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カテゴリ:心房細動:ダウンストリーム治療( 60 )

アミオダロンと急性膵炎リスク:JAMAIM

Association of Amiodarone Use With Acute Pancreatitis in Patients With Atrial FibrillationA Nested Case-Control Study
Alvaro Alonso et al
JAMA Intern Med. Published online January 19


疑問;アミオダロンは急性膵炎リスクを増やすのか?

方法:
・TruvenHealthMarketScanCommercial andMarketScanMedicare Supplemental Databasesを用いての症例対照研究
・症例:急性膵炎で入院した(第一診断)非弁膜症性心房細動患者
・対照:年齢、性別をマッチさせた対象症例(5倍人数)
・アミオダロンや他の薬剤の使用、合併症を調査

結果:
1)症例1686人、対照8430人:平均71歳

2)急性膵炎:アミオダロン症例14.5% vs. 対照9.0%

3)使用の蓄積と膵炎リスクは無関係

4)他の抗不整脈薬と膵炎リスクは無関係

5)12ヶ月後のリスク(オッズ比=1.86)の方が12ヶ月以内のリスク(オッズ比=1.21)より高い

結論:この結果はアミオダロンが急性膵炎の負のリスクを持つことを示唆。他の抗不整脈薬はリスク無し。一般住民の急性膵炎リスクは低いが、心房細動にアミオダロンを使用する際は急性膵炎のリスクにも注意すべき。さらなる研究が必要。

### これまでほとんど報告を見たことがなかったのですが、やや注意する必要があります。症例対照研究ですから、少なくとも前向きコホートがでてくる事を期待します。
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by dobashinaika | 2015-01-28 23:02 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

心房細動患者におけるジギタリスと死亡リスクの関係:CircEP

Digoxin and Risk of Death in Adults with Atrial Fibrillation: The ATRIA-CVRN Study
James V. Freeman et al
Circulation :Arrhythmia and Electrophysiology 2014年11月20日


疑問:ジゴキシンは心房細動の予後を悪くするのか?

方法:
・Kaiser Permanente Northern and Southern Californiaのリサーチ部門の心房細動患者14,787例
・ジゴキシン使用の有無(心不全なし)でプロペンシティースコアマッチ
・後ろ向きコホート:ATRIA-CVRN研究
・Cox regressionモデル

結果:
1)ジゴキシンの使用と死亡率は関連あり:8.3 vs.4.9 / 100人年, p<0.001

2)ジゴキシンの使用と入院は関連あり:60.1 vs.37.2 / 100人年, p<0.001

3)ジゴキシンの死亡率オッズ比:1.71 (1.52-1.93)

4)ジゴキシンの入院率オッズ比:1.63 (1.56-1.71)

5)年齢、性別ごとのサブ解析でも、ITTあるいはon-treatment解析でも結果は同じ

結論:心房細動の成人において、ジゴキシン使用は死亡と入院の高リスクに独立に関連していた。他のオプションが有るわけなので、ジゴキシンは心房細動管理においては注意して使用されるべき。

###昨年の論文ですみません。載せようと思って、すっかり忘れておりました。
同様のコホート研究は他にもあります。
http://dobashin.exblog.jp/20128470/

あとは前向き試験を待つだけでしょうか。

$$$散歩してたら突然目が合いました。
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by dobashinaika | 2015-01-27 22:52 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

ウマの心房細動に抗不整脈薬は効くのか

J Vet Intern Med. 2014 Oct 18; . PMID:25328012
Antiarrhythmic and Electrophysiologic Effects of Flecainide on Acutely Induced Atrial Fibrillation in Healthy Horses.
Haugaard MM et al


疑問:馬の心房細動にフレカイニドは効くのか

方法:
・対象:9頭のスタンダードブレッド
・8頭はフレカイニド投与、3頭は同時刻(に実験)の対象馬、そのうち2頭もフレカイニド投与
・前向き試験
・フレカイニド投与前後で電気生理学的指標を比較

結果:
1)フレカイニドは誘発された心房細動すべてを停止させた(平均21分持続)。持続時間も短縮させた

2)心房有効不応期、心房受攻性に変化なし

3)心室再分極時間:8分→20分延長

4)心室性不整脈は誘発されず

結論:フレカイニドはペーシングで誘発された急性の心房細動を停止させる明らかな効果あり。しかし再誘発予防効果ははっきりせず。フレカイニドは心室再分極(催不整脈作用)を一時的に延長させた。

### ツイッターで「心房細動」で検索を毎日かけるようにしていますが、結構頻繁に「競走馬○○が、出走直後に突然止まってしまい。。。原因は心房細動」などという投稿を目にします。

以前取り上げたようにお馬さんは特に走るときなかなりの心拍数になるらしく、それ自体は高頻度刺激となって短時間の心房細動になると言われています。

フレカイニドは強力なナトリウムチャネル遮断作用がありますので、ヒトと同じ理屈で心房細動停止効果があるわけですね。ただウマの心房筋の不応期は変えないようで、再発抑制はいまいちとのこです。心房細動で競走中止となったおウマさんに、フレカイニドを注射するのでしょうか?前もって注射しておいても予防はできないようですが。

それにしてもお馬さんの心臓にカテーテルを入れて刺激するなんてどうやるんでしょうね。全身麻酔でしょうか。

今日は馬ではなく近くのにゃんこ。いつものご近所の縁側ですが、前とは別ネコちゃんでした(この写真は19日の朝です)。
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by dobashinaika | 2014-10-22 22:07 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

心房細動に対するジギタリス;ROCET AF試験あとづけ解析

先日も、ジギタリスが心房細動の予後悪化に関与するという論文を紹介しましたが、今回の欧州心臓病学会でもそれに追い打ちを掛けるような報告がありました。

ROCKET-AF試験のposy hoc解析です。

概要は
・14,171人対象のROCKET AF試験では1/3の症例にジゴキシンが使われた

・ベースラインの属性や治療法で補正後の死亡率、血管死、突然死をジギタリスの有無で比較した

・ジギタリス使用の非使用に対するハザード比
全死亡 1.22; 95% CI 1.08-1.37
血管死 1.22; 95% CI 1.05-1.42
突然死 1.29, 95% CI 1.03-1.61

・著者の言葉
”われわれは心房細動患者で、すぐにジゴキシンをやめるよう勧めることはしないが、この観察研究がジゴキシンの役割を明確化するために、RCTが必要であることを示唆する”

### ますますジゴキシンは分が悪い感じです。これはあとづけ解析ではありますが。

先日のジギタリスに関する大規模観察研究はこちら
http://dobashin.exblog.jp/20128470/
by dobashinaika | 2014-09-05 21:19 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

ジギタリスは心房細動患者の死亡率上昇に関与する:JACC誌

休んでいる間に重要な論文が結構出ていますね。
まずはこれ。

Increased Mortality Associated With Digoxin in Contemporary Patients With Atrial Fibrillation: Findings From the TREAT-AF Study
Turakhia MP, Santangeli P, Winkelmayer WC, et al.
J Am Coll Cardiol 2014;64:660-668.


疑問:ジゴキシンは新規発症心房細動の予後を悪化させるのか?

方法;
・退役軍人協会からのTREAT-AF (The Retrospective Evaluation and Assessment of Therapies in AF) study のデータを使用
・2004~2008年まで、外来で90日の間に新たに診断された心房細動患者対象
・多変量解析、プロペンシティーマッチさせたCox比例ハザードモデル、感度分析を使用

結果:
1)353,168人年中、122,465人のうち、28,679人(23.4%)がジゴキシン使用

2)平均72歳。98.4%男性

3)死亡率:ジゴキシン群95 vs. 無治療群67 対1000人年。p<0.001

4)ジゴキシン使用は、死亡率の独立危険因子
     多変量解析後ハザード比:1.26(1.23−1.29.p<0.001)
     プロペンシティーマッチ後:1.21 (1.17-1.25. p<0.001)

5)服薬アドヒアランス補正後も同様

6)死亡リスクは年令、性別、腎機能、ベータ遮断薬、アミオダロン、ワルファリン使用に影響されない

結論;
ジゴキシンは服薬アドヒアランス、腎機能、心血管合併症、併存治療に無関係に、新規発症心房細動の死亡率を上げた。この所見は心房細動治療にジゴキシンを推奨している心血管関係の団体の推奨への挑戦

### 従来より、ジギタリスの心房細動レートコントロール関する効果については疑問符がついており、同様の試験でも正反対の解釈が発表されたりしていました。たとえば、AFFIRM試験のサブ解析です.以下のように2つの論文が正反対の結論を導いています。
http://dobashin.exblog.jp/17683246/

これらは、みな後付け解析であり、また対象例数も少なく、よりエビデンスレベルの高い試験が待たれていました。

今回の試験は、やはり観察研究ながら、傾向スコアマッチや多変量解析、感度分析などを駆使し、なるべく交絡因子を少なくする手法が施されています.また対象例数はかなり多いです。
これまでの研究の中では最も信頼に足る試験一つと思われます。なお心不全例は25%未満とのことです。

Limitationとしては、やはりそうとはいえ観察研究ですので、ジゴキシン投与の可否は現場判断になること、心機能が明示されていないので、ジゴキシン群では低心機能の例が多いかもしれないこと、退役軍人病院対象なのでほとんど男性であることなどがあげられると思われます。

機序としてはいろいろありますが、やはりジゴキシンの持つ迷走神経抑制効果は弱く、少しの運動などで相殺されてしまうことや、心房筋の不応期をかえって短縮される、あるいはくすりそのものの副作用など、以前から様々考えられていますね。

Editorialでも指摘されているように、この論文が出た以上、心房細動レートコントロールの第一選択としてジギタリスを使うことはしない、ということかと思います.そうはいっても当院でもまだかなりの方に処方しており、全国の施設でもまだまだ使われていると思います。ベータ遮断薬やCCBにどうきりかえるか、少々困った問題です。
by dobashinaika | 2014-08-23 10:00 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

心房細動中の症状の強さはその後の合併症や予後に影響する:EP誌

Europace (2014)doi: 10.1093/europace/euu151
Symptom severity is associated with cardiovascular outcome in patients with permanent atrial fibrillation in the RACE II studyRob A. Vermond et al


疑問:永続性心房細動の症状の強さは予後に影響するか?

方法:
・RACE II試験サブ解析:永続性心房細動対象
・心房細動中の症状をAFSSスケールで評価
・一次エンドポイント:心血管合併症+死亡率
・二次エンドポイント:心血管病による入院

結果:
1)アンケート協力者558人/全参加者558人。平均68歳

2)低スコア者;174人31%、中スコア者;190人34%、高スコア者:194人35%

3)症状の強い人は女性に多く、NT-pro BNPが高く、心不全既往例が多い

4)一次エンドポイント:
低、中、高スコア者=9%、10%、19%, P=0.01

5)心不全入院が最も多い
体、中、高スコア者=2%、1%、8%。P<0.001

6)多変量解析後高スコア者のハザード比
一次エンドポイント:1,38、P=0.001
心不全入院:1,33、P<0.001

結論:永続性心房細動では、多変量解析では症状の強さと心血管イベントが関係

###心拍数や心機能の記載がありませんので、知りたいところです。それと症状というのは「動悸」なのか「呼吸困難」なのかですね。
心不全入院が多いので、呼吸困難を訴えそれが心不全の症状そのものなのかもしれません。

RACE IIでは周知のように心拍数を110未満くらいでいいよということですが、それでも症状が強い人は要注意ということですね。
実際あの試験でLenient群でも45%くらいのひとは症状が抑えられていませんでしたね。
by dobashinaika | 2014-07-01 23:39 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

若年者の心房細動は早いうちから治すべきか?賛成派の意見:EHJ誌

European Heart Journal 7月2日号
昨日の続きで、若いうちからリズムコントロールに介入すべきかの、pro=賛成意見です。

Early management of atrial fibrillation to prevent cardiovascular complicationsStanley Nattel et al
Eur Heart J (2014) 35 (22): 1448-1456.


【イントロ】
・心房細動は進行性の病気
・発見されたとき、40%は持続性:無症候性であることと器質的変化が心房細動発症に先立つため
・早期発見早期治療が、心房細動の進行を防ぐはず

【短期リスクと心房細動進行の予測】
・発作性→持続性化率:年間5%、14年で77%
・若い、器質的心疾患のない発作性はこれよりおそい
・高齢で、器質的心疾患のある人は早い
・リスク多い人ほど進行早い
・適度な運動は進行を遅くさせる
・競技選手のような過度な運動は早める

【リモデリングの基礎】
・心房細動の促進には、構造的、電気的、自律神経的リモデリングが関与
・拡張期に筋小胞体から出るCaイオンの異常流出がDADをきたすことが機序

【心房細動関連リモデリングの基礎メカニズム】
省略

【基礎的メカニズムと臨床との関係】
・心房細動の頻度、持続時間、時間帯が、リモデリングに影響する
・心不全、高血圧などがリモデリングに影響する
・永続性に移行しない患者では、初期の状態から限定的にしか進行しない、または遺伝的にリモデリングから守られる因子を有しているのかもしれない

【抗リモデリング治療】
・抗不整脈薬には確固たるエビデンスなし
・アミオダロンにデータあり
・血行動態的な負荷軽減(僧帽弁交連切開など)は有効
・左房圧負荷軽減(CRTなど)は有効
・RAS阻害薬はネガティブデータ
・近年MRIでRAS径阻害薬の効果をみる研究あり
・microRNA修飾はリモデリング四郷の新しい治療になるかもしれない
・閾値下低レベルの迷走神経刺激が有効との動物実験あり

【エビデンス】
・レートコントロールと比較して、抗不整脈薬によるリズムコントロールは、一つを除きすべて優位性なし
・日本のJ-RHYTHM試験は唯一、リズムコントロール群で一次エンドポイントが有意であったが、発作性で合併心疾患がない例対象
(筆者注:この試験の一次エンドポイントは「治療への忍容性」を含む。これをのぞいたハードエンドポイントでは有意差なし)
・一旦構造的変化が起きたらリバースは難しい。なので早期介入が有効
・ATTENA試験ではドロネダロン群が、対照群より結果良好
・PALLAS試験ではドロネダロン群が死亡率高い
・ATTENAは発作性、PALLASは永続性対象

【進行中の試験】
・従来の分類ではダメなので、疫学に基づく分類が提唱されている
・左房径、左房機能、バイオマーカー、MRIイメージなどの評価が助けとなる
・CABANA試験とEAST試験の2つが、アブレーションと抗不整脈薬の予後比較の前向き試験として進行中

【早期発見早期治療は合併症を防げるのか?】
・心房細動を有する例は予後が悪い
・各種リスク因子が一過性心房細動に絡む
・一過性の心房細動は、何らかの合併症のサインである
・脈を撮ったり、新たなデバイスによる早期発見ができる
・ASSERT試験は、植込み型レコーダーで心房細動の新規発症の早期診断を見たもの
・同様のCRYSTAL-AF試験やREVEAL-AF試験が進行中

【結論】
・基礎疾患と心房細動の両者がリモデリングを促進し、発作性→持続性へと進行させる
・早期介入がこの進行を防ぐ可能性あり
・いまだ進行予防薬に関し有効性を示した報告なし:介入が遅いか対象が悪いのか
・進行中の試験では可能性を示す薬剤あり
・これまで数多くの試験が失敗だったのは、介入が遅すぎたから
・進行中の試験ではより早期でよりアクティブな介入をしている
・数多くの心房細動が世界中で眠っており、その中には脳卒中ハイリスクもたくさん含まれる
・進行中の試験や未来の試験が早期発見早期介入の有効性を示してくれれば、ラディカルな改善につながるだろう

### 今のところ、進行中の試験の結果待ちの段階、というのがこの論の全体の印象ですね。
早いうちに診断して、早いうちに介入したほうが良いことは理屈ではわかります。
しかし、まずこの診断法が難しい。無症候性のひとをくまなく診断するのは不可能ですし、診断したところでリモデリングがどの程度進んでいるのか、正確にわかる画像診断法やバイオマーカーは現時点ではありません。

くわえて、たとえ早期発見をしても、症状の乏しい人にどれだけ治療のコンセンサスが得られるか。それには強いエビデンスと医療者のコミュニケーション能力が求められます。

昨日のproと合わせ読む限り、早期介入ー理屈はわかるが現実が追いついていない。そんな感じです。
by dobashinaika | 2014-06-17 23:17 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

若年者の心房細動は早いうちから治すべきか?反対派の意見:EHJ誌

European Heart Journal 6月7日号は心房細動満載です。

とくに若いうちからリズムコントロールに介入すべきか、否かについてのコントラバーシーが興味深いです。

今日はそのうちcon=反対意見(というか慎重意見)をまとめます。
大変長いので、結論とキモの表だけ掲載。

The young patient with asymptomatic atrial fibrillation: what is the evidence to leave the arrhythmia untreated?Kristina Wasmer et al
Eur Heart J (2014) 35 (22):1439-1447.


【結論】
・若年者のリズムコントロールは、無症候性であっても明らかに合併症と死亡率を増加させる(表)

・現時点でリズムコントロールが心房細動の進行や若年者のアウトカムを改善するデータはない

・同様に、高齢者においてリズムコントロールトレーとコントロールが同等であるというエビデンスを若年者へ適応できるかどうかは不明

・したがって抗不整脈薬は、無症候性患者に対しては、その中程度の効果と、考えられる副作用や催不整脈作用を合わせて考えると、正当な根拠はない

・一方、カテーテルアブーレションは症状のある発作性心房細動の若年者を力づける結果があるにも関わらず、長期の抑制は多くの症例で保証されていないし、合併症や死亡率の増加をみとめる。

・故に、証明されるまで、若年者無症候性心房細動にあっては、これまでどおり無治療のままで診ることが薦められる

・エビデンスの欠如が補填されれば、他の選択も合理的であり、個々の患者さんごとに討論されるべきである

【表】若年者無症候性心房細動におけるリズムコントロールの論議

<賛成>
・脳卒中、心不全、死亡率増加といった長期的転帰を回避する可能性あり
・患者は後に症候性となるかもしれない
・リズムコントロールは若年で発作性の早い持期であれば達成は容易
・カテーテルアブーレションは抗不整脈薬に勝っており、多くの若年者における再発や持続性への移行を防ぐかもしれない

<反対>
・心房細動それ自体は、合併心疾患がなければ若年者での死亡率を増やすことは示されていない
・脳卒中はリズムコントロールとは独立したリスクであり、この点においてリズムコントロール(の達成)とともに抗凝固療法をやめることを支持するデータはない
・抗不整脈薬は長期に服用するのは副作用のリスクがあるので、若年者にとって良い選択ではない
・カテーテルアブーレションは未だに明らかな合併症を有する。その主要な長所は症状の改善である。心房細動は何回かの手技にもかかわらず未だに再発する可能性あり

### 現時点では、反対派の意見すなわち、「若い無症候性なら放置」が主流です。反対派が主流なので、こちらが先に掲載されています。
一方賛成派は、早ければ早いほど進行をストップすることができ、引いては予後改善につながる、というそれなりに理解できるロジックでやってきます。

賛成派が分が悪いのは、この問いが本来的に解答不能な問だからです。原理的に無症候性の人への介入はできません。どこにいるかわからないのですから。ですから使うエビデンスには限りがあります。

そこをどう理論展開するか、賛成派の要約は明日のお楽みに。
by dobashinaika | 2014-06-16 23:58 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

心房細動のレートコントロールとリズムコントロールはどちらが効果的か?:AIMのレビュー

Ann Intern Med. 2014;160(11):760-773

Rate- and Rhythm-Control Therapies in Patients With Atrial Fibrillation: A Systematic ReviewSana M. Al-Khatib et al

【疑問】心房細動のレートコントロールとリズムコントロールはどちらが効果的か?

【方法】
・2000年1月〜2013年11月までの PubMed,EMBASE,Cochraneのシステマティックレビュー
・2人のレビューアーによるスクリーニング

【結果】
1)200論文、162試験、28,836人対象

2)高齢者において効果は同等(エビデンスの強さは中等度)
全死亡 (オッズ比[OR], 1.34 [95% CI, 0.89 to 2.02]) 、心臓死(OR, 0.96 [CI, 0.77 to 1.20]),、脳卒中(OR, 0.99 [CI, 0.76 to 1.30])

3)レートコントロールが有利とする試験は少なく、結論は限定的

4)心房細動の再発抑制のためのリズムコントロールの効果としては、肺静脈隔離術が抗不整脈薬より有効であるとの強いエビデンスあり(OR, 5.87 [CI, 3.18 to 10.85])

5)同様に他の心臓手術中のメイズ手術追加は、メイズ無しよりも有効(OR, 7.94 [CI, 3.63 to 17.36])

【結論】比較的高齢者のマイルドな症状の心房細動において、薬理学的なレートコントロールとリズムコントロールの有効性は同等であった。肺静脈隔離術は、若い発作性心房細動や軽症器質的心疾患患者においては、再発予防の点で抗不整脈薬より有効である。長期の追跡が必要

###これまでのレビューでは最大のものとのことです。昨年AHRQから出たものの論文化ですね。
http://dobashin.exblog.jp/17967575/

高齢者だと、レートコントロールとリズムコントロールでアウトカムは同じということです。これまでのコンセンサスを補強する内容となっています。
症状に応じて、患者さんごとにどちらかを選択すれは良いということになろうかと思います。

アブレーション強しという感じもしますね。数字だけ見ると。
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by dobashinaika | 2014-06-09 18:47 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

心房細動合併心不全患者の心拍数と予後との関係:JACC HF誌

JACC HF 4月30日オンライン版より

Is Heart Rate Important for Patients With Heart Failure in Atrial Fibrillation?
Damien Cullington et al
doi:10.1016/j.jchf.2014.01.005


【疑問】心房細動合併心不全患者では心拍数は予後に関係するのか?

P;LVEF50%未満の心不全患者2039人のうち488人(24%)の心房細動患者。および1年間(心不全の)最適治療を試みた外来患者841人中心房細動だった184人(22%)

E:心房細動患者(Aの24%488人およびBの22%184人)

C;洞調律患者

O:生存率

【結果】
1)生存年:心房細動群6.1年 vs. 洞調律群7.3年

2)ハザード比:心房細動群1.26 (1.08-1.47; p=0.003)→covariate adjustment後有意差なし

3)Cox比例ハザードモデルで補正後、心拍数と生存率は心房細動群で関連なし
治療最適化前HR0.94(0.88-1.00, p=0.07)、治療最適化後HR1.00 (0.99-1.00. p=0.84)

4)洞調律群では心拍数と生存率に関連あり
治療最適化前HR1.10 (1.05-1,15, p<0.0001)、治療最適化後HR1.13 (1.03-1.24, p=0.008)

【結論】心不全や左室機能低下患者では、安静時心拍数と生存率は洞調律患者では関連あるが、心房細動患者では関連なし。

### RACE II試験でも心拍数80を目指した群と110を目指した群で予後に差はなかったわけですが、RACE IIの場合はNYHA III以上は含まれていませんでした。

今回はRACE IIの結果が心不全患者に適用できたとも考えられます。どの程度にコントロールしたか、あるいは、もともとどの程度の心機能低下だったかも相当問題になりますので、原文あたってみます。
by dobashinaika | 2014-05-02 23:49 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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