カテゴリ:抗凝固療法:リアルワールドデータ( 114 )

プライマリ・ケアにおいて最も安全性の高いNOAC(DOAC)は?:BMJ誌


目的:(プライマリ・ケアレベルでの)DOACとワルファリンの有効性,安全性比較

デザイン:前向き,オープン,コホート

セッティング:英国の2つのプライマリ・ケアデータベース。UK general practices contributing to QResearch or Clinical Practice Research Datalink.

対象:ワルファリン132231例,ダビガトラン7744例,リバーロキサバン37863例,アピキサバン18223例。登録前12ヶ月は抗凝固薬処方なし

主要評価項目:大出血(入院,死に至る),合わせて特定部位の出血,全死亡も検索

結果:対ワルファリンハザード比(心房細動症例,補正後)
1)アピキサバン:大出血0.66 (0.54 to 0.79),頭蓋内出血0.40 (0.25 to 0.64)

2)低用量アピキサバン:全死亡1.27 (1.12 to 1.45)

3)ダビガトラン:頭蓋内出血0.45 (0.26 to 0.77)

4)リバーロキサバン:全死亡 1.19 (1.09 to 1.29)

対ワルファリンハザード比(非心房細動例)
5)アピキサバン:大出血(0.60, 0.46 to 0.79),消化管出血((0.55, 0.37 to 0.83),上部消化管出血(0.55, 0.36 to 0.83)

6)低用量アピキサバン全死亡(1.34, 1.13 to 1.58).

7)リバーロキサバン:頭蓋内出血 (0.54, 0.35 to 0.82). 全死亡(1.51, 1.38 to 1.66)

結論:全体としてはアピキサバンはワルファリンに比べて大出血,頭蓋内出血,消化管出血を減らす安全な薬剤である。一方,リバーロキサバンと低用量アピキサバンはワルファリンに比べて全死亡増加させた。

資金提供:NIHRから。企業からの提供なし。

### 全体としてはアピキサバンが最も安全との結果です。ただし低用量ではかえって死亡率を上昇させる結果になっていました。
一応補正されているとはいえ低用量を使う症例はそれだけ高リスクであることが関係していると思われます。低用量処方は控えるべきとは一概に言えませんが,注意を要することは必要と思います。
アドヒアランスや適応などはデータベースからは不明です。

### 今日のニャンコ,見えにくい。
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by dobashinaika | 2018-07-13 07:38 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

90歳以上の超高齢者でも抗凝固薬は有効かつ安全:台湾の国民データベース研究より:Circulation誌


目的:90歳以上の人における抗凝固薬の有効性安全性研究

方法:
・台湾国民保険リサーチデータベース
・90歳以上の心房細動11,064例,非心房細動例(抗凝固薬なし)14,658例
・心房細動群は無治療,抗血小板薬,ワルファリンの3群
・アウトカム:虚血性脳卒中,頭蓋内出血

結果:
1)虚血性脳卒中:心房細動群ハザード比(対非心房細動群)1.93(95%CI;1.74-2.14)

2)虚血性脳卒中(心房細動群内):ワルファリン群ハザード比(対非ワルファリン群)0.69(95%CI:0.49-0.96)。頭蓋内出血は同じ

3)ネットクリニカルベネフィット(心房細動群内):ワルファリン群で正。

4)頭蓋内出血(心房細動群内):NOAC群ハザード比(対ワルファリン群)0.32(95%CI;0.10-0.97)

結論:90歳以上の心房細動においては,ワルファリンは虚血性脳卒中軽減と正のネットクリニカルベネフィットに関連した。NOACは頭蓋内出血リスク低下に関連した。NOACを含む抗凝固薬は超高齢者の血栓予防のより良い選択肢として考えられても良いかもしれない。

### 従来から言われていることの,アジアリアルワールドでの検証です。
超フレイルのひとは含まれないとは思われますが,90歳以上でもできるだけ抗凝固薬を考える,できればNOACでというメッセージ。
実際は,超高齢者では年齢もさることながら,腎機能,アドヒアランス(生活状況も含む),血圧,転倒リスク,などを総合的に考えねばなりませんが。

$$$ ようやくだんだん暖かくなってきました。よほど気持ち良かったのでしょう。完全無防備状態です。
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by dobashinaika | 2018-03-07 22:36 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

心房細動への低用量NOAC処方の多くは不適切で,血栓塞栓症や死亡が多い傾向(ORBIT-AF II試験):JAHA誌


P:ORBIT-AF IIレジストリ登録者のううちNOAC服用7925例。前向き,米国国内,心房細動患者登録

E:低用量NOAC

C:標準量NOAC

O;心血管疾患,出血

T:前向き,米国国内,心房細動患者登録研究,1年追跡

結果:
1)標準用量6636例(84%),FDA基準合致96%

2)低用量1289例(16%),FDA基準合致43%

3)不適切低用量処方者:適切低用量例に比べ
若年(79歳vs84歳,P<0.0001)
ORBIT出血リスクスコア少ない(26%vs45%, P<0.0001)

4)不適切低用量処方者:適切標準量例に比べ(補正前)
血栓塞栓症高値(2.11 vs 1.35 events per 100 patient years, hazard ratio 1.56, 95% confidence interval 0.92‐2.67)
死亡高値(6.77 versus 2.60, hazard ratio 2.61, 95% confidence interval 1.86‐3.67).

5)補正後は有意差内が傾向はあり
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結論:心房細動患者への低用量NOAC処方の多くは,FDA推奨に反していた。NOACの正しい処方への改善の機会である。

### 補正後は有意差はないとは言え,注意しなければならないデータです。
この論文では米国でも”NOAC”ですね。

$$$ 密教美術もかなり好きです。千手観音も躍動していました。
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by dobashinaika | 2018-02-21 22:48 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

NOAC vs ワルファリン。リアルワールドデータのメタ解析結果:Stroke誌

Stroke. 2017;STROKEAHA.117.017549 https://doi.org/10.1161/STROKEAHA.117.017549

臨床上の疑問:臨床試験の外のリアルワールドにおいて,NOACのビタミンK阻害薬(VKA)にくらべての安全性,有効性はどうか?

方法:
・心房細動患者の脳卒中予防に関するNOACとVKAの比較をした観察研究のシステマティックレビューとメタ解析
・国内あるいは。保険上のデータベースを使用
・結果に虚血性脳卒中,虚血性脳卒中あるいは全身性塞栓症,あらゆる脳卒中あるいは全身性塞栓症,心筋梗塞,頭蓋内出血,大出血,消化管出血,死亡を含む研究
・MOOSEガイドラインとGRADEを用いて解析

結果:
1)28研究:ダビガトラン24,VKA23,リバーロキサバン14,アピキサバン7,エドキサバンなし。各研究間に明らかなバイアスなし

2)ダビガトラン
脳卒中/全身性塞栓症:明らかな差なし:HR 1.17; 95%CI 0.92-1.50
心筋梗塞:明らかな差なし:HR 0.96; 95%CI 0.77-1.21
頭蓋内出血:明らかにVKAより少ない:HR 0.42; 95%CI 0.37-0.47
死亡:明らかにVKAより少ない:HR 0.63; 95%CI 0.52-0.76
消化管出血:明らかにVKAより多い:HR 1.20; 95%CI 1.06-1.36

3)リバーロキサバン
脳卒中/全身性塞栓症:明らかな差なし:HR 0.73; 95%CI 0.52-1.04
頭蓋内出血:明らかにVKAより少ない:HR 0.64; 95%CI 0.47-0.86
死亡:明らかな差なし:HR 0.67; 95%CI 0.35-1.30
消化管出血:明らかにVKAより多い:HR 1.24; 95%CI 1.08-1.41

4)アピキサバン
脳卒中/全身性塞栓症:明らかな差なし:HR 1.07; 95%CI 0.87-1.31
頭蓋内出血:明らかにVKAより少ない:HR 0.45; 95%CI 0.31-0.63
死亡:明らかにVKAより少ない:HR 0.65; 95%CI 0.56-0.75
消化管出血:明らかにVKAより少ない:HR 0.63; 95%CI 0.31-0.63

結論:リアルワールドデータは,NOACとVKAを比較したRCTの知見を確定し,補強するものである

### NOAC vs VKAに関するおびただしい数のRWD(リアルワールドデータ)がでておりますが,そのメタ解析です。とうとう出ました。

大雑把に言えば
1)脳卒中/全身性塞栓症はNOACとVKAは同等
2)頭蓋内出血はNOACが少ない
3)全死亡,消化管出血(心筋梗塞)はNOACにより異なる
です。まとめてみれば,やはり従来から認められている傾向になったという感じです。

当然RWDですので,患者背景,アドヒアランス,処方適応等々に交絡因子は残存しているはずです(たとえスコアマッチさせたとしても)。またNOACの異なる用量に関しては検討されていません。さらにRWDは,保険ベースで,大病院も診療所も一絡げの結果もあれば,登録研究によってはやはりかなり選択バイアスのかかったコホートもあります。

よく言われるようにおそらくどのコホートでもVKAは高リスク者に使われる傾向にあり,NOACは低用量が好まれる傾向にあると思われます。

どんな患者さんにどの薬が処方されていたかが大事ですので,全文把握したらまたお知らせします。

$$$ 昨日今日の仙台の寒さと行ったら。。。こたつを出したという患者さんまでいらっしゃいました。冗談でなく。
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by dobashinaika | 2017-08-04 22:16 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

85歳以上の超高齢者でも,抗凝固薬の脳卒中予防ベネフィットは出血リスクを上回る:JAHA誌


疑問:85歳以上の人の抗凝固療法のアウトカムは?

方法:
PREFER in AFレジストリ(前向き試験,欧州)
・抗凝固薬の有無,ネットクリニカルベネフィット算出

結果:
1)6412人登録:85歳以上505人

2)脳卒中/全身性塞栓症(%/年):
85歳未満:抗凝固薬なし2.8 vs. あり2.3
85歳以上:抗凝固薬なし6.3 vs. あり4.3

3)大出血:85歳以上>85歳未満

4)85歳以上の大出血:抗凝固薬あり4.0 vs. なしまたは抗血小板薬4.2, P-0.77
抗凝固薬はネットクリニカルベネフィットに影響せず

5)抗凝固薬薬のネットクリニカルベネフィット:-2.19%(95%CI;-4.23%~-0.15%; P=0.036)
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結論:年齢による脳卒中のリスク増加のほうが出血リスク増加よりも大きいので,超高齢者においては抗凝固薬の絶対的ベネフィットは高く,出血リスクよりも遥かにネットクリニカルベネフィットが大きく価値がある。

$$$ これまでも超高齢者ほど抗凝固薬のネットクリニカルベネフィットは良いことが指摘されていました。その根拠は,年令によるリスク増加の程度が,塞栓症リスクのほうが出血リスクを上回るというものです。そのことがこちらの研究でも示されています。

同様の報告はいくつかあり,このことは本当に近いようです。

ただし,私自身超高齢者での注意点として以前から心がけているのは,1)血圧 2)腎機能 3)適切な用量 4)アドヒアランス 5)患者文脈(認知症,服薬管理者など)で,この5点がうまくいかない場合は出さないという選択肢もありと思っています。

なお抗凝固薬は72%がワルファリン,NOACは6.1%,抗凝固薬+抗血小板薬9.9%でした。

$$$ 今日のニャンコは多いです。何人いるでしょうか。
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by dobashinaika | 2017-07-24 23:27 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

米国プライマリケア外来でも過去5年間でDOAC処方率は増加したが,抗凝固薬全体の処方率は変わらず:AJC誌


・米国の18のプライマリーケアネットワークのデータべース
・CHA2DS-VAScスコア2点以上の心房細動
・心房細動患者:3.5%(2010年)→4.0%(2015年)
・抗凝固薬処方率(心房細動患者中):57.0%→57.4%(p=0.41)
・抗凝固薬処方率(高リスク例):61.1%→61.7% (p=0.51)
・DOAC処方率:0.31%(2010年)→18.3%(2015年) (p<0.001)
・DOAC処方例はより若年で低リスク
・結論:DOACは総じて処方が増えているが,抗凝固薬全体の処方率は増加していない。

###先日のPINNACLEレジストリと同様ですね。プライマリ・ケアセッテイングでも同じで,DOACは増えているが抗凝固薬の処方自体は余り増えていないとい言うのが世界の趨勢のようです。

$$$ 
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ひさびさのネコシリーズ。どこにいるでしょうか?ってわかりますね。

by dobashinaika | 2017-06-20 19:26 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

やはり心房細動では血圧が高い(収縮期150mmHg以上)と血栓塞栓症と出血リスクが高かった;伏見AFレジストリーから


P:FUSHIMI AF Registryに登録した心房細動患者3713例。追跡期間中央値1,035日

E:高血圧あり:2304例,62.1%

C:高血圧なし:1409例

O:脳卒中/全身性塞栓症,大出血

結果:
1)高血圧の既往は,脳卒中/全身性塞栓症,虚血性脳卒中,頭蓋内出血,大出血ともに影響なし

2)ベースライン血圧150mmHg以上群(305例,13.3%):150mmHg未満群(1983例)にくらべ
脳卒中/全身性塞栓症多い:HR: 1.74, 95% confidence interval [CI]: 1.08–2.72
大出血多い:HR: 2.01, 95% CI: 1.21–3.23

3)150mmhg未満群は,非高血圧群と比べて脳卒中/全身性塞栓症,大出血に差はなし
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結論:脳卒中/全身性塞栓症,大出血とも,特に収縮期血圧の高い心房細動患者において発症リスクが高かった。

### 臨床に直結するデータですね。最近ではJ-RHYTYHレジストリーで同様研究があり,それでは収縮期血圧136mmHgで切られていました。
伏見では150がカットオフポイントですが,140−149mmHgは差がなかったようです。

Discussionにもあるように,血圧はベースラインのワンポイントの値なのでこれだけで目標値を定めるのは無理がありますが,自験例でも出血,梗塞を起こす症例は,だいたい145~150mmHgを超えるような症例であり,実感に合っているように思います。

抗凝固薬ありでもなしでもこのことは認められているので(抗凝固薬無し群はそれだけ低リスクであることに注意),抗凝固薬を出しっぱなしにして血圧を軽く見てはいけない,というメッセージを受け取りたいと思います。

いまさらながらですが,抗凝固療法の主眼は脳血管イベント予防にあるのだから,であるなら当然血圧管理が最大の課題であることを反芻します。


### ご近所ネコシリーズ
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by dobashinaika | 2017-06-04 19:15 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

米国でも日本でもDOAC発売後の心房細動における抗凝固薬処方率は50%→60%に増えたに過ぎない。


疑問:DOAC発売以来抗凝固薬処方は増えたのか

方法:
・2008年8月〜2014年9月,NVAF,CHA2DS2-VAScスコア1点以上
・PINNACLEレジストリ
・655,000例
・抗凝固薬使用状況の変化を分析

結果:
1)抗凝固薬使用率変化:52.4%→60.7% (p for trend <0.01)
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2)ワーファリン:52.4%→34.8% (p for trend <0.01)

3)DOAC:0%→25.8% (p for trend <0.01)

4)CHA2DS2-VAScスコアとOAC使用は関連あり:OR 1.06; 95% CI 1.05 to 1.07

5)DOACはより低用量使用:OR: 0.97; 95% CI: 0.96 to 0.98

6)医療機関により抗凝固薬使用のばらつき大きい:OR中央値1.52; 95% CI: 1.45 to 1.57

7)特にDOAC使用のばらつきが大きい:OR中央値: 3.58; 95% CI: 3.05 to 4.13

結論:ルーチンでのDOAC導入が抗凝固薬使用増加と関連あり。しかし以前ギャプは残る。施設レベルでのバリエーションも大きい。

### このグラフを見るとNOAC導入後,抗凝固薬処方率が50%から60%になり,それはDOACの増加に依存,と読めます。この数値の変化は,最近出たFUSHIMI AFの変化とほぼ一致することに驚きです(下の図B)。
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そしてやはりグローバルでも低用量使用とのことです。「欧米人はリスクよりリターンを重視する。日本人はリスクに重きを置く。。。」というのは幻想なのでしょうか。やはり抗凝固薬に関しては,世界中どこでもみんな慎重。

$$$ 日本プライマリ・ケア連合学会で高松へ。駅のホームのうどんも非常にレベルが高い。

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by dobashinaika | 2017-05-19 00:01 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

日本のリアルワールドでは,DOACとワルファリンで脳卒中/全身性塞栓症,大出血とも発症率に有意差なし:Fushimi AF Registryより


疑問:DOAC発売後5年たった時点での,日本の抗凝固療法のアウトカムはどうなっているのか?

方法:
・Fushimi AF Registry登録患者対象
・80医療施設,3731例,2015年11月まで追跡

結果:
1)脳卒中/全身性塞栓症:年間2.3%

2)大出血:年間1.8%

3)DOAC発売後,DOAC使用は緩徐に増加:2015年はワルファリン37%,DOAC26%,抗凝固なし36%

4)脳卒中/全身性塞栓症,大出血とも,DOACとワルファリンで出現率に差はなし
脳卒中/全身性塞栓症HR, 0.95; 95% CI: 0.59–1.51, P=0.82),大出血HR, 0.82; 95% CI: 0.50–1.36, P=0.45
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結論:リアルワールドの臨床プラクティスでは,DOAC投与下での脳卒中/全身性塞栓症や大出血は,ワルファリンと比べて明らかな違いはなかった。

### 伏見AFの最新データです。日本のイマココがわかる大変貴重な報告です。
追跡率89.6%,各群はCHA2DS2-VAScスコアとHAS-BLEDスコアの全項目でpropensity scoreマッチされています。
患者プロファイルの確認ですが,平均年齢73.6歳,平均CHADS2スコア2.0点です。ワルファリン群のほうが高齢,低体重,低血圧で高リスク例が多かったとのことです。
ワルファリン1728例,DOAC270例(ダダビガトラン115,リバーロキサバン222,アピキサバン202,エドキサバン6:5年の間に重複あり)

アウトカムの確認
1)抗凝固療法施行率:53%(2011年)→64%(2015年)
2)ワルファリン:DOAC:抗凝固なし:51%:2%:47%(2011年)→38%:26%:36%(2015年)
3)CHADS2スコア別処方率変化:3点以上の処方率は60数%で過去5年で不変。0点(35→49%),1点(45→62%)の人が増えている
4)DOACの低用量処方:ダビガトラン90%,リバーロキサバン44%,アピキサバン44%
5)非推奨例:ダビガトラン36%,保険適応外例:リバーロキサバン,アピキサバン59%
6)脳卒中/全身性塞栓症発症率への寄与因子:年齢(10歳ごと),脳卒中の既往のみ,(高血圧,糖尿病などは入らず)
7)ワルファリン vs. DOACのアウトカムはPSマッチ後も同じ
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Limitationは多くありますが,それでもワルファリンとDOACでアウトカムが変わらなかったのは相当インパクトがあります。
理由として著者らはDOACのアンダードースを挙げています。たしかにダビガトランでさえ36%,他に至っては59%もの症例で添付文書からはずれた低用量使用だったのにはやや驚きました。通常腎機能や年齢がギリギリのひとでは低用量にシフトするのもやむを得ませんが,6割近くが低用量というのはギリギリでないひともかなり含まれるのではないでしょうか。ただそれだと出血は少ないように思いますが,出血も同じだったとのことです。

筆者が述べているようにDOACのアドヒアランスの問題,nが少ないことなども関係しているかもしれません。

それにしても,試験の限界も多々あるにしても,日本の実臨床での実態をかなり反映した集団のアウトカムと思いますので,日本の臨床家の今の薬の出し方と,患者さんの飲み方では,DOACはワルファリンに勝てていないということです。あれだけ宣伝攻勢,あれだけの薬価でこうなんですね〜〜。やっぱり抗凝固薬を「誰に」「どう」使うかは,「何を」使うかより100倍重要。「何を」を考えるならコストとアドヒアランスがアウトカムより大事。なんとこんなところに落ち着くのでしょうか。NOAC礼賛の立場を取ってこなくてよかった(?)。


by dobashinaika | 2017-04-19 22:34 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)

昨日のNOAC論文に追加情報。

昨日の論文の追加情報です。

患者背景ですが、
使用薬剤はアスピリン51.1%、VKA43.3%、NOAC4.1%、混合1.4%。
NOACの内訳はダビガトラン28.5%、リバーロキサバン71.5%
追跡期間はNOAC1.0年、VKA2.7年
合併症は、脳血管疾患がVKA群で13.4%、NOACで18.9%
でした。

消化管出血が多かった理由として
・腎機能低下例、悪性腫瘍例、消化器症状を有する例、NSAID併用例など選択基準がRCTより広い
・出血の定義に多少違いがある
などが考察されています。

頭蓋内出血も大きな差はないようです。

### 確かに観察研究なのでより重症な例にNOACが処方されたのかもしれないという交絡因子は考えねばなりません。アスピリンがかなり出されているコホートです。この研究とて鵜呑みにはできません。

とはいえ、リアルワールドは混沌としています。特にプライマリケアの現場ではなかりの高リスク例にも出しています。
その上、日本においてプライマリケアレベルでこのような大規模データベースの構築及び解析は出ていないわけです。

手放しでNOACがいいとは決して言えない。高リスク例はNOACであっても特に気をつける。こう考えたいと思います


by dobashinaika | 2017-03-15 18:52 | 抗凝固療法:リアルワールドデータ | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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