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災害後の心のケア・うつについての勉強会を開きました(第21回寺子屋勉強会)

さる5月14日(土)、第21回の寺子屋勉強会が開催されました。この会は私と森るり子先生(森るり子内科クリニック)が幹事となり、仙台市周辺の開業医の先生を対象としてプライマリケアを広く勉強するために不定期に開催している会です。
今回は「かかりつけ医がうつを診る工夫ー災害の心のケアも含めて」と題して、メンタルクリニック秋田駅前の稲村茂先生にご講演をいただきました。
稲村先生は、秋田いのちの電話を主催されるなど、うつ・自殺対策の専門家であり、今回の震災では石巻地区など被災地の避難所に入られて被災者の方のメンタルケアも実施されるなど、精力的に活動されている先生です。
ご講演の中から、印象に残った言葉をpick upいたします。


* 秋田県の自殺率は全国一位。ここ数年やや減少
* 東北地方では秋田、青森が高い。宮城は全国平均
* 70代が最も多く、男性は女性の2倍。男は50代が多く、女性は高齢ほど多い(孤独死多い)
* 自殺の原因は健康問題が41%。経済・生活問題は29%で最近半分に減ってきた(平成18年)

* うつ症状を呈する患者の初診料の64.7%は内科
* とりわけ中高年男性の受診をいかに高めるかがポイント
* ハイリスク者の発見と対応には地域のキーパーソン養成(メンタルヘルスサポーター)が大切
* 秋田県医師会ではうつ病・自殺予防研修会を通じてプライマリケア医の研修を行い協力医として公示している
* 精神科専門医約24名が登録医としてこれら協力医への援助をしている
* 研修会は秋田県内で年間15回開催され、ロールプレイや座談会形式

* 「傾聴」の大切さ,しかし「答えること」はできない。
* 生きる目的はないかもしれない。でも今日1日で何かいいことがあったかを聴いてみる
* 1800名が被災地から秋田に避難しているが6割に精神的トラウマが見られる
* 傾聴すると話しが止まらない「躁的防衛」がみられる
* 医者が来ただけで楽になったと言われる

* メンタルケアの手法として「受容」「傾聴」の次に、より一歩踏み込んで、体験されたことの具体的な話を聞き出す「体験の明細化」も大切
* うつ・自殺防止には、地域の医師そのものが社会資本である

震災後、仙台市内でも、医療関係の勉強会はほとんど延期または中止となり、今回ほぼ震災後初といっていい会合でしたが、ここ2カ月での開業医それぞれの体験談を交えながらの質疑応答も活発で、医者もみんな今、語りたがっているんだな、と実感しました。

答えることはできない、でも傾聴する。地域の医師はそのための社会資本である。深く心に刻みたいです。
by dobashinaika | 2011-05-18 08:29 | 寺子屋勉強会 | Comments(0)

プラザキサは良い薬。でもやっぱりワーファリンも好き。

われわれ医師は、薬についてそれがが本当に効いているのか(効果=ベネフィット)、および副作用が出ていないか(リスク)、につき常に注意を払う必要があります。
特に長期にわたって処方する生活習慣病対策の薬、降圧薬やスタチン、糖尿病薬、骨粗鬆症薬などは、処方開始の意思決定は一般的にベネフィット>リスクの場合に行われますが(あくまで医療者の論理では)、このベネフィトとリスクは処方開始後も長期にわたって確認されなければなりません。なぜならベネフィット、リスクは患者さんの年齢、服薬コンプライアンス、食事、生活状況、等様々な因子により刻々と変化するからです。

これらの薬は、その効果を直接見ることはできません。なぜならその効果とは「脳卒中にならない」「心筋梗塞にならない」「骨折していない」ことですが、それは「その薬を飲んでいないときに比べて」ですので、直接の可視化は不可能だからです。しかしながら、可視化できなくても、何らかの代用マーカーをモニターすることにより、この数字がこのくらいなら効いている、これ以上だと副作用が出やすい、というように推察することができます。いうまでもなく、血圧、血清コレステロール値、血糖値、骨密度といったサロゲートマーカーです。これらが、あまりにもスタンダード(この設定が難題ですが)からかけ離れていれば、ベネフィットが少ない、あるいは副作用のリスクが高いと推察し、それへの対処が可能となります。

ワーファリンにおける、PT-INRも効果判定とリスク予想に不可欠なサロゲートマーカーでした。ワーファリンの場合は治療域が狭いので、安全性確認のマーカーとしての側面が強いとは思いますが、でも患者さんも医師も、PT-INRが2.0前後だったら「効いている」と実感し「副作用」もないと安心しているのです。

さてプラザキサですが、この薬は直接トロンビンを阻害する薬剤でワーファリンのように治療域が狭くなく、安定しており、安全性のモニタリングは必要ないとされています。したがって毎月の採血が不要であり、この点もワーファリンに比べての利点として喧伝されることもあります。

しかしこれは本当に利点なのでしょうか?
まず、何のサロゲートもなく効果ありと考えてしまってよいものなのか。プラザキサの効果は18,000人を対象としたRE-LY試験でしっかり証明しているからと行って、それだけを「rely」して何十年も処方し続けることは、もう少し待てよという思いがよぎります。ワーファリンはINRがあるので、処方していて一応の「効いているな」「効き過ぎだな」などという実感がありました。プラザキサにはそうした実感を持つことはできません。唯ひたすら大規模試験の結果をrelyするのみです。
またアスピリンのように抵抗性を示す例がないのかも気になります。
一方。ダビガトランがサロゲートマーカーをもたないことは、150mgと110mgの使い分けもこのような数値的指標がないことに通じるわけで、個人的にはこうした使い分けこそマーカーによって判断したいと思ってしまいます。

さらに、ワーファリン処方にはまさに職人的なさじ加減が必要なことがあり、そこが医師の腕の見せ所(それほどのものでもないのかもしれませんが)という面もあります。INRが例えば2.52くらいだったけど、この人ならこのままでも次回は下がっているだろうとか、この人では0.25mg減量した方が良いだろう、といった細かな経験知を発揮することができましたが、プラザキサではそうしたものは不要であり排除されます。それこそがプラザキサの長所であり、一般化普遍化への重要な要件であることは十分承知ですが、これまで長年INRを見ながらワーファリンの微調整にいそしんできた身としては、なにがしかの味気なさを感じます。

RE-LY試験のサブ解析では、全血管イベント、非出血性イベント、死亡抑制においては、TTR(time in therapeutic range)が低いpoorINRコントロール例よりダビガトランの方が有効性は大でしたが、goodINRコントロール例ではダビガトラン150mgと同等の効果が確認されています。RE-LY試験の本試験はTTR良好例は64%にすぎませんので(そのためか出血合併症は3.36%/年と異常に多い)、INRが良好にコントロールされていれば,少なくともエビデンスだけを根拠にダビガトランに変更する理由はないように思います。

英語の"monitor"の語源は、ラテン語の”monere"で「思い出させる、気づかせる、警告する」という意味の言葉です。一方"monere"は"monster"=モンスターの語源でもあり、「モンスターのような奇怪なものは神々の警告である」と考えられてきたことに由来します。
プラザキサは,もちろんその簡便さと効果の点で何らワーファリンに勝るとも劣らない、良い薬であることは間違いありません。しかしその簡便さをモニタリングの煩雑さを回避したところに求めるとしたら、薬の処方行為というもの本質から言って、それはちょっと待てよという気がします。

われわれは、やはり何らかのモニターがあることで、モンスターを事前に察知し、安全と安心を獲得する生き物であるということ、そのモニターに基づいてあれこれ考えるのも医療の醍醐味であるということを、ちょっと気に留めてほしいと思い書きました。
by dobashinaika | 2011-05-17 00:04 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

プラザキサ導入から医療上の意思決定のあり方を考える

ワーファリンからプラザキサへの切り替え問題は、患者—医療者間の意思決定のあり方を考えるちょうど良い機会です。

社会心理学における態度決定に、「二重過程モデル」があります。それによれば、人が態度を形成するプロセスとして2つのスタイルがあります。一つは与えられた情報の内容を十分に考えた結果として態度を決める「中心的ルート処理」で、もう一つは情報そのものの内容ではなく、それを発信した人を信頼できるかとか、情報量が多いかどうかと行った周辺的な手がかりに基づく「周辺的ルート処理」です。このモデルでは説明できない事象も世の中にはたくさんあると言われいますが、医療における意思決定場面では、よく当てはまるように思われます。

昨今、患者の自己決定権がクローズアップされ、患者さんのリテラシーも向上してきています。とはいえ、細かな治療上の意思決定においては、まだまだ医療における情報の非対称性は厳然と存在しており、多くの場合は「周辺的ルート処理」の要素が強いと思われます。周辺的ルート処理とは端的に言えば、情報の発信元を「信頼」するという行為ですが、信頼の構築にはその発信元の『能力」と「誠実さ」の2要件が必要とされています(この要件では説明し得ない分野もありますが)。医師が、どの程度の診断治療能力があるのか、そしてどのくらい誠実に自分のことを考え対応してくれているのか、ということですが、このことは患者さんが医師を信頼する上でも、この2つしかないと思えるくらい大切な要素でしょう。

しかし、今回のプラザキサ切り替えには、もうひとつの要素が大きな位置を占めています。それはずばり「コスト」です。
プラザキサは、プライマリケア医が処方する薬の中でも最上位に高価ですので、高薬価は大変大きな要件です。それ以外にも、新薬であるが故に2週間しか処方できないため、通院が頻回になるためのコストも当面1年間は生じます。

中心的ルート処理ができる患者さんを考えてみましょう。こうした患者さんは抗凝固薬を飲むことをリスクをして捉えることができます。リスクの大きさは「ある事象の起こる確率」x「その事象が起きたときの重大さ」で決まるとされています。これまでワーファリンを飲むかどうかは、医師が脳梗塞や脳出血のリスクを提示し、その重大性を患者さんがどう受け止めるかという手続きの中で決定されていました。しかしプラザキサ服用においては、こうしたリスクベネフィットの視点のみならず、コストベネフィットの視点も大切となります。「確率」「重大さ」そして「コスト」の3要素を考える必要が生じています。「確率」はEBMでかなりの程度保証され、「重大性」はこの場合脳梗塞、脳出血ですので、誰にとっても最大限です(出血と梗塞ではやや違いますが)。
一方「コスト」にたいする認識はそれこそ人様々です。プラザキサ変更により、約5000円(3割負担)医療費が多くかかることをどう感じるか、2週間に1回病院に通うのを面倒に感じるか、こうしたことは全く個人的な事情に依存します。
同様に周辺ルートの判断要件である「能力」「誠実さ」といったものは医師の特性でしたが、「コスト」は上記のようにこれらとは全く異なる概念です。

このように、中心ルート、周辺ルートどちらをとったとしても、薬価、通院回数などに関するきわめて主観的な判断が求められます。ここの調整こそ、テーラーメイド医療、個別医療の範疇であり、医師がだけでは判断できない領域です。

もちろん、医療者にはこれまでも生活習慣病薬等の多数併用処方に対する批判があるように、常にコストを考慮する姿勢は求められています。しかし今回はワーファリンというきわめて低コストな代替法がある中での選択のため、よりそれへの判断が強調されることになったと思います。

プラザキサ切り替えには、こうしたコストの捉え方という新たなる個別性への配慮が求められていると思います。

参考文献:中谷内一也「安全。でも、安心できない。。。—信頼をめぐる心理学」(ちくま新書)2008
by dobashinaika | 2011-05-15 11:15 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

抗凝固療法の選択は、医療施設のタイプにより異なる(ドイツでの研究):Thrombosis and Haemostasisより

Thrombosis and Haemostasis 5月5日オンライン版より

Impact of the type of centre on management of AF patients: Surprising evidence for differences in antithrombotic therapy decisions

医師の卒後教育や労働環境、患者の特徴が心房細動患者の治療上の意思決定に及ぼす影響につき検討

・the German Atrial Fibrillation NETwork (AFNET)による登録研究
・ドイツの191医療施設、9577名の心房細動患者(高次医療施設39.6%、地域病院24.4%、循環器内科開業医27.6%、家庭医8.4%)

・新規発症患者は、地域病院でよく診療されている
・高次医療施設では若年者の発作性心房細動が多い
・高齢者や持続性心房細動は、(それ以外に比べて)外来で診療されることが多い
・ガイドラインの通り、若年者や非持続性はリズムコントロールを受けていることが多い
・医療施設のタイプがリズムコントロール(を選択するか否か)の意思決定に影響していた
・CHADS2スコアは各施設タイプで同様(1.6〜1.9)
・高次医療施設(68.8%)と循環器内科開業医(73.6%)では、地域病院(55.1%)や家庭医(52.0%, p=0.001)より適切な抗凝固療法が行われていた
・多変量解析では高次医療施設と循環器内科開業医は、(その他に比べて)1.60倍適切な抗凝固療法を行っていた(1.20-2.12, p=0.001)
・この傾向はCHADS2スコアおよびCHA2DS2-VAScスコアごとでも一定

結論:心房細動管理の意思決定は、医師の教育や臨床背景に影響を受けている。入院患者はリズム治療を受けていることが多い。適切な抗凝固療法は専門医施設でより多く行われている。

###日本で調査しても、同様の結果が得られるように思います。ただ、日本の場合大学病院や地域の拠点病院など高次医療施設でも,長期の持続性心房細動患者さんを診ていらっしゃる先生は多いかもしれません。
家庭医での適切な抗凝固療法は、今後若手の優秀な家庭医が育つことが予想される日本では、もっとパーセンテージが上がっていくことが期待されます。
by dobashinaika | 2011-05-12 20:05 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

プラザキサ処方に関する覚え書き;実際処方してみてわかったこと

ダビガトラン(プラザキサ)が日本で発売されて2ヶ月近くになります。
震災の影響もあり、当院では処方開始して1ヶ月程度ですが、既に10数名の患者さんに処方しております。
今のところ、大きな副作用はなく、採血や食事制限がないことから、患者さんからも、医療スタッフからも大旨好評です。
ただし、実際使用してみて、良いと思った点や多少気になる点も出てきましたため、それらを覚え書き程度に現時点での感想として書き留めておこうと思います。

1)導入がとても楽
 これまで、ワーファリン導入の際は、少量から初めて1週間ごとに漸増しその都度INRを測定するという煩雑な作業をしていました。それが一挙に解消され、すぐその日のうちから常用量を処方できるようになりました。私としてはこれが最も便利と思うことでした。

2)納豆を何年ぶりかで食べた!と感激する患者さんの声
  宮城県は納豆好きの方が多く、とにかく頸を長くして待っていたという声が聞かれ、このような方から大変感謝されました。

3)消化器症状がやはりある
  これまで10数名処方し、2名の方で胃のもたれ、心窩部の不快感を訴えました。1人はそのまま経過観察、1人は胃粘膜保護薬で経過を見ています。
  日本人のサブ解析では20%以上の方にdyspepsiaが見られますので、処方前に可能性として説明した方が良いかもしれません。

4)ワーファリンからの切り替えの場合、INR2.0未満を確認してからのしばりが気になる
  添付文書の使用上の注意に上記があるため、もし患者さんが希望された時点でINRが2.0以上だった場合、ワーファリンを減量し、再度INRを測定し直すという作業が必要となります。その際、あまりに減量しすぎるとINRが下がりすぎてしまうため、やや注意が必要です。ただ、INR2.0以上といっても多くの場合、2.6を超えていることはないと思います。2.0〜2.6程度であれば、ケースにもよりますが、当院の場合ワーファリンを0.25mg減らして、1週間後再検査を受けていただければほとんどの場合、2.0未満に下がると考えています。0.5mg減らしても良いと思われますが、ケースによっては下がりすぎる場合もあります。この辺の下がり具合は、症例ごとにそれまでのINRの増減から推察し、0.25減らしたほうが良いか0.5がよいか見極める必要があると思われます。減らしすぎて長期間放置しておくことはリスクを伴いますので、できれば数日〜1週間後に再検査をするようにしています。

5)110mgx2か150mgx2かの選択
 この点に関しては、以前のブログに書きました。今後知見の集積により迷わずに済むようになることを期待しています。

6)内視鏡検査等の際、まだ他科の医師に存在が周知されていない
  今後、内視鏡検査の際ワーファリンから積極的に切り替えようと思いますが、まだ消化器内科の先生への周知が少なく、意思疎通が必要と思われる場面がありました。これも、今後知れ渡っていけばスムーズにいくと思われます。

7)これまでの当院でのワーファリンからの切り替え状況
  これまで当院でのワーファリン服用患者さん約80名に、プラザキサへの切り替えにつきどう考えるかをお聞きしたところ、10数名が切り替えを希望し、残り60数名は保留ないし、ワーファリンのままをご希望されました。希望者の理由の多くは、「納豆が食べられる」「効果と副作用でワーファリンを上回る」というものでした。「採血しなくてよい」は意外と少ないように思いました。一方拒否の理由として「2週間処方」であることが最も多く、次いで「高価である」「今までワーファリンに慣れている」が挙げられました。詳細データを近々まとめてブログにupしたいと思います。

以上は、あくまで当院における状況です。またこれらは発売初期特有の問題や、当院が循環器科標榜施設であること故の感想であることはお断りしておかねばなりません。各医療期間で様々なケースがあり、それぞれの感想や工夫があろうかと思います。今後そうした知見を積み重ね情報を共有していきたいと思います。
by dobashinaika | 2011-05-11 22:57 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

高齢者の新規心房細動発症における危険因子:Europaceより

Europace 5月号より

The incidence and risk factors for new onset atrial fibrillation in the PROSPER study
Europace (2011) 13 (5): 634-639.


高リスクの高齢者対象に、スタチンの一次予防効果をみたPROSPER試験のサブ解析です。

P:70-82歳、血管疾患の既往またはリスクのある人

E:プラバスタチン40mg2891人

C:プラセボ2913人

O:心房細動新規発症率、その危険因子(両群合わせて)、3.2年追跡

結果:
・心房細動新規発症率:プラバススタチン群264/2912(9.1%)、プラセボ群283/2888(9.8%)、ハザード比1.08 (0.92,1.28), P= 0.35
・心電図上のPR間隔、QTc間隔、左室肥大、ST-T異常は、アルコール摂取等の因子を補正した後でも、心房細動の独立した危険因子
・心筋梗塞の既往は危険因子ではない
・血管疾患の既往は、強く相関したが、糖尿病や高血圧とは相関せず

結論:高リスクの高齢者において、プラバスタチンは心房細動の新規発症を抑制しない。高齢、PR間隔やQTcの延長、左室肥大、ST-T異常は心房細動発症の危険因子だった。

###高齢者では、このようなきめ細かい心電図異常の分析が、心房細動発症の予測に役立つ、との論文です。また70歳以上の高齢者は、約3年で1割程度心房細動が新規に発症する、というのも興味深い数字です。
by dobashinaika | 2011-05-09 19:45 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

心房細動は配偶者にもQOL上、患者と同様の影響を及ぼす:Pacing and Clinic Electrophysiolより

Pacing Clinical Electrophysiology 4月28日オンライン版より

Quality of Life with Atrial Fibrillation: Do the Spouses Suffer as Much as the Patients?

心房細動が、患者の配偶者のQOLに与える影響についての検討

* 心房細動を持つ患者(411人)とその配偶者や恋人(129人)、計568人に質問票配布
* 日常活動度、仕事、性生活、身体活動、心理的幸福度、社会生活につき自己評価(5段階)してもらった
* 全体の傾向は患者本人と配偶者/恋人とで同様であった(患者:mild 42.0%, moderate 26.0%, severe 32.0% vs. 配偶者/恋人: 44.1%, 25.2%, 31.7%; P = 0.917)
* 年齢、性別補正でも同じ
* 各サブカテゴリーは仕事面(P=0.041)を除いて、両者とも同等であった

結果:心房細動は配偶者にも患者同様の心理的インパクトを与える。患者に対するQOL改善対策は、配偶者にも行うべきである

###自分の夫や妻が発作で苦しんでいたり、脳梗塞の危険があるとなれば、その配偶者も同様に悩み苦しむということだと思います。場合によっては本人以上に心配になる人もいるかもしれません。患者さんに病状や抗凝固薬の適応につき説明するときは、やはり家族の方も一緒にお話しすることが大切であることを再認識させられます。
by dobashinaika | 2011-05-08 15:32 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)

ダビガトラン、欧州でも承認勧告。製品名:PRADAXA

4月15日付けで欧州医薬品庁(EMA)が欧州連合(EU)加盟諸国における心房細動患者の脳卒中発症抑制の適応で承認勧告を通達しました。
http://p.tl/gxQp


ダビガトランはアメリカ、カナダ、日本で既に発売、その他11カ国で承認済みです。
欧州での適応は以下のうち1つ以上を有することとされています。
*脳卒中 / 一過性虚血脳発作 / 全身性塞栓症の既往、左室駆出分画40%未満、NYHAII度以上の症候性心不全、75歳以上もしくは65歳以上の糖尿病/ 冠動脈疾患 / 高血圧

ESCの心房細動管理ガイドラインで提唱されたCHA2DS2VAScスコアのベースにしていますが、微妙に違っているところが興味深いです。この縛りがある点は、日本の添付文書より適応が厳しいともいえます。
by dobashinaika | 2011-05-07 23:49 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

心房細動の抗凝固療法における出血リスクの計算アプリ http://p.tl/z6Pd

HAS-BLEDスコアを算出するためのiPad用アプリです。
http://p.tl/z6Pd

HAS-BLEDスコアについてはこちらを参照
by dobashinaika | 2011-05-07 23:24 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

BNP値が高いほど心房細動アブレーションの後の再発率が高い:Circulationより

Circulation 5月2日オンライン版より

Plasma B-Type Natriuretic Peptide Levels and Recurrent Arrhythmia After Successful Ablation of Lone Atrial Fibrillation

BNP値とカテーテルアブレーション後再発との関連につき検討

・726名の孤立性心房細動患者の初回アブレーション当日にBNPを測定
・多変量解析では、BNP上昇は高齢者、心房細動の持続時間、非発作性、大きな左房サイズと関連あり
・Cox比例ハザードモデルでは、BNP値はアブレーション後再発と強い相関あり(単変量:ハザード比2.32、95%CI2.11~2.74。多変量:2.13、95%CI2.06~2.38)
・BNP値の五分位の第1五分位に比べた再発率は、第2五分位1.6、第3五分位2.7、第4五分位4.3、第5五分位5.7

結論:BNP値は、AF burden(負担:持続性、血行動態低下、解剖学的リモデリング)と相関し、アブレーション後の再発と強く相関していた。亢進したBNP値は心腔内壁に係るストレスや内因性心房障害の反映であり、そのため高値の時は再発リスクが高まると考えられる。

###以前NT-proBNPとの相関の論文を紹介しました。今回も同様の結果ですが、症例数も多く、統計学的な相関もかなり強いようです。持続性心房細動のアブレーションが普及してきていますが、術前BNP値は適応決定の上でも参考になりそうです。
by dobashinaika | 2011-05-06 17:42 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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