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立位、着衣でも記録できる簡易心電計による心房細動スクリーニングの診断能力:Europaceより

Europace10月11日オンライン版より

Simplified electrocardiogram sampling maintains high diagnostic capability for atrial fibrillation: implications for opportunistic atrial fibrillation screening in primary care

簡便な心電計による心房細動スクリーニングの有効性に関する検討

・前額面の6誘導だけのハンドヘルド心電計(立位、着衣で記録可能)を開発し、心房細動のスクリーニングについて従来の12誘導心電計と比較した

・78人の心房細動および79人の洞調律を記録した
・従来からの12誘導心電図、従来からの6誘導の四肢誘導心電図、胸郭下部または腹部上部に装着した立位での6誘導プロトタイプ、着衣、座位での6誘導プロトタイプの4種類を比較
・心電図の評価は2人の専門医がランダムに施行し、診断精度、記録の質を比較した

・感度90%以上(94-100%)、特異度94%以上(94-100%)、陽性的中度94%(94-100%)、陰性的中度90%以上(94-100%)、正確度93%(94-100%)

・記録の質は12誘導心電図の方が勝る

結論:6誘導前額面心電図の簡便型ハンドヘルドプロトタイプは、12誘導心電図に比べて、記録の質は落ちるものの、心房細動と洞調律の鑑別に信頼性が得られた。

###立位、服の上からというのがいいですね。
以前も述べましたように、心原性脳塞栓の多くがCHADS2スコア1点以下で、しかも発症前に心房細動が認められていない例が多いのです。
今後CHADS2スコア1点時代(と名付けました)の抗凝固療法は、これまでのように目の前の心房細動に施すというレスポンスから、CHADS2スコア1点の人集団での心房細動を見つけていくというコンセプトへと変わっていくと思われます。
その時このような簡易心電計の役割は重要性が増すと思われます。
携帯心電計が今現在使えますが、着衣では使いづらい面はあります。コストや精度などこれと比較してどうなのか興味あるところです。
by dobashinaika | 2011-10-14 18:55 | 心房細動:診断 | Comments(0)

心房細動は緩徐に心拍数を管理しても厳格にしてもQOLに差はない:RACE II試験サブ解析より

Journal of American College of Cardioloy 10月17日号より

The Effect of Rate Control on Quality of Life in Patients with Permanent Atrial Fibrillation
Data from the RACE II (Rate Cotrol Eficacy in Permanent Atrial Fibrillation II) Study
J Am Coll Cardiol, 2011; 58: 1795-1803


心房細動では緩やかな(Lanient) 心拍数管理が厳格な管理と同等のmorbidity,mortalityを持つとしたRACE II 試験でのQOLの検討

P:オランダの33医療施設で以下の基準を満たした心房細動患者614名のうちQOLを検討をし得た437例。基準:12か月以上続いた永続性心房細動、80歳以下、安静時平均心拍数80/分以上、抗凝固療法施行。3年追跡。平均年齢68歳

E:目標心拍数を安静時110/分未満に設定した緩やかな(lenient)コントロール群

C:目標心拍数を安静時80未満、中等度運動時110未満に設定した厳格なコントロール群

O:各種QOLの指標:SF-36, AF severity scale, MEI-20(Multidimensional Fatigue INventory-20)をベースラインと1年後で検討

結果:
1)SF-36は両群で同等
2)AF severity scaleはベースラインと1年後で同じ
3)MFI-20は両群で有意差なし
4)ベースラインでの症状、若年、基礎疾患が軽症、心拍数はQOL改善と関連があり、目標心拍数とは関連薄い
5)女性、心血管系エンドポイント(心血管し、心不全等)はQOL悪化に関連

結論:心拍数管理の厳格さはQOLに影響しない。かわりに、症状、性別、年齢、基礎疾患が影響した。

###大変興味深いですね。本論文では緩やか管理群の最終心拍数は93±9/分、厳格群は76±12/分でしたが、このくらいの心拍数の差はあまりQOLに関係ないようです。確かに心拍数100以上でも全く症状のない方もいれば、80くらいでかなり動悸を訴える方もおられます。心房細動のQOLは、一概に心拍数だけで語ることはできないということの表れでしょう。

RACE II試験はこちらを参考を

こちらもご参考までに

おまけ:JACCの購読有効期限が切れていたのを忘れており、全文を読んでおりません。すみません。入手したらまた追加コメントします。

おまけ2:便宜上「レートコントロール」の論文は「ダウンストリーム治療」のカテゴリーに入れています。
by dobashinaika | 2011-10-12 18:48 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

理想の抗凝固薬とは:European Heart Journalのレビューを通しての一考察

だいぶ前の論文で恐縮ですが、European Heart Journalの8月号で、新規抗凝固薬の総説が掲載されておりましたので、全文を入手して読んでみました。最近出たもの、これから出る予定のものまで含めて新規抗凝固薬の特徴やエビデンスが非常によくまとめられています。その中にThe ideal anticoagulant=理想の抗凝固薬として9つの条件が上がっています。以下の通りです。

1.証明された効果
2.低い出血リスク
3.固定用量
4.良好な生物学的利用率
5.定期的モニタリング不要
6.可逆性
7.迅速な作用開始
8.少ない薬剤/食品との相互作用
9.利用可能な拮抗薬

なるほど条件が網羅されていると思いますが、いろいろなカテゴリーが並列に置かれている感があります。
私は医療者の視点から見た理想の抗凝固薬の条件は「高塞栓予防ベネフィット」「低出血リスク」「高簡便性」の3点にカテゴライズされると考えます。
その意味で上記のうち1、4、7は高ベネフィット、2、6、9は低リスク、3、5、8は高簡便性へと、多少のオーバーラップに目をつぶればざっくり分類されそうです。

さて、日本循環器学会の「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(2009年改訂版)」のII. 総論の2−1に抗血栓薬に関する興味深い論説があります。これを執筆されたのは、別な雑誌等にも同様のことを述べられている東海大学の後藤信哉先生と拝察いたします。その内容とは、薬剤介入前後の血栓性イベント発現率 X,X ́ とし、抗血栓薬の介入の前後の出血性合併症の発症率を Y,Y ́ とした場合,(X+Y)-(X ́+Y ́)> 0を目指して抗血栓薬は開発されたが、イベントと言っても心筋梗塞、脳梗塞など多岐にわたり、また発現率自体に地域差があること、さらに医療介入により惹起されたイベントに対する心理的インパクトをαとすると、(X+Y)-α(X ́+Y ́)> 0, ま た は(X+Y)-(X ́+α Y ́)> 0 を介入指標と考えること、を主張されています。

大変興味深く、リスク認知心理学の基本に沿った捉え方だと思います。わたしはこの指標をさらにデフォルメして、抗血栓薬投与にかかるコストをβとして、(X+Y)-(X ́+α Y ́+β)> 0のとき抗血栓薬の適応を考えたいと思います。ここでのβ=コストとは経済的コストばかりではなく、ワーファリンで言えば、納豆が食べられない、モニタリングが必要などの上記で言う簡便性が含まれます。

新規抗凝固薬では、高ベネフィット低リスクに加え当初このコスト面が低いことも大いに期待されていましたが、腎機能等の留意事項に十分注意する必要があるなど、高い薬価もさることながら、低リスク実現のためにむしろコスト(気配り)を多く必要とする段階でありまだ低コスト(高簡便性)を獲得するまでには至っていないように思います。

さらに言うなら、医療者は、X,X ́,Y,Y ́などのいわゆるリスク&ベネフィットのエビデンスを重視しますが、患者さんは上記のαとβを何より重視するでしょう。患者さんによっては、ひたすらαが過大となり、X’,Y’などほとんど無視する場合もあるでしょう。αはかなり個人に依存しますので、コントロールは難しいこともあるかもしれません。さらに患者さんの視点から言えば、ワーファリン内服によって病者になってしまったというある種の烙印感といったものや、病院に通わなければならない億劫感と言った心理負担もコストとしてβの中に組み込まれると思います。

私流に言わせていただけば、(X+Y)と(X ́+α Y ́+β)の差がより大きいほど理想に近い抗凝固薬ということになると思います。

(上記9条件の各新規抗凝固薬における各論を述べるつもりが,いつの間にかまたまたリスクの話しになってしまいました。各論はまたの機会に。)
by dobashinaika | 2011-10-11 00:06 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動合併脳梗塞患者の一部は抗凝固療法を受けていない:米国AVAIL Registryより

Stroke 9月8日オンライン版より

Antithrombotic Therapy Use at Discharge and 1 Year in Patients With Atrial Fibrillation and Acute StrokeResults From the AVAIL Registry

脳梗塞/TIA後の患者の退院後と12ヶ月後の抗凝固療法に関する米国の病院約100施設の登録研究

・脳梗塞/TIA2460人のうち、心房細動有病率は11.8%(291人)

・心房細動患者の退院時処方:アスピリン単独5.5%、ワルファリン単独49.1%、クロピドグレル単独1.4%、ワーファリン+アスピリン34.7%、アスピリン+クロピドグレル2.1%、アスピリン+クロピドグレル+ワーファリン1.0%

・逆説的ではあるが、ワーファリン使用はCHADS2そこア3異常では減少した。

・12ヶ月後のワーファリン使用と唯一関連のある因子は男性であることだけであった(OR2.27,95%CI.222-4.35;P=0.01)

結論:全体としては脳梗塞/TIAの退院時ワーファリン使用率は高いが、CHADS2スコア3点以上では使用率は減少した。女性に比べて男性はイベント発症1年後のワーファリン使用率が高かった。心房細動を有する脳梗塞/TIA患者の抗凝固薬使用には改善の余地あり。

###心房細動のある脳梗塞/TIA症例ですので、CHADS2は2点でアメリカであろうが、どこであろうが自動的にワーファリンが推奨される症例が対象です。ただし脳梗塞で入院し退院後の使用状況である点がやや特殊です。ワーファリン使用率は85%で、特にCAHDS2スコアが高い例で処方されなかったことは、出血リスクを考えてのことかと思われます。また女性が1年後服薬率が男性より低いのは、アドヒアランスの問題かと思われますが、なぜ女性が飲まなくなるのかは不明です。

どちらの国でも出血を回避したい心理がこうした研究に反映されていると思われます。

ちなみに日本の循環器専門医の登録研究J-RHYTHM Registry(慢性期の外来患者対象)でのワーファリン使用率は87%でこれらの対象の多くはCHDAS2スコア0~1点の人ですので、日本の使用状況一概に比較はできないものの極めて高いとは言えます。
by dobashinaika | 2011-10-07 19:12 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

白色の野菜/果物と脳卒中、魚摂取量と脳卒中:Stroke誌より

いつも心房細動ばかりなので、たまには食物の話題
Stroke誌より。食事と脳卒中との関係を2題

Stroke 9月15日オンライン版より
Colors of Fruit and Vegetables and 10-Year Incidence of Stroke
脳卒中罹患率と野菜や果物の色に関する検討

20~65歳の地域住民20,069人に、178項目の食品に関するアンケートを行い10年間の脳卒中罹患率を調べた

・10年間で233例の脳卒中が認められた。
・果物と野菜を緑色、オレンジ/黄色、赤/紫、白色の4グループに分けての平均摂取量はそれぞれ62,87,57,118g/日
・緑色、オレンジ/黄色、赤/紫の摂取量と脳卒中罹患率とは無関係
・白色野菜/果物摂取量と脳卒中罹患率とは負の相関あり:4分位最上位と最下位でHR, 0.48; 95% CI, 0.29–0.77
・1日25gずつ白色野菜/果物を多く取れば脳卒中リスクは9%低下 (HR, 0.91; 95% CI, 0.85–0.97)
・リンゴや西洋なしは白色野菜/果物の中で最もよく(55%)摂取されていた

結論:白色野菜/果物を多く取ることは脳卒中から身を守るかもしれない


Stroke 9月8日オンライン版より
Fish Consumption and the Risk of Stroke A Dose–Response Meta-Analysis
魚摂取量と脳卒中リスクに関するメタ解析

・15の前向き研究、9,360例の脳卒中、383,838例の対象
・週3食魚摂取を増やせば脳卒中リスクは6%減少(relative risk, 0.94; 95% CI, 0.89–0.99)
・脳卒中サブタイプ別の9つの研究では脳梗塞のrelative risk0.90、脳出血は0.90

結論:魚摂取の週単位の増加は脳卒中リスクと負の関連あり

###後者は納得の結果です。魚摂取については日本人はこれ以上増やしてもノビシロは少ないかもしれませんが。一方白色野菜果物がなぜ脳卒中を減らすのかについては、私の乏しい栄養学の知識からのコメントは控えます。すみません。
by dobashinaika | 2011-10-06 18:03 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

慢性心不全における「人間中心ケア」の効果:the PCC-HF研究から

European Heart Journal 9月15日オンライン版より

Effects of person-centred care in patients with chronic heart failure: the PCC-HF study

WHOの提唱する「人間中心ケア」の心不全治療に関する効果に関する検討

P:スウェーデンのSahlgrenska大学病院に2008年から2010年までに心不全の増悪のために入院した248人。
除外基準;急性心筋梗塞、胸痛、50歳未満、弁膜症、重篤合併症など

E:人間中心ケア(2009年~2010年入院)125人;訓練された医療チームによる3段階のケアプラン。
第1ステップ:パートナーシップの開始。入院前後の状態、症状、モチベーション、目標等の情報からなる患者の包括的なナラティブを把握する。これらはアセスメントプロトコールにわかりやすくまとめられる。このプロトコールには患者の社会的状況、退院後のサポート、ADLレベル、自己評価の症状重症度の必要性なども含まれる。これらの情報に基づき仮のケアプランが作成され、探索事項、治療目標、入院期間が計画される。このプランは患者と協議の末24~48時間以内に同意に至る。

第2ステップ:パートナーシップの展開;患者はできる限り活動的になるように仕向けられる。ベッドから出て起き上がり、尿道カテーテルは除去される。患者は5段階スケールで息切れ、疲労症状を毎日自己評価する。このスケールは治療上の指標として使われる。入院後ケアプランに影響するような新情報は入院72時間でチェックされ、以後48時間ごとに評価され、プランを変えて行く。この構造的評価法はパートナーシップの維持と再強化および意思決定共有のためのものである。このプランは退院後のケア継続や意思決定支援のためにも提供される。

第3ステップ:パートナーシップの保護:このケアプランは意思決定や評価がアセスメント記録様式によるケアプロセスを通して記録されていることが前提

C:通常のケア(2008~2009年入院)123人

O:在院日数、ADL、健康関連QOL(HRQL)

結果:
1)全体として(ITT解析)は在院日数は1日減ったが有意差なし、ADLは変わらず
2)ケアプランを完全遂行できた例(perprotocol解析)では在院日数は通常群に比べ2.5日減少し(p=0.01)、ADLレベルは向上した(p=0.04)。HRQLや再入院までの期間は変わらなかった。

結論;人間中心ケアのプランを完全に行えば、心不全増悪患者の在院日数の短縮、機能的改善が、再入院やQOL悪化をみることなく実現できる。

###"person-centred care"の概念はWHOで提唱しているそうですが、認知症ケアモデルとしてネーミングされてもいます。似た概念に有名なスチュアートらの”patient-centred medicine"があります。

今回の心不全でのモデルは、患者のナラティブ(生物学的情報を含む)を把握し、患者と協議の上にケアプランを作る。それの実践と評価を医療者ー患者双方で行うということがコンセプトのように思われます。私が表題から想像していたのは、より社会心理学的側面を重視するものかと思っていましたが、心不全急性期のプランですので、入院中はやはり生物学的情報が中心におかれているようです。

ともあれ、これほど手厚く医療者との関係を密にされ、自己評価を促されれば、患者さんも否応無しによくなり、早く退院して行くのはうなづけます。患者満足度がどうであったかも知りたいところです。

退院後まで視野に入れられているようですが、たしかにこうした包括的なケアプランを,例えば心不全の慢性期外来診療に取り入れるのは、前々からやりたいと思っていたことです。そのプランに患者さんの個別的、社会心理的事情をどう取り入れるか、家族、ケアマネージャーさん、訪問看護師さんとどうコラボするか、こうしたケアはプライマリケア医の醍醐味と言えるかもしれません。

余談ながら、「〜中心の医療」とか「〜に基づく医療」という方はそろそろ皆さん卒業すべきではないかと最近思うのです。患者中心って言ったって、これ当たり前のことですよね。患者がいて医療者がいるのですから。本来は患者と医療者がある訳ですので、その関係性こそが医療の本質なのであり、その意味では「関係性中心の医療」と言うのなら私も納得です。おそらくこの論文の「人間中心の〜」という言い方も、それ以前はそうなっていなかったことのアンチテーゼの意味合いが含まれているはずです。それまではおそらく「疾病中心の〜」または「医療者中心の〜」だったのかもしれません。その意味で、早くこのアンチテーゼ的ニュアンスが解かれて、だれも「人間中心」と言わなくても常識になるような空気感が訪れることを望みます。

Person-centers careの概念はWHOの2008年年次報告書の中でよくのべられています(特にChapter3)。ご参照ください。
by dobashinaika | 2011-10-04 23:02 | 心理社会学的アプローチ | Comments(0)

女性においてHDLコレステロール低値と心房細動とは関連あり:新潟県健診でのコホート研究

Circulation Journal 9月14日オンライン版より

Association Between Lipid Profile and Risk of Atrial Fibrillation
– Niigata Preventive Medicine Study –


新潟県の一般住民健診において、血清脂質と心房細動発症率の関係を検討した前向きコホート研究

・28,449人の心房細動のない受診者を4.5±2.7年追跡した

・265人(0.9%)で心房細動の発症を認めた。

・多変量解析の結果、女性において低HDLと心房細動罹患率は関連があった (HR, 2.86; 95% CI: 1.49–5.50)

・男性においてはこの関係は認められなかった (HR, 1.35; 95%CI: 0.77–2.38)

・女性はHDLコレステロール10%低下に伴い心房細動リスクが28%増加した

・中性脂肪やLDLC/HDLCは関連がなかった

・降圧薬、糖尿病、器質的心疾患の因子を除外してもなお、女性においては低HDLと心房細動発症は関連があった

結論:低HDLは女性において心房細動の新規発症のリスク増加に関連していたが、男性では関連がなかった。

###このほか総コレステロール値も、女性で心房細動と関連があり、LDLコレステロールは両者で関連が認められています。これまで脂質と心房細動の関係については様々な報告があり、一定の結論が出ていません。フラミンガム研究でも明らかな関連はなし。UpToDateやDynaMedでも危険因子として独立には取り上げれられていません。筆者は炎症や酸化ストレスが関連していることを指摘しています。また女性に多い理由としては女性ホルモンの減少の関与を考察しています。これらメカニズムの解明は明確には語られていないようです。

次はスタチンの介入研究が待たれますが、スタチンの心房細動抑制効果な短期では認められるものの、長期の効果は不明であり(以前のブログ)、それは動物実験などでも裏付けられているようです。日本のコホートではどうなのでしょうか?
by dobashinaika | 2011-10-03 23:06 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動のコントロールの質による症状や生活機能、QOLの違い:RealiseAF登録研究より

HEART 9月19日オンライン版より

Symptoms, functional status and quality of life in patients with controlled and uncontrolled atrial fibrillation: data from the RealiseAF cross-sectional international registry

前年に何らかの心房細動歴を有する患者の国際的、観察横断研究

・9665名が登録。洞調律維持または心房細動時心拍数80以下をコントロール心房細動と定義

・コントロールされた心房細動は59%(洞調律26.5%、心拍数80未満32.5%)、非コントロール41%

・登録前1週間間の症状出現率はコントロール心房細動で有意に少ない(55.7% vs 68.4%; p<0.001) が洞調律例と心拍数80以下例では同じ(54.8% vs 56.4%; p=0.23)

・受診時,心房細動に関連した症状(EHRAスコア2点以上)のある患者はコントロール群で有意に少ない(67.4% vs 82.1%; p<0.001)

・QOL評価はコントロール群で有意に良好(VAS:mean (SD) score 67.1 (18.4) vs 63.2 (18.9); p<0.001)(single index utility score: median 0.78 vs 0.73; p<0.001)(five dimensions of well-being, all p<0.001)

・コントロールに関わらず、登録前年の心血管イベントは28.1%にみられた。

結論:心房細動のコントロールが最善であるとはいえない。コントロールは症状の軽減とQOLの改善に関連していたが、コントロール群でも症状は頻回であり、機能的な障害やQOLの変化、心血管イベントがみられた。これらの改善には新しい治療が求められる。

###心房細動が良くコントロールされているとは言っても程度の問題であり、レート80未満であれ症状の強い人もいます。ただこの論文のQOL評価はVASの他、おそらく包括的指標だと思いますが、日本のJ-RHYTHM研究のAFQLQスコアの方が特異的で遥かに精度が高いように思います。J-RHYTHMでは治療により確実にQOLは向上しており、治療法などでコントロールの程度に違いがあるのかもしれません。
by dobashinaika | 2011-10-02 23:02 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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