層は150x2も考慮

Q:リバーロキサバンの例もあり1日1回でもよいのでは

A:その可能性はあるが、データなし

Q:薬価を下げる動きは?

A:PPIやプレタールの先例のように臨床医がたくさん使うことくらいしか今のところ方法がない

###非常に興味深いディスカッションでした。このセッションを通じて以下の点がだいたいのコンセンサスであることを学びました
1)ダビガトラン積極投与はCCr50以上、CHADS2スコア1点以上
2)勧められないのは80歳以上、CCr50未満の一次予防
3)65―74歳もCHADS2スコア1点と考える
4)aPTTモニターは投与前、2週後、そのまた2週後、そこで安定していれば2-3カ月に1回
5)施設基準値上限2倍(70秒以上?)を超えたらワーファリン


###熊谷浩一郎先生の「ダビガトラン服用患者さん100人に聞きました」が個人的には考えさせられました。医者が「高いリスクですが飲みますか」というと66%が積極同意、「低いリスクですが。。」と言うとそれが32%に減る。医者の説明の仕方が患者同意を左右するとのことです。

これへの解決策は、やはり地道にリスクとベネフィットを説明することしかないと思われます。この時リスクの高低だけでなくベネフィットもきちんと説明する必票があります。そしてもう一つ、以前から述べているように薬価、飲みやすさ、採血、食事といったことをひっくるめた「コスト」も説明したうえで同意を進めることしかないでしょう(なお熊谷先生のデータでは採血や1日2回服用などはそれほど患者さんの負担ではなかったとのこと)。その中で科学的根拠を出すか、医者としての信頼感だけで同意を得るかは患者さんごと、個々のコミュニケーションごとで一律には扱えないというしかありません。
by dobashinaika | 2012-03-17 17:56 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

日本循環器学会1日目、トピックス04「凝固線溶系update」のまとめです。 #nichijun

日本循環器学会1日目報告の続き
トピックス04凝固線溶系のupdateからの知見を箇条書きいたします。

あくまで当日私が見聞した内容を私の視点からみて、大切と思われたポイントを書いています。内容は、発表と異なる点もあるかと思いますので、その点はご勘案ください。本記事の文責はすべて小田倉にあることを述べさせていただきます。

<key note lecture>アレキサンダー先生(デューク大学)
これまでの経験から新規抗凝固薬について、以下のことをlessonとして挙げておられました。
・アスピリンを心房細動に使うべきではない
・新規抗凝固薬使用という点では膨大なる機会がある
・ワーファリンはよい、しかし我々はもっとよいことができる
・すべての新規抗凝固薬は(偽薬に比べ)予後を改善する
・脳梗塞を減らす
・新規抗凝固薬をやめてワーファリンを開始することは危険:Rocket-AFではそのための脳梗塞が増えた
・すべての新規抗凝固薬は出血を惹起する。しかしいくつかはワーファリンよりも出血が少ない
・急性冠症候群における効果は確かではない。

<新規直接トロンビン阻害薬ダビガトランについて>奥村先生(弘前大学)
・RE-LY試験ではCHADS2スコア0-1点の人にこそダビガトランが有効
・aPTTをモニターすると220mg/日の方が300mg/日よりも服用後2-3時間のピーク値が上昇した。クレアチニンクリアランスが低いため

<新規Xa因子阻害薬エドキサバンついて>是恒先生(国立病院機構大阪医療センター)
・CHADS2スコア2点以上を対象としたENGAGE-AF-TIMI48、が進行中。今年中に終わる予定
・用量は日本人に合わせて30mg,60mg1日1回を設定している

<リコンビナントトロンボモジュリンによる抗凝固/炎症の血管内制御>丸山先生(鹿児島大学)
・哺乳類の循環系は出血と炎症からフリーな閉鎖系である。
・ひとたび外傷を受け、バリアシステムが破綻した場合、出血回避および病原菌侵入回避のため急速な止血が完了しなければならない
・これに対しわれわれは2つの防御機構すなわちカスケード反応による凝固系と、生来の免疫系を有する
・この2大反応系に、DAMPs(分子パターンに関連した損傷)とPAMPs(分子パターンに関連した病原)の2つの分子パターンが関与している
・PAMPsの代表はエンドトキシン。DAMPsの代表はHMGB1
(それ以降は難しくてフォロー困難でした。。。)
by dobashinaika | 2012-03-17 16:42 | 抗凝固療法:凝固系基礎知識 | Comments(0)

日本循環器学会1日目、新規抗凝固薬の2つのセッション報告#nichijun

第76回日本循環器学会出席のため福岡に来ています。
あいにくくもりか雨のぐつついた天気ですが、そのせいかどこへも行かず、一日まじめに参加しました。

今日聞いたセッションは次の4つ
・コメディカル一般演題(ポスター)「薬剤・ダビガトラン」
・ランチョンセミナー「Stroke prevention in atrial fobrillation]
・トピックス4「凝固系線溶治療のupdate」
・ファイアサイドセミナー「新規抗凝固薬の期待と課題『ダビガトランの使い方。私はこう考える』」

全部抗凝固薬のセッションを選んでしまいました(笑)

さすがにホットな話題のため、どこも満員の盛況で、この分野への関心の高さを改めて知らされます。

今日は全2つの見聞した内容を紹介します。

<コメディカルセッション>
コメディカルセッションでありながら、医師の聴衆も多数みられ、黒山の人だかりでした。
各病院の薬剤部門で、腎機能や年齢、併用薬剤に逸脱が見られないか、医師の処方箋をチェックし、疑義紹介をして安全に努めているようです。
ある施設ではすでに200例以上に処方され、中には110mg1日1回。75mg1日2回などの処方もなされていました。
このように、大量処方している医療施設での使用経験は、皆が知りたいところです。今回医師セッションではそういう演題があまりないように思われ、残念です。

<ランチョンセミナー>
McMaster大学(カナダ)のJeffrey Weitz先生の講演です。
Switching(ワーファリンからダビガトランあるいはリバーロキサバン。またはその逆)
Monitoring(モニタリング)
Peri-Procesual management(手術前後の管理)
Reversal(出血時の中和)
の4点に集約される新規抗凝固薬の「知りたいポイント」をきっちり説明していただきました。

以下、知見の列挙
・カナダではINR2.0未満を確認してからワーファリンから変更、ただし高リスク例では2.5未満で変更

・ダビガトランはaPTT、リバーロキサバンはPT-INRをモニターする

・プロトロンビン複合体製剤はダビガトランよりリバーロキサバンの中和に適するとの論文があるが、動物実験ではダビガトランにも効果あり

・現在新規中和薬の第I相試験進行中

・カナダでは抗凝固薬処方の15%が新規抗凝固薬

・カナダでのダビガトランとリバーロキサバンの使い分け
1)脳梗塞/TIAの既往例はリバーロキサバン:ROCKET-AF試験症例の50%は既往例なので
2)1日1回か2回は患者と相談
3)カナダでもダビガトラン処方例の50~60%は110mgx2⇒腎機能を気にするため。腎機能低下例でリバーロキサバンを処方しやすい可能性あり
4)消化器症状があればリバーロキサバン

・弁膜症性心房細動の治験は現在第I相

・CHADS2スコア1点例はROCKET-AF試験には登録なしだが、高リスクで有効であれば低リスクで
も有効と考えるのは合理的

・ワーファリンで脳出血が新規抗凝固薬より多いのは、ワーファリンは作用後トロンビン生成までにタイムラグがあり、ダビガトランと比べトロンビン生成、クロット生成を脳内で生じさせないため

カナダでも110mgx2の処方がどうしても多くなるというのが、どこの国でも同様の傾向があることが分かり興味深い点でした。

残り2つのセッションも非常に興味深く、特に最後のセッションは書きたいこと満載ですが、深夜になってしまったので、明日にします。

なお上記記載内容は、小田倉が自分の視点を通して見聞した記事内容であり、の文責はすべて、小田倉にありますことをお断り申し上げます。

巨大スペースでの医療機器展示
日本循環器学会1日目、新規抗凝固薬の2つのセッション報告#nichijun_a0119856_05219.jpg


あまりに会場が広いのでベロタクシーで移動
日本循環器学会1日目、新規抗凝固薬の2つのセッション報告#nichijun_a0119856_06948.jpg

by dobashinaika | 2012-03-17 00:07 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

初めて診断された心房細動の症状の重症度:Circulation Journalより

Circulation Journal3月7日早期公開版より

Distribution of First-Detected Atrial Fibrillation Patients Without Structural Heart Diseases in Symptom Classifications

器質的心疾患のない初発心房細動における症状分類の内訳についての研究

P:器質的心疾患のない初発心房細動289例

E/C:カナダ心血管協会の心房細動重症度スケール(CCS-SAF)および欧州不整脈学会症状スコア(EHRAスコア)により初発症状の程度を評価

O:各スコアの患者分布

結果:
1)両スコアにおいて無症状は109例37.7%。最重症は17例5.9%
2)女性の方が有病率が多く、スコアが高くなるほど高年齢
3)両スコアとも最重症クラスでの心不全を除き、併存疾患の有病率は症状スコアとは無関係
4)CHADS2スコアは最重症クラスで明らかに高い
5)左房径は無症状クラスと最重症クラスで大きいU字形を呈した。E/e’は最重症クラスで高い
6)追跡期間(506日)中、死亡率、心不全入院、脳卒中は最重症クラスで各11.8%、35.3%、11.8%とどれも非常に高い
7)ワーファリンは最重症クラスで最も多く投与。抗不整脈薬は無症状クラスで最も少ない投与
8)除細動入院はクラスで有意差なし。
9)カテーテルアブレーションは無症状クラス、最重症クラスで有意に低い

結論:初発心房細動の症状による分布、特徴を検討した最初の論文

###東京の心臓血管研究所からの報告です。下記の示すようにそれぞれの最重症クラスとは心不全合併例と考えられますので、死亡率その他が高いということになります。

無症状が40%近くいることが興味深いですが、健康診断や外来での診察でたまたま見つかった例が含まれていると考えられます。

高齢者ほど、まったく症状が無いのに、ある月の外来で突然脈が不整になっているのを聴診して気づくことはよくあります。外来では、指3本で脈をとるだけで診断できるので、ぜひ億劫がらず、毎回の診察時に脈をとることを励行したいものです。

そのほか女性の方が症状が強いなど興味深い知見がたくさんある論文ですね。

CCS-SAF
初めて診断された心房細動の症状の重症度:Circulation Journalより_a0119856_035687.jpg


EHRA
初めて診断された心房細動の症状の重症度:Circulation Journalより_a0119856_0102734.gif

by dobashinaika | 2012-03-16 00:14 | 心房細動:診断 | Comments(0)

心原性脳塞栓総合ガイドラインならびに横断的学術集会があればいいのに:明日から日本循環器学会

明日午後から福岡入りし、日本循環器学会に出席いたします。

そのため、16日(金)、17日(土)は当院休診となりますので、何卒ご了承ください。

日本循環器学会は、昨年3月に開催予定でしたが、震災のため8月に延期され2日間だけ開催された経緯があります。そのせいか、今回はホテルが取りにくく、航空券も格安の入手は不可能でした。相当数の循環器専門医が、明日から3日間、博多の町に集まることが予想されます。

私は、最近プライマケア医として心房細動診療に携わる機会が多いのですが、そうした立場から見ると、「日本循環器学会」といったような臓器専門学会はどうやら曲がり角に来ていると思うことが、最近あります。

例えば心原性脳塞栓。これ循環器領域だけの疾患ではありません。むしろ脳の疾患です。ですので、循環器専門医だけ集まって学会を開いても限定的な意義にとどまってしまうように思えます。
もちろん、神経内科医や血液内科医などの参加もあるかと思います。しかしあるシンポ、あるランチョンセミナーだけの限定的なものにとどまるのではないでしょうか。

循環器専門医としての立場で、論議を深めることも当然必要でしょう。しかしそれと並行して、たとえば神経内科医からみて、ステント後の心房細動の抗血栓療法はどうして欲しいのか、消化器専門医として抗凝固療法はどうしてほしいのか。お互い何を考えているのかを知る場の共有がますます求められてきていると思われます。

そして何よりその情報がほしいのはプライマリケア医です。そもそもプライマリケア医のなかには、これまでワーファリンコントロールを全くしたことがない、あるいは心房細動そのものに対する抗凝固療法の重要性をさほど認識していない医師が少なからずいます。いや、たくさんいます!

そうした層に、専門医集団の情報をどう伝達すればよいか。各地方で開催される研究会や勉強会だけで良いのか。勉強会に来ない医師の意識をどうこっちに向かせるのか。

最もインパクトのある方法は、循環学会、血液学会、神経内科学会、消化器内視鏡学会、歯科学会、そしてプライマリ学会合同で「心原性脳塞栓総合ガイドライン」とでも呼べるうようなものを作成することかもしれません。こんなのでも作れば、世の中の心房細動のひとを扱う医療者は皆振り向くでしょう。

まあそこまで行かないまでも、とにかく場の共有、情報の共有が今こそ求められます。

今回の日本循環器学会に、その一端が見られることを期待して福岡に参ります。

学会中、ツイッターで情報を実況しますので、皆様ご笑覧いただければ幸いです。
ブログも必ず更新します!
by dobashinaika | 2012-03-14 23:53 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

睡眠時無呼吸症候群と心房リモデリングの関係:Heart Rhythmより

Heart Rhythm 3月号より

Atrial remodeling in obstructive sleep apnea: Implications for atrial fibrillation
Heart Rhythm Volume 9, Issue 3 , Pages 321-327, March 2012


閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)が心房リモデリングにどのような影響を及ぼすかに関する研究

P:洞調律時にカテーテルアブレーションを施行された発作性心房細動の人40人

E:OSA20人(AHI15以上)

C:非OSA20人

O;右房、冠静脈洞内の伝導時間。分界稜の伝導。洞結節回復時間。両心房内のカテーテル電極での電位、伝導、complex電位の分布

結果:
1)心房細動の危険因子(高血圧、心不全など):両群間で差なし

2)有効不応期:差なし

3)complex電位(分界稜)、P波幅、洞結節回復時間、心房内低電位、心房内伝導時間、両心房内のcomplex電位の分布範囲:いずれもOSA群>非OSA群

結論:OSAは心房拡大から生じる心房リモデリングと明らかな関係があった。このことはOSAと心房細動の関連を説明づける。

###心房細動患者さんは睡眠時無呼吸症候群を高率に合併することは知られています。これは電気生理的側面からそのことを裏付ける証拠です。OSAの人は高血圧その他の生活習慣病が多く、心房の炎症も進むからという推察ができるかもしれません。
by dobashinaika | 2012-03-13 22:33 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

高齢者でのダビガトランの出血リスク:ニュージーランドからの報告

New England Journal of Medicine 3月1日号より

Bleeding Risk with Dabigatran in the Frail Elderly
N Engl J Med 2012; 366:864-866


ニュージーランドからのダビガトラン使用についての報告(Correspondence)

・ニュージーランドでは2011年7月からダビガトラン処方が可能となった
・最初の2カ月で7000人に処方された

・オーストラリア/ニュージーランド血液学会による出血イベントの監視が開始されている
・2カ月の間に78名の出血エピソードが確認され、12名の大出血含む
・症例の解析により出血に寄与する次の4つの因子が浮かび上がった:
 1)処方エラー
 2)腎機能低下
 3)年齢
 4)中和薬なしによるもの
・処方エラーは25%。ダビガトラン処方前にINRが2.0以下を確認しなかった(4例)。重症腎不全に使用(6例)

・この薬剤の潜在的リスクはまだ一般的に知られていない
・有効な中和薬がないことが重大な結果を招くことに関しても、あまり注目されていない
・出血の遷延が一人の患者の死に寄与した可能性が高い
・低用量処方が必ずしも出血軽減にはつながらない:22名は低用量を服用
・出血は低腎機能と低体重に関係
・2/3は80歳以上:58%は中等度~重症腎不全。50%は体重60㎏未満
・80歳以上の心房細動患者の50%は中等度腎機能低下と言われている

・(このような患者層とは)対照的に、RE-LY試験の平均年齢は71歳、体重は83kg、クレアチニンクリアランスは68ml/minである
・80歳以上または体重63k未満の患者は、この試験の1/3未満である。CCr50未満は20%未満である

・我々監視者は、この試験のデータを臨床現場に適応することの難しさをここに表明し、市販後調査と臨床試験のセッテイングでは出にくいようなリスクを持つ患者層を同定するための副作用報告の必要性を強調したい。
・我々のすべてのケースのレビューは、限界はあるかもしれないが適正処方への教育の必要性を浮き彫りにするものである。
・すべての患者、特に80歳以上、または腎機能低下の高齢者または低体重者においては、ダビガトラン投与前のリスク・ベネフィット評価を注意深く行うべき

###どこの国でも似たような現象が起きています。そして高齢者、腎機能、低体重に注意。RE-LY試験をそのまま現場に持ち込むな。市販後サーベイを徹底せよ。全く同じことが日本に当てはまります。

出血寄与因子として処方エラー、中和薬なし、を特定していることに注目です。時に処方エラーはINR2.0未満を守ったかどうかという非常に細かいところまで解析されたものです。ワーファリンからの切り替えの難しさも浮き彫りにされています。

auditが循環器医でない血液専門からの立場で、しっかり存在しているからだと思います。副作用のインパクトが非常に大きい薬ですので、このくらいの厳密なauditは納得です。日本はここまではなされてないと思われます。
by dobashinaika | 2012-03-12 22:23 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

震災1年後の「もう」と「まだ」:2012.3.11に思うこと

あの日の夜の星空を思い出しながら、書いています。

「もう1年。」「まだ1年。」きょうほど時間経過に対する2つの思いが錯綜した日はありません。読んでいる方もそのような思いを少なからずいだいておられると思います。
「自分は何もしていないのにもう1年が過ぎでしまった。」「もう1年も過ぎたのに、まだこれだけのことしかできていない。これしか復興されていない。」

われわれの「もう」「まだ」に対する錯綜した思いは、物理的な時間の経過と自分(あるいは他人)がこの1年間なしたこと、なされた蓄積とのギャップからくるものでしょう。
あるいは、自分はこれだけのことができたのかもしれない、なのにいままでこれだけのことしかして来なかった、もう1年過ぎてしまった。という期待感と現実とのギャップや後悔に由来するのかもしれません。

当院は、幸い震災の被害が最小限にすみ、震災翌日から診療を行うことが出来ました。今日、改めて震災当日からの院長ブログや自分でつぶやいたツイートを読み返してみるいと、やはりあの当時の一瞬一瞬が生々しくよみがえって、心が騒がしくなります。

そしてこの1年間自分はできることを精一杯したのだろうか、もっとできたのではないだろうか、と自問が始まります。

ただ、この歳になってみると、そこで自責の念に駆られたり、自己嫌悪に陥ったりするにはいささか人生経験を経ているのも事実です(笑)。むしろこの1年間、今までこんなことに気づかなかったなあと思うことが多々湧き出てきます。

この1年間で最も学んだことといえば、やはりご近所の人、近隣の方との顔の見える関係性です。震災からの数日、数週間、ひと、モノ、情報、の共有、交換に関して、そして生きていく上で、どれだけ近くのひとの存在が大きかったか。今までいかに我々は近隣の共同体というものをおろそかにしていたのか。震災を通して心底感じたのは、まさにこのことです。

そして、こうした共同体を大切にすることは、むしろこれからずっとつきまとっていく課題です。ご高齢の方の多い、当院周辺地区で支援の必要な人をどう支えるか。一診療所としてどのようにコミュニティと関わっていくか、それを作っていくか。

1年といわず、今後長きにわたって取り組んでいく課題であることを、一年経ったこの日に再認識しています。

震災1年後の「もう」と「まだ」:2012.3.11に思うこと_a0119856_22304282.jpg

今夜の勾当台市民広場
by dobashinaika | 2012-03-11 22:39 | 3.11 | Comments(1)

認知機能低下と心房細動の新規発症には関連がある:ONTARGET,TRANSCENDサブ解析より

CMJ 2月27日オンライン版より

Increased risk of cognitive and functional decline in patients with atrial fibrillation: results of the ONTARGET and TRANSCEND studies

P:ONTARGETまたはTRANSCEND試験参加者のうち、心房細動に関する情報が得られた31506名(男70.4%)、平均年齢66.5歳、平均MMSE27.7

E:6ヶ月ごとの外来で新規発症心房細動が確認された例

C:非心房細動例

O:認知機能(MMSE)、認知症新規発症、長期療養への入所

T:平均56ヶ月追跡。ベースライン、2年後、5年後で結果を比較

結果:
1)心房細動発症:ベースライン時1016例、3.3%→追跡期間後2054例、6.5%が新たに発症

2)心房細動の認知機能低下に関するリスクはハザード比1.14(1.02-1.26)

3)新たな認知症発症に対してはハザード比1.35(1.19-1.54)

4)長期療養施設入所に対してはハザード比1.53(1.31-1.79)

5)この結果は脳卒中や降圧薬内服に影響されず

6)MMSE3以上の減少はAF群19.3%、非AF群16.6%

結論:認知症、認知機能低下は心房細動の重要な帰結であり、脳卒中の有無に左右されない。

###ONTARGET試験はテルミサルタンのACE阻害薬ラミプリルへの上乗せ、TRASCENDはテルミサルタン単独投与により心血管イベントを比較した大規模試験。本研究はそのサブ解析。

昨年のNeurologyのメタ解析では脳卒中患者において関連ありとされていました。今回はその有無に関係なく認知機能低下と心房細動発症に関連ありとした研究です。大規模でかつ各種交絡因子を補正しているので、poct-hoc解析ではあれ、いちおう気に止めておくべき結果だと思います。

微小血栓や炎症の関与が考えられますが、アブレーションによる早期介入や抗血栓療法が改善に寄与するのか興味深いところです。

MMSEは国際的は認知機能評価の指標で30点中24点以下で認知症の疑いあり、とされています。
by dobashinaika | 2012-03-10 23:59 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

新医院建築のための地鎮祭をとり行いました

当院は前院長、小林清先生が平成元年に設立されて以来今年で24年目を迎えます。
8年前に私が院長職を引き継ぎ、以来地域の皆様の信頼を得るべく診療して参りました。お陰様で現在多くの患者様に受診いただいております。

そうした中、数年前から待合室の狭さ、待ち時間の多さ、処置室のプライバシーの問題など、様々な物理的問題を抱えるようになり、昨年から隣の駐車場に新たに医院を建築する計画を立てておりました。

設計をある程度考え、これから業者さんと打ち合わせをしようとしていた矢先が、ちょうど昨年の大震災のタイミングでした。以来物資や人材調達の面で工事が予定より遅れ、ようやく、本日地鎮祭をとり行うことに相成りました。

大崎八幡神社の神職の方をお招きし、神様にお供え物をし、祝詞を上げ、お祓いをして浄め、最初の鋤や鍬を入れ、工事の無事を祈りました。

この時期、まさに地が鎮められんことを願ってお祈りいたしました。

工事が予定より遅れたのも、偶然でありかつ必然であると考え、地域の皆様が、健康のこと以外でも気軽に立ち寄れるような医院が作れればいいなと思っています。

今後近隣の皆様には、工事で何かとご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解の程、よろしくお願い申し上げます。

なお、完成は夏ごろを予定しております。
新医院建築のための地鎮祭をとり行いました_a0119856_2319382.jpg

新医院建築のための地鎮祭をとり行いました_a0119856_2320464.jpg

by dobashinaika | 2012-03-08 23:26 | 土橋内科医院 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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プライマリ・ケア医のための心房細動入門

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治療 2015年 04 月号 [雑誌]

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